東村アキコのレビュー一覧
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匿名
ネタバレ 無料版購入済み奥が深い
主人公の岩下さとりはコーヒーショップでアルバイトをしている25歳の女性。
趣味はティックトックを見ることという彼女は今時の若者だ。
ある日バイト先に現れた謎めいた着物美人と知り合いになり着物を着せてもらう代わりに彼女の言う用事につきあう機会が増えてきた。
着物は好きだし師匠と勝手に決めている着物美人の「銀太郎さん」にあこがれているさとりだが着物に関する知識はまったくない。
銀太郎さんの知り合いである着物屋のヨシエ先生に着付けをしてもらいながらも二人の会話についていけず用語もまったくわからないさとりだが、銀太郎に付いてお弟子のような状態でいると少しずつだけど知識が増えてくるのだった。
しかし銀太郎に関することは分からず聞いても濁されるばかりだった……。
私も着物は好きだけどまったくの素人のため勉強になる。
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故郷を離れ、大阪で、漫画家として忙しく楽しく充実した日々を送る明子。
明子に届いた衝撃の知らせは、故郷の絵の先生・日高が肺癌で余命いくばくもないというもの。絵画教室には今年も美大の受験生が大勢いる。日高先生は明子に、帰ってきて塾を手伝えというのだ。
ともかくも、一度、明子は故郷に帰る。
だが、日高先生は思ったよりも元気そうだった。一方、漫画の方は長い巻頭カラーの仕事も入り、切羽詰まった状態だった。明子は後ろめたさを感じつつ、大阪に戻ることにする。
そのうちに大学時代の彼氏も卒業して大阪で就職することになる。2人で一緒に暮らし、しゃかりきに漫画を描き、〆切が終われば漫画家仲間とパーティーをし、という怒涛の日々。
気が付けば先生のことは思い出さなくなっていた。
後悔はいつも、間に合わない。
無敵に見えた先生もスーパーマンではない。
病は確実に進行し、逃れようもなく別れの時は来る。
先生が亡くなった知らせが来て、故郷に帰った明子は、教室の後輩から、先生の最後の言葉を聞く。
先生は最初から最後まで明子に絵を描かせようとし、一方で、明子は、漫画を描くことしか頭になかった。
若干ねじれた師弟関係だが、それでも日高先生のシンプル極まりない教えは、明子の背骨を作っている。
描け
徹頭徹尾、先生の教えはこれだった。
竹刀でバシバシ叩かれながら、理不尽さにひぃーひぃー泣きながら、来る日も来る日も描く。時代遅れとも言われそうな、そのスパルタな日々が、その後の支えとなる。
辛いときも、苦しいときも、「描くことに救われ」てきた。
そう言い切れることが、日高先生が明子の師であった証であるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
故郷・宮崎に戻り、会社で働きながら、恩師・日高先生の絵の塾を手伝う日々を送る明子。夢であった漫画家への道も歩み始めていた。
投稿した漫画が評価され、担当さんに絵をけなされながら、ボツもくらいながら、単発で漫画誌に掲載されるようになる。
昼は会社、夜は塾、夜中に漫画。
若いからとはいえ、相当ハードな生活である。それもこれも、お金を貯めて宮崎を出て、思い切り漫画を描くという目標のため。
〆切に追われると、小中学校の頃の漫画友達を呼び出してアシスタントをしてもらったり、手先の器用な母にスクリーントーンを貼ってもらったりの自転車操業。
がむしゃらな頑張りで、お金は徐々に貯まっていく。
初めて招待された出版社のパーティで、初めて、漫画家の友達ができる。関西に住んでいる人が多かった。東京は遠いし物価も高いが、大阪ならハードルは低い。
明子は大阪に引っ越すことを考え始める。
独立資金はほぼ得たものの、日高先生を説得する自信がない明子。
なんせ、先生は漫画を認めておらず、明子にも絵を描かせ、二人展をするのを楽しみにしている。明子は塾では先生の右腕のようになっていて、美大を受ける受験生たちの指導を任されている。図らずも明子の指導力は的確なのだった。
でも漫画と絵は両立できない。
明子は漫画が描きたい。絵を描くのは苦しい。お金にもならない。けれど、先生を説得できないのだ。
明子は先生に大阪に行きたいと告げる。先生はどのくらい行くのか、と聞く。明子は「とりあえず半年?」という。けれどそれはもちろん嘘だ。帰るつもりなどないのだ。
そして楽しい大阪生活が始まる。
描きたいだけ漫画を描き、原稿料が入ればぱーっと使い、それをエネルギーにまた描いて。
充実した日々を送る中、1本の電話が掛かってくる。
それは思いもよらぬ、衝撃の電話だった。
次巻で完結。 -
Posted by ブクログ
故郷から遠く離れた美大に進学した明子。
野望は漫画家になること。だが、大学の日々の課題もこなせずに遊んでばかり。一方、漫画も1ページも描いていなかった。
卒業間近にして、明子はようやくその夢に向かい少しずつ動き出す。
とはいえ、実際漫画を描き始めるのではなく、とりあえず新古書店でのアルバイトを始めたのだ。ここでバイトをすれば漫画がただで読み放題というわけ。実際、このときいろいろなジャンルのものを読み漁ったことが現在でも貯金として生きているというから、経験は積むものである。
そしてそうして漫画に取り囲まれてみて、ようやくペンが動き始めた。交際中の大好きなイケメン彼氏をモデルとしたイラストなどなのだが。
卒業は迫る。故郷の親からも絵の先生・日高先生からも卒後の就職について心配して電話が来る。故郷に戻り、美術の先生になれ、という勧め。紆余曲折あったが、何とか日高先生が私立高校の美術教師の口を見つけてくれた。
彼氏とは別れたくない(彼は2学年下)。しかし、致し方ない。
彼は遠距離でも大丈夫と言ってくれた(けれども、大人になった今、もちろん、彼は隣にはいないのである。まぁそんなものだ・・・)。
そんなわけで故郷に帰ってきたが。
何と、日高先生が用意してくれたはずの就職口は、強いコネを持つ別の人物に奪われていた!
金もなければ友達もいない。明子は仕方なく、日高先生の絵画塾に再び通い、そして何となく先生の助手として働くことになる。
何はなくても実はこれが楽しい日々だったということに気が付くのは後になってからのこと。
一方、いつまでもまともな職に就かない娘に業を煮やした父は、自分の会社のコールセンターで働くよう命じる。
この仕事がむちゃくちゃ合わなかった。
夜は相変わらず、日高先生の塾での手伝いもある。
へとへとの日々。
・・・しかし、起死回生の一歩はここから。
何と明子は会社を辞めたい一心で、漫画を描いて投稿するのである。
夜中の数時間の自由時間しかない中。がむしゃらに、しゃかりきに。
漫画家になる道がうっすらと見え始めるこの巻。
明子はようやく漫画のことを先生に打ち明ける。しかし、先生は取り合わない。
これは落書きだ。そうか、金になるのか。それはいい。漫画でお金が入るなら、そのお金を使って絵を描けばいい。
そうではない、と言いたい明子だが、先生との間の壁はどうしようもなく高い。
反論もできない。説得もできない。なぜなら先生の存在は明子の中でものすごく大きいから。
大きすぎる存在とは袂を分かつしかないのか。 -
Posted by ブクログ
漫画家になりたくて美大を志望している明子。南国・宮崎の高校に通う傍ら、エキセントリックな絵の先生、日高先生のスパルタ特訓も受けている。
離れ技の、ヤマカンを駆使するテクニックを使って、センター試験でまさかの高得点を取ることに成功。一次試験重視の大学を本命視し、実技重視の北陸の大学は観光半分のつもりだった。
一次重視の大学の実技試験が先に終わり、実技重視の大学を受けに来る。だがなんと、試験期間中に、わざわざ日高先生が「お前は最初に受けた大学に落ちた!」と電話してくる。ショックのあまり、試験課題に身が入らない明子。おまけに周りの子は格段にうまい。
当然落第だろうと泣く泣く地元に帰る。日高先生は先生なりのやり方で励ましてくれた。が、元はと言えば、先生が余計な電話をしてきたから、と明子は怒り心頭。泣きながらケンカして大騒ぎである。
・・・だがなんと、絶対落ちたと思っていた大学に、明子は受かっていたのである。
さぁ、それでめでたしとなりそうなところだが、故郷とは段違いに環境の整った大学で、明子ははたと描けなくなる。
この色でいいのか。この線でいいのか。1つ迷うともう後が続かない。
そして彼女は---なんと、遊び倒すアホ大学生になってしまうのである。
その遊びっぷりはアッパレというべきで、やはり何かに抜きんでる人というのはいろんな意味で出来が違うのだ、と変に感心もするのだが、親も先生もたまったものではないだろうな、とも思う。
ともかくもそんな調子で日々が過ぎる。ある日、突然、日高先生が宮崎からやってくるのだが・・・。
後年、明子は母校の美大に講師として呼ばれる。学生の頃は漫画はどこか見下されていたものだが、今や立派なアート。そこで懐かしの旧友たちに再会もする。
実は明子は、そもそも美大を志望するのは漫画家になりたいからだ、と日高先生には打ち明けられずにいた。それはおそらく、先生の絵への姿勢があまりに真摯であるからだろう。だが、先生が真摯であればあるだけ、自分がその真摯さにきちんと向き合えていたのか、そのことが大人になってからも棘となって刺さり続けている。 -
Posted by ブクログ
『海月姫』、『東京タラレバ娘』などで知られる漫画家、東村アキコの自伝的エッセイコミック。
主人公・林明子(*ちなみに東村の本当の本名は「森明子」らしい)は宮崎の高校3年生。少女漫画が大好きである。
自分は絵がうまいと本気でうぬぼれていた。投稿すれば大きな賞を取れ、超大型新人としてデビューすると思い込んでいた。
夢の人生プランは、美術大学に入る→在学中に漫画家デビュー→学費は漫画の原稿料で払う→漫画の実写化ドラマに出演した俳優と結婚→漫画を時々描いて幸せな一生を送る、と、相当な脳内お花畑。
大学受験なんて楽勝とも思っていたが、クラスメート(やはり美大進学志望)に、美大を受けるなら絵画教室に通わなければダメだと言われ、彼女が通っている教室に通うことにする。
・・・この先生、日高がすごかった。ジャージ姿に竹刀を持ち、超が付くスパルタ先生。口も悪けりゃ手も早い。今なら保護者から苦情がいきそうなほどだが、通ってくる老若男女の生徒たちは皆、先生に従順だった。
明子は石膏デッサンを1枚12時間以内で受験までに100枚描け、と無茶苦茶な指示を出される。明子だけではない。延々と来る日も来る日もティッシュの箱を描かされている老人、魚の骨を描かされている幼い姉弟、厳しすぎる指導に耐えかねて泣き出す女学生。阿鼻叫喚である。
日高先生自身は実は、美大を出ていないことが後にわかる。
それでも先生のデッサン力はずば抜けていた。また、厳しいながらも情に厚い、面倒見のよい先生であることも徐々にわかる。授業料は格安で、徹底的に1人1人の生徒と向き合っていた。
明子は勉強が苦手だった。推薦入試を受ければ学科試験は不要と高をくくっていたが、何だかんだでセンター試験(現在の大学入学共通テスト)を受けなければならなくなる。そこで先生から出た指令は「9割」取ること。定期テストで一桁台を取ることもあるほど勉強ができない明子には到底無理な目標だった。
そこで明子はどうしたか。
何とヤマカンでセンター試験を「攻略」する本を買って実践し、実際、模試でそこそこの点を取ってしまうのである。
・・・そんな力技ありか!?
そんなこんなの受験生生活を綴る1巻。
全体に抱腹絶倒なのだが、一話の終わりごとに、現在の明子=アキコが先生に語り掛ける一言・二言がじんわり沁みる。
日高先生のモデルとなった人物は、病気のため、早逝している。
そう、これは今は亡き人に向ける言葉なのだ。
だから、ドタバタコメディ風でありつつ、どこか深い郷愁も漂う。