嗣人のレビュー一覧
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ネタバレ
泥臭く美しい荒尾
「奇」談じゃなくて「鬼」談なワケ。
一通り読めば自ずと分かってくる。
それは作者が後書きで述べてる通り。
炭鉱運営時代は凄惨な逸話も多々生まれた。
郷土資料漁らないと、なかなか発見できないものばかり。
作中では炭鉱が閉山して久しいという設定だけど、鬼は存在し続けている。
なんなら、生者側にも「鬼」はいる。
良い面も悪い面も「荒尾市あるある」が丁寧に描写されている。
「続・四ツ山鬼談」が書かれるとしたら、本作の生者側の何人かは「鬼側」として登場しそうな感じすらある。
極端なバッドエンドはないけど、絵に書いたような救いもない。
それでも、ちょっと光が見えてくるような話もある。
「この世に業のない -
Posted by ブクログ
一気読み。
調べてみたら実話ベースのようで、ますます好みだった。
三池炭鉱があった熊本県の場所のはなし。
残穢も炭鉱のはなしだった。
だから同じにおいがしてとても好みだったんだなと思う。
穢ということばにしてよいのかわからない。
その場所に残った穢。それはやはり生きているひとがかかわってはいけないモノなのだろう。
ソレに引っ張られたひとの魂も縛られたりするのだろうか。
短編集になっていてどれもこれも良かったけどあえて選ぶなら『バス停の影』『迷い鬼』『会議室の声』『箪笥の煤』『ヤマから響く声』が心に残る。
とくに『迷い鬼』新築を建てて住む若い夫婦のローンが大変なはなしとか、黒い影に遭遇してしまっ -
購入済み
伝奇モノが好きならオススメ!!
人に非ざるモノ、怪異が引き起こす事件をただ真面目に役所仕事で生きてきただけの青年と
見える、触れられるだけの少年の2人が怪異が起こす事件の解決の為に動く!
特殊な強い能力があるとか、そういうのは無いので人の命を脅かしかねない、または脅かしてきた怪異に対して
時にスリリングな場面もありつつも退治以外の手段で解決していくお話です。
私は昔から伝奇モノが大好きで、例に挙げると夢幻街、XXXHoLic、蟲師、怪異と乙女と神隠しなどの作品を見ています。
上記に挙げた様なのが好きであればきっと気に入って頂けるかと…
既に2巻が待ち遠しい作品です! -
Posted by ブクログ
完全にハマった!
前巻で名前程度で素性の明かされなかった方々の
殆どが登場。
師匠、姉弟子、師匠の使用人、謎の老人…って、
登場人物、皆んなが謎だわ(笑)。
それぞれが幾つかの章の主人公となり、世界観が創られて行く。
ただ、それでも彼らの全てが詳らかにはなっておらず、でもそれで良い…それがこの物語の肝のように私は思う。
今回もエピソード多数!
しかも、
読み応え満点!(言い方 古っ)
各章は決して長くは無く、それでいて中身は絶妙に纏まっている…一言で言うとシャープ。
読み易く、しっかり怖く、しかも泣けたりもする。
これは傑作だわ!
満身創痍ながらも主だった二人は生きている!
続編が