嗣人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
つくづく嗣人さんって多才な方だ。
数多の怪異を記し、おどろおどろした作品の書き手かと思いきや、『ひと』の小野寺さんの様なヒューマンコメディ然とした今作(神様なので全然ヒューマンじゃないし、『ひと』は喜劇じゃない…失礼)、これは楽しいな!
だけど、
最終章を読み進めるにつれ…怖。
それはそうか、日本三大怨霊と数えられる一柱の御方、その由縁が語られない訳が無かった。
今、読んでいる最中の小説の中に「怨嗟とは強者に虐げられた弱者達の歯軋り程度に過ぎない」と云った内容の一文があったのだが、それこそ歯噛みしてこの一文に目を通した私からすれば、菅原さんの憤怒はあって然るべきと思えるし、箇条書きで淡々と綴られた仇どもの末路には胸をすくものを覚えた。
何が悪い!と。
さて、
作品の様にうつよに顕現しては居ずとも、神様は絶えず人の幸せを考えていて下さるのかも知れないなぁと今作を読んで思った。
その上でその好意に常に泥を塗っているのは我々人間だ。
『仏の顔も三度まで』と云うが、この世界はとっくにその期限を超えている…それもここに極まれつつある。
神様たちがいつ業を煮やしイカズチを堕としたとしても、全く以て不思議ではない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ三池炭鉱ですよ~とおすすめしていただきました。
じわじわと怖かったです。
曰くのない土地・業を背負っていない場所などない、というのが印象的でした。
共存していくしかない、という「迷い鬼」「でんしゃ」「会議室の声」が特に気になります。人格者のお坊さんや、先に共存している先輩や地元の方がいなくなれば、対応間違って噴出するかもしれない…というぞわぞわも含めて。背筋が凍ります。
それから、作品全体に漂う「置き去りにされている」感じが悲しかったです。鄙びた…みたいな地域そのものはもちろんのこと、死者も生者も置き去りにされている。
真っ黒な人が唯一発する言葉も、呆然とした様子も、切なかった。
「残穢」は怖くて未読ですがたぶん筑豊の炭鉱だと思うので(北九エリアに炭鉱はない)、今作の三池炭鉱とは離れてます。
おすすめしてくださった方もわたしも県民なので混同はしてないし、県民は北九と筑豊も区別がつく(筑豊の方に、更に気を付ける) -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編がたくさん詰まった分厚い1冊。
この作家さんの本、なぜか涙が出てしまう。
選んだ主を護る道具たちのいじらしさというか絆の深さに…「お、おふぅぅ(泣)」 一泣き目。
昔パンをくれた子供のことを覚えているんだなぁ。そうか、鴉は本当は真っ白で穢れを引き受けてくれているから黒いのかぁ(泣) 二泣き目。
手にとって欲しくて転がり出てくるなんて可愛いなぁ。護ってくれた上にしかもその後、猫のふりしてお庭にくるようになるなんて…消えちゃったのかと思った良かったぁ(泣) 三泣き目。
そういや美智子さんて、あの美智子さんか。
打って変わって楸と遠野の所は怖かったなぁ。
やっぱり千早と大野木さんコンビのお話が好き。