嗣人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
太宰府を中心に綴られる神様たちの話。
人と同じように肉体を持って現代に生きている神様たちの生活が面白い。
新しいものが出るたびに新しい神様がうまれるとかとても日本的。
全体的に神様が人の幸せ願いすぎててそんな手厚いことある?とは思うけど、優しい世界なのでまあいい。
それだけに菅原道真が天神になった物語部分は読んでいてなかなか辛かった。
年表部分は淡々としているだけにより怨みの深さが滲んでくるというか。
めちゃくちゃ長いこと祟ってるもんなぁ。
廟作っても追贈しても祟り続けてるの当時の身に覚えあった人たちはさぞかし怖かっただろうなちょっとざまあみろとは思った。
他の神様バージョンも見てみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【収録作品】序/膿霧/炎罪/禁足/人形/投射/虚像/祭祀/晩夏/嗚咽/禍猿/夢魔/幻旅
隻腕の見鬼・千早と県庁対策室の大野木が怪異に立ち向かう物語が中心。要所要所で夜光堂が現れる。
「序」は、帯刀老の臨終間際の話。
「炎罪」は、遠野恭也と鷹元楸の話。楸はいじめ被害者の心を操り、復讐を囁き、恭也はその結果を愉しむ。
「晩夏」は、自ら境界を越えて異界を選ぶ男の話。
「夢魔」は、木山の視点で語られる帯刀と取り組んだ事件の話。
「幻旅」は、おまけのような小話で、神々が疲れを癒やす宿に紛れ込んだ大野木と千早の話。
怪異に立ち向かうといっても、千早には退治する力はなく、ただ見極めて対処するというのが興味深い。真面目な大野木の脇の甘さがよく出ている巻。怪異はすぐ隣にあって見えないだけと思わされる。 -
Posted by ブクログ
★2.8
王道の怪談もの 短編集だが連作というほどのつながりはなく 考察系のような思わせぶりもなく それぞれが独立した短編として描かれている
タイトルが鬼談であり まえがきに「これは、鬼の噺である」とあるが 第三話で語られているようにそれは「鬼(おに)」と言われて我々が一般的にイメージするものではなく 「目に見えない、超自然の存在。死人の霊魂、精霊。或いは人に祟りをする魔」=「鬼(き)」のほうである
その「鬼(き)」を象徴する存在である「黒い人」にまつわるエピソードが中心となっているが 彼らは居場所を探していたり何かを訴えかけようとはするものの 直接的に祟ったり呪ったりということはあまりなく ただ立ち尽くしてじっと見つめるのみ だがその静かな佇まいがかえって禍々しさを感じさせ それが短編として積み重ねられていくうちに禍々しさを増幅させていく
炭鉱の町というか地方というかが舞台となっており 土地が持つ負の磁場のようなものが静かに淡々と語られていく 各エピソードの登場人物たちはその負の磁場とたまたま絡まってしまっただけで なにか因縁めいたものがあるわけではない そこがいわゆる「心霊もの」とは違っていて そのぶん言いようのないうすら寒さのようなものを感じさせて こういうのはわりと好みではある
けっこうなページ数で途中(先は長いなー)とは思ったものの 文章は読みやすく心理描写や情景描写も的確なので 飽きずに読み通すことができた あとがきを見ると故郷の町にて炭鉱にまつわる怪談を聞き取りして回ったとなっているが 実際にはどこまでが聞き取りでどこからが創作なのかがちょっと気になる もちろん創作だからダメということではないが
(うん おもしろかった)というところまでは残念ながらいかず 四捨五入で★3というところか -
Posted by ブクログ
神である菅原道真は三十男としてアパート暮らししている。好物は卵かけご飯/入試のお礼参り時期の太宰府天満宮/天満宮での神々の花見/エアコンを買いに/キャンプで四苦八苦/神無月・神在月での神々のバトル/自分のための神事に遅刻した/大晦日から新年の神さまはもうたいへん/瀕死状態で二日市温泉で湯治/菅原道真が神になるまで(ラストがこの話なのは辛いので、途中に入れて欲しかった)。
■簡単な単語集
【天津神】高天原の神々。あるいはその子孫。あんまり地上に降りてこない。強烈な神威で肌と目が焼ける。
【天照大御神】神様のトップ。伊勢神宮からなかなか離れられないので神無月にも出雲に顔を出すことはあまりない。
【天之自在炬燵】神様たちのビンゴ大会の景品としてえびす神がもらった。
【綾子】菅原道真生前の側室。寡婦となり友人だった宣来子が側室にとすすめた。紅姫(小紅)と隈麿(熊)を生んだ後亡くなった。
【宇迦之御魂】いわゆるお稲荷さん。そのトップ。イメージ的には女性の姿だが、ここでは老爺のようだ。菅原道真が神になるときの恩人らしい。天津甘栗が好物。
【エアコン】エアコンを使わずに就寝し熱中症で神去してしまう神々が増えている。
【榎社】神が祀られていない小さな神社。菅原道真公の御霊が年に一度戻って来る。
【えびす神】蛭子命。菅原道真の友人となった。三貴子よりも古い神だがカウントされておらず、葦船で海に流されたどり着いた先でえびす神となった。当人は「最古のネグレクト」と言い、いまだに伊邪那岐命とは不仲。
【大山武蔵坊】大天狗。愛車はハーレー・フリーウィーラー。全国のキャンプ地を周っている。バリトンボイス。武蔵国で金属加工の会社を経営している。
【尾瀬】太宰府天満宮の開闢稲荷社の狛狐。神無月に宇迦之御魂のお供をした。
【花伝幸彦】家電製品の神。
【加藤清正】神の一柱。体育会系。ワイルドなアイドル系の風貌。《きっと毎晩、ナイトプールで美女を侍らせ、フットサルに興じているに違いなかった。》p.48
【神ハラ】新しい神は古い神に逆らえない。
【神無月】出雲に集まるようになったのは意外に歴史が浅く、平安時代に大国主命が提案したらしい。宇迦之御魂が稲刈りが終わった十月が良いと助言した。
【国津神】地にいた神々。
【警固神社/けごじんしゃ】御祭神は大直毘神、八十禍津日神、神直毘神。
【顕現】人から神になった者は全盛期の姿で顕現する。菅原道真は三十代後半、神功皇后は二十代半ば。
【珈琲豆の神】世界中のコーヒーショップが社。
【三貴子】天照大御神。月夜見尊。素戔嗚命。の天津神とトップスリー。
【神威/しんい】神様の超能力。菅原道真は雷を使えるので携帯電話の充電ができる(失敗すると故障のもととなる)。えびす神は卵の白身を泡立てることができる。
【神功皇后】神様の一柱。女子大生っぽい姿をしている。かつて妊娠中に戦の指揮を取った女傑。
【静】菅原道真の神使。鷽。
【菅原道真】主人公。神様。いわゆる天神さん。今は三十男の姿でアパート暮らしをし太宰府天満宮に通勤している。本体は天満宮にあり、アパート暮らししているのはアバターみたいなもの。好き嫌いは少ないがパクチーは苦手。
【少名彦命】男子高校生くらいの姿をしている。かつては大国主とともに国造りをした偉大な神様。本来の姿は鶫のせに跨がれるほど小さい。一寸法師のモデルという説も聞いたことがある。最近ギャンブに目覚めアウトドア関係の会社に就職し「砂川彦介」という名を名乗っている。目指せ! アウトドアの神!!
【素戔嗚命】ハラスメントの権化。かかわりたくないが無視はできない。自慢話、説教、武勇伝しか話さない。妻の櫛名田比売にいいように操られている。
【多紀理姫】宗像三女神の長女。天照大御神と素戔嗚命の誓約から生まれた。見た目は二十代半ば。目力が強い。超ウワバミ。
【卵かけご飯】菅原道真の好物。宇迦之御魂に教えてもらった。
【玉依姫】竈門神社の祭神。ふんわりほわほわとした可愛らしい女性の姿。恋愛成就の神として知られていたが最近鬼退治のマンガ、アニメがきっかけでさらに知名度が上がり参拝客が爆発的に増えた。
【月夜見尊】天照大御神の弟、素戔嗚命の兄。神界一美しい神とされ実のことろ性別は不明。月で炬燵に入り兎と双六をしている。
【徳川家康】新しい神。
【常世の国】永遠の黄昏が続くこの世でも黄泉でもない場所。
【宣来子/のぶきこ】菅原道真生前の妻。毅然とした性格。
【花見の場所取り】九州の神々が一堂に会する。一番新参者の神様よ仕事なので毎年菅原道真がすることになっている。
【豊前坊】英彦山の大天狗。愛車はランボルギーニ。
【二日市温泉】神様が選ぶ福岡ベスト温泉ランキング上位に入る。
【根の国】素戔嗚命が一人暮らしている不思議空間。
【藤原時平】菅原道真を島流し(形の上では左遷)にした張本人(と思われる)。
【美佳子】国津神御用達の旅籠「白兎」の女将。八十を超えている。
【宗像三女神】多紀理毘売命。市寸島比売命。多岐都比売命。おそろしい酒豪。天照大御神と素戔嗚命の誓約から生まれた。
【名刺】菅原道真の名刺は持っている。「非営利法人 八百万 菅原道真」と書かれている。ちゃんと高天原で発行された真面目なもので焼いても濡らしても損なわれない不老不死の名刺。
【八百万の神々】文鎮の神。蚤の神は若い女性の姿。インターネットの神。
【遊戯の神】古い神だが時代に即して姿を変える稀有なタイプ。