エドマクベインのレビュー一覧
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アメリカの大都市アイソラで、大会社重役ダグラス・キングの運転手の息子が誘拐された。犯人はキングの子と間違えたのだ。身代金を払えばキングは破産。しかし人道的には……一方、アイソラ市警87分署のキャレラ刑事らは犯人との交渉のためキング邸に赴くが、主人が非協力的で捜査は難航。まもなく身代金の受け渡し時刻が迫る――。警察小説の金字塔にして映画「天国と地獄」の原作が堂場瞬一の新訳で蘇る。
新訳が出たので、40年ぶりに再読。大学生の頃、87分署シリーズはかなり読んだ。表紙がイラスト、テレビシリーズ「裸の街」の写真とまちまちで、「クレアが死んでいる」は市川崑監督の「幸福」の写真だった。「天国と地獄」は読後 -
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ネタバレ2024年の25冊は、エド・マクベインの「キングの身代金[新訳版]」です。87分署は、読んで見たかったシリーズの1つです。しかも、堂場瞬一氏の翻訳とくれば、読まない理由には行きません。
シリーズ屈指の変わり種という事で、本作の主役は、87分署の刑事達でなく、2組の夫婦です。1組目は、タイトルにもなっているダグとダイアンのキング夫婦。ダグは、製靴会社の重役で高級住宅街の豪邸に住んでいます。もう1組は、相棒と誘拐事件を起こすエディとキャシーのフォーサム夫妻です。エディは、強盗を繰り返して生活しているチンピラです。金持ちの子供を誘拐して身代金をせしめて、メキシコで心機一転の生活をしようとしています。 -
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87分署シリーズは聞いた事はあったが、昔の人気シリーズという認識だった。
ちょっとしたキッカケでシリーズ第一作を手にして、夜寝る前に少しづつ読み進めた。
まずニューヨークの夜景の描写から始まるので、最初に夜のイメージが定着した。
1950年代の賑やかな巨大都市ニューヨーク。エアコンの設備が行き渡らない時代の茹だる様な暑い夏が舞台。もちろん夜となれば連日の熱帯夜。その熱にうかされように話は展開する。
これを夏に読んでよかったと思う。
海外ミステリーの醍醐味は、ストーリーや謎解きは当然だが、その時代・その場所の細かな描写が全体の雰囲気を大きく左右する。60年前に書かれた警察ミステリーの黎明期の作品 -
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この巻にはいくつもの事件が錯綜するが、なんといっても87分署の宿敵、デフ・マンの再登場が目を引く。キャレラにSF小説の一節を送りつけて来るデフ・マンの狙いは何か。小説の場面のように、群集に暴動を起こさせようというのか。
アイソラの街は荒れていた。連続して起こる落書き屋殺し。身元を示すものを取り去られた、痴呆状態の老婆が置き去りにされる事件。これらの事件は何を目的としているのか。立てこもり事件が起こり、アイリーン・バークが説得にあたる。
街を覆う不満に満ちた人々の空気が、ストーリーの通奏低音となっている。上記のメインの事件だけでなく、ちょっとしたことから、障害、殺人にいたるまでの事件が起きる -
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ミッシェル・キャシディという女優が、脅迫されていると言って87分署を訪れた。彼女が主役として出演する芝居「ロマンス」には、まさに女優が刺されたり、刑事が尋問する場面まである。しかし脚本家、演出家、俳優たちの不協和音で、公開前から先行きが危ぶまれていた。そして実際にキャシディが切りつけられる事件が発生し、キャレラとクリングは捜査を開始する。
クリングは捜査の傍ら、前作で知り合った市警の医師、シャーリン・クックに接近する。年上で黒人のクックは、白人のクリングに惹かれつつも、なかなか心を許さない。クリングの想いは届くのか。
この巻は「ロマンス」という劇を巡って起こる事件と、クリングのロマンスを軸 -
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「ミステリーは読まない」などと言う文章を書いた直後に87分署。言動不一致ですね。前作「キス」はルール違反でちょっと失望したのですが、この作品はまずまず。いつものマクベインです。。。。
しかし、この本はシリーズ45冊目、初出の「警官嫌い」が1956年。昨年(2001)には51作目が発表されてるそうで
50年になろうかと言う化け物みたいなシリーズです。
最近さすがにスピード感が無くなり、衰えを感じさせるように思うのですが、この作品では4つの事件を織り交ぜる事により、飽きさせることなく話を進めます。
久々のデフ・マン登場と言う事で期待をしたのですが、その点については可も無く不可も無くというと -
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>この小説に現れる都市は架空のものである。
>登場人物も場所も全て虚構である。
>ただし、警察活動は実際の捜査方法に基づいている。
久しぶりに戻ってきましたアイソラの街に。
今回はなかなか良かった。
シリーズ49作目。私にとっては、どうやら4年ぶりの作品のようです。
マクベインは、今回もいつものように複数の事件を同時進行させます。豊胸手術をした修道女の殺害事件、被害者の枕の上にチョコレートクッキーを残すクッキー・ボーイと呼ばれる空き巣事件、そして主人公・キャレラを殺害しようとする男。
手法的にも例によってフラッシュ・バックを多用し、スピーディーに展開していきま -
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ネタバレ87分署シリーズ第四作。詐欺事件の発生と時を同じくして、ハートの刺青のある死体が川から引き上げられる。詐欺事件は引き続き起き、同じ刺青のある死体がさらに発見される。この二つの事件が交互に描かれ、87分署の刑事たちによる捜査が続く。
詐欺事件はおとり捜査により犯人が捕まる。殺人事件は刺青師の捜査から一気に事件に動きがある。ここにスティーヴ・キャレラの妻テディが巻き込まれる。テディが犯人を尾行し、中国人刺青師が87分署に急を告げる。キャレラが妻の危機を知り現場に駆けつける。キャレラが犯人を撃ち逮捕する。三人目の被害者は保護され、テディも無事だった。
一作ごとに季節を替え、今作は春となり一年が経 -
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馴染みの刑事部屋に入り、ガサツでありながらも心優しい刑事たちに再会する。スティーブ・キャレラ、マイヤー・マイヤー、バート・クリング、ミスコロ、バーンズ……1956年発表の「警官嫌い」以降、2005年「最後の旋律」まで全56作。マクベインの死によって惜しまれつつ終焉する「87分署シリーズ」は、架空の都市アイソラを舞台に、常に市井の人々に寄り添い、憎むべき犯罪に立ち向かう刑事群像を描き続けてきた。
本作は1983年発表の第36作。貧富の差に関わらず蔓延する麻薬が絡む殺人が発生。凍り付くような寒波の中、捜査を開始したキャレラたちは、辛抱強く関係者に当たり、嘘と真を見極め、矛盾を察知し、事件を再構築 -
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ネタバレ87分署シリーズ第三作。第一作で新婚旅行に出発したスティーヴ・キャレラがもどり、前作で殺人事件の犯人を逮捕したバート・クリングが刑事に昇進している。
麻薬の密売人と思われる男が死んでいるのが発見される。殺されたあと自殺に偽装されたとして、殺人事件として捜査が始まる。麻薬用の注射器には本人のものではない指紋が発見される。そして、87分署のピーター・バーンズ捜査就任に電話がかかる。ピーター・バーンズの息子のラリイ・バーンズが麻薬中毒者で殺人現場に残された注射器の指紋がラリイのものであるというものだった。
捜査主任としての立場と父親としての立場の間で板ばさみに会うピーターだが、息子の事件への関与 -
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ネタバレ87分署シリーズ第二作。クリフォードと自称する通り魔事件が多発する。また、前作、警官嫌いで負傷したパトロール警官のバート・クリングには昔の知人から妻の妹の様子がおかしいので会って欲しいと依頼される。バートはピーターの妻の妹ジェニイと会うが、その後、ジェニイは殺される。クリフォードの犯行はエスカレートし、ジェニイ殺害の容疑もかかった。
ピーターの妻であり、ジェニイの姉であるモリイの頼みから事件の捜査をしていたバートは、刑事の邪魔をしているとして叱責を受ける。
一方、通り魔事件を追うハル・ウィリスは女性刑事アイリーン・バークを囮に犯人を追う。そして、通り魔がアイリーンを襲う。そこに駆けつけるウ -
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ネタバレ87分署シリーズ第一作。三人の警察官が殺され同一犯による連続殺人とされた。同僚を殺された87分署の刑事たちが犯人逮捕のために捜査を続ける。
1人の刑事による推理を元にした捜査ではなく、刑事たちのチームによる捜査を描く。現実の警察の捜査を感じさせるリアルな物語となっている。
刑事たちの会話が多く、そこにユーモアや時代背景なども描かれている。新聞記者の暴走により事件が大きく動く。一つの可能性としての捜査方針が、真犯人とっては真相に導く大きな方向性であった。刑事スティーヴ・キャレラの恋人テディに真犯人が近づく。これに気付いたキャレラがテディのもとに向かう。
本命の被害者をカモフラージュし、警察