エドマクベインのレビュー一覧
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ネタバレ再読。★3
ハル・ウィリスと恋人マリリンが過去の因縁に悩まされる事件と、神父が刺殺された事件が並行して描かれる。
前回読んだ時は全体を覆う暗鬱な雰囲気と凄惨さにのまれて★5をつけたのだったが、今回はそこまでの刺激を受けなかった。
特に悪魔崇拝の人らに関しては「くだらないことやってんなーどうぞご勝手に」といった感じで、熱を持てず流し読みに。
昔は悪魔崇拝という響きだけで興味を持って読めたんだろうが、やってることは雰囲気づくりをちょっと凝った乱交パーティと変わらなく思える。遊びでやってるんじゃないというようなことを代表が言ってたので、より具体的な心理や背景があれば楽しめたかもしれない。
結局悪 -
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バート・クリングの恋人であり、これまでも物語の中で仲むつまじい様子を見せてくれた、クレアの死。
クリングとのデートの前に立ち寄った本屋にて、一人の男による銃乱射事件に遭遇してしまったクレアは、命を落としてしまいます。
犯人は誰なのか。そして犯人の目的は…。仲間であるクリングの恋人を襲った悲劇ということで、スティーブ・キャレラはじめ87分署の刑事たちは、躍起になって事件の捜査に向かいます。
なかなか掴めない事件の全貌を暴くべく、復讐の念に駆られながらも根気強く立ち向かう刑事たちの姿に、87分署という彼らの繋がりが見えたように思います。
恋人を失い、失意の底に沈むクリングの姿を見ていると、クレ -
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マクベイン『87分署シリーズ』。
ある酒屋で殺害された1人の女性アニイ・ブーンは貞淑な妻であり、優しい母親であり、ある人にはインテリに映り、ある人には酒飲みの情婦に映った。様々な顔を持つ彼女を殺したのは、一体…。
原題『Killer's choice』とあるように、アニイの持つどの顔が犯人の殺意を引き起こしたのかが本作の重大な争点となります。
87分署のお馴染みの刑事が聞き込みを経て被害者アニイの様々な顔を掴んでいく様子は、心地よいテンポと飽きさせない展開によって描写されています。
ページを繰る手もスムーズに進み、具体的な描写も映画を観ているかのような気分にさせてくれるのです。
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マクベイン『87分署シリーズ』の5作目。ある一人の麻薬常習者の少年の死から凶悪な犯罪の全貌を暴き出す、私にとってはこれまでのシリーズ5作品の中で、『通り魔』に続いて好きな作品となりました。
本作の醍醐味の一つに、『他殺を知らせる為の自殺偽装』というものがあります。
縊死自殺に見せかけられた少年の死因は、ヘロインの過剰摂取によるものでした。
縊死に見せかけようとしなければ事故死とも捉えられたであろうに、なぜ犯人はわざわざ自殺に見せかけようとしたのか。
自殺を偽装することで、かえって他殺を疑われることに気づいていながら、なぜ手間のかかることを実行したのか。
ここに潜む悪意に満ちた野望の正体と -
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『87分署シリーズ』三作目は、拮抗するギャング三勢力の抗争を描いたハードなストーリーで、前作の『通り魔』からは13年の月日が流れています。
物語の始め、キャレラとクリングが登場する際に13年という時間が経過していることが記述されているのですが…ここで、私たちは驚愕の事実を知ることになります。
あのクレア・タウンゼントが、すでにこの世を去っているという悲しい知らせを、こんなにも冒頭で打ち明けられるとは。
かくして、脳天への強烈な一撃を与えられたような始まり方をする本書には、もう一つ新たな手法が用いられています。
それは、時系列的に進行する物語の大筋に、ギャングのボスの供述がことわりもな -
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マクベイン『87分署シリーズ』の第一作目を飾る『警官嫌い』。本書が、警察小説のはしりとも言える作品のようです。
巻頭の注釈…『この小説に現れる都会は架空のものである。登場人物も場所もすべて虚構である。』といったものは、よく目にするものですが。
---ただし警察活動は実際の捜査方法に基づいている。
この一文には、なかなかお目にかかれないでしょう。
舞台となる87分署管轄の街や行き交う人々は勿論のこと、登場する警官たちの『バッジを外した』後の生活ぶりまで。読み始めて間もなく、精巧な描写と美しい筆致に、魅了されました。
必要以上の情景描写を取り入れる小説には飽き飽きすることが多々あるのですが -
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翻訳者の田中小実昌は、今から85年前の1925年4月29日に東京で生まれて10年前の2000年に74歳で亡くなった小説家・エッセイスト、そしてミステリー翻訳家。
一応、直木三十五賞作家でもありますが、そんなことなどまったく知らなくて、または、その存在すら全然知らなくとも、早川書房のポケミスや文庫を中心に、本書のエド・マクベインをはじめとして『死体置場は花ざかり』のカーター・ブラウンや『死の第三ラウンド』のウィリアム・アイリッシュ、そして『銃弾の日』のミッキー・スピレインや『猫は夜中に散歩する』のA・A・フェア、それに『血の収穫』のダシール・ハメットや『湖中の女』のレイモンド・チャンドラー、さ -
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警察小説の原点とも言うべき〈87分署シリーズ〉
その中でちょっと異彩を放つ『キングの身代金』は、先日一気見したwowow連続ドラマに出てきて、ちょっと興味を持って読んでみた。
しかも新訳は堂場瞬一
たまたま間違えて誘拐したものを強引に身代金要求すると言う設定は、なかなかのもの(もともと誘拐は成功しにくい犯罪)
これで誘拐が成り立つとすれば、それから誘拐犯は誰でもいいから子供を誘拐して、適当な金持ちか企業に「身代金を払え」って言えばいい。
あ!イスラエルでハマスが行った大量誘拐は「金払え」では無いがこの方式だ。
タカ派のイスラエルのネタニヤフ首相は「テロに屈しない」と言って戦争を始めた。
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『死んだ耳の男 87分署シリーズ(原題:Let's Hear It for the Deaf Man)』を読みました。
『ショットガン 87分署シリーズ』、『サディーが死んだとき 87分署シリーズ』に続き、エド・マクベインの作品です。
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刑事部屋の平和を破る一本の電話――「わたしは帰ってきたよ」予告電話を皮切りに次々と舞い込む意味不明の写真。
フーヴァー元FBI長官の写真が二枚、つづいてジョージ・ワシントン……奴の狙いは?
奇妙なギャラリーを前に刑事たちも頭を絞る。
天才犯罪者デフ・マン -
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『人形とキャレラ 87分署シリーズ(原題:Doll)』を読みました。
『死が二人を 87分署シリーズ』、『キングの身代金 87分署シリーズ』に続き、エド・マクベインの作品です。
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壁づたいに逃げまどう人気ファッション・モデルに、包丁を持つ男は獣のごとく襲いかかった。
腹がたてにひき裂かれ、鮮血が床に飛び散った。隣室では、娘のアンナが恐怖におびえ、必死に人形を抱きしめている……犯人を追いつめたキャレラが罠に落ち、刑事部屋はにわかに色めきたったが……!
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『死が二人を 87分署シリーズ(原題:'Til Death)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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警察に日曜日はない。
その日もキャレラは妹の花婿となるトミイの電話でたたき起された。
出掛けていった彼がトミイの自宅で見たものは、なんと小箱にうずくまる猛毒の黒後家蜘蛛だった!
晴れの結婚式の当日に次々と起る忌わしい事件をセミドキュメンタルなタッチで描くシリーズの逸品。
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1959年(昭和34年)に刊行された、 -
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アメリカの作家エド・マクベインの長篇ミステリ作品『通り魔 87分署シリーズ(原題:The Mugger)』を読みました。
『警官嫌い 87分署シリーズ』に続き、エド・マクベインの作品です。
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通り魔はマントのように漆黒の闇を身にまとい、路地の暗がりに立っていた。
闇は男の親友、そして獲物は女だった。
が、この通り魔は変わっていた。女を襲ったあと被害者にこう言うのだ。
「クリフォードはお礼をもうします、マダム」捜査を開始した87分署の刑事たちを嘲笑うかのように不可解な通り魔は犯行を重ね、やがて事件は殺人へと発展した!
大都会の犯罪を追う警官たちの -
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▼黒澤明の「天国と地獄」の原作本としてあまりにも有名な一冊。「87分署シリーズ」の中では異色作らしいですね。
▼努力してたたき上げてきた苦労人。いまや会社の経営者=大富豪がいます。大富豪なんだけど実は会社の実権をめぐって食うか食われるかのせめぎあいの真っ最中。
一方で。それなりに努力はしてきたが恵まれず貧しいままの犯罪者がいて、人生の一発逆転を目指しています。そしてこの大富豪の息子を、身代金目当てで誘拐します。ただ、ミスってしまいます。間違えて「大富豪の運転手の息子」を誘拐してしまった。がーん・・・。
▼だけど・・・「それでも……それでも!……大富豪さん、身代金を払え。運転手の子供だから