エドマクベインのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昔、87分署シリーズにはまってたけど
なぜか有名なこれを読んでいなかった。
それがなんと、ご自身も警察小説の作者である
堂場瞬一の新訳で登場とは!
ありがたいです。
物語はシンプルな誘拐劇で
大企業幹部の息子と間違えられて
その幹部の運転手の息子が誘拐された。
幹部は企業買収の瀬戸際にあり
そのために用意した金を
誘拐犯に払うかどうかが描かれる。
また、誘拐犯視点の章もあり
そちらは、身代金受け取りの計画と
微妙な仲間割れ、誘拐された少年の姿を描く。
思ったより87分署の連中動かないなぁと思ったら
舞台劇を想定していたのですね。
でも、やっぱりもっと群像劇なのも読みたい。
この本をきっかけに、また復刊して欲しいです。 -
Posted by ブクログ
「翳りゆく夏」に登場した作品ということで読んでみた。
ある製靴会社の重役であるダグラス・キングの息子を誘拐して身代金をせしめようとしたケチな悪党二人組。ずさんな計画のなせる技か,間違えてキング家の運転手の息子を誘拐してしまう。しかし間違いに気づいて諦めるどころか,あくまでもキングに身代金の支払いを求める犯人。キングは会社経営の主導権争いの渦中にあり必要な株式を手に入れるために全財産をかけており,運転手の息子のために支払える余分な資金がなく,支払いを拒絶する意向を示している。しかし幼い子供を見殺しにしたとあってはキング氏の個人的な評判も会社の評判も地に落ちる。果たして事件はどのような結末を迎えるのか。
犯人が頭の良くないやくざ者だったり,人違いを誘拐したりという雑さのせいで今ひとつ犯罪捜査モノとしての緊迫感に欠けるし,時代背景もあって警察の捜査手法も原始的であって,今どきの小説を読み慣れている者にとっては物足りないとしか言いようがない。更にもう一つの筋であった会社の経営権争いについてが全くの尻切れトンボで終わっているのも詰まらない。誰を誘拐しても身代金請求はできるという思い付き以外に特筆すべき点があるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
息子を返してほしければ、50万ドル用意しろ。若い男二人組が犯罪を実行に移す。大手靴製造会社重役キングの自宅から少年を連れ去り、脅迫電話を入れた。事は順調に運んだ。ただひとつ、最低最悪のミスは別として。誘拐したはずのキングの長男ボビーは、まだ家族のもとにいた。間抜けにもキング邸に同居する運転手レナーズの息子ジェフを誘拐したのだった。ボビーとジェフは、同い年で背格好も似通っていた。誘拐犯エディとサイは隠れ家に戻り、計画の続行を決めるが、エディの妻キャシーは二人の非道ぶりに逆上した。一方、キングは葛藤していた。カネならあった。この事件が起きる前から、キングに造反する幹部らの先手を取り、会社の株を密かに買い占めていた。まもなく実権を握る。そのための軍資金だった。単なる使用人の子の命を救うために、己の人生を棒に振っていいのか。夫の無慈悲な言動を妻ディエンは激しく非難した。繰り返される修羅場。身代金受け渡しの時は、すぐそこまで迫っていた。
1959年発表の87分署シリーズ第10弾。警察小説の書き手として腕の見せ所となる誘拐事件を初めて扱い、本作に賭けるマクベインの気合いが伝わってくる。今回は、馴染みの刑事らは脇役に回り、誘拐犯と被害者家族の緊迫感溢れる交渉をメインに描いている。特にエゴイズムの塊であるキングの造形が深く、追い詰められていく男の焦燥がリアルだ。極限状態で様々な選択を強いられる者たちを冷徹に突き離すことなく、事件解決の鍵に〝ヒューマニズム〟を堂々と用いる流れも巧い。重いテーマでありながら、苦いペーソスと軽妙なユーモアを織り交ぜていく筆力は流石だ。そして、読み手を静かな感動へと導く見事な〝締め〟には、マクベインの人情味/優しさが溢れている。 -
Posted by ブクログ
1959年発表の「87分署シリーズ」第9作目で、スティーヴ・キャレラの妹が結婚する一日に巻き起こる騒動を描いた番外編的な一編。他の作品に比べて舞台設定や登場人物は限定されているが、その分ストーリーは淀みなく快調で、マクベインの技倆を存分に堪能できる一作となっている。
結婚式当日に届いた義弟への脅迫文に端を発する物語は、隣人の不可解な殺人事件を絡めつつ、ドタバタの様相を呈していくのだが、読者のつぼを押さえた起伏をしっかりと盛り込み、無理のない展開でまとめ上げている。招待客でもある刑事らは、華やかで賑やかな現場で混乱しつつも、プロとしての能力を発揮。事件の発生から解決までがリアルタイムで進行する中、個性溢れる登場人物が奔走するさまはスピード感に満ちている。
肉体派のコットン・ホースが〝最強の女〟に出し抜かれるなどエピソードも豊かで、ファンにとって本作が印象深い作品となるのは、この日にキャレラの愛妻テディが双子を産むことだろう。刑事達が繰り広げる喜怒哀楽のドラマが、いつのまにか我が身のことのように感じられること。この共感の度合いが高いのは、マクベイン熟練の腕あってこそである。