あらすじ
脅迫電話に悩む女優が通り魔に襲われる。その状況は、彼女が主演する新作ミステリ劇とそっくりだった。舞台はマスコミの注目を集めたが、翌日、彼女は自宅で惨殺体となって発見される。キャレラとクリングは劇団関係者に的を絞って捜査を開始するが……愛憎渦巻く演劇界の殺人を描いた会心作
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ミッシェル・キャシディという女優が、脅迫されていると言って87分署を訪れた。彼女が主役として出演する芝居「ロマンス」には、まさに女優が刺されたり、刑事が尋問する場面まである。しかし脚本家、演出家、俳優たちの不協和音で、公開前から先行きが危ぶまれていた。そして実際にキャシディが切りつけられる事件が発生し、キャレラとクリングは捜査を開始する。
クリングは捜査の傍ら、前作で知り合った市警の医師、シャーリン・クックに接近する。年上で黒人のクックは、白人のクリングに惹かれつつも、なかなか心を許さない。クリングの想いは届くのか。
この巻は「ロマンス」という劇を巡って起こる事件と、クリングのロマンスを軸に展開する。興行に関わる人々の、それぞれの思惑、一つの劇が作られてゆくまでの舞台裏が興味深い。また、人種問題によって社会が統合ではなく分断に向かいつつあることへの危惧が、もう一つの背景となっている。