羽生飛鳥のレビュー一覧

  • 賊徒、暁に千里を奔る

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    鎌倉時代、かつて名うての盗賊であった小殿は穏やかな隠居生活を送っていた。そこに訪れる様々な人たちに小殿が語るかつての悪行と、それにまつわる不可解な謎解き。読みやすくしかし読みごたえもある連作歴史ミステリです。
    謎解きの魅力はもちろん、小殿の話を聞きに来る歴史的有名人たちのキャラクターも面白いです。特に上皇さまのお茶目さがツボでした。そして「明けの明星」もまたきっと有名な誰かなのだろう、と思っていたら……!
    お気に入りは「?倒」。かつて救われた少女に恩を返すため、正倉院に盗みに入った小殿。そこで出くわした殺人事件の謎を描いた本作ですが、しかしその後明かされた別の謎が何とも切なくて印象的でした。

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    2025年02月15日
  • 賊徒、暁に千里を奔る

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    鎌倉時代の大泥棒.小殿が、若き頃の犯罪を後悔し検非違使別当に許され、好好爺となりかつての悪行の話を貴族や仏師、上皇にまで語る物語。

    元盗賊小殿の様々な悪行の顛末を面白がり、推理を伴った話にしてそれらを集まった人々が解き明かしていくが…。
    今が後悔して正しい人間になっているから、過去の悪事を肯定してしまう、そんなおかしな状況なのだが、殺人も含まれた悪事に正当性まで与えてしまう話の運びが面白い。
    時代の正義側にいる人々と悪事に染まりきった大盗賊の対話の妙味は、これまで読んだ事のない世界を見せられ面白く斬新な時代小説だった。

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    2024年12月11日
  • 揺籃の都

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    京から福原へ遷都を強行した時期の平清盛邸で起きた怪事件。平家にとって不吉な夢を見たと喧伝していた青侍が逃げ込んだはずの清盛邸から姿を消し、翌日雪の中屍で発見される。同日清盛の寝所から平家を守護する小長刀が消え、物の怪騒ぎが起き、更に事件が続く。源頼朝との内通を疑われる四面楚歌の状態で平頼盛は全ての事件の謎に挑む。清盛の息子の宗盛・知盛・重衡三兄弟との推理対決が面白いし、この時代背景を活かしたトリックも秀逸。読み返せばちゃんと提示してあるし。平安貴族の生活事情もしっかり語られていて興味深い。寝殿造りの構造が良く判らなかったのでネットで調べながら読み進めた。ネット万歳。最後の清盛vs頼盛のタイトル

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    2023年06月23日
  • 揺籃の都

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    前に読んだ「蝶として死す」がよかったので読んでみた。
    今作も本格ミステリとして上質で満足度の高い読書ができた。歴史にくわしくなくても楽しめるように書かれていてありがたい。(ただあまりに知識がなさすぎて建物の構造を頭でイメージできなかったのが心残り)

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    2023年05月29日
  • 本格王2021

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    方丈さんが好きで方丈さん目当てで買った。
    アミュレットホテル、とても楽しく読めて好き。

    他にも初読みの作家さんが多く、楽しく読め気になる作家さんが増えた。

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    2023年04月30日
  • 揺籃の都

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    福原遷都後。平頼盛は、異母兄・清盛から人探しの命を受ける。忽然と消えた清盛の刀、足跡の無い雪上のバラバラ死体、封印された部屋の中で吊るされた巫女、夜空を飛ぶ化け鳥。様々な事件が発生。清盛や、彼の息子達からいびられながらの頼盛の推理にハラハラ。ラストの清盛との腹の探り合いまで、前作を超える読み応えある長編だった。

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    2023年02月24日
  • 揺籃の都

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    平清盛邸で起きた盗難、殺人事件を異母弟の平頼盛が解く本格ミステリ

    隙あらば頼盛を追い落とそうとする清盛と息子三人を相手に、薄氷を踏む心地ながら巧みに切り抜け、見事な推論を展開してゆく読み応えのある作品です

    建物の造作、邸内の様子が細かく描かれ、興味深く拝読しました

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    2022年11月20日
  • 揺籃の都

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    ネタバレ

    まさかの第二巻。大歓喜。

    【子供が被害に遭います 苦手な方はご注意を!】

    長編です。
    舞台は清盛が福原(神戸)に無理矢理遷都したところから始まります。

    平氏と源氏の戦いが始まった直後で、平家への求心力が試されるなか、「平家は天下人としてふさわしくないので、伝家の宝刀は神が取り返しにやってくる」という夢を見た若い侍はそれを言いふらします。
    侍に激怒した清盛は頼盛に身柄を捉えるように命じます。
    ギリギリまで追い詰めるも、逃げ込まれたのはなんと清盛の屋敷で…というお話。

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    平安時代の慣習が大きなネックになってる今回の作品。
    安定の面白さでした。

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    2022年09月25日
  • 蝶として死す

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    室町時代を舞台に、
    平清盛の異母弟、平頼盛を主人公に紡がれる
    ミステリー短編集。

    清盛の生前は蛹期。
    あまり推理にもキレがなく、読み味はイマイチ。

    清盛の死後は蝶期。
    思考が羽ばたき、果てまでを見通す。

    1冊としては後半にしっかり上がっていく構成になっていて、十全の仕上がり。

    結局清盛には一矢も報いていないように見えてしまって、そこは消化不良の感も。

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    2025年09月24日
  • 揺籃の都

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    ミステリとしての謎解きから浮かぶある人間の権力に対する妄執。なかなかいい。

    3013冊
    今年241冊目

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    2025年09月16日
  • 本格王2021

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    ミステリが読みたーい!でも最近の作家さん知らなーい!となってる方におすすめなシリーズ。本格ミステリ作家クラブが選んだ、その年の本格ミステリ短編が収録されています。澤村伊智さんの「笛を吹く家」と方丈貴恵さんの「アミュレット・ホテル」が好みでした!

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    2025年06月22日
  • 賊徒、暁に千里を奔る

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    ネタバレ

    面白かったね~父の所領を叔父に奪われ石清水八幡宮の稚児となり仇を討ち、都で小殿と呼ばれる盗賊となり、真珠を盗って博多で売り払って海賊となり、東国で追い剥ぎを働き、都に帰って自首して許され、盗賊時代の話をして上皇とも知り合う~暁の明星が実朝を殺害した公卿だったというオチです

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    2025年04月24日
  • 『吾妻鏡』にみる ここがヘンだよ! 鎌倉武士

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    吾妻鏡を現代的に解釈すると異人や超人が多かったという歴史ツッコミ本。源実朝は木造の彫刻を拝見した事があるが父親と似ている。という事は本書で触れられていふ気質も頷ける。
    鎌倉武士達があそこまで超人的武力を持っていたかは不明だが殺伐としていたのは確かで本書には無いが源頼朝は盗みを働いた子どもの両腕を切り落とさせている。そんな修羅の世界を生きているので当らずといえども遠からずといったところでは無いだろうか。

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    2025年02月17日
  • 賊徒、暁に千里を奔る

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    舞台は歴史小説には珍しく鎌倉初期。鎌倉殿と言われた頼朝のむすめ大姫が登場したりする。
    年老いた天下の大泥棒が昔語りを所望され語る相手はいずれも時代を代表する大物たち。その語りには謎が仕掛けられており、語り手の元大泥棒がみずから種明かしをしていく。いろいろな趣向があってなかなか楽しかったが一番の驚きは最後の1行だった。

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    2025年02月06日
  • 賊徒、暁に千里を奔る

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    鎌倉時代、暗躍した盗賊が過去の盗みの話をする。客は橘成季、慈円、運慶、後鳥羽上皇ら。

    面白かった。高価な真珠を盗んだり、正倉院に忍び込んだり、瀬戸内海で海賊に襲われたり、まさに波乱万丈。

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    2025年01月12日
  • 歌人探偵定家 百人一首推理抄

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    頼盛さんは物静かだったけどずいぶん騒がしい主人公来たな。
    そして初めてあとがきがあったので思わず先に読んでしまった。暴力はいけません定家さん。

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    2024年11月15日
  • 蝶として死す

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    テレビで紹介されていて、手に取りました。
    時代物のミステリーは初でしたが、
    ロジカルに進んでいくので、
    思い描きやすい描写だと感じました。
    言い回しが少し難しいのでとっつきにくいかも。
    面白かったです。

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    2024年10月04日
  • 歌人探偵定家 百人一首推理抄

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    鎌倉時代ならではの登場人物、トリックが面白かった。最後にちょっとした読者騙しの種明かしがあり、してやられた感がありました。全く気付かなかった。続編が出ることを期待してます。

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    2024年09月09日
  • 歌人探偵定家 百人一首推理抄

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    前作の主人公の息子・平保盛と藤原定家が謎解きをする。どの事件も和歌が関連しているので定家の力の見せ所。和歌は知っていてもその意味合いは薄っぺらにしか知らなかったから、事件との関連や定家の蘊蓄でとても造詣が深い内容になっている。
    樋洗童(ひすましのわらわ)なるものの存在(貴人のしもの世話をする)を初めて知りました。定家の為人はかなりエキセントリックだがそこも面白さのひとつ。保盛が亡き父を偲ぶ場面が多々あり、前作を思い出してしんみりする。蝶の模様の狩衣着てるところでは胸が熱くなりました。

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    2024年08月31日
  • 歌人探偵定家 百人一首推理抄

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    ミステリーを久しぶりに読みましたが、読みやすかったです。時代考証もきっちりされていて、勉強になることも多い一冊でした。発想が面白く、ワクワクしてページを捲ることができました。

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    2024年07月08日