羽生飛鳥のレビュー一覧
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(Ⅰ)平家物語をある程度知っている方がキャラや、この物語の歴史上での位置づけがイメージしやすく、より楽しめるとは思うけど、まったく知らなくてもたぶん大丈夫。ミステリとしてもかなり凝ってます。個人的にはここ数年、たまたま平家物語関係に親しく接していたのでよかったです。(Ⅱ)前巻で完結かと思われたけど年代を遡って今回も頼盛が探偵役でかつ長編。清盛の息子たち宗盛、知盛、重衡らも活躍(捜査妨害?)。ほとんどが福原にある清盛屋敷でのできごと。化鳥。小長刀盗難。青侍殺害。神の顕現。厳島神社の小内侍襲撃。猿の福丸殺害。単独犯なのか? 犯人の目的は?(Ⅲ)選択は悪くなかったのに方法が清盛らしからぬ杜撰さで、以
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「蝶として死す」から11年、福原遷都と富士川の戦い大敗で揺れ動く清盛一門で起きた事件に異母弟・頼盛が再び挑む。
平家一門にとって不吉と思われる夢を見た青侍(身分が低い若侍)が逃亡、清盛から捕縛を命じられた頼盛。家人の報告で青侍が清盛邸に逃げ込んだことを知り、清盛に邸内探索の許可を得ようと乗り込むが、何故か清盛に碁を誘われたり清盛の息子たちによる富士川の戦い大敗の報告などで探索が出来ない。
吹雪により清盛邸に泊まり込んだ一同だが、その翌朝、清盛の枕元にあった小長刀が消え、さらに青侍が塀の外でバラバラ遺体となって発見される。
本を開くといきなり清盛邸の見取り図があり、わくわくする。
バラバラ遺 -
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まず、読みはじめの感想は、「一見さんお断り」の本。
「『女人』太平記」のタイトル通り、太平記を楽しんでる人がサイドストーリーとして読む本なのかな、と。
最初の方で登場人物がざざっと出てきて、文章でざっくり生まれや立ち位置など紹介(?)されるのだけれど、どの天皇が南北どちらで、誰が南北どちら側だっけ??みたいな私には、頭で整理をしようとするだけで、、、読みすすめる気が損なわれる。
人物紹介と系図くらいつけてくれてたらいいのに、と思う。(これって、常識の範囲なの??うーん、厳しい)
読み仮名も登場2回目以降はほぼふられておらず、この人、なんて読むんだっけ??と、かなりストレス。
それにめげずに -
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平清盛の異母弟・平頼盛、歌人・藤原定家を探偵役として謎解きに挑む形式の作品が楽しくて読んできた作家さんだが、今回は趣向を変えて、足利兄弟を西園寺名子から見つめた歴史ものとなっている。
太平記は大河ドラマでも視聴したし、足利兄弟の話はいくつか小説でも読んだが、やはり足利尊氏という人間は掴みどころがない印象。
この作品での後醍醐天皇はまったく良いところなしといった感じで、周囲を振り回すだけ振り回したうえに、亡くなったあともまだ多くの人たちの人生に影響している。
今回初めて西園寺家について知ったのは収穫。
摂関家に次ぐ『清華家』という格の高い家柄であり、それだけに権力争いに深く関わり、特にこの作 -
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コバルト文庫やティーンズハートが大好きな文学少女だった私が、苦手だったものがあります。
作家の自分語り強めなあとがき
これがもう心の底から苦手だった。今で言う共感性羞恥に近いのかな。とにかく、自分の作り出したキャラクターを「作品外でいじり倒す」言動が耐えられなかった。
「作者が作品を語り終えた瞬間に、そのキャラを使って二次創作するな」
っていうのが、後になって二次創作を多少齧った私が行き着いた結論でした。本編がシリアスだとその虚しさもひとしおでしたね〜。
で、なんで突然こんな自分語りを始めたかと言うと、本作のダブル主人公の1人である藤原定家。彼のヒートアップした時の言動にね、そのあ -
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恐る恐る読み始めたのだが、なかなか面白かった。定家を探偵役に和歌が絡んだミステリというのはケレン味があり、思いつきそうでなかなか思いつかない、思いついてもなかなか書けない設定だと思う。作者に拍手である。
個人的には、当時の生活に対する蘊蓄がとても興味深かった。しっかり調べてあるし、それがうまく物語に溶け込んでいて感心した。和歌が絡むということについては、作品によってばらつきがある感じがしたが、連作を最後まで読んで「なるほど」と思わせてくれたのはよかった。それでも、和歌についてはもうひとつ掘り下げてほしいような気持ちもあった。なんといっても定家を出してくるくらいなのだから、もっとびっくりさせ -
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最近お気に入りの作家さんの新刊。
これまで平清盛の異母弟・平頼盛、歌人・藤原定家を探偵役として謎解きに挑む形式の作品が続いてきたが、今回は趣向を変えてある。
主人公はかつて伝説の盗賊・小殿(ことの)と呼ばれ、今は検非違使の奉公人となった老人。
彼が盗賊時代のエピソードを客人である橘成季、明けの明星と呼ばれる訳ありの若き僧侶らに語りながら、謎かけをする。
貴族の家から身体検査を潜り抜けいかにして真珠を盗み出したのか。
刃物を持たぬ悪僧が、どうやって仲間の僧の喉を切り裂いたのか。
船の中で次々仲間たちを殺していくのは敵対する海賊なのか、それとも船の中にいる仲間の誰かなのか。
書庫に閉じ込められ -
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平清盛の異母弟・池大納言・頼盛を主人公としたミステリー・タッチの歴史小説は実にユニーク。平清盛の配下の若者の殺しの背景、高倉天皇の愛娼の死、源義仲の依頼による斉藤実盛の屍体の分別、源頼朝の娘・大姫の謎の行動の真相、北条時政の依頼による清盛の曾孫・六代の行方探索などの事件・課題に取り組んでいく。頼盛が名探偵としての活躍をするという物語は楽しく読めたが、どこまでが事実なのか?平家一門きっての知恵者は兄・平清盛から疎まれて、一門を裏切ったという前提そのものが、そうなのか?高倉天皇、義仲、頼朝、時政との会話の場面が実際にあったのだろうか?小説としては面白かった。