島崎藤村のレビュー一覧

  • 破戒(新潮文庫)

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    まず述べておきたいのは、本作は解説を含めて読むことで当時の時代背景や差別の実態を把握しなければ、真に理解することはできないという点である。
    本作は被差別部落出身者である主人公が素性を隠して教員として勤務するが、尊敬する同じ被差別部落出身の思想家の横死を経て、父から与えられた素性を明らかにするなという戒めを破るまでの葛藤を描いた物語である。
    解説にも指摘されているように、本作は藤村の差別意識が無意識に表出している部分もあり、また結末も差別からのある種の逃避になっているため、社会派的小説としては極めて不完全ではあるものの、逆にそのこと事態が思想的な理想を描いた空虚な小説ではなく、ヒューマンドラマと

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    2024年05月13日
  • 破戒(新潮文庫)

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    ほぼ裏表紙の説明通りではあったが、穢多であることを隠しながら生活していた丑松に関する物語。
    新平民という言葉はあれだ、実態はまたまだ差別が当たり前のように存在した日本が描かれており、当時の状況が垣間見える作品。
    文章自体は現代のものに慣れていると読みにくさはあるし、いろいろ保管しながらでないと理解が難しいところもあるが、ゆっくり時間をかけてでも読んでおきたい作品だと感じた。
    先日読んだ蟹工船と合わせ、日本の歴史を学びたいと感じる一冊。

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    2024年05月10日
  • 破戒(新潮文庫)

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    ★★★★ 何度も読みたい

    これは地元から離れ、普通の生活を手に入れた穢多の青年が、たった一人で抱えた自身の出自の秘密に苦しむ話である。
    主人公瀬川丑松は部落出身であり、その身分を隠して教員として生計を立てていた。彼は堂々と己の出自を明らかにして活動する、部落出身の猪子蓮太郎を慕っているが、如何なる時も誰に対しても家系の秘密を隠し通せと言う父の言葉や恐れがあり、蓮太郎にすらも自分の秘密を伝えられていなかった。なぜなら彼は自分が穢多であるという事実が知られれば、今の生活は到底続けられないと知っていたから。

    部落差別という、現代では表立って騒がれなくなった問題だったが、写実的な描写や何気なく穢多

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    2024年04月23日
  • 夜明け前 第一部(上)(新潮文庫)

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    幕末を市井の人が見たらどう映るのか。中山道馬籠、妻籠は鄙の宿場町だが、時代の波に洗われる。文体もシチュエーションも面白い。下巻が楽しみだ。

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    2024年02月07日
  • ふるさと・野菊の墓

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    ネタバレ

    野菊の墓
    恋の卵がよかった。手紙をもって亡くなった民子。残念だな。

    忘れえぬ人
    忘れがたい人を宿で同じになった人と話す。後年振り返り、その相手は忘れて宿の亭主が忘れ得ぬ人になった。オチに笑った。

    鹿狩
    大きな鹿狩ってみたい。目の前に迫ってくる鹿ドキドキ感がよかった。寝ていていきなり近くで発砲のあったおじさん、( ゚Д゚)しただろうな。

    伸び支度
    男親の悲しさ。少女の心変わりが鮮烈に印象に残った。

    ふるさと
    昔の風習が面白かった。昔はなんでも自分たちで作っていたが、みんなの共同作業の賜物だったんだなと思った。

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    2023年12月19日
  • 破戒

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    穢多の差別をテーマにしているわりに、「信州の女は皆気丈だ」みたいな文章を平気で書く。ポジティブなバイアスは問題視されない時代

    この時代に現代でも通用するようなプロットが書けるのすげぇなって思った

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    2024年06月11日
  • 破戒(新潮文庫)

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    初めの方はよくわからなかったが、お父さんが死ぬところあたりからだんだんわかるようになった。
    獣医として牛が屠殺される情景があるのがよかった。
    感想としてはこれで終わり!?という感じ。ハッピーエンドの続きが読みたい。

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    2023年11月09日
  • 破戒(新潮文庫)

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    日が落ちる、野は風が強く吹く、林は鳴る、武蔵野は暮れんとする、寒さが身に沁しむ、その時は路をいそぎたまえ、顧みて思わず新月が枯林の梢の横に寒い光を放っているのを見る▼武蔵野を散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない。どの路でも見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある。国木田独歩『武蔵野』1901

    長野県で部落出身を隠して生きる教師の葛藤。出自を明かし、新天地の東京、テキサスに旅立つ。島崎藤村『破戒』1906

    弟子の若い女の子を好きになるが、気持ちを打ち明けられない。女の子は去り、女の子の使っていた蒲団に顔をうずめて鳴く▼夫の苦悶煩悶には全く風馬牛で、子供さえ満足に育てればいいという自分

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    2025年02月04日
  • 夜明け前 第一部(上)(新潮文庫)

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    木曽路の妻籠を舞台にした江戸末期の歴史を考えさせられる一冊であった。当時の人には黒船が来航した時の恐怖、生麦事件が起きたときの動揺はどれほどのものだったろうか。ペリー来航、平田篤胤、牛方事件、ハリス、井伊大老、尊王攘夷、参勤交代等庶民目線で考えてみたい。

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    2022年10月08日
  • 春(新潮文庫)

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    「青木」として出てくるのが北村透谷をモデルにしていると言われています。この小説で北村透谷を知りました。

    この作品の内容の感想はなんとも言いがたいのですが、学生時代に読んでも、社会人になってから読んでも、なかなか理解度が高まりません。でも、なぜか文章は読みやすく最後まで読みきることができます。それだけ、島崎藤村の文章は美しいのだろうと思います。また、タイトル「春」とつけたのが難しく感じます。どうしてこのタイトルなのか。作品からは春は訪れていないように思います。春が訪れるように祈ってなのか、それとも「青春」の青を取ったのか・・・。機会を見つけてもう一度考え直したいと思います。しかしながら、この作

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    2022年09月30日
  • 破戒

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     なんという苦悩だろうか。自分では選べない出自によって、人並みの生活が送れないほどの差別を必然的に受けることになるとは。

     主人公は瀬川丑松、24歳、信州で小学校教師をしています。父親から「隠せ」と厳しく戒められてきたとおり、自分が被差別部落出身の穢多であることをひた隠しにしています。

     入院していた病院で穢多であることが広まり追い出され、戻された下宿でも「不浄だ」と罵られ追い出される富豪の大日向や、「我は穢多なり」の一文で始まる『懺悔録』を書いた著述家猪子蓮太郎といった人々を目の当たりにし、丑松は〈同じ人間でありながら、自分らばかりそんなに軽蔑される道理がない、という烈しい意気込を持〉ち

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    2022年09月26日
  • 夜明け前 第二部(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    書き出しがあまりに有名な、幕末から明治にかけての馬籠宿を舞台にした島崎藤村の小説。なんとなく森鷗外「舞姫」のような文体を想像していたので、意外と読みやすくてビックリした。さて、本作の主人公・青山半蔵は、本陣の当主であり、参覲交代や長州征伐などさまざまなできごとを通して、激動の時代を描き出している。幕末を舞台にした小説ではやれ坂本龍馬だのやれ勝海舟だのといった志士たちがとかく主人公になりがちであるから、フィクションとはいえ、こういう田舎のいち宿場町を通してこの時代を見つめるということが非常に新鮮で興味深かった。また、この時代に順応しようとする一方で、昔から信奉する国学に固執し、時代に抗おうともす

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    2022年09月19日
  • 夜明け前 第二部(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    書き出しがあまりに有名な、幕末から明治にかけての馬籠宿を舞台にした島崎藤村の小説。なんとなく森鷗外「舞姫」のような文体を想像していたので、意外と読みやすくてビックリした。さて、本作の主人公・青山半蔵は、本陣の当主であり、参覲交代や長州征伐などさまざまなできごとを通して、激動の時代を描き出している。幕末を舞台にした小説ではやれ坂本龍馬だのやれ勝海舟だのといった志士たちがとかく主人公になりがちであるから、フィクションとはいえ、こういう田舎のいち宿場町を通してこの時代を見つめるということが非常に新鮮で興味深かった。また、この時代に順応しようとする一方で、昔から信奉する国学に固執し、時代に抗おうともす

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    2022年09月19日
  • 夜明け前 第一部(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    書き出しがあまりに有名な、幕末から明治にかけての馬籠宿を舞台にした島崎藤村の小説。なんとなく森鷗外「舞姫」のような文体を想像していたので、意外と読みやすくてビックリした。さて、本作の主人公・青山半蔵は、本陣の当主であり、参覲交代や長州征伐などさまざまなできごとを通して、激動の時代を描き出している。幕末を舞台にした小説ではやれ坂本龍馬だのやれ勝海舟だのといった志士たちがとかく主人公になりがちであるから、フィクションとはいえ、こういう田舎のいち宿場町を通してこの時代を見つめるということが非常に新鮮で興味深かった。また、この時代に順応しようとする一方で、昔から信奉する国学に固執し、時代に抗おうともす

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    2022年09月19日
  • 夜明け前 第一部(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    書き出しがあまりに有名な、幕末から明治にかけての馬籠宿を舞台にした島崎藤村の小説。なんとなく森鷗外「舞姫」のような文体を想像していたので、意外と読みやすくてビックリした。さて、本作の主人公・青山半蔵は、本陣の当主であり、参覲交代や長州征伐などさまざまなできごとを通して、激動の時代を描き出している。幕末を舞台にした小説ではやれ坂本龍馬だのやれ勝海舟だのといった志士たちがとかく主人公になりがちであるから、フィクションとはいえ、こういう田舎のいち宿場町を通してこの時代を見つめるということが非常に新鮮で興味深かった。また、この時代に順応しようとする一方で、昔から信奉する国学に固執し、時代に抗おうともす

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    2022年09月19日
  • 夜明け前 第二部(上)(新潮文庫)

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    幕府の大政奉還後、一気に時代は加速していく。明治政府の誕生や京都東京への遷都。長かった青山半蔵の物語もようやく大きな転換期を迎えることで、ページをめくる手は止まらなくなっていく。半蔵はひたすら人民のためを思い、改革への熱情を募らせて奔走するものの、彼の期待とは裏腹に地元の人間は冷ややかな態度ばかり取り続ける。しかし平田門人として半蔵は希望を捨てようとしない。恐ろしいほど変化していく時代の中で、彼は自らの信念を貫こうとするが…下巻へと物語は続くが、起こりうる悲劇を予感させながら上巻は終わる。
    ようやく、ドラマがドラマらしくなって、読み応えもぐっと増え始めてきた。最終巻である下巻に期待。

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    2022年08月26日
  • 夜明け前 第一部(下)(新潮文庫)

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    上巻はあくまで導入部分に過ぎないように思えたが、下巻で展開は大きく変わる。大胆な改革により馬籠は経済的な危機にさらされ、幕府の長州征伐は失敗に終わってしまう。それまで主人公たちが暮らしていた世界が変貌し、来るべき新たな時代がようやく顔を覗かせた。第二部ではもっと波乱の展開になることを予測しつつ、あくまで主人公は希望を抱き第一部は終わる。時代小説は慣れていないが、当時の人々の心情が生々しく描かれていて(あくまで藤村の空想に過ぎないだろうが…)、物語としても非常に楽しめるようになってきた。

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    2022年08月16日
  • 破戒(まんがで読破)

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    制度と現在の差を感じる本であった。弱者と感じている生まれや身分だからこそ、同胞のために勇敢に世の中に対して叫ぶ必要は必ずしもあるわけではく、そもそもその人自身がどう生きたいかを決められるということをわたしに気が付かせてくれた。

    読みやすさがあり、文庫本もまた内容を少し忘れかけた頃に読みたい

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    2021年12月26日
  • 破戒(まんがで読破)

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    初めて読んだ。差別はなぜ起こるのだろうか。今も色んな形で差別はあるけれど、結局みんな同じ人間。誰かが上で、誰かが下なんてそんな組織だけの話。ある人は幸せで、ある人は生きづらいそんな社会であってはいけない。相手の立場になって考える人が増えれば、差別に加えて誹謗中傷もなくなってみんなが生きやすい社会になるんじゃなかろうか。

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    2021年08月22日
  • 破戒(まんがで読破)

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    【1回目】数点まとめて買ったものの、長らく積んでおいたもの。もしかすると、読んでいたかもしれないが、記録がない。主人公は、部落出身の小学校教員。子どもたちにも慕われる、理想に燃えた青年である。身分を隠し通すことを強く希望していた父が死去すると、自問自答が激しくなる。やがて、彼を心良く思わない教員がその来歴を知ることとなり、父兄たちにも波紋が広がる。未だ克服できていないこの問題を考える際に、必ず参照したい古典的作品で、マンガ化は大成功だったと思う。

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    2021年08月20日