島崎藤村のレビュー一覧
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『夜明け前』に一番最初にとりかかったのは高校生のときでした。その後も何度か読みはじめては途中で投げ出してしまっていたので、今回は少し構えて読み始めたところ、それなりに時間はかかりましたが、たいした抵抗もなく最後まで読めました。なぜ昔は読み通せなかったんだろうと不思議になったくらい。若い頃とは本の読み方も変わってきているのでしょうか。
有名な作品ですが、あらすじを振り返るために、新潮文庫のカバーにある売り文句を引用します。
第一部(上)
山の中にありながら時代の動きを確実に追跡する木曽路、馬籠宿。その本陣・問屋・庄屋をかねる家に生れ国学に心を傾ける青山半蔵は偶然、江戸に旅し、念願の平田 -
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藤村が「詩から散文へ」と、自らの文学スタイルを変えるきっかけとなったエッセイ。
千曲川流域の自然、四季、人々の生活を、スケッチするよう巧みに描写しているため、もし存在するのであれば「写生文」というカテゴリに落ち着く作品である(題名はこれに由来する)。
雪深い長野の原風景と、私が生まれ育った新潟の田舎風景は、そのノスタルジーを共有しているのではと、強く感じる。また私は月に一度、長野県は野辺山にそびえる八ヶ岳で土壌調査を行っているため、八ヶ岳に関する描写には大変共感した。
「すこし裾の見えた八ヶ岳が次第に山骨を顕して来て、終いに紅色の光を帯びた巓(いただき)まで見られる頃は、影が山から山へさして -
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ようやく読み終わりました。 さすがに大作でした。 始めての自然主義で、たっぷり味わいました。 ご馳走様! これは藤村さまの自伝に近いものですね。 二十歳時代な意気張り、惑って渋い日々を続いた歳月の嘆きを、四十代になって初めて落ち着いてゆっくりと語ることになりました。 その語りべは自身ともかく、その敬愛早世な先輩、美しく散っていく恋華、そして異なる旅で平行になった友、自然の流れて生き生きとして読者の目前に再現しました。 殊に青木と名付けた北村透谷氏のことに、どうしても憧れていられなくなりました。 その凛々たる意地、溢れてある才気、そしてとうとう現世に馴染む事をどこまでも拒んで萎れてゆく姿に、思わ
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そもそもタイトルがかっこよすぎる! 「戒めを破る!」
人種差別の話でした。市民平等が唱えられている世の中でも結局残る身分差別。
自分の本当の身分を隠しながら生きていくことを決意する主人公が、結局最後はそんな世の中に対して戦う決意をするお話です。
そもそもそういうことに関わりのないゆとりな僕ですが、実際に自分がこういう状況だったら本当に戦えるだろうか?絶対無理だなと思わずにはいられないからこそ、矛盾を感じながらも自分の身分を必死で隠し通し、安泰に生きようとするこの主人公に感情移入できます。
ですが、この主人公もそうですが、結局頭でわかっていても行動に移していない限りそれはただの机上の空論でし -
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部落差別を受ける青年の葛藤を描いた話題作です。
読み始めるときには、私にとって久しぶりの文学作品だわ、近代小説だわ、と今の時代との差異を味わうのを楽しみに読み始めたのですが、読み進めていくうちに、(この本が書かれた時代には、これはものすごく先鋭的なススンダ小説だったのだなぁ)とその新しさに感じることとなりました。
「〜〜なので。」という文末表現が、どことなく「北の国から」を連想させたりして、とてもとても100年前の作品と思えませんでした。
そして案外、さわやかな読後感なのも好感が持てるなぁ。今まで読まないで来てしまって損をしていたかも。読む機会が得られてよかった。 -
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ネタバレ「穢多」が明確に差別として描かれているのに、明らかに差別でありながら作中全くそれとして描かれていないものが存在する。「女性蔑視」である。
主人公の丑松は穢多という差別階級に置かれながら女性に対して軽薄に見下した描写をする。「女のことだから到底秘密は守れない」などetc。それを差別として意識して発言しているようでもないし作者も意識して描いているとは思えない。丑松の秘密を言いふらすのが高柳や町会議員といった「男」であるのがまた皮肉である。
7人もの子を抱えて生活が苦しいのに定年を待たずして己の身勝手で退職する先輩教師に同情を寄せる丑松。そこには我が子義理の子の面倒を見ながら働いているのに腐されるそ -
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明けましておめでとうございます!
昨年暮れから読み始めて、本日までかかってしまいました。
主人公の丑松は師範学校卒の小学校教諭。子供の頃は何も意識していなかったが、活動家の猪子蓮太郎との交流を通して父の戒めの意味を知り、独り思い悩む日々を送る。その戒めとは穢多に産まれた自分の境遇を隠し通せというもの。
本編の後に当時の差別問題の記述があり、想像を絶するものがあっただろうと思います。
物語の9割は辛く苦しい内容で新年に読むには何度も心折れそうになりました。
猪子蓮太郎の死後、自分の境遇を打ち明けた後、学校はろくでもない校長たちに追い出されるも、最後は同期の土屋銀之助や猪子蓮太郎の妻たち