島崎藤村のレビュー一覧

  • 破戒

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    実は読んだことがなかった作品。

    主人公が先輩と仰ぐ人が高柳に対していう言葉に「あれ?」と思い「なんでテキサスに行くわけ!?」と思ったのだが、解説によるとなるほどそこが本作品の弱点であるのだと。

    とはいえ、「真に近代日本文学史上最高の記念碑」、その通りだと思う。

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    2023年09月11日
  • 破戒

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    ネタバレ

    勝野君なぞは開化した高尚な人間で、猪子先生の方は野蛮な下等な人種だと言うのだね。は丶丶丶丶。僕は今まで、君もあの先生も、同じ人間だとばかり思っていた。

    丑松のこのセリフ。ダイレクトで強烈なメッセージだ。生い立ち、身分、性別、老若、貧富、障害の有無。
    全ての差別(差別意識)が馬鹿らしく思えて来る。
    人としての根幹を問われた気がした。
    そして、この差別社会の中で、ひたすら周囲に出生を隠し、自身までをも欺き通す苦悩。
    丑松自身、清廉であるが故にこの苦しみは耐え難かっただろう。終盤、彼のこぼした涙が胸を抉る様だった。

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    2023年07月01日
  • 夜明け前 第二部下

    購入済み

    日本の未来、新発見

    ついに読み終わりました。
    あらすじを知っているから主人公の破滅がいつかいつかとハラハラしながら読んでいたが、かなり終盤に、それも突然にやってきて、驚きました。
    何かに一所懸命になっても、まわりに評価されずに悶々と過ごすことは、誰にでも経験があること。とはいえ、こんな道しか残されていなかったのか、寂しい読後感です。

    それでもヒトでいる限り、苦労と楽しみは必ずあります。先憂後楽という言葉が身に詰まります。

    #切ない #深い #ドキドキハラハラ

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    2022年08月17日
  • 夜明け前 第二部上

    購入済み

    日本の暗部、再発見

    明治時代になって万民が改革を受け入れていたようにテレビや学校では教えているけれど、やっぱり一般人は易々と受け入れられないよね。
    どんな立派な思想よりも、今の自分の周りの生活がどんなに楽になるか、目に見えて変わらないと信じられない。それがしっかりと描写されている。改革を受け入れる覚悟をした主人公にはかわいそうだけれど。

    #怖い #感動する #タメになる

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    2022年08月17日
  • 夜明け前 第一部下

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    日本の歴史、新発見

    江戸時代は封建制度が厳しくて、権力者による略奪や横暴に民衆が振り回されている印象が強かったけれど、待遇を改善するために上申する描写があって、驚きです。

    江戸時代の文化や智慧の礎があって、今の私たちの生活があることに感謝です。

    #タメになる #感動する #深い

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    2022年07月07日
  • 夜明け前 第一部上

    購入済み

    日本の魅力、再発見

    幕末から近代の歴史を改めて勉強しています。
    過剰に演出された維新の英雄譚よりも、庶民の日常生活が様変わりしていく情景が、鮮やかに表現されています。

    日本の木を守る文化もこうして守られていたのですね。
    感謝。

    #感動する #深い #タメになる

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    2022年07月07日
  • 破戒

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    "部落差別について、その不条理、心情、世間の風、などを知ることのできる小説。文学。
    生まれた場所で、村で差別をしていたこと。脈々と紡いだ歴史の中でそれが積み重ねられ、明治、大正、昭和にかけても名残があったことを知る。"

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    2018年10月28日
  • 夜明け前 第一部下

    ネタバレ 購入済み

    20世紀を代表する歴史小説と言えます。 候文、漢詩、和歌等現代人には判読不慣れな文体が随所に出てきますが、維新前後の日本の状況に関し詳細に書かれた内容は他に例を見ません。 現代歴史作家の著作を読まれる前に是非一読したい名作です。 西郷隆盛、坂本龍馬、新選組等々が単に維新のごく一部でしかないことに気が付くはずです。 島崎藤村は正に文豪です。

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    2018年06月12日
  • 破戒

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    ネタバレ

    ただただ「根が深い」という感覚を覚えた。
    同和問題は西日本で主に語られる、という印象でいたが、舞台は長野である。

    主人公の瀬川丑松が段々と追い詰められる様は読み応えがあった。「川の向こう・・・」という表現が、本当に出てきた表現であり、戦後であれそれは存在した表現であるそうだ。
    そして、彼が独白するシーンの後、生徒が校長室に直談判をしにいく、その様も感動的であった。

    最終的に彼は厄介払いのように扱われてしまう。

    同和問題は今にも尾を引く問題である。大阪符豊中市の森友学園の場所は、関西では公然の秘密のように語られる場所であるそうだ。今後どうなっていくのか。問いかけられている気がした。

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    2018年04月16日
  • 破戒

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    穢多非人に対する日本内での人種差別の物語。日本には人種差別はもはや存在しないと考えたが、滅相もない。空気読むなど、周りの反応に合わせる日本人は実際見た目、内面が異なる人間を精神的に迫害することが今でも行われてるじゃないか!とハッと気付かされた。

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    2015年01月12日
  • 破戒

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    島崎藤村の『破戒』は明治39年(1906)刊行。

    士農工商の封建社会の身分制度が、「解放令」(1871)によって崩壊するかに見えた時代に書かれた作品で、自然主義文学の先駆と呼ばれる。しかし、この法令によってそれまでの身分社会が急速に変わることはなく、主人公の丑松をはじめとした苦しむ人々が登場する。結局、人の中に刷り込まれた差別意識は簡単に変わらない。
    自信が穢多であることを床に顔をつけて告白する丑松。彼が穢多であることと、彼自身の人物性との間に穢多であることがどう関係するというのか。事実、彼は学校では生徒から絶大な人望を寄せられている。銀之助、お志保など、彼の素性を知ってなお彼を支えようとす

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    2014年06月28日
  • 破戒

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    ネタバレ

    士農工商穢多非人.
    明治以降に定められた身分制度に焦点を当てた,
    文学界ではあまり類を見ない作品.

    初めに感じたのが,文章の平易さと読みやすさである.改訂版で
    あるから,多くの歴史的仮名づかいが現代仮名づかいへと変更
    されていることは容易に想像できる.それが原因かは定かではないが,
    同時期に発表された漱石の作品と比べるとはるかに理解しやすい.
    また,共に自然主義を確立させた花袋よりも好印象を持った.
    急に波風が立つことはなく,ストーリーは緩やかに進む.
    自然主義たる威厳を十二分に示している.ここで,先に述べた
    文章の平易さが潤滑油となり,理解の困難から来る退屈を決して
    味わうことはない.

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    2012年02月23日
  • 破戒

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    何度読んでも良い!といってもまだ3度目程度だが…。
    現代とは比較にならないくらい根強い差別の中で出生を隠して暮らしてきた丑松。その苦悩と彼の誠実さにどんどん惹き込こまれていく。こんなにも理不尽な世の中で、銀之助や志保、そして生徒の小さな救いに思わず涙が出てくる。
    とても素晴らしい作品です。

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    2011年01月30日
  • 破戒

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    教科書だけでは知り得なかったエタの苦悩がひしひしと伝わってきました。
    文明開化で新しい時代を迎え、「新平民」となったのにもかかわらず、周りからは人外扱い。
    人種差別が絶えないでいた悲しい日本の現状が見えたような気がします。

    ◆memo
    『破戒』(はかい)は、島崎藤村の長編小説。1905(明治38)年、小諸時代の最後に本作を起稿。翌年3月、緑陰叢書の第1編として自費出版。
    被差別部落出身の小学校教師がその出生に苦しみ、ついに告白するまでを描く。
    藤村が小説に転向した最初の作品で、日本自然主義文学の先陣を切った。
    『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋

    ◆20090612〜20090

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    2009年10月04日
  • 破戒

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    2008/11/17,19,20

    必読書150に掲載。

    これはとってもいい作品だったと思う。
    主人公・丑松の苦悩がすごく鮮明に描かれ、リアルな差別部落の厳しさを教えられました。

    現代人にはわからないであろう苦しみ、これを知ることが出来る1冊です。
    言葉では評価しにくい、でもすばらしい1冊でした。

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    2009年10月04日
  • 破戒

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     昔の小説はよい。そしてストーリーがおもしろかった。主人公は齢24歳ということで自分と年が近くおもしろかった。「旧社会において極度に卑しめられた部落民出身の小学教員丑松が父の戒めを破り、公衆の前に自らの素性を告白するまでの激しい苦悩の過程を描く」物語である。あれだけ言っていた土屋君がことの発覚後、なぜか自己を省みることもなく素通りで友好を続けているところが、問題的であると私は思った。2008.11.13-16.

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    2009年10月07日
  • 破戒

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    ・辛い。こんな秘密を抱えるってことを、想像できない。
    ・当時の穢多に対する市民の感覚がわかりすぎるほどに良くわかった。当の島崎藤村すら、連太郎に自分たちを「卑しいもの」と語らせているほどで、どれだけ当たり前の感覚としてこの「差別」(今の言葉を使えば)が浸透していたのかが良くわかる。表現に驚くとかじゃなく、この感覚に驚く。
    ・親友の銀之助ですら、当たり前のように穢多を差別していて、そりゃ言い出すなんてとても無理、と思いましたわ。
    ・それにしても辛い。今の世の中で性的嗜好をカミングアウトすることとはこんな感じなのかな。
    ・志保の存在に救われた。
    ・今の作品であれば、きちんと穢多と呼ばれる人たちも皆

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    2009年10月04日
  • ふるさと・野菊の墓

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    ネタバレ

    野菊の墓
    恋の卵がよかった。手紙をもって亡くなった民子。残念だな。

    忘れえぬ人
    忘れがたい人を宿で同じになった人と話す。後年振り返り、その相手は忘れて宿の亭主が忘れ得ぬ人になった。オチに笑った。

    鹿狩
    大きな鹿狩ってみたい。目の前に迫ってくる鹿ドキドキ感がよかった。寝ていていきなり近くで発砲のあったおじさん、( ゚Д゚)しただろうな。

    伸び支度
    男親の悲しさ。少女の心変わりが鮮烈に印象に残った。

    ふるさと
    昔の風習が面白かった。昔はなんでも自分たちで作っていたが、みんなの共同作業の賜物だったんだなと思った。

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    2023年12月19日
  • 破戒

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    穢多の差別をテーマにしているわりに、「信州の女は皆気丈だ」みたいな文章を平気で書く。ポジティブなバイアスは問題視されない時代

    この時代に現代でも通用するようなプロットが書けるのすげぇなって思った

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    2023年12月03日
  • 破戒

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     なんという苦悩だろうか。自分では選べない出自によって、人並みの生活が送れないほどの差別を必然的に受けることになるとは。

     主人公は瀬川丑松、24歳、信州で小学校教師をしています。父親から「隠せ」と厳しく戒められてきたとおり、自分が被差別部落出身の穢多であることをひた隠しにしています。

     入院していた病院で穢多であることが広まり追い出され、戻された下宿でも「不浄だ」と罵られ追い出される富豪の大日向や、「我は穢多なり」の一文で始まる『懺悔録』を書いた著述家猪子蓮太郎といった人々を目の当たりにし、丑松は〈同じ人間でありながら、自分らばかりそんなに軽蔑される道理がない、という烈しい意気込を持〉ち

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    2022年09月25日