島崎藤村のレビュー一覧

  • 破戒

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    何度読んでも良い!といってもまだ3度目程度だが…。
    現代とは比較にならないくらい根強い差別の中で出生を隠して暮らしてきた丑松。その苦悩と彼の誠実さにどんどん惹き込こまれていく。こんなにも理不尽な世の中で、銀之助や志保、そして生徒の小さな救いに思わず涙が出てくる。
    とても素晴らしい作品です。

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    2011年01月30日
  • 夜明け前 第一部(上)(新潮文庫)

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    武士が主人公ではない幕末の市井の人々の生活が瑞々しく描かれていて、司馬遼太郎とは全く違っていてとても新鮮に感じられた。人々のなにげない生活の中に今は失われてしまった美しさを見てしまう。決して浮つくことなく現実を冷静に見つめる人たちはどの時代にも存在するものだと実感した。

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    2010年05月13日
  • 破戒

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    教科書だけでは知り得なかったエタの苦悩がひしひしと伝わってきました。
    文明開化で新しい時代を迎え、「新平民」となったのにもかかわらず、周りからは人外扱い。
    人種差別が絶えないでいた悲しい日本の現状が見えたような気がします。

    ◆memo
    『破戒』(はかい)は、島崎藤村の長編小説。1905(明治38)年、小諸時代の最後に本作を起稿。翌年3月、緑陰叢書の第1編として自費出版。
    被差別部落出身の小学校教師がその出生に苦しみ、ついに告白するまでを描く。
    藤村が小説に転向した最初の作品で、日本自然主義文学の先陣を切った。
    『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋

    ◆20090612〜20090

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    2009年10月04日
  • 破戒

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    2008/11/17,19,20

    必読書150に掲載。

    これはとってもいい作品だったと思う。
    主人公・丑松の苦悩がすごく鮮明に描かれ、リアルな差別部落の厳しさを教えられました。

    現代人にはわからないであろう苦しみ、これを知ることが出来る1冊です。
    言葉では評価しにくい、でもすばらしい1冊でした。

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    2009年10月04日
  • 破戒

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     昔の小説はよい。そしてストーリーがおもしろかった。主人公は齢24歳ということで自分と年が近くおもしろかった。「旧社会において極度に卑しめられた部落民出身の小学教員丑松が父の戒めを破り、公衆の前に自らの素性を告白するまでの激しい苦悩の過程を描く」物語である。あれだけ言っていた土屋君がことの発覚後、なぜか自己を省みることもなく素通りで友好を続けているところが、問題的であると私は思った。2008.11.13-16.

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    2009年10月07日
  • 破戒

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    ・辛い。こんな秘密を抱えるってことを、想像できない。
    ・当時の穢多に対する市民の感覚がわかりすぎるほどに良くわかった。当の島崎藤村すら、連太郎に自分たちを「卑しいもの」と語らせているほどで、どれだけ当たり前の感覚としてこの「差別」(今の言葉を使えば)が浸透していたのかが良くわかる。表現に驚くとかじゃなく、この感覚に驚く。
    ・親友の銀之助ですら、当たり前のように穢多を差別していて、そりゃ言い出すなんてとても無理、と思いましたわ。
    ・それにしても辛い。今の世の中で性的嗜好をカミングアウトすることとはこんな感じなのかな。
    ・志保の存在に救われた。
    ・今の作品であれば、きちんと穢多と呼ばれる人たちも皆

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    2009年10月04日
  • 夜明け前 第一部(上)(新潮文庫)

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    幕末から明治初期にかけての歴史を、下からの視点で描く。歴史上のヒーローの物語とは違う迫力を味わえる。結末が激しい。

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    2009年10月04日
  • 破戒(新潮文庫)

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    日本人のタブー穢多非人を題材にした小説。
    恐らく今の若い人は穢多非人と聞いてもなんのことか分からないのではないか。なぜなら学校で教えていないから。そういう私自身も学校で詳しく習った記憶はなく、地域的にも縁が薄かったため、大人になるまで詳細は知らなかった。
    江戸時代の身分制度の名残が令和の現代にまであるなんて思いもよらなかった。

    本書は明治期に書かれた小説。
    穢多非人へのあらゆる差別は明治政府により廃止されたが、当たり前だが制度として廃止されても人々の差別感情はそう簡単にはなくならない。差別とはそういうもの。
    本書の主人公は学校教師で生徒にもよく慕われているが、出自が穢多のために、その人生はく

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    2025年07月14日
  • 春(新潮文庫)

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    『桜の実の熟する時』の続きとなる藤村の自伝的小説。婚約者のある女性との別れ。友人の自死。そして長兄の投獄。「生きる」ことに悩みつつも「生きたい」と願う若者の姿に、若かった頃の自分が投影されます。

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    2025年09月21日
  • 破戒(新潮文庫)

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    読み始めは言葉が少し難しいかなと思ったけど、読み進めていくうちに慣れていった。部落差別がテーマ。主人公が自身の身分を打ち明ける前に噂が広がって行く中で、それに丑松が怯える描写が肌で感じ取れるように書かれていた。告白をしてからも、気の毒に思って助けてくれる友人や旅立ちに会いに来てくれる生徒もいて、全ての人が非情な人でなくてよかった。

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    2025年05月30日
  • 春(新潮文庫)

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    なかなか難しく読むのに苦労した。
    みんなが何に悩んでいるのかよく分からなかったが、親の過干渉であったり、5月病があったりと、現代にも通じるような悩みの描写があることが、興味深かった。

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    2025年05月04日
  • 破戒

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    私は丑松に自己投影をしたのである。それについて誰がなんと言おうと、私は丑松の多くのことに共感した。それは、彼が夜に眠れないことや、ふと自分の運命について考え未来を恐れ過去を希望する一方で、女性についても考えずにはいられないことである。

    「去年-一昨年-一昨々年-ああ、未だ世の中をそれほど深く思い知らなかった頃は、噴き出したくなるような、気楽なことばかり考えて、この大祭日を祝っていた。手袋は元のまま、色は褪めたが変わらずにある。それから見ると人の精神の内部光景の移り変わることは。これから将来の自分の生涯はどうなる-誰が知ろう。来年の天長節は-いや、来年のことはおいて、明日のことですらも。こう考

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    2024年12月31日
  • 破戒(新潮文庫)

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    まず述べておきたいのは、本作は解説を含めて読むことで当時の時代背景や差別の実態を把握しなければ、真に理解することはできないという点である。
    本作は被差別部落出身者である主人公が素性を隠して教員として勤務するが、尊敬する同じ被差別部落出身の思想家の横死を経て、父から与えられた素性を明らかにするなという戒めを破るまでの葛藤を描いた物語である。
    解説にも指摘されているように、本作は藤村の差別意識が無意識に表出している部分もあり、また結末も差別からのある種の逃避になっているため、社会派的小説としては極めて不完全ではあるものの、逆にそのこと事態が思想的な理想を描いた空虚な小説ではなく、ヒューマンドラマと

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    2024年05月13日
  • 破戒(新潮文庫)

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    ほぼ裏表紙の説明通りではあったが、穢多であることを隠しながら生活していた丑松に関する物語。
    新平民という言葉はあれだ、実態はまたまだ差別が当たり前のように存在した日本が描かれており、当時の状況が垣間見える作品。
    文章自体は現代のものに慣れていると読みにくさはあるし、いろいろ保管しながらでないと理解が難しいところもあるが、ゆっくり時間をかけてでも読んでおきたい作品だと感じた。
    先日読んだ蟹工船と合わせ、日本の歴史を学びたいと感じる一冊。

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    2024年05月10日
  • 破戒(新潮文庫)

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    ★★★★ 何度も読みたい

    これは地元から離れ、普通の生活を手に入れた穢多の青年が、たった一人で抱えた自身の出自の秘密に苦しむ話である。
    主人公瀬川丑松は部落出身であり、その身分を隠して教員として生計を立てていた。彼は堂々と己の出自を明らかにして活動する、部落出身の猪子蓮太郎を慕っているが、如何なる時も誰に対しても家系の秘密を隠し通せと言う父の言葉や恐れがあり、蓮太郎にすらも自分の秘密を伝えられていなかった。なぜなら彼は自分が穢多であるという事実が知られれば、今の生活は到底続けられないと知っていたから。

    部落差別という、現代では表立って騒がれなくなった問題だったが、写実的な描写や何気なく穢多

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    2024年04月23日
  • 夜明け前 第一部(上)(新潮文庫)

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    幕末を市井の人が見たらどう映るのか。中山道馬籠、妻籠は鄙の宿場町だが、時代の波に洗われる。文体もシチュエーションも面白い。下巻が楽しみだ。

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    2024年02月07日
  • ふるさと・野菊の墓

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    ネタバレ

    野菊の墓
    恋の卵がよかった。手紙をもって亡くなった民子。残念だな。

    忘れえぬ人
    忘れがたい人を宿で同じになった人と話す。後年振り返り、その相手は忘れて宿の亭主が忘れ得ぬ人になった。オチに笑った。

    鹿狩
    大きな鹿狩ってみたい。目の前に迫ってくる鹿ドキドキ感がよかった。寝ていていきなり近くで発砲のあったおじさん、( ゚Д゚)しただろうな。

    伸び支度
    男親の悲しさ。少女の心変わりが鮮烈に印象に残った。

    ふるさと
    昔の風習が面白かった。昔はなんでも自分たちで作っていたが、みんなの共同作業の賜物だったんだなと思った。

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    2023年12月19日
  • 破戒

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    穢多の差別をテーマにしているわりに、「信州の女は皆気丈だ」みたいな文章を平気で書く。ポジティブなバイアスは問題視されない時代

    この時代に現代でも通用するようなプロットが書けるのすげぇなって思った

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    2024年06月11日
  • 破戒(新潮文庫)

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    初めの方はよくわからなかったが、お父さんが死ぬところあたりからだんだんわかるようになった。
    獣医として牛が屠殺される情景があるのがよかった。
    感想としてはこれで終わり!?という感じ。ハッピーエンドの続きが読みたい。

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    2023年11月09日
  • 破戒(新潮文庫)

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    明治後期、被差別部落に生まれた主人公・瀬川丑松は、その生い立ちと身分を隠して生きよ、と父より戒めを受けて育ちました。

    その戒めを頑なに守りながら成人し、丑松は小学校教員となります。

    そんなとき同じく自らが(えた)であることを公言している解放運動家、猪子蓮太郎の本の影響を受け彼を慕うようになります。

    丑松は、猪子にならば自らの出生を打ち明けたいと思い、口まで出掛かかることもあるが、その思いは揺れ、日々は過ぎていきます。

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    2023年10月27日