東野圭吾のレビュー一覧
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東野圭吾さんの訃報を知り、もう新作を読むことができなくなるんだと思うと同時に、もう一度読み直したい気持ちになった。生活の変化に伴って、なかなか読書をする余裕がなくなってしまい、以前に比べて読むペースも遅くなってしまったけど、今回も再読とは思えないくらい読書時間を過ごすことができた。ただ、初めて読んだ時は、外出先でも堪えきれず涙が出て困った記憶があるけど、今回はあの時どうして涙が出たんだろう?と自分のことなのに不思議な気持ちになった。当時と今とでは、感じ方も考え方も違っているのかもしれない。過去の自分も今の自分も、どちらも自分自身なんだと、作品の過去と未来の手紙のやり取りに何か通ずるところを思いながら、弔いの思いで読んだ作品との必然性を感じた。
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ネタバレ幼少期に両親を亡くし、不遇な青春時代を経て犯罪に走る主人公たち。なんとなく白夜行に似てるのだけど、人物が掘り下げられている点がかなり違っていました。
一向にわからない真相にやきもきしつつもいつの間にか3兄妹の計画がうまくいくよう祈りながらページを進めていました。なので徐々に追い詰められている気配を感じ結末に向けて嫌な予感しかせず、決して心地よく読める話ではないのですが、「涙があふれる衝撃の真相」という裏表紙の紹介を信じて読み進めていました。
結果本当に予想外の結末でそりゃあわからないはずだと変に納得させられました。でも功一の感想と同じで、悲劇にあった人間は犯人を憎むことに徹した方が楽なんですよね。なまじ同情の余地などない方が良い。だからか読後感がいまいちスッキリしなかったです。指輪の話は見事でしたが素直に喜べる感情に至らなかったのも一因かもしれません。ただノミ屋のシステムすごく勉強になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ
洋食店「アリアケ」を営む両親を持つ功一、泰輔、静奈の幼い3兄妹。ある夜、流星群を見るために夜中に家を抜け出した3人は、帰宅した自宅で無残に殺害された両親の遺体を発見する。犯人の手がかりは、裏口から走り去った男の横顔だけだった。児童養護施設で育ち、身寄りのない過酷な社会を生き抜く中で、成長した兄妹は「大人になったら犯人を見つけ出して復讐する」という誓いを胸に、裕福な男たちをターゲットにした周到な結婚詐欺チームを結成する。綿密な計画を指揮する長男・功一、変装と演技に長けた次男・泰輔、ターゲットを惹きつける美貌を持つ末妹・静奈。時効が間近に迫る中、最後のターゲットとして定めた大手洋食チェーンの御曹司の父親こそが、あの日泰輔が目撃した両親殺害の容疑者だった。
所感・深掘り
詐欺というダークな世界に手を染めながらも、互いを守り抜くために寄り添い合う3兄妹の切ない絆と、最後の瞬間に覆される衝撃の真相に、胸の奥底を強く締め付けられる傑作ミステリーだった。
特に深く胸を打たれたのは、「どれほど過酷で理不尽な境遇に置かれても、互いを信じ、支え合う人間の情愛の温かさ」だ。親を理不尽に奪われ、社会の冷たい風に晒されながら生きてきた兄妹にとって、信じられるものは血の繋がりと3人で交わした約束だけだった。詐欺という手段は決して許されるものではない。しかし、妹の幸せを誰よりも願い、矢面に立って泥をかぶろうとする兄たちの献身的な姿には、打算を超えた本物の愛が宿っていた。人は自分一人のためだけでは心が折れてしまうが、守るべき大切な誰かがいるからこそ、過酷な現実を生き抜く強さを持てるのだと痛感させられる。
また、「嘘で塗り固められた関係の中から、やがて本物の信頼と愛情が芽生えてしまう」という皮肉で切ない人間心理の描写も見事だ。復讐と詐欺のために近づいたはずの相手一族の温かさに触れ、妹が抱く葛藤と罪悪感。そして、長年事件を追い続け、冷酷な法執行者ではなく一人の人間として兄妹の痛みに寄り添い続けた担当刑事の存在。真実が暴かれたとき、犯人が背負っていた哀しい動機も含め、白黒で単純に割り切れない人間の業と温もりが重層的に描かれており、東野作品ならではの深い余韻を残す。
不条理な現実に屈することなく、大切な人を守り抜き、哀しみを越えて前へ歩き出すこと。
家族や身近な人との絆の尊さを再確認したい人はもちろん、理不尽な逆境にあっても決して誇りと温もりを失わず、自らの足で人生を切り拓く強さを胸に刻みたいすべての大人にとって、魂を優しく揺さぶる必読のヒューマンミステリーだ。 -
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ネタバレあらすじ 近未来の日本。政府は国民全員のDNAデータを管理し、未解決事件の検挙率を飛躍的に向上させる「DNA捜査システム」を導入していた。システムを開発した天才解析者・神楽龍平は、DNAデータの万能さを確信し、冷徹に犯人を特定し続けていた。しかし、システム開発に関わった数学者兄弟が相次いで殺害される事件が発生。神楽が現場のDNAを解析すると、弾き出された犯人のデータは「神楽龍平本人」を示していた。身に覚えのない罪で追われる身となった神楽は、逃亡劇の最中、システムに隠された重大な欠陥と、国家の陰謀「プラチナデータ」の真相に迫っていく。
所感・深掘り 東野圭吾作品が得意とする「科学技術の進歩」と「人間の複雑な心理」が見事に融合した、近未来サスペンスの最高峰といえる作品だった。
国家によって国民のDNAが管理されるという世界観は、現実の技術革新のスピードを考えると「決して絵空事ではない」というリアルな恐怖を感じさせる。完璧に見えるテクノロジーが、いかに人間の都合や欲望によって歪められてしまうのかという問いかけは、深く胸に刺さった。
特に秀逸なのは、追う側と追われる側のスリリングな攻防と、主人公・神楽が抱える内面的な葛藤の描写だ。自らが絶対と信じていたシステムによって「追い詰められる側」に回った神楽が、真実を追う中で自分自身の隠された過去や感情と向き合っていくプロセスには、息をのむような没入感があった。
映画での二宮和也さんと豊川悦司さんによる手に汗握る追いかけっこや緊迫した掛け合いを頭の中で再生しながら読み進めることで、映像的なスリルも倍増した。
最新のDNA科学という冷徹なロジックの裏に隠されていたのは、人間の愛おしさや切ない感情だった。科学の限界と人間の尊厳を描き切った、東野文学の圧倒的なスケール感とストーリーテリングの巧みさに脱帽する一冊だ。 -
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DNAによる捜査システムの実用化と犯罪防止を目的に国家が国民のDNAを管理するDNA法案の可決により犯罪捜査の形が変わりつつある近未来。その実用化を後押しした天才的な数学の頭脳を持つ人物が何者かによって殺害された。その犯人として捜査システムが指摘した人物は身に覚えのない罪に困惑する。ただ彼はある『秘密』を抱えていて――。
ということで本書は自らが開発に関わった捜査システムによって追い詰められていく男がそのシステムに隠された真相に迫っていく壮大な世界観の一冊です。抗うことのできないほど巨大な敵と対峙せざるをえなくなった個人の姿を描いた作品が好きなひとにおすすめ。もしも本当に同じシステムができた時、同じことを考えるひとが出てくるんだろうなぁ、と思わせる『敵』側の心理が印象に残りました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレDNAを管理して、犯罪者を管理・抑制するという社会。
とはいうものの、
全てを把握した権力者は、その対象外である。
あまりにもリアルだと思った。
実際に、閣僚や警察の上層部、その家族が事件を起こしても揉み消されるケースはある。
神楽や浅間のような人物がどれだけ奔走しても、変えられない身分社会の闇が存在するんだなと。
初めは互いを訝しみ、
逃亡者と警察として敵対し、
最終的には協力し合う展開に胸が熱くなった。
神楽自身の心を長年蝕んでいた父との記憶を、逃亡中のナチュラリストたちとの出会いによってほぐされ、物語の幕引きで彼がそこで生活するのは綺麗な終わり方だと思った。
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スキー競技人口は、減少している。日本のスキー人口は、ピーク期は1993年の約1,770万人から、現在は300万人前後まで落ち込んでいる。オリンピックで、スノーボードなどにおいての日本人の活躍で、新しい流れもあるが、スノーボード人口は、現在(レジャー白書等のデータ)は150万〜160万人前後で推移している。
それは、ゴルフ競技人口の傾向と似ている。ゴルフのピーク期は1992年で、 約1,420万人(バブル景気の絶頂期)だった。2000年代〜2010年代に右肩下がりが続き、約700万〜800万人規模に減少して半分となった。現在は概ね500万〜550万人前後でピーク時の約4割程度となっている。競技人口の約半数を60代以上の高齢層が占めており、10代〜20代の若年層は全体の10%未満にとどまっている。
バブル期の団塊の世代が退場し、新しい世代が入ってくる魅力に乏しい。スキーもゴルフもコスパが悪い競技と言える。時間と費用がかかるアウトドアスポーツは敬遠される傾向にある。また、少子化減少も、競技人口が減っている。1949年生まれは、269万人いたが、昨年の出生数は67万人となっている。
この小説を読んでいると、東野圭吾はスノーボードについてよく勉強していると思った。スノーボードの特殊な技まできちんと把握している。舞台は、野沢温泉スキー場をモデルとした「里沢温泉村」としている。
泰鵬大学医学科学研究所の研究員が開発した遺伝子組み換えによる生物兵器K-55が、盗まれ、スキー場に隠し、その目印がテディベアであり、発信機も取り付けられている。
そのことを知られたくない所長は、主任研究員の栗林和幸に極秘に探すことを命じる。栗林はスキーは昔にかやっていないので、スノーボードをしている息子秀人を連れていく。それで、スキー場で、K-55を探すのだが。ふーむ。舞台を作るのに精一杯で、結局ミステリー要素があまりなさそう。
東野圭吾が44歳で、スノーボードを体験して、楽しいと思い、その後シーズンが来ればスノーボードをしたという。スノーボードの楽しさを、小説で表現したいと考えて作られた雪山シリーズ、3作の二番目の作品。
東野圭吾は、2018年にSNOWBOARD MASTERS の発起人となって、スノーボード普及に貢献したという。 -
Posted by ブクログ
洋食店「アリアケ」の3人兄妹、功一、泰輔、静奈は、両親に内緒で、夜中に抜け出して、獅子座流星群を見に行った。残念ながら、流星群は見ることができなかった。そして、家に戻ったら、見知らぬ人を泰輔は見て、功一は、両親の惨殺死体を発見する。
泰輔の記憶を元に、犯人の似顔絵を描いて、指名手配するが見つからず。
3兄弟は、身寄りがなく養護施設で保護され、成長する。
そして、14年後、大人になった3人は、静奈を武器に、結婚詐欺をして暮らす。
次なるターゲットは、とがみ亭の社長の息子、戸神行成だった。静奈は誘われたとがみ亭で食べたハヤシライスは、アリアケのハヤシライスとそっくりだったので、涙を流した。その味の記憶は正しいのか?
功一は、父親に教えられたハヤシライスの作り方と父親の残したレシピで、ハヤシライスを作り、静奈に食べさせる。父親のハヤシライスは、父親の職人的な作り方で、そう簡単に真似できるものではないと功一は思っていた。そして、その二つは、全くよく似ていた。
泰輔は、戸神行成の父親政行が、両親が殺された時に見た顔にそっくりだった。
ハヤシライス繋がりで、真犯人に迫っていく 3兄妹。
静奈は、母親の連れ子で、功一と泰輔とは、血縁がなかった。そして静奈が、戸神行成に惹かれていくことを、二人の兄は心配する。そして、似顔絵という状況証拠だけでなく、戸神政行が確実な涼真殺しの犯人の動かぬ証拠を作ろうとする。静奈の香水で、簡単に見破られる。そして、行成と一緒になって、戸神政行の犯行を暴こうとするが。
なるほどねぇ。うまいなぁ。
ハヤシライスとカレーライスの違いをやっとわかるようになった。
今まで、ハヤシライスは、ボヤーッとした味の記憶しかなかった。