東野圭吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ひとつの殺人事件から時代背景と共に20年近くに渡り事件の真相を追うストーリ。長編ですが読む手が止まりませんでした。
子供時代から、年代を変えて取り巻く人々が変わり、暮らしも変化する。そこに絡み合う思惑や残虐な出来事がひとつひとつ濃かった。また、単体で起こったことではなく、全て繋がっていく感覚が後半にかけてあり、そのプロセスが面白かったです。様々なストーリーや変化の根底に蠢く何かを常に感じながら、それが徐々に強まっていく感覚、ふたりが抱える闇、憎悪、そして愛…
最後はあっけなかったけど、読み終えた後からじわじわ広がる怖さとストーリーの奥深さを感じる小説でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりの東野圭吾を読んでみたり。
『マスカレードホテル』まではしっかり読んでたから、意外と10年以上空いていたのか…。時を経ても変わらない面白さ。さすがだねー。
悩み事があれば、どんな問いでも真面目に向き合う「ナミヤ雑貨店」。
時系列やタイムトラベルに似たトリック(?)があるものの、この物語の本質は「人助け/救い」なんだろうなぁ。
「ひとは一人で勝手に助かるだけ」とは『化物語』のセリフで、これはまぁそれなりに本質を言い当てている。
救いとは自分から見た世界が良い方向に変わることを指すのであって、物質的に満たされたりすることとイコールではないからだ。お金があっても救われない人間もいれば、物 -
Posted by ブクログ
とんでもない小説でした。
「この作品を超える小説に出会いたいために、小説を読み続けている」という感想があり、気になり本屋へ。
850ページ。その存在感に圧倒され、一旦躊躇したのですが購入。
最高でした!!とにかく最高でした!!
建設中のビルの中で遊んでいた子供が死体を発見し物語が始まる。
主人公の2人の子供時代から、学生時代、大人時代、19年に及ぶ壮大なストーリー。
2人の周りに起こる数々の出来事がどのようにつがなるのか、つながらないのか?
主人公の周りの人間視点で物語が進んでいく描き方、内面を描かないゆえに影の部分をより陰に想像してしまう。
ラストも良かったです。大好きな作品に -
Posted by ブクログ
ネタバレ心にグサグサとくる感動的な話。
映画の方を先に観ていたけど、原作もやはりいいなぁ。
トリックも素晴らしいけどやっぱり石神の人間模様がいちばん心にくる。
花岡靖子に渡した3通の封筒と一緒にあった手紙の文章を読んで泣けてきた。
『工藤邦明氏は誠実で信用できる人物だと思われます。彼と結ばれることは、貴女と美里さんが幸せになる確率を高めるでしょう。私のことはすべて忘れてください。決して罪悪感などを持ってはいけません。貴女が幸せにならなければ、私の行為はすべて無駄になるのですから。』
これは涙なしには読めない。
石神が自殺しようとしていたところにちょうど訪問した母娘に感じた石神の感情にも泣けてきた。
人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ湯川と石神の賢さに圧倒された。創作において自分以上に頭の良いキャラクターを作り上げることはできないとどこかで聞いたことがあるが、それを踏まえると東野圭吾さんの聡明さを節々から感じる。
最後の石神の、「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある」という言葉が印象に残っている。靖子が、弁当屋の夫婦は石神が靖子に好意を持っていると言っている、ということを石神に告げた時に石神はまた容姿のことをからかわれているのだろう〜といったようなことを考えている。湯川はダルマの石神というあだ名を敬意で使っているが、一般的には丸いシルエットの人をダルマと呼ぶのにあまり良い気持ちはしない。石神は論理