東野圭吾のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2026/10/08
時空を超えて人と人の縁の繋がりを手助けしていた敦也たち三人の、再生の物語。
そして、真摯に人と向きあおうとしたナミヤ雑貨店の主のおこした奇蹟の軌跡。
綺麗に纏められていて、敦也たちも過ちを償おうとしていて、爽やかな終わりが良かった。
その中でビートルズの話だけはしんどかったです。
逃げ出せて良かった。
アドバイス通りにしなくて本当に良かった。
ナミヤ雑貨店の主さんは、過去の出来事からして良い人なんだと分かる。
だから、希望が滲み出ている回答になるんだと思う。
ただ、敦也たちの身も蓋もない回答に自分の道を見出す人もいる。
人の相談への回答は、なにが正解かは分からない。
とても難しい。
その難しいことを自分のやり方でやるということは『人への優しさ』がなければ出来ない勇気のいることだと思う。
文庫本の表紙がとても綺麗。
奇蹟の終わる明け方で、これから自由に無限の可能性で、自分の地図を描く時間がやって来た。
そんな素敵な始まりの『ナミヤ雑貨店』の瞬間なんだと思いました。
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Posted by ブクログ
ファンタジーというかSFに近いのかな?
悪事を働いた子悪党3人が、本来自分たちに持ち込まれたわけではない相談事に対して、自分たちなにりに一生懸命向き合って、感謝されることに喜びている様子が完全な悪人にまで落ちきれていなくて可愛げを感じたし、そんな3人とかつての雑貨店の店主のお爺さん、雑貨屋に相談事を持ちかけた人たちが時代を超えて繋がっていく構成が見事でした。
他人からどんなアドバイスをもらっても、結局は自分の捉え方と行動次第なんだよなあと実感します。
ときどき「男と男の約束だ」ってセリフが出てくるのですが、女同士だとなかなかこういうやり取りすることがないので、男性同士のこういうのなんかいいな〜ってちょっと憧れます。
明確な仕掛けや種明かしなんかは何もなく、「奇蹟」としか言えない不思議な一夜だからこそ、じんわりとした温かさと感動を覚えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ東野圭吾さんの描くテクノロジーの話はやっぱり面白い。画期的であるのに浮世離れしてないところがすごくワクワクさせられてしまいます。
この手の話に付き物の「アナログとデジタル」、「人間と機械」、「心とプログラム」はよく、テクノロジーを妄信するなという結末になりがちと思うのですが、この本ではテクノロジーはきわめて正確で嘘をつかないからこそ、アナログが軽視されてはならないと結びつくので、本当に目から鱗でした。作中では贋作という言葉が使われているが、作り出された物そのものではなく、その背景や心に目を向けると真実が全然違って見えるというところもまた興味深かったです。
ただちょっと小難しい話が多く、かろうじてモーグルとプラチナデータ、DNAサンプルのところはわかったものの、監視カメラのトリックとか、引き戸の夢の話とか、警視庁警察庁特解研の鑑識チームだとかの組織の話とか、なんでスズランがあの人物なのかとかはあまり理解ができずでした。全体的に暗い物語ですが、その中にあってチクシさんやサソリさんとのやり取りは心が温まります。悲しみの中にも希望がある物語でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ手紙のやり取りを通じて、過去と未来が交錯し、登場人物たちが思いがけず影響を与え合うファンタジー。伏線が美しく回収されていく構成は面白く、読みやすかった。
ただ、全体を通して美談として綺麗にまとまりすぎている点が、個人的には少し引っかかった。
概ね、浪矢のお爺さんの助言が結果的に正しかったという着地に収まっており(もちろん伝えたいのはそういうことではなく、ジレンマに陥る描写もあるが)、どこか道徳の教科書のような整ったオチを感じた。家族との絆が尊ばれたり、心中未遂に見えて実は母が命がけで子どもを守った事故だったりと、どこかで見たことのあるストーリーだなと感じてしまった。
また、あれほど尖って荒れていた敦也が、最終的に自首を決意するに至るまでの心の変化にもやや急な印象を受けた。晴美のサクセスストーリーにしても、未来からの助言をそのまま実行して成功したという構図になっている。もちろん、それに至るまでの試行錯誤の描写はあるが。
設定や構成にはワクワクしたが、個々のエピソードの着地においてはもう少しリアルさが欲しいなというのが個人的な印象。