宮口幸治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者が児童精神科医なので、子どもの描写はとてもリアル。まさに我が子(ADHD,ASD)という感じ。
ただ、私は子どもを取り囲む大人たちの心理描写についてはあまり共感出来なかった。唯一共感できたのは3話の母親。知識として発達障害のことは知っている、発達障害の子どもも普段から接している。自分の子どもも恐らく何らかの障害だろう。でも、自分の子どもの事となると的確、冷静な判断ができなくなる。あの揺れ動く気持ちは、読んでいても自分の経験と重なり、心が痛くなった。また、診断が下されたからと言って、1話、2話の母親のようにすぐに前向きになれる訳ではない。受け入れる迄には相当の葛藤がある。物語だからと思っても -
Posted by ブクログ
ケーキと刑期がかかっている。
少年院で働く精神科医が関わった院生の話。
原作小説があるらしい。
漫画としては作画がもう一つ固いかな。
話としてはいかにして犯罪を起こしたか、その背景を語るだけなので、内容はなんら救いがない。
これではカタルシスもないなあ、当然ではあるが。
境界知能というと最近ではただの罵倒のための用語と化しているが、本来の意味はこっちなのか。
しかしIQの差だけでここまで変わるものか。
いやそうかもしれない。
自分とわずかでも差があるIQの人間は理解できないと言うが、そんな感じかも。
だからってそれで全部片付けられても困るが。
問題はわかるけど、だからってどうできるって何も -
Posted by ブクログ
それぞれ障害を持つ親子の物語である。
3話あるが、どれも母親の方が我が子の問題に気づき、もしかしたら…と専門医に診せてわかるのであるが、これはずっと付き合っていかなければならない問題でもあり、どのように理解して上手く生活していくかがいかに大切かということがわかる。
物語というよりも実際にある例を記述したような感じである。
第1話では、小学4年の息子が塾に通っているにも関わらず成績も悪く、学校生活でも友だちとの会話が成立できてないのでは…ということから境界知能(IQ70〜84)であることがわかる。IQ69以下が知的障害とされるが、境界知能は気づかれにくく、思うように生成も伸びずにしんどくて辛い -
Posted by ブクログ
2019年7月刊行の「ケーキの切れない非行少年たち」を、2020年にコミック版で、2022年に小説版で刊行。小説版は精神科医六麦克彦の目から見た事例を紹介しています。個人的には小説よりも原本の方が読みやすかったです。
【まえがき】
男子少年院、女子少年院、医療少年院併せて全国に約50か所、1年間に約1600人程度入院(令和3年度版犯罪白書より)。2000年~2001年の新規入院者数は年間6000人を超えていたが、最近は減少傾向にある。事件を起こして家庭裁判所で処理された年間約4万4000人の非行少年の内わずか3.7%程度が少年院に約1年程度入院。
【第1章 田町雪人】加害者には軽度の知的障害