【感想・ネタバレ】ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)のレビュー

あらすじ

児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。

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講義で教われないこと

教員をしています。この本で書かれていることを知らずに過ごすことで、どれほどたくさんの子どもたちのSOSを見逃してきたのかと思うと、より学んでいかなければならないと身に染みました。

1
2020年08月07日

購入済み

多く教育者に読んでもらいたい

困っている子どもは見つかる。
本人は何に困っているかわからない。
でもその困り感を取り除いてあげることで楽に生きることができるだろう。
最後に書いてあったように、まずそれを担うのは間違いなく学校。
非行を犯し、少年院で反省する前にできることがある。
教育や学習の力を信じたくなりました。

1
2020年01月08日

Posted by ブクログ

非行少年たちには、軽度の知的障害、認知能力の低さが見られ、これによって授業についていけない、同級生の輪に入れない、そして不安や苛立ちが募り、非行に繋がっていく、と。
自分が小中学生の頃には、周囲から浮いた子を指して○イジと呼ぶ文化があった。当時もその発言は教授ら大人に叱られたし、現代ではいよいよ使われないだろう。ただ、当時の使われ方とは違えど、呼ばれていた子たちは、この本でいうところの「救うべきなのに救えていない子たち」なのかもしれない。
自分の息子(5歳)にこどもちゃれんじを受講させているが、これも認知能力を測定して育てるツールの一種なのだとすると、ベネッセさんすごいなぁ。

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2025年12月26日

匿名

ネタバレ 購入済み

大切なのは気づくこと

認知機能についてなど知らなかったことが多く、勉強になりました。褒める、話を聞くだけでは子どもは変わらない。根本的な解決が必要だと気づきました。

#タメになる

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

大学生時代からの積読のひとつ、やっと消化できたぞ〜
小2から違和感として出てくるけど、その事情ひとつひとつが些細な違和感として処理され、いつの間にか犯罪者になっていく、ケアの必要性を気づくのは学校や家族に委ねられているけど、それがそれとして機能していないのだから(するわけが無い要素もでかいと思う)、なんだかな〜という気持ち、
また、他人からの視線(鏡)の有意義性、他人の視線をきっかけに自身を見直すことができるようになる、興味深いな、と、

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

マンガは読んだことがあったが、書籍は初動。
ケーキ3等分の話を最初に聞いたときは、とても驚いたのを覚えている。
認知機能を向上させる具体的なトレーニングのやり方や、褒める・話を聞く対応では不十分であることへの言及等、改めてなるほどと思う内容も多かった

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

これはもっと早いうちから読んでおけばよかった。ケーキが切れない非行少年のインパクトが強くてネタとして使われがちだが、実際に読んでみるとネタになんて出来なくなりますね。実際にそうして出来ないことを馬鹿にされていじめられ、学校などで生きづらくなり非行に走るようになってしまった子供たちもいるわけで。単に問題提起するだけではなく、具体的なトレーニングなどの根本的かつ具体的な解決方法も提示されているのが良かったです。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

非行少年の中には境界知能の子であったり、認知機能に問題がある(福祉が介入すべき障害がある)、ということがテーマの本だったんだけど、少年犯罪という社会問題に限らず参考になるので色んな人が読めばいいと思った。

例えば(私自身もそうなんだけど)子育て中の人、
仕事で部下を育てたりマネジメントしている人も参考になると思う。

なぜこの人(子)は大多数の人たちができることもできないのか?
なぜこの人(子)はこんな行動をするのか?

本人のやる気や親/上司の関わり方ではなく、本人のやる気の問題でもなく、認知機能に問題があるのかも?と思ったら対応方法は変わってくる。

コグトレは非行少年のトレーニング用のプログラムだけど子育てにも応用できそうだなと思う。
特に感情のペットボトルのトレーニングなんて、自分の子にやってあげたいなーと思った。

社会的なことをいうなら、著者が言っていたように義務教育の中で認知機能の確認や必要なトレーニング、福祉介入の機会が必要な子たちへのサポートをぜひ組み入れてほしいなあ。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

心理学を勉強している身としてとても興味深い内容だった。
学校教育は国語や算数をマスターさせる前に重要なことがあるのだと感じ、子どもの困り感のサインにどれだけ気付くことができるのかが鍵となるのだと感じた。
非行少年の実際を知ることができたのではないかと感じており、少し見る目が変わった。
この作品には続編があることを知り、是非読みたいと思った。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

2019年に執筆された名著 コミカライズもされ非常に評価の高い医療少年院に勤務された精神科医、臨床心理士の、小学生の親や小学校教員に向けた啓発本です。

冒頭から内容が濃く提示される問題の大きさに無力感を感じつつも、社会全体が向き合わなければならないと感じさせられます。
軽度知的障害や境界知能である本人が一番苦しい世界を生きているはず。社会側が差し伸べている救いの手は双方の無知や偏見によりなかなかとられることはない。しかしその中でもトレーニングによって軌道修正をする人たちがいるのも事実。

すべて読み終えて感じるのは、どうか小学校のうちから親は躊躇うことなく医療へアクセスして、子どもを未来の犯罪者となることから守って欲しいということです。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

なぜ加害者が出てしまうのかがわかる 今の日本の教育では、非行少年を生み出してしまう。その仕組みと現状をわかりやすく解説してる。

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2025年12月02日

購入済み

感想ですが

28歳、おそらく境界です。。
辛さの集約でした
これからどうしたらいいんだ…?
こんなに沢山の人が買って
読んでいるのは自分と同じような人たちなのだろうか??

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2021年07月09日

購入済み

根深い

あまりにも根深くて、地道な導きが必要なんだと思いました。
基本がわからない以前の問題。
まわりにも勧めました。

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2020年12月11日

Posted by ブクログ

全体の16%も! 丸いケーキを三等分する方法すら分からない。でも知的障害には認定されない、いわゆる境界知能層の人たち。小学校低学年の時点で勉強について行くことができず兆候が現れているのに、ずっと障害福祉支援を受けられず、結局、犯罪を犯して少年院や刑務所に入れられてしまう。
現在の知的障害の基準値であるIQ70以下の層は全体の2%だが、境界知能であるIQ85以下まで拡大すると全体の16%になると言う。(6〜7人に1人!)
つまり、全体の14%の人たちは障害福祉支援を受けられないまま、世間一般の中で生きづらさを感じながら生きているのだ。
これは、現状の基準値がおかしいのではないか。もし基準緩和が難しいのであれば、程度の差をつけてもよいので、何らかの福祉支援を受けられるようにすべきではないか。犯罪者の更正に充てられるコストが福祉支援のコストに回ると考えれば、それほど社会的コスト増にはならないだろう。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者に好感が持てる 言葉の選び方、話題の選び方、熱意を感じさせながらも、その熱意含めた感情の扱いを心得ているような文体だと感じました。
「犯罪者」である患者たちへ、だから駄目だとか、または反対に許してやれと訴えるのではなく、「本人が努力や特訓をしなければならないが、努力をするためのきっかけを与えなければならない」とする姿勢に共感します。
また、明確に説明はされていませんが、言葉の端々から見れる著者の「犯罪というものの認識」が、「被害者を生んでしまった」ことに終始していることが好ましいです。「犯罪行為は悪」とも、「犯罪者の精神は悪」とも言っていません。その考え方は、個人的には新鮮で、感銘を受けました。

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2025年12月06日

A

ネタバレ 購入済み

事実として

自分にはあたりまえのことでも、
人によっては当たり前ではないということ。
ケーキを人数に切り分けるだけのことなんて
特別な訓練をしなくても当たり前にできるようになることだと、
大抵の人は思ってしまうが
現実として、それができないどころか
等分にわけるということも思いつかない人々がいて
そこには、善悪以前の課題があるということを
思い知らされた。

3
2020年01月22日

Posted by ブクログ

以前何かの本で、加害者の多くが元々は何らかの被害者で、まずは自身の被害者性を認識できて初めて罪と向き合うことができると読んだ気がします。でもこの本を読み、それ以前に認知能力の問題があることが多いということが分かりました。
境界知能や軽度知的障害の方々から世界がどのように見えているか、また支援の在り方についても学ぶことができました。
感情のペットボトルという、感情を抑圧せずに適切に言語化して誰かと共有する大切さを視覚的に伝える方法が、小さな子どもや知的なハンディキャップがある方にも分かりやすく画期的だと思いました。

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2025年12月28日

Posted by ブクログ

少年院で医師として勤務した著者による、非行少年達の実態とそれに対する解決策を提示した本。
非行少年達は、見る・聞くと言った認知機能が弱い傾向があり、それにより自分の犯した犯罪を反省する土台ができていない。
しかし、認知機能の弱さは気付かれ辛く、社会から「忘れ去られた人」となってしまうことが多い。
彼らの再犯を防ぐためにも、どうやって認知機能を高めれば良いのか。
順序立てて書かれており、非常に読みやすい&わかりやすい。

認知機能の強さは、言うなれば地頭力(機転を利かせる力)とも言えると思った。
親が、学校が、社会が、早期に子供のサインをキャッチし、適切なサポートをすることが、非行を減らし、被害者を減らし、社会を良くする第一歩だと痛感。
子供が出す多くのヘルプサインについても取り上げられており、子育てのヒントにもなる本だと思った。

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2025年12月27日

Posted by ブクログ

非行少年(用語として「少年」は女性も含む)たちは、知的障害には分類されないものの、学習能力・身体制御・社会性などの能力が不足している故に非行行動に至ってしまっている子が多いという説明をしている本


非行少年たちに、ただ「反省」を促しても上手くいない
問題を抱えた非行少年は「見る力、聞く力、想像する力」がとても弱く、自分のやった非行としっかり向き合う事、被害者の事を考えて内省する事、自己分析する力が不足している
そういった子は学校生活にも上手く馴染めず、イライラを貯め、その発散のために、または善悪の判断を上手く出来ずに誘われるまま暴力行為や犯罪に至ってしまう
そんな、本来は保護しなければいけない子達を、非行行動に至る前に如何に支援するかが非常に重要
という主張

非行少年たちとの面談で判明する事
・簡単な足し算や引き算ができない
・漢字が読めない
・簡単な図形を写せない
・短い文章すら復唱できない

現在は一般的に、IQが70未満で社会的な生活に障害がある人が知的障害と定義されている
この基準は1970年代以降のもので、1950年代の一時期はIQ85未満が知的障害とされていたことがある
ただ、この定義では全体の約16%の人が知的障害となり、あまりに人数が多過ぎ、支援現場の実態にそぐわないなどという理由で、基準がIQ70未満に下げられた経緯があるらしい
そのため、IQ70以下の2%を除くと、以前は「軽度知的障害」とされていたであろう14%もの人が現代は「知能に問題はない」という前提の存在として扱われている
時代によって知的障害の定義が変わっても、境界知能はである事実が変わるわけではないため、社会生活を送る上で困難を抱えているケースが多いとの事

また、知能指数の測定方法にも問題がある
知能指数を判断する項目は限定的なため、各項目の平均値で算出された知能でその人の特性は現せられない
知能を測定する前段階に必要な能力がない場合がある


鑑別書から送られてくる書類の紋切り型の文言
「自尊感が低い」
非行少年自身も「褒められ」たいと思っている事が多い
ただ、「褒める」だけでは問題の根本的な解決にならない
必要なのは、適切な自己評価
そして、適切な自己評価は他者との適切な関係性のなかでのみ育つ
自己評価は高すぎても低すぎても不適切であれば対人関係でトラブルを引き起こす


少年たちの能力が低い根本的な原因を理解できていない
原因がわかっても、どう改善すればいいかわからない
改善のための適した方法論がない
外国の手法をそのまま真似しても、文化的背景が異なるので効果は疑問

著者が発案した「コグトレ」による脳の機能を鍛える必要性
Cognitive Training(認知機能トレーニング)の略
見る力・聞く力・記憶力・注意力・想像力といった、学習や生活の土台となる脳の機能を鍛えるトレーニング
ゲーム感覚で行える
1日5分からでも始められる


受刑者が一人生まれると年間400万円の社会コストがかかる
もしそんな人が社会的に自立した生活ができるのであれば、逆に納税者として換算できる
経済的にも「困っている子ども」の早期発見と支援が欠かせない
学校教育においても、全ての学習の基礎となる認知機能面のトレーニングが必要



内容は大体知っていたので、然程の驚きはなかった
ただ、非行少年達のうち、何割くらいが境界知能なのだろうか?
普通の知能でも家庭環境から非行に至る少年も結構いると思っているのだけど
もしかして、境界知能でなければそんな境遇でも非行に至りにくいということなのだろうか?

読んでいて、「みいちゃんと山田さん」を思い出した
最近何かと話題に上がる作品ではあるけど
正にこの状況を描いているのだなぁ……


適切な支援と言うけれども、まず学校でその対象をスクリーニングするのが難しいと思う
小学校2年生くらいからついていけなくなるという事が書かれてあるものの
そのぐらいの年齢なら発達の遅い子も普通にいるだろうし
そんな子も一緒くたに特別支援学級に入れるべきとなると、それはそれで問題も多い
親の心情として、正常化バイアスが働いて「うちの子がそんなわけない」と頑なに受け入れないケースも多そう

普通学級でコグトレを取り入れるにしても、1日5分で十分なサポートにはならないだろうし
「できる」子にとってはいくらゲーム形式とは言っても飽きる
なので授業はどうしても平均的な子の学習能力に合わせたものになりがち

よしんばそんな子たちを選り分けられたとして
どうやって適切な教育を行うというのだろう?
今の学校にそんな配慮を行えるような余裕はなさそうに感じる


人口の14%が該当する区分になるのであれば
1学年100人程度の学校だとしたら、1学年で14人、6学年合わせて84人が対象になる
2学年ずつ1クラス作れるくらいになってしまう

やはり、保護者としては受け入れにくいでしょうねぇ


アメリカとかだとどうやってるんだろ?
向こうは日本よりも知能の分布は広そうだし、知能だけでなくそれまでの教育環境も影響してそうな多様性がありそう

まぁ、向こうは飛び級もあるわけで
逆に、できない子の場合は小学生の頃から自主的にもう一年同じ学年に留まる選択ができる州もあるようだ
ただ、その子にあった教育プログラムを提供出来てるのか疑問

まぁ、この問題は日本だけでなく先進国で世界共通の課題なのだろうとも思った

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児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。

目次
はじめに

第1章 「反省以前」の子どもたち
「凶暴で手に負えない少年」の真実/世の中のすべてが歪んで見えている?/面接と検査から浮かび上がってきた実態/学校で気づかれない子どもたち/褒める教育だけでは問題は解決しない/一日5分で日本が変わる

第2章 「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年
ケーキを切れない非行少年たち/計算ができず、漢字も読めない/計画が立てられない、見通しがもてない/そもそも反省ができず、葛藤すらもてない/自分はやさしいと言う殺人少年/人を殺してみたい気持ちが消えない少年/幼児ばかり狙う性非行少年

第3章 非行少年に共通する特徴
非行少年に共通する特徴5点セット+1【/ 認知機能の弱さ 】見たり聞いたり想像する力が弱い「/不真面目な生徒」「やる気がない生徒」の背景にあるもの/想像力が弱ければ努力できない/悪いことをしても反省できない【/ 感情統制の弱さ 】感情を統制できないと認知機能も働かない/ストレス発散のために性非行/ “怒り"の背景を知らねばならない/ “怒り"は冷静な思考を止める/感情は多くの行動の動機づけである【/ 融通の利かなさ 】頭が硬いとどうなるのか?/BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)/学校にも多い「融通の利かない子」/融通の利かなさが被害感につながる【/ 不適切な自己評価 】自分のことを知らないとどうなるのか?/なぜ自己評価が不適切になるのか【?/ 対人スキルの乏しさ 】対人スキルが弱いとどうなるのか?/嫌われないために非行に走る?/性の問題行動につながることも【/ 身体的不器用さ 】身体が不器用だったらどうなるのか?/不器用さは周りにバレる/身体的不器用さの特徴と背景

第4章 気づかれない子どもたち
子どもたちが発しているサイン/サインの「出し始め」は小学2年生から/保護者にも気づかれない/社会でも気づかれない「/クラスの下から5人」の子どもたち/病名のつかない子どもたち/非行化も懸念される子どもたち/気づかれないから警察に逮捕される

第5章 忘れられた人々
どうしてそんなことをするのか理解不能な人々/かつての「軽度知的障害」は人口の14%いた?/大人になると忘れられてしまう厄介な人々/健常人と見分けがつきにくい「/軽度」という誤解/虐待も知的なハンディが原因の場合も/本来は保護しなければならない障害者が犯罪者に/刑務所にかなりの割合でいる忘れられた人々/少年院にもいた「忘れ られた少年たち」/被害者が被害者を生む

第6章 褒める教育だけでは問題は解決しない
褒める教育で本当に改善するのか「?/この子は自尊感情が低い」という紋切り型フレーズ/教科教育以外はないがしろにされている/全ての学習の基礎となる認知機能への支援を/医療・心理分野からは救えないもの/知能検査だけではなぜダメなのか「?/知的には問題ない」が新たな障害を生む/ソーシャルスキルが身につかない訳/司法分野にないもの/欧米の受け売りでは通用しない

第7章 ではどうすれば? 1日5分で日本を変える
非行少年から学ぶ子どもの教育/共通するのは「自己への気づき」と「自己評価の向上」/やる気のない非行少年たちが劇的に変わった瞬間/子どもへの社会面、学習面、身体面の三支援/認知機能に着目した新しい治療教育/学習の土台にある認知機能をターゲットにせよ/新しいブレーキをつける方法/子どもの心を傷つけないトレーニング/朝の会の1日5分でできる/お金をかけないでもできる/脳機能と犯罪との関係/性犯罪者を治すための認知機能トレーニング/被虐待児童の治療にも/犯罪者を納税者に
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2025年12月22日

Posted by ブクログ

日経xwomanの「頑張らせたいなら「簡単な問題」「先に答えを見せる」が正解な理由」を読んで、昔流行ったけど読んでなかった!と思って読んでみた。
知的障害というと重度な知的障害を想像してしまうが、軽度の場合は気づかれにくいということに結構衝撃を受けた。そしてもしかして自分の子もコグトレが必要ではないか?と思った。調べてみるといろいろと楽しそうなテキストがでていることがわかったので見てみたい。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一時期話題になった本だが、センセーショナルな書きぶりではなく著者の真摯な危機感が伝わってきた。安易な褒める教育ではなく実践的なトレーニングをという主張には共感する。ただ、当時よりはるかにSNSが普及し残念ながら軽度知的障害のある人がさらに搾取されやすい社会になってしまっているのではないか。教育や訓練のスピードが追い付いていないことにもどかしさを感じる。

P6 認知行動療法は「認知機能という能力に問題がないこと」を前提に考えられた手法です。認知機能に問題がある場合、効果ははっきりとは証明されていないのです。

P28 ”苦手なことをそれ以上させない”というのはとても恐ろしいことです。【中略】問題が発生している場合の「褒める教育」は問題の先送りにしかなりません。

P37 先のことを考えて計画を立てる力、つまり実行機能が弱いと、より安易な方法を選択したりするのです。世の中には「どうしてそんな馬鹿なことをしたのか」と思わざるを得ないような事件が多いですが、そこにも”後先を考える力の弱さ”が出ているのです。

P87 身体的不器用さについては、発達性協調運動症といった疾患概念があります。【中略】5~11歳の子供で約6%いるとされています。

P100 クラスで下から5人程度は、困っているにもかかわらず診断がつくことはありません(IQ70~84)

P111 軽度の知的障害は、中程度や重度よりも支援をそれほどしなくてもいいというわけではないのです。

P123 ”褒める””話を聞いてあげる”は、その場を繕うにはいいのですが、長い目で見た場合、根本的解決策ではないので逆に子供の問題を先送りにしているだけになってしまいます。

P125 そもそも「自尊感情が低い」ことは問題なのか、ということです。【中略】大人でもなかなか高く保てない自尊感情を、子供にだけ「低いから問題だ」と言っている支援者は、矛盾しているのです。【中略】無理に上げる必要もなく低いままでもいい、ありのままの現実の自分を受け入れていく強さが必要なのです。

P131 今の学校では、こういった学習の土台となる基礎的な認知能力をアセスメントしてそこに弱さがある児童にはトレーニングをさせる、といった系統的な支援がないのです。

P136 社会で必要とされる柔軟性、対人コミュニケーションの能力、臨機応変な対応などはWISC検査では計られないので、IQは高いが融通が利かない、IQは低いが要領がいい、といった子供の問題や特徴は見落とされがちなのです。【中略】検査を受けたばかりに逆に支援が受けられなくなる子供たちをたくさん作ってしまうのです。

P150 自己に注意を向けることで自己洞察や事故内政が生じる背景に、自覚状態理論というものがあります。【中略】自己に注意を向けさせる方法として、他人から見られている、自分の姿を鏡で見る、自分の声を聴く、などがあります。

P153 子供の心に扉があるとすれば、その取っ手は内側にしかついていない。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

反省することもできない知能指数の犯罪者がいると言う事実。筆者は、しっかりと向き合って支援しようとしてて素晴らしいと思う。私は犯罪者を許せないので支援とかにお金もかけたくない必要ないと思ってしまう。

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2025年12月19日

Posted by ブクログ

「ケーキの切れない非行少年たち」は、少年院に入っている子どもたちの多くが、認知機能に問題を抱えているという衝撃的な事実を明らかにした本である。著者の宮口幸治氏は、児童精神科医として長年、少年院で子どもたちと向き合ってきた経験から、この事実に気づいたという。
本書で紹介される子どもたちは、ケーキを均等に切ることができなかったり、簡単な計算ができなかったりと、日常生活を送る上で必要な基本的な能力に欠けている。しかし、彼らは決して知的障害者ではない。むしろ、平均以上の知能を持っているケースも少なくない。
では、なぜ彼らはこのような問題を抱えているのだろうか。宮口氏は、その原因を「認知機能の偏り」にあると指摘する。彼らは、特定の能力は高いものの、他の能力が極端に低いというアンバランスな状態にあるため、社会生活を送る上で様々な困難に直面してしまうのだ。
この認知機能の偏りは、幼少期の虐待やネグレクト、発達障害などが原因となることが多い。また、貧困や家庭環境の悪さも、彼らの認知機能の発達に悪影響を与える。
宮口氏は、このような子どもたちを支援するためには、早期からの適切な教育と支援が不可欠だと訴える。彼らの認知機能の偏りを理解し、一人ひとりに合った方法で能力を伸ばしていくことが、彼らが社会の中で自立し、再び犯罪に手を染めることのないようにするために必要なのだ。
本書は、非行少年たちの実態を明らかにし、社会に警鐘を鳴らす一冊である。彼らが抱える問題は、決して他人事ではない。私たち一人ひとりが、彼らの存在を知り、理解を深め、支援していくことが求められている。

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

IQが基準値でも、他の箇所に問題があるかもしれない。そういう子たちは気づかれない。「知能は正常」と判断されるので、反社会的な態度を取ると「怠けている」「性格が悪い」と言われてしまう。そういう子たちにはただ厳しくするのではなく適切な方法で寄り添うのが大切だ。
自分の子供や周りの人がそうだった時、この本はきっと役に立つと思う。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

やはり学校教育の場も、1教育課程だけのなんたるだけでなく、もっと各所随所専門家たちで、常にupdate取り入れ目指さなきゃ、…っていうのが、この日本の未来にとってすごく大切なことな気がする。

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2025年11月27日

Posted by ブクログ

教育現場において対人関係や対人マナーを学ぶための授業がないことに疑問を持っていました。そんなことは学校生活や日常生活の中で自然に培われるものだと言われればそうかもしれませんが、運動や勉強ができなくてもいいから最終的にはコミニュケーション能力が大切。というのはかなり矛盾したことだと思ってしまいます。子どもたちがこれからの社会を生き抜いていくためにしっかりと授業に取り入れたり、何か活動をしていかない限り苦しんでいる子どもたちは救われないと思いました。また大人でも息苦しさを感じる世の中なら世の中を作っている大人たちが行動を起こさない限り、変わっていかないのかなと感じました。とても勉強になる一冊でした。

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2025年12月25日

ネタバレ 購入済み

新しい考え方に出会えた書籍

犯罪自体は良くない事で、判断能力に欠けておりなどニュースで聞くと、そうは言ってももし被害者家族だとしたら、許せるわけが無いと言う考えでした。
基本的には変わりませんが、
この書籍を読んで、自分たちのあたりまえの感覚を
もてない、知能だったり、そうなっている環境、
また、脳との関係、これを知っているかどうかで
自分の価値観が少し変わると思いました。

#深い #タメになる

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2023年03月11日

Posted by ブクログ

少年院に入所している非行少年を見てきた精神科医宮口幸治氏は、非行少年の抱える問題点に気がついた時が毅然としたそうです。非行少年は反省するということを理解していない、理解しないまま矯正しようとしても非行の防止という目的はなし得ないということに気がついたそうです。非行少年たちのIQは70から85の間という境界性知能と呼ばれる、生活に困難が生じるレベルでした。日本にはこのような知能の人たちが14%程度いるそうですが、社会ではどのように取り組んでいくべきか考えていく必要があるようです。 本書は、小学校受験を考えている親御さんに読んでほしい本です。この問題は、教育の問題と切り離すことはできません。

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2025年12月21日

購入済み

この本を読んでから少年犯罪がニュースで報道されると、何故こんなことをしたのだろう・・という疑問プラスもしかしたらこの本の内容に
書かれている少年少女のような感じなのかもしれないといった考えを持ちながら報道を捉えるようになった。
子供の頃から周囲の大人の気づきや対応次第で差が生まれるのかもしれない。すごくすごく難しい問題。読んで良かった。

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2022年09月13日

Aya

購入済み

子どもを持つ前に読めて良かった

漫画版の第1巻を読んだ後、購入しました。読書が苦手な方に漫画版、とてもおすすめです。
過去を振り返って、知らず知らずに見過ごしてきた発達障害、発達遅延、知的障害の人達もいるのだろうと思いながら読みました。将来自分に子供ができたら、そしてもしその子が何らかの障害があったら、どうやって育てていくべきなのか、考えさせられる書籍でした。
目に見えづらく、目を逸らしがちな、しかし向き合うべき少年達と彼らに関わる人々の苦悩をご自身の経験からわかりやすく説明してくれている筆者の方に感謝いたします。

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2021年05月16日

Posted by ブクログ

1時間程で十分読み切れる本であった。

非行少年たちの中には知的にハンディを持った少年がたくさんおり、彼らに彼らの罪を反省させるためには、そもそも彼らが罪を理解しているかどう認知しているかについて知る必要がある。

簡単な足し算や引き算の計算すらできず、認知が歪んでいる少年たちが自分の犯した罪について長々と説教くらったところで右から左に聞き流しているようなものであり、話の一部を理解できているかすら怪しい。

表現の幅が狭く自らの感情を思い通りに表現できずすべてを「イライラする」でまとめてしまうあたりにリアリティーを感じた。

これらの現状を打破するためには幼年期からの支援、つまり学校教育での支援が欠かせないことが明らかである。
現在の学校教育では、カリキュラムのほとんどが勉強のことであり社会に出てから必要とされる「社会性」を身に付けるための授業はほとんどない。
それでは本当に支援を必要とする子供たちは社会性を身に付けることもできずいじめにあったり、上手くコミュニケーションができないことで困るのは自明である。

筆者の著作であるコグトレや認知機能を向上させるトレーニングを積むことによって非行少年を減らすことができるかもしれない。

また、現在、刑務所に入る受刑者を1人養うのに年間約3,000,000円かかると言う試算があるらしい。

もしその受刑者の中の1人でも健全な納税者に変えられたなら、大きな経済効果がある事は明らかであると言うことだ。
平均的な勤労者の場合は消費税なども考慮しておおざっぱに計算すると、一人当たり年間約1,000,000円程度の納税が行われていると言うことらしく、1人の受刑者を納税者に変えれば、およそ4,000,000円の経済効果になると言うことである。

日本の国力を回復させるためにも、受刑者を納税者に変え、必要とする人たちへの早期の支援を充実させることがこれから必要になると考えられる。


多くの人が興味を持つようなトピックを選んでいるように感じられたので普段新書は読まないと言う人でも気軽に読めると思います。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

普段関わり得ない世界を知った 話題書ということで読んでみたが、子供もいないし、さらには非行少年と関わることのない生活を送っている自分からすると、全く知らなかった世界を知ることができた。
少年による犯罪のニュースを見ると、単に嫌悪感を抱いていただけだったが、本人も苦しんでいること、救おうにも救い方がわからないことがあるようだ。
きつい言葉で言うと、先天性のどうしようもない精神疾患かと思っていたが、学習によって改善ができるのならば、是非知見が広まるといいと思った。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

子を持つ親として、非常に示唆に富む一冊だった。

「褒める」「話を聞いてあげる」といった関わりは、その場の空気を和らげることはできる。しかしそれだけでは、子どもが抱えている本質的な困難は何も変わらない。問題を先送りしているに過ぎないのだと気づかされる。

大切なのは、できなくて悩んでいることに対して、できるようになるための具体的な支援をすること。環境調整や学び直し、本人に合った方法を一緒に探すこと以外に、根本的な解決はない。

また、本書で印象的だったのは「自尊心」についての考え方だ。
自尊心が低いこと自体は、必ずしも問題ではない。問題なのは、自尊心と実際の能力や状況が大きく乖離していることだという指摘には納得感があった。

大事なのは、低い自尊心を無理に持ち上げることではなく、低い自尊心の自分をそのまま受け入れられる強さなのだと思う。

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2025年12月27日

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犯罪を犯す少年たちが社会から「忘れられた」少年たちであるという点が印象に残りました。一見普通の子の様に見えていても、実際には歪んで物事が見えてしまっていることによって苦しんでいる…。でも社会からはその苦しみを見つけてもらえず、先のことを考える力がないため、その瞬間の欲望を満たすためだけの気持ちで簡単に犯罪に手を染めてしまう…という負のループに陥ってしまっていることに気づかされました。物事が歪んで見えてしまっている彼らを救うためにはどうすれば良いのかと考えさせられました。

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2025年12月21日

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世の中の知的障害者の9割?が軽度で、そのほとんどが周りの人には「すごく頭の悪い人」「協調性がない人」と思われる程度で支援を受けられない(本当は支援が必要なのに、本人すら気づいていない)と言う事実に戦慄した。自分が親になったらもう一度読みたい本。

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2025年12月16日

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学力試験や知能検査だけでは認知機能の弱さは見抜けず、一度「問題ない」と判断されると、本人や親の責任とされてしまう。しかし実際には、認知機能の低さなどを背景に学校からドロップアウトし、非行や犯罪を経て少年院に至るケースも少なくない。さらに、認知行動療法は一定の認知力を前提とするため十分に効果が出にくく、教育・医療・更生の支援がかみ合わないというミスマッチが生じている。

貧困との関連は本書では扱われていないものの、脳機能の弱さが学習や就労を阻害し、それが貧困につながるという負のループも指摘されている。こうした背景を踏まえると、脳の可塑性を生かした支援や訓練の確立を期待したくなる。

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2025年12月06日

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非行少年は認知機能に問題があり、そこへのアプローチが必要だという趣旨の内容。とても読みやすい本。

一つ反論したい点は、学校教育現場は、認知機能に問題がある生徒を気づいていないという点だ。正直教員は認知機能に問題がある生徒だと気づいている。しかしそこへアプローチする手段や時間もない。保護者の方も自分の子供を障害者扱いするなと言い、対応が難しいのが現状なのではないかと感じた。

一方認知機能トレーニングの向上をもっと教育現場でできたらなとか、トレーニング方法をもっと沢山知りたいなと感じさせられる本だった。

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2025年12月04日

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結局、子供勉強できるかできないかで幸福度が大きく変わる。グレる子供のほとんどが勉強できない。勉強できないと、学校行ったって楽しくないもんね。
でもそれが知的な障害ならば周りの大人が早い段階で気が付いてあげて、適切な施設で成長させてあげて欲しい。
それしか言えない。

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2025年11月25日

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認知の歪み、境界知能の関係があると。
本書の中にあるケーキの切り方なんて顕著に現れているよね。

恐らく本人も何かしらの違和感なりを感じているはず。

今でこそ発達障害など世間の認知も広がってきたけど。
やっぱり周囲の環境は大事よね、と。気付いてもらえたり、適切な対処が受けれたりしないと、ね。

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2025年11月24日

購入済み

新たな視点を持って

普通の大人になってから非行少年達に接する機会はほとんどありませんが、自分の子供時代を考えて、クラスでも何人か問題行動のある子達がいたな..と考えました。その子達の中には、非行に走った子もいましたが、彼らが知的に障害があった可能性もあることを考えさせられました。彼らの行なった非行に対して、「なぜそんなことを?」と思っていましたが、本書を読んで、ミョーに納得するところがありました。

#タメになる

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2021年05月24日

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