あらすじ
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
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Posted by ブクログ
裁判傍聴に行く機会があり、少年が引き起こした凶悪事件の裁判も傍聴したことがこの本を読むきっかけでした。
結論から言うと、読んで良かったなと思います。新たな視点が得られました。特に印象に残ったのが、最後の方にある「犯罪者を納税者に」という題材のお話です。納税されるはずだった税金は、受刑者になると納税できない。h29年度で56,000人が収容されているので、単純計算で年間2,240億円の損失が出ている(加えて犯罪による被害額もあるので、よりとんでもない量の損失が出ている)という記述を見て、犯罪者を減らすことによる効果が治安以外にもあり、日本の国力の根幹に関わってくる深刻な問題なのだなと実感できました。だからこそ、非行少年を正しい道に導く。子供に関わるお仕事の方や、子供を育てる予定のある方など子供に関わる全ての人に読んで頂きたい本だなと思いました。
匿名
大切なのは気づくこと
認知機能についてなど知らなかったことが多く、勉強になりました。褒める、話を聞くだけでは子どもは変わらない。根本的な解決が必要だと気づきました。
Posted by ブクログ
夫のご友人に勧められた本で、久しぶりに読み直してみました。子育てをしている人、していない人にもぜひ読んでほしい一冊です。
児童精神科医である筆者、宮口氏は、非行少年たちと出会う中で「そもそも反省できず、葛藤すら持てない子ども」が多くいることに気づきます。
そうした子どもたちは「認知機能の弱さ」によって、生きづらさを抱え、最終には非行少年となるのではと宮口氏は話します。
「非行少年の特徴5点セット+1」は以下の通り。
・認知機能の弱さ…見たり聞いたり想像する力が弱い
・感情統制の弱さ…コントロールできず、すぐにキレる。怒りは冷静な思考の妨げとなる。
・融通の効かなさ…思いつきでやってしまう。想定外に弱い
・不適切な自己評価…適切な自己評価は他者との関係性の中でのみ育つ
・対人スキルの乏しさ
・+1 身体的不器用さ…力加減が苦手、体の使い方が不器用
私に置き換えてみると、感情統制の弱さに課題を感じます。もちろん非行に走ったことはありません。
怒りの背景として、「自分の思い通りならない」。
根底にあるのは「相手への要求が強い」「僕は正しい」「こうあるべきだ」という歪んだ自己愛や固定概念があります。
本の後半には、非行少年たちが「変わろう」と思った動機づけのスイッチについて触れています。
ひとつは「自己への気づき」、もうひとつは「自己評価の向上」です。
まずは自分の行動を適切に評価する、そして「自分ならできる」と思えるように自己評価をする。
小2から徐々にサインが出てくるとのことだったので、もし自分の子にサインが見られたら適切な支援をしてあげたい。不真面目、やる気がないと決めつけないように。
事実として
自分にはあたりまえのことでも、
人によっては当たり前ではないということ。
ケーキを人数に切り分けるだけのことなんて
特別な訓練をしなくても当たり前にできるようになることだと、
大抵の人は思ってしまうが
現実として、それができないどころか
等分にわけるということも思いつかない人々がいて
そこには、善悪以前の課題があるということを
思い知らされた。
Posted by ブクログ
本書は少年院に入る程の犯罪行為をした少年心理についての内容なのですが、読んでて非行少年の心理特性が自分にも当てはまっているかもしれないと思い、ドキッとさせられることがありました。そのことについての勉強になりますが、自分のメンタルヘルスを振り返り、昨今の教育課題についても知る良い機会となる一冊でした。
本書の序盤は、重点的に非行少年の特性に触れており、「認知」と言う言葉が頻出しており、それも含めた下記の特徴を学ぶことができました。見る、聞く、想像する力の弱さに伴って、日本の総理大臣をオバマと答えたり、日本地図の北海道、九州を外国と答えたりと学力が極めて低いこと。A君がB君にあいさつしても返事がなかったとしたら、BはAのことが嫌いだから無視したと認識してしまうと。Bが気付かなかったことの理由に、Aのあいさつの声が小さかったからとかBは視力が悪くて気付かなかったと想像することが苦手な故に嫌われていると断固として思い込んでしまう特性があるとのことです。
さらに感情のコントロールが苦手なこと。普通の人は、ストレス発散に「〇〇する」の〇〇には、「運動」や「読書」が入りますが、非行少年はここに「万引き」や「喧嘩」が入ると。これは苛立ちや腹が立つという怒りの感情をセーブすることが困難な特性のせいであること。自己評価が不適切であり、他人の欠点を指摘する、悪事をしても「自分を優しい人間」と言う、プライトが高く、変な自信を持っているかその逆で自分に自信がない、この様な自己への歪んだ評価を修正させなければ更生することはできないと述べています。
ではこういう少年への更生はどうあるべきなのか、自尊感情が低いというのは理由として乏しいらしく、自己洞察と自己内省による正しい規範を作ることだと述べています。札幌のある地下鉄駅はかつて自殺の名所だったらしいのですが、ホームに鏡を設置すると自殺者が減少したことがありました。これは鏡の自分の姿を見て、自己規範が生じたことで、危険行動が抑制されたと考えられています。
最も感心したのは、現在刑事施設に収容されている犯罪者は56000人おり、施設費、人件費諸々で受刑者1人当たり養うのに約400万円かかるらしいのですが、仮に皆更生できたとしたら2240億円の経済効果という試算になるらしいです。犯罪者の更生が日本の国益に多大な経済効果があるということです。
Posted by ブクログ
たしかに、発達障害の話はよく聞くが知的障害のことはあまり考えたことがなかった。
注意されても、反省しろと言われても、何を言われているか、今がどんな状況か理解できなかったら意味ないな!と納得した。そして、自分自身について正しく認知する、ことの必要性がわかった。できないのになぜか自信がある、できるのに自信がないなど。
また、将来のことをうまく予想できない人が衝動的に犯罪などを起こしてしまうメカニズムがわかった。
私もコミュニケーションが成り立たない場面に出くわしたことあるし、自信がなさすぎたりするから、自分の弱みを客観的に知りたいなあ。
周りの関わり方に関して。ただただ褒めたり、怒ったりするんじゃなくて、その人の認知のレベルや得手不得手を把握した上で認知機能が向上するように支援していく必要がある、と理解した。私割とそれ普段からやってるかもしれない。非行少年に対してじゃないけど、相手がどのくらい理解できるか判断しながら喋ってるや。
でも、罪の意識がない人になぜ犯罪がダメなのかを教えるの、結構難しいかも。言葉にするのも難しいのに、言葉を正確に理解しにくい人に伝えるのはもっと難しいな。感じ方、感覚は人それぞれだしな!
そう。私、感情をペットボトルで表すやり方、なんでそれで理解できるようになるのかわかんないんだけど!比喩すぎて直結しなくない?
他にも疑問に思ったこととしては、障害を抱えている人=守らなければいけない弱い存在としていいのだろうか?本当に不平等なのか?不平等とすることは、人を下に見てしまっていて、本当にそれでいいのかなと感じる。だからユニバーサルデザインを目指した方が漏れなく支援を行き届かせることができるのでは?と思うけど、現実的な提案として書かれた本だから、社会がまだその段階にないんだろうな。
それに関連して、正しいことをするとか、正義とは?とか考えさせられた。
Posted by ブクログ
知的障害と非行少年の相関に着目した、とても興味深い本でした。
私自身知能に凹凸があることが大人になって発覚したため、共感せずにはいられない内容でした。
特に、第4章「気づかれない子どもたち」が印象に残っています。この章には子どもが発しているサインに対して教育者や保護者や社会が気づけないということが書かれていましたが、これを踏まえて自分自身の幼少期を振り返ってみると、自分自身も自分自身について気づくことができませんでした。つまり、自分を客観視する力が弱いということです。
「周りに馴染めない」「周りと何かが違う」というところは自覚できるけれど、その先の「どこがどう違うから馴染めない」という段階までなかなか辿り着けませんでした。
この本を読んで、周りに気づいてもらうことも大切だけれど、気づいて助けてもらった本人がいかに自分ごととして捉えて、自分を客観視して、社会との関係性を見いだせるかどうかにもかかっていると感じました。本人が自分の意思で挑戦して失敗をして学ぶことによって宮口さんが紹介していた「コグトレ」のようなものの効果が高まるのだろうと感じました。
Posted by ブクログ
題名は正直、違うだろと違和感をもつ。非行少年を見下すように感じていてなかなか手に取る気になれなかった。でもこの題でないと売れなかっただろうな。
でも、中身は、反省を強制する矯正ではなく、境界線知能ゆえになんでダメなのかがわからないまま問題を起こしてしまった人に対して、いかに共存できる人になれるのかを書いている
印象的だったのは、終章。
少年院の更生の教師として、
著者がいかにして、知能トレーニング等の必要性を感じ、教壇に立ったとしても、なかなか受け入れられなかった。それが、自暴自棄になって?おまえらやってみろ(苦労を知ってくれ)と、教師役を生徒に振ったら、一気にその取り組みは受け入れられたとのこと。
ずっとわからず、自分に自身も持てなかったのが、任されて自己評価がかわり、他人を観察できる余裕を持てるようになる。それが原因の一つかもしれない。
本来性善説を信じたいと言っていながら、何か問題があると、あいつは例外。悪人はいるとすぐ翻す。それを信じ続けた著者は本当にすごいと感心した。
新しい考え方に出会えた書籍
犯罪自体は良くない事で、判断能力に欠けておりなどニュースで聞くと、そうは言ってももし被害者家族だとしたら、許せるわけが無いと言う考えでした。
基本的には変わりませんが、
この書籍を読んで、自分たちのあたりまえの感覚を
もてない、知能だったり、そうなっている環境、
また、脳との関係、これを知っているかどうかで
自分の価値観が少し変わると思いました。