あらすじ
境界知能の子どもたちは、一見すると普通の子に見えます。
もしも、みなさんの知り合いに境界知能のお子さんがおられたとしても、なかなか気づかれないと思います。その子に道で出会っても、あいさつを交わして会話も成り立って、困っている子には見えないはずです。あるいは、わが子が境界知能の場合でも、客観的には普通の子に見えるのではないでしょうか。
「普通」の子に見えるのに、「普通」ができない――これは、境界知能の子だけではなく、軽度知的障害の子にも当てはまる場合があります。知的障害でも「軽度」というところがポイントで、一見すると普通の子に見えて、見過ごされてしまうケースがあるのです。本書では、「境界知能の子どもたち」と銘打っていますが、その内容は軽度知的障害の子にも当てはまる部分は大いにあります。
・授業についていけない
・友達とうまくつき合えない
・感情コントロールが苦手
……そんな困りごとがあれば、子ども本人のやる気や性格のせいだと片づけるのは早計かもしれません。
この本を手に取った方は、境界知能の子どもの親御さんや、クラスに「気になる子ども」のいる学校の先生、あるいは福祉や心理など特別支援教育の関係者の方が多いかと思います。
親や教師、周囲にいる大人は、その子のしんどさ、そしてしんどさの背景にある認知機能の問題に気づいてあげてほしいのです。
(「はじめに」より)
※カバー画像が異なる場合があります。
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Posted by ブクログ
IQ70〜84は境界知能と言われる。目立たないが勉強が苦手な子どもたち。情緒障害とは異なり、なかなか支援に結びつけにくい。その原因は認知機能に落ち込んでいることがあること。それが原因で自己肯定感が低かったり、成功体験が乏しく、将来的に対人関係づくりに支障がでることも。なかなか支援の対象として見出しにくいことが問題。そのためにはこういう知識を持っていることが大切。
Posted by ブクログ
伴走者が一番難しいわ!(笑)
答えを見せてから問題を解かせるというのはなるほどと思った。答えの丸写しに対する対応もよくわかった。要するに、あまりやいのやいの言わないこと。できなくても怒らない。一緒に確認しながらやる。親が寄り添う事が大事。自己価値を保つ、結果を焦らないこと。支援を諦めてしまわないこと。
親としては、子どもが仕事する年齢になったとき、明るく楽しく生きていて欲しいだけなんやけどな。そもそも社会が厳しすぎん?
困り感のない境界知能の人たちもいるから、そういう人たちからすると、知能検査とか支援学校とかの話題をされても不愉快なだけだろう。
障害を持つ全ての人に支援を、というよりは、困り感を抱く全ての人に支援が及べばいいと思う。その支援の数も種類も少ないのが問題なのかなと思った。
コグトレや出口式や陰山メソッドとか、学校でも勉強が苦手な生徒に寄り添う先生たちもいてくれるのはわかってるけど、全然足りないな、と思う今日このごろ。
この本は境界知能の子どもにどう支援をすればいいか、一定の指標がしめされているのでありがたかった。コグトレにも興味が出た。
Posted by ブクログ
支援級ではないないけれど普通級ではしんどい子たちに焦点を当てた本。当てはまる子は実は沢山いるはず。おとなしいと困り感に気づかれないまま大人になってしまうことも。そういう子どもたちが無理なく苦手を少し減らしていける方法が読みやすく書いてあります。
手の内を見せてくださる著者の本気が伝わります。
だけど大事なのはまず我々が困っている子にちゃんと気づくこと。肝に銘じなければ…。頑張る。
Posted by ブクログ
一読にとても良い!分かりやすい!
障害認定されるのも辛いモノがあるかもしれないが、人知れずうまくいかず、周りには「がんばれ」と声かけられる境界知能の子どもたちはもっと辛い。14%、日本人の7人に1人の割合で存在している間にいる人達にフォーカス、実態の解説から、支援方法など具体例も多く読みやすい。
5つの認知機能(記憶、言語理解、注意(は全般に)、知覚、推論・判断)に沿ったコグトレでのトレーニングでIQが上がる場合もある。一つでもできるようになる事は、苦手の克服は、本人のやる気や自信につながりとても良いかと。
数の概念「序数」順序を表す、「基数」個数や量を表す。
この基数概念が確立していないと、計算課題は難しいでしょう。別々に数の概念が発達するので、算数がわからずに苦手になってしまいます。 p.126
おはじきの空間を詰めておくと、同数がわからなくなる場合、数量としてとらえる中でも「保存の概念」その形や状態を変えても同じ、がまだ獲得できていないから。 p.127
まずその子の「できること」を増やし、自信をつけさせて連取を継続していく、ことが先決 p.130
キレる子の背景には「怒り」があることが多い。なぜかは「馬鹿にされた」「自分の思い通りにならない」と感じていることなほとんどだから。 p.172
安心感が奪われる時、人は「戦う」「逃げる」「固まる」のいずれかの反応を示す p.173
Posted by ブクログ
論理的に書かれ、具体的で境界知能について明確に理解することができる。
また、精神科医や少年医務院等携わっている著者だからこそ内容も深く、良い。
Posted by ブクログ
境界知能の子供達、子供の頃そのような感じの子は存在したと思う。
今の時代とは違う分からない事だらけで、ある意味数字の良し悪しで切り捨てられる事が多かった。
教師側が親身になって親と相談し良いところを伸ばしてあげていたら、大人になっても疎外感など持たずに済んだかもしれない。
完璧な人間は居ない、弱者に対して対応出来る世の中であって欲しい。
Posted by ブクログ
境界知能の子どもが抱える困難さを平易な文章でまとめています。読みやすい文章なので、もしかすると普段本を読まない人をも意識して執筆されているかもしれません。
境界知能については周囲からも気づかれにくいと本書でも述べられています。多くの人に知識として取り込まれれば、配慮の利きやすい社会になるかもしれませんね。
Posted by ブクログ
最近興味のある「境界知能」
仕事で境界知能のお子さんと関わり、認知機能が十分備わっていないことで、相当生きづらかったのだろうなと感じた。
「ケーキの切れない」でも、軽度知的障害や境界知能の子どもについて触れていたが、本作はより詳しく、非行に至っていないが生きづらい境界知能の子どもたちにスポットをあて、その支援者がどのような支援をしていけるかまで書いた良作。
コグトレ、実際は本人のモチベーションがなかったり、そもそも認知機能を高める必要があるという理解がなかったりで難しいのかもしれないが、「ケーキの切れない」よりコグトレが詳しく知れたし、必要性がわかった。現状ではベターな方法を提示しているのではないだろうか。
Posted by ブクログ
自閉症スペクトラム障害と同様に、知能レベルについても天才から一般人、知的障害者まで、スペクトラム状に分布しているだろうと想像していたが、IQを基準とした時の知能レベル正常域と知的障害の間を境界知能と呼ぶという事実は今回初めて知れた。
また恥ずかしながら知的障害と発達障害の厳密な区分けも把握しきれていなかったためとても参考になった。
介護士時代に対応した各種障害者たちの特徴や、これまでの人生で関わってきた、障害者ではないけどコミュニケーションがうまく取れなかったり勉強や技術面でレベルの低かった人たちの特徴が合致していてとても腑に落ちた。
本書で興味深かったのは、コグトレによる認知機能トレーニングによって機能の改善が見られること。
大学レベルの課題には高校の授業がついていければ大丈夫と言われる。
そして高校の授業に着いていくためには中学レベルが、中学の授業に着いていくためには小学校の授業をしっかり理解していることが必要となる。
では小学校レベルの基礎となると、コグトレで試される認知機能が該当することになる。
正常域の子供たちは小学校に入学するまでの日常生活や保育園・幼稚園での体験を通して認知機能を育んできているが、境界知能域、知的障害域の子たちはそこに比較的遅れが生じているわけだ。
私にしても、当時の同級生たちにしても得意不得意があったし、何らかのこだわりや葛藤などがあった。
それが学生生活が進んで行く中で徐々に整われていき、今に至る。
思うに、当時の、同級生よりも劣っているが故に悔しかったり悲しかった科目は、ある特定の認知機能の成長が平均よりも遅れていたが故に生じていたのだろう。
うちの子供は現在2歳半で今のところは知的・発達障害等の前兆は見られていないが、今後の学習や人間関係の中で、本書で得た考え方は自尊心や他者理解、自己理解を育てる上で参考になると思う。
Posted by ブクログ
宮口先生の著書は何冊か拝読しているが、大体が「いかにコグトレが素晴らしいか」にフォーカスしており、手前味噌感が強い…でも、序章の境界知能の子供たちが12%ほどいること、彼らが抱える問題などはわかりやすく、どう対処していくべきかも明確に書かれている。
Posted by ブクログ
実行機能を支えるもの。
認知機能の強化。記憶→言語理解→知覚→推論・判断の順番。それを下支えする注意機能。
コグトレの年齢の目安が書かれていてわかりやすかった。
鵜呑みにせずにあくまでも「目安」として使っていきたい。
Posted by ブクログ
再読。発達方面で仕事をしていたこともあるし、今もかかわっている。ときどき自閉系でもなく、多動があるわけでもない、でも集団行動になじめない、という子はいるものだ。院生時代、Mikd mental retardationというのは、論文で読んでいたし、知識がないわけじゃない。ただ、統計上何人に一人は必ずここにあてはまる、といわれると、どこかキツネにつままれた、という気はしてしまう。能力で統計をとると、正規分布を描くし、一定の割合この中にはいるというのは、理屈ではわかるんだけどね。
実行機能の役割とか、最近読んだ別の本でも出ていた。自分が論文を書いていた時、プランニングとか実行機能って研究してみたいと思ったものだけど、当時はWiscにしてもK-ABCにしても、そこまで明確に実行機能に言及はしてなかったんじゃないかなぁ。CASはまだ英語の論文が出ていた程度だったし。時代の変化を感じるね。
Posted by ブクログ
一番しんどいのは子ども本人である。
子どもを理解することから始める。サインは様々な箇所から出ている。子どもを観察するには子どもの目線に落として、何に困っているのかを見ること。そしてしっかりと子どもの話を聞く。大事なのは傾聴の姿勢。アドバイスは求められたら伝えれば良い。
子どもの能力、IQは伸ばせる可能性は否定されていない。
子どもの成長のゴールは自立。周囲の大人はその自立を支える、というよりは伴走者、という例えが相応しいのかも。
宿題したの?という声かけは無意味。一緒に勉強しよう、の声掛けのほうがまだ良い。
Posted by ブクログ
自分自身も出来ることと出来ないことの差がはっきりしているタイプだと思うので,この書籍を読むと少し心が苦しくなる。他人が当たり前に出来ることが出来ないとどんなに苦しいのか?それが学校という場で起きた時のインパクトは計り知れない。子どもにとっては学校が世界のほぼ全てだからな。
Posted by ブクログ
認知機能の弱さが対人関係のつまずきにもつながることを学びました。子どもたちの可能性を潰さないように、大人も焦らずに前向きに関わっていけたらいいなぁと思いました。
Posted by ブクログ
知的障害とか境界知能とか、人をカテゴライズしてしまうのはよくない、と思いながらも、実際にそういう人がいる。
IQが低くても社会生活に問題がなければ知的障害と括られることはないし、境界知能も然り。
しかし、境界知能の場合は、よりわかりくく社会に溶け込んでしまっている。
言ったはずの事がさっぱり伝わっていなかったり、というのが、実は境界知能で…ということもありうるんだけど、とはいえ、本書は子どもを支援する人のための本だ。そして驚くことに、知的障害の認定基準は自治体によって違うんだとか。
そうなるとますます、いわゆる境界知能への理解が遠のいてしまうかもしれない。
子どもと直接関わることのない僕のような立場でも、こういう本に触れて理解はしつつ、偏見の目は持たないようにしたい、が、そんな綺麗事ばっかりじゃ済まないかもな…なんて思ってしまったり。
内容は平易かつ確認や支援の方法が書かれているので、当事者にとっての入り口にはとても良いのでは。
Posted by ブクログ
wiscⅤの解説があったので手元に置いておきたい。
あとは基本的なことかなぁ…
小学校で担任か通級の担当するなら必読。
後半はコグトレ解説になっている。
コグトレいつかはやってみたいんだけどねー…