【感想・ネタバレ】境界知能 存在の気づかれない人たちのレビュー

あらすじ

“境界知能”という言葉をご存じでしょうか?

IQ70以上85未満の生きづらい人たちで、本当は支援が必要なのに見過ごされてしている人たち――。近年、インターネットを中心に注目が集まっていますが、その正しい理解をしている人は多くありません。

本書は、まさに境界知能の少年たちを取り上げた、シリーズ累計170万部超の『ケーキの切れない非行少年たち』シリーズの著者・宮口幸治氏による、境界知能について最新の知見を集めた一冊。

『ケーキの切れない非行少年たち』では、非行少年たちを通して境界知能の問題にスポットを当てました。ただ、境界知能の存在について述べただけで、これまでどういった背景や問題があったのか、どのような特徴があるのか、どういった支援が効果的なのかといった具体的なところまでは記していませんでした。

本書では、境界知能の具体的な特徴を軸に、身近な事件やこれまでの歴史、認知的特徴、近年の動向について解説していきます。

第1章では、境界知能が絡んだ近年の事件、学校でも気づかれない実情、社会での様子などを紹介し、なぜ境界知能に注目すべきかについて記しています。

第2章では、これまで論じられてきた境界知能をめぐる問題や歴史的経緯、知能の問題、これまでの取り組みについて、軽度知的障害と絡めながら説明していきます。

第3章では、境界知能の具体的な特徴について解説していきます。本書の核となる部分でもあります。おそらく境界知能の種々の認知的特徴や社会行動、運動面について具体的に記した書籍は国内では本書が初めてかと思われます。

第4章では、境界知能の国内の動向、海外の研究動向、国際会議などについて紹介しています。

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Posted by ブクログ

■境界知能は人口の約14%。1億2317万人として約1700万人、実に7人に1人が該当するが、その存在が気づかれていない。
■内閣府の障害者白書(令和6年度)によると知的障害者は109.4万人で人口の0.9%。一方知的障害者理論的には約2%いるとされているので、半数以上が認定されていない。
■境界知能の子供は同じ年齢の子に比べて知的能力が役7〜8割程度とされている。
■通常、言語は3歳までに言語知識、話し言葉、聞き言葉の基本を獲得し、4歳には完全な言語として発達すると言われている。
■言語獲得のアプローチ
・行動論的アプローチ:模倣と強化により言語を習得
・統語論的アプローチ:子供は生まれつき言語獲得装置を持っている
・意味論的アプローチ:子供は伝えるための手段として言語を使用する
・語用論的アプローチ:子供は大人との相互関係の中でコミュニケーション能力を発達させる
 いずれのアプローチにしても知的な障害があれば言語の発達に遅れが生じる。
■知的障害児を持つ保護者は、より教訓的で侵入的なスタイルで子どもとの相互関係を持とうとする傾向があると言われている。それが子供の主導性を阻害して子供を受容的にしてしまい、動機づけの発達を妨げてしまう。
■知的障害については、障害だけで反社会的行動を引き起こすといった直接的な因果関係は、今日まで認められていない。一方で反社会的行動を起こす対象となる人達には知的障害の割合は、一般人口における知的障害者の割合よりも高いことは様々な調査で明らかにされている。
■内田扶喜子らの報告
・知的障害者の犯罪は単純な様相であり警察に認知されやすい、自白しやすい
・被害弁償や反省の弁を言語化しにくい、本人の身元を引き受ける監督者がいない
・教育を受ける機会が限定的で雇用の機会も限定的。容易に失業し住居も不安定
・経済的に不安定になりがち
・社会的に孤立している
・自尊心が低く暗示を受けやすい
・他者から認められたい、集団においてステータスを手に入れたい状況で、反社会的な集団に入ると外的指向性の高さから行動の他律性が高まる
■子供は対人面・社会面では親や教師などモデルとなる人物を観察し模倣する(モデリング)ことで、適切な行動を学んでいくと言われている。
■境界知能の発生要因
 遺伝的要因、出生前・出生時の環境要因、社会的要因が関与していると考えられている。
・遺伝的要因
 一部の染色体異常が境界知能のリスクを高める可能性があるとされている
・出生前・出生時の環境要因
 低出生体重や早産時は境界知能を発症するリスクが高い。妊娠中のアルコール・薬物摂取、母体の感染症など
・社会的要因
 低所得家庭に生まれた子供は栄養不良や教育的刺激の欠如により境界知能のリスクが高まる

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2026年04月04日

Posted by ブクログ

境界知能という言葉をご存知でしょうか?
近年、テレビやインターネットで取り上げられる機会が増えている言葉です。いわゆる知能指数(IQ)が74〜84であればそれに当てはまります。
また、反社会的な行動をとってしまう方々の中には、境界知能の特性を抱える場合が多いとも言われています。
なぜこの本を読もうと思ったのか?きっかけはインターネットなどで行われる議論の中で、つい感情的になり、相手を貶める為に「境界知能そうだな」などと書き込むコメントを見たからです。得てしてこういった言葉は相手を貶める言葉に使われがちです。
しかし本当にそれでいいのでしょうか?
本書では犯罪を犯した人たちの中に境界知能を抱えた人たちがいる事を示した実例を挙げつつ、「こういった人々を、どう社会が支援していくのか?」という問いに繋げていきます。境界知能…こういった言葉は人を貶める為ではなく、支援が行き届かず、苦しみに喘いでいる方々を視覚化する為に作られた言葉です。
境界知能を抱えた人々は約7人に1人だとされています。私達に出来ることは知識を持ち、そういった方々を支え共に生きる努力をしなければならないと、本書を読んで感じました。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

「ケーキの切れない非行少年たち」の著者が境界知能(定型発達と軽度知的障害の間)について論じた一冊。注目すべきは人数の多さ(人口の約14%)、存在の気づかれなさ、適切な介入で改善される可能性をあげています。なお、刑務所にいる人たちの約4割が境界知能に相当するとか。軽度知的障害と違い、これまであまり研究されておらず、今回著者は境界知能がこれまでどのように扱われ、定義されたか、そしてどのように対応していけばいいかをまとめています。少々専門的に書かれていますので、著者の「ケーキの切れない…」や「どうしても頑張れない人たち」を先に読んでいた方が理解しやすいかもしれません。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

境界知能についてより深く専門的に知りたい方向けの一冊です。中盤から後半は専門的な用語が多くて戸惑いましたが、「ケーキを切れない非行少年たち」よりももっと具体的に境界知能について知る一助になったと思います。境界知能児は、妊婦の外的な影響(アルコールや薬物接種)でも生まれる可能性が在り得ることは、得心がゆきました。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

支援の現場で、境界知能だなと思うケースが多く、端的にタイトルになっている本書を見つけたので読んでみたのだが、ある程度、発達心理学とか認知心理学とか障害福祉関連とか、そのあたりの知識がないとちょっと難しいかも。

丁寧に説明してくれてはいるが、結構学術的な記述が多くて、それなりに臨床での経験がないと理解しにくい。
文字組みも大きくてページ数も少なくて新書だし、と『ケーキの切れない〜』シリーズと同じような感覚で手にすると面食らうかもしれない。
ただ、実際に臨床場面でそういう人たちに接している人には、具体的にどう援助するのが効果的か説明があるので助けになりそう。

最終章で言及されているジローナ宣言は、境界知能について、その概要や起きやすい困難、支援が必要な課題など、細大漏らさず、かつわかりやすく説明してくれているので、境界知能って?と思う人はここから読むといいかもしれない。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

ケーキの切れない非行少年たちが気になっていて、シリーズ著者の最新刊が出ていたので読みました。

内容は、境界知能(普通と障害の間)の最近の研究をまとめたものです。
7人に1人がこの境界知能にあたると知りとても驚きました。
しかし、これだけ多くの境界知能者がいるのに世間の認知は低く不思議思いました。

境界知能が、認知されることで救われる人もいるし、差別される人も出てくるかもしれない。
かなりデリケートな問題だと思いました。

本文は専門用語が、いっぱい出てくるので論文調が苦手な方は、読むのが大変かもしれません。

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2026年01月17日

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