長谷川まりるのレビュー一覧
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大人だけどためになった。
ミステリーの形式をとったバウンダリーを学ぶ本。
当事者だけじゃなく、周囲の大人にも読んで欲しい本。
主題とは別で、細かく思春期の悩みごとが書かれていて、学生生活真っ只中の若者には、何かしら気づきがあるんじゃないかな?
学生独特の、夏休みを挟んで、クラスのグループ編成が変わる感じとか、
オタク友達が、高校デビューして付き合い悪くなる感じとか懐かしい〜と思いながら
おばさんは読んでました。
★明日の私に
公認心理士の監修が入っていたり、
巻末に参考文献が書かれていたり、
信頼できる本だと思われます。
★私的な関連本
「わたしはわたし、あなたじゃない」鴻巣麻里香
「モヤ -
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夏休みに読書感想文の宿題が出されている子どもたちも多いと思う。
本屋さんに行くと、課題図書やおすすめの本がたくさん並んでいた。
その中にあった本書。
児童文学にしてはなんとも印象的なタイトルだ。
そして本を開くと、一文目は
「杉森くんを殺すことにしたわたしは、とりあえずミトさんに報告の電話を入れた」
え、いきなり殺人予告?
ミトさんって誰?
と疑問符いっぱいの始まりなのだ。
もうすでに引き込まれてしまっている。
でも次第にわかってくる。
杉森くんはどんな人なのか、ミトさんは「わたし」にとってどんな人なのか、「わたし」とそれぞれの人との関係性…
この話は物騒な物語ではなく、もっと深刻な話だ。
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ネタバレおもしろかった!
呼人と呼ばれる“何かを引き寄せてしまう人“たちの短編集。どの話も読後感が良いので、私の好きなタイプの本。
雨を引き寄せてしまう紫雨と、かつて絵で紫雨に負けて悔しいと思っているあかり。でも、負けたと言う思いはあかりが一方的に思っていただけで‥。こういう負けず嫌いな気持ちわかる。
表紙はたんぽぽを引き寄せるつづみ。つづみは母親との関係に悩む。
鹿を引き寄せるツトムは、自分が呼人になった事を知りショックを受ける気持ちが丁寧に描かれて共感できる。
小林さんは、呼人支援局の職員。何気にこの後の話にも登場する。
男を寄せる彗正の話。実はこれが一番好きかも。
最後は鳥を寄せるくいなと真帆の -
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現在活躍中で人気の児童文学作家さん達の
中学生にも納得できる
ジェンダーフリーアンソロジー
こんな素敵なアンソロジーが読める中高生は
なんて恵まれているんだろうと感動さえしてしまいました
朝井リョウさんの「正欲」をはじめ
ジェンダーフリーを難解にしすぎているのかもしれませんね
昔の中高生には、少し物足りないところもあるかと思いますが、6人の作家さんにもとても興味を持ちましたので、作家と作品を記録しておきます
「Peony」
漫画 鎌谷悠希
2000年月刊Gファンタジー「華屋」デビュー
2008年「隠の王」テレビアニメ化
peonyはお花の芍薬
男女による香りの性別の違和感
「女子高か、共 -
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ネタバレYAの作家もいろいろだけど、かなり独特の作風の長谷川まりる(ちなみに綴りはMarie Lou)。
自分の意思とは無関係に、何かを呼び寄せてしまう人、「呼人(よびと)」を巡る連作短編集。
この作品の世界では五万人に一人の呼人がいて、呼人と国に認められると、何を呼ぶかによって支援があったり、制限を受けたりする。
呼人は同じところに留まれない。だから旅をする。旅をしたいからするのではなく、旅をせざるを得ないのである。
学校に行けなかったり、友達と遊べなかったり、親とギクシャクしたり、自分を疎ましく思ったり。そしてそもそも自分の意思とは関係なく、何かを呼んでしまうというのが、かなり辛い。
5番目の物語 -
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ネタバレ【収録作品】
1 スケッチブックと雨女
2 たんぽぽは悪
3 鹿の解体
4 小林さんの一日
5 男を寄せる
6 渡り鳥
「呼人」とは、なにかを引き寄せる特殊体質をもつ人のこと。原因不明だが、差別の目で見られることも多い。定住できず、旅をして暮らさざるをえない。
これが特殊設定ミステリとかSFだったら、異能力戦隊ものみたいになるのだろうけれど、彼らの送る日常生活が描かれている。
望んだわけでもない特殊能力が突然発現し、しかもコントロール不可能というのはとんでもなく不自由だし、孤独だろう。
当事者と支援者、家族との間にですら大きな溝がある。
それでも、人との出会いを通して、前を向いて進んでいく姿 -
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この本の中で描かれる呼人は、実際にはいない特殊体質の人たちのことだけれど、現実世界には呼人と同じような扱いを受けているマイノリティの人たちはたくさんいる。
その人たちに対して、本書に出てくるような理解ない人たち、配慮の足りない人たちのような振る舞いを、果たして私はしていないかと、我が身を振り返りながら読んだ。
特に母と子の関係については、勉強になることも、反面教師にしようと思うことも書かれていた。
自分の体質や育つ環境は、選ぶことができない。
でも、その中でも選択できることはあるのだということ。苦しんでいるあなたを見て、心を痛める誰か、助けになりたいと願う誰かがいるのだということ。
もし呼人