長谷川まりるのレビュー一覧
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ネタバレ
長谷川まりる作品3冊目
『杉森くんを殺すには』『お絵かき禁止の国』と読んできたけれど、本作は初のファンタジー(非現実)要素がある。あと、三人称叙述(かなり主人公に焦点化はしているが)。
特定の生き物などを物理的に引き寄せる体質の「呼人」が制度的にも一応包摂されている現代社会を舞台にした、呼人やその周りの人々の物語が6つ収められた短編集。
明らかに、呼人は現実に存在する、偏見と抑圧と差別に晒されるいろんなマイノリティのファンタジックな比喩として読める。他の作品でも一貫して、周縁的な立場の人々、特に子どもたちに寄り添った物語を紡いできた作者だからなおさらだ。
その上で、第5話「男を寄せる」はなかなかに凄かった。人間の「男」を引き寄せてしまう呼人であり、かつ、トランス(ヘテロ)男性でもある慧正と、おそらく被虐待児である三つ葉の邂逅を描く。
マイノリティ属性全部盛りみたいな設定の短編で、流石に図式的な設定ありきで作りすぎだろうとも少し思えど、しかしながら、こうした「設定てんこ盛り」だからこそ描ける境地にしっかりと至っている。
凄いと思ったのは、二重のマイノリティである成人の慧正が、三つ葉を「タイプ」だと感じて、ホテルに一緒に暮らすことをなんだかんだで受け入れて都合よく利用していることの加害性・危うさにまで光を当てていたところだ。「可哀想」な慧正にも、他の人々と同じように当たり前の欲望があり、それは他者を都合よく利用して抑圧する危うさをはらんでいるということ。そこまで描いてようやく、マイノリティを単なる記号に押し込めず、しかし安易に「みんな同じ人間」などという、構造的な被抑圧性を等閑視する態度にも堕ちずに、きちんと寄り添ったフィクションとして成立するのだろう。本当にこの作者はうまい。
しかも、第4話の密着取材回で呼人支援局の優しい働き者としてポジティブに描いていた小林さんを、慧正視点から見ればかなりいい加減で問題点が多々ある人間だと明らかにするところもエグい。
また、第3話でとびっきり瑞々しいシスヘテロ関係を紡いでからの、第5話でまた違った形の、危うさがある「ヘテロ」恋愛を扱っているのも素晴らしい。
第6話の真帆さん、あまりにも(呼人などに)理解がありすぎる超人的なキャラで笑ってしまった。2人の関係めちゃくちゃ好きだけど。
最後に「旅をする」というタイトルの主題を人類史・人類学のマクロな視座から分析して再解釈していくのとても良い。けっきょく自らの手でものを調べて学んでゆくことが、子どもの健全な発達には大切だという児童文学の芯をきちんと提示しているところも最高。
本作における呼人は、わたしが大好きな国シリーズにおける「天狗」であり、『ヒラヒラヒヒル』における「ひひる」のようなものだろう。
被差別民のファンタジックな表象を扱う現代ローファンタジーが好みなのだと気付いた。
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Posted by ブクログ
『杉森くんを殺すには』の著者、長谷川まりるさんの最新作。心に大きな傷を負った女子高生の再生に向けたファンタジーな物語。
心に傷を負い、高校を退学し、母と二人で祖母が住んでいた田舎に引っ越してきた梓未。古い家を改築し、花屋を営む母を手伝い、通信制の高校で学び始めた。そんなある日、屋根裏部屋の小窓をのぞくと咲く季節が違うはずの花々が咲き乱れる不思議な花畑を見つける。その花畑は古めかしい浴衣のような和装の女性〝ひい〟が世話をしていた。彼女と仲良くなった梓未は、美しい花と自分が持っていたものを交換してもらうようになるが、次第にひいの態度が変わっていき……。
ちょっとホラーなファンタジー。200ページちょっとのYA向けだから、早ければ1日で読み終わる。
中盤、日本昔ばなし的な背筋が凍るような場面もあるけど、最後は丸くおさまった。
親って一番身近な存在だけど、なかなか本音で話せないことも多い。きっと我が子たちも隠し事をたくさんしてるのだろうなぁ。全てを曝け出せなくてもいいから、ちょっとしたことでも話せる関係性でいたいと願ってる。
しかし、ひいは最後どうなったんだろう。 -
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最近手にした本が重たいテーマが続いたので
長谷川まりるさんの新刊児童書で癒されよう…
と手にしたけれど、美味しそうな表題とは裏腹に思いのほかこちらも考えさせられる物語。
有名シェフの息子シャールと天才的な味覚を持つ貧しい育ちのアズレ。
食死病という奇病の流行に振り回される二人の人生…
長谷川まりるさんは、なかなか奇抜な架空の設定の小説を書かれるから毎回辻褄合わせが大変だろうなあと思う。でも、児童書であっても丁寧な取材をもとに描いているのだろう。いつの間にやらまりるワールドに没入してしまう。
今回も食を通して生きることについて考えさせられる物語だった。
コンビニ弁当やお惣菜などが簡単に手に入り、添加物で味付けされた食品にあふれた現代。
畑から収穫したまのま野菜や絞めたばかりの肉から料理することができない人が増えていると思う。
子ども達だって、丁寧に料理するプロセスは見たことがないかもしれない。
マリー・デジャルダンさんの素敵なレシピは読んでいるだけでワクワクするし、どんな味だろうと想像が膨らむ。
一から、心を込めて作る料理の素晴らしさに子ども達が気づいてくれたら…と思う。
そしてまりるさんが一番伝えたかったのは、
相手に対する思い込みを捨てることで、相手を知ることができるということなのかなと思う。
シャールはアズレを天才だと思っていたけれど、本当は苦しみの中で生きるために必死だっただけ。
シャールは気づいた。
「アズレの才能は祝福ではなく、むしろ呪いだった」
シャールがアズレの苦しみを理解できたことで、分かり合えたし、二人の理想を追求できた。
こんな素晴らしい友情があるんだとぜひ子ども達に伝えたい。
古典児童文学はちょっと苦手という子どもでも、これはきっと読みやすい。中世の雰囲気を味わえて、古典に興味を持ってくれるかもな〜などとまた期待が膨らんでしまう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった!
呼人と呼ばれる“何かを引き寄せてしまう人“たちの短編集。どの話も読後感が良いので、私の好きなタイプの本。
雨を引き寄せてしまう紫雨と、かつて絵で紫雨に負けて悔しいと思っているあかり。でも、負けたと言う思いはあかりが一方的に思っていただけで‥。こういう負けず嫌いな気持ちわかる。
表紙はたんぽぽを引き寄せるつづみ。つづみは母親との関係に悩む。
鹿を引き寄せるツトムは、自分が呼人になった事を知りショックを受ける気持ちが丁寧に描かれて共感できる。
小林さんは、呼人支援局の職員。何気にこの後の話にも登場する。
男を寄せる彗正の話。実はこれが一番好きかも。
最後は鳥を寄せるくいなと真帆の友情の話。これも好き。 -
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現在活躍中で人気の児童文学作家さん達の
中学生にも納得できる
ジェンダーフリーアンソロジー
こんな素敵なアンソロジーが読める中高生は
なんて恵まれているんだろうと感動さえしてしまいました
朝井リョウさんの「正欲」をはじめ
ジェンダーフリーを難解にしすぎているのかもしれませんね
昔の中高生には、少し物足りないところもあるかと思いますが、6人の作家さんにもとても興味を持ちましたので、作家と作品を記録しておきます
「Peony」
漫画 鎌谷悠希
2000年月刊Gファンタジー「華屋」デビュー
2008年「隠の王」テレビアニメ化
peonyはお花の芍薬
男女による香りの性別の違和感
「女子高か、共学か。それが問題だ!」
小林深雪
1990年デビュー
青い鳥文庫 「泣いちゃいそうだよ」シリーズ
漫画原作「キッチンのお姫さま」
第30回講談社漫画賞
女子高こそジェンダーフリー⁉︎
と、好きな幼馴染と別の中学になり
幼馴染の男の子に紹介された好きな人の考え方
本当の平等なミライを感じる
「チョコレートの香りがするね」
にかいどう青
青い鳥文庫「ふしぎ古書店」シリーズ
講談社タイガ「7日目は夏の扉」
MtF、FtM、 SOGI
このソジという性的指向への思考
「チキンとプラム」
長谷川まりる
2022年第53回日本児童文学者協会新人賞
「お絵かき禁止の国」
2024年野間児童文学賞 「杉森くんを殺すには」
2025年第7回ほんま大賞「呼人は旅をする」
父親の昭和的家庭内セクハラジョークへの対抗
家庭での話し合い
家庭で性的な意見を言って解決できてこの家庭がすごく良い
これは読み込んでしまった
確かに昭和の時代、鳥肌が立つほど気持ち悪い
状況があったんですよ
「いわないふたり」
如月かずさ
2012年第45回日本児童文学協会新人賞
「かえるの歌姫」
少女達のセクシャルマイノリティ
「羽つきスキップ」
水野瑠美
2014年第59回講談社文学新人賞「14歳日和」
少年が知る大人になる為の知識と優しさ
羽付は、例の羽付です
「いつかアニワの灯台に」
菅野雪虫
2005年第46回講談社児童文学新人賞
「ソニンと燕になった王子」
母娘と娘の友人達と
子供という呪縛
性別にライフプラニングという固執