長谷川まりるのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
児童書でこの重厚感の本ってあるんだなーと驚いた
今の社会って、学生っていう多感な時期にすごく多くの情報に触れるし、昔より絶対見えてる世界が広いと思うけど
けど本人たちの心はすごく狭い世界で生きていて
縛り付けられてることが多いと思う
性別問わずカーストって言葉が当たり前になってる世界で生き抜いていくことを強要されてるのは残酷だよなー
もちろんその世界の外で生きていく人もいるだろうし、立派に戦い抜く人もいる
けど、それができない人も当然いるわけで、本来なら生きていける人もちょっとのきっかけと巡り合わせで生きることを諦めたくなることもある
もう変わってしまった社会を根本からやり直す事はできないし、それで解決するような問題ではないからこそ
どれだけ手を差し伸べられるか、その機会を増やす仕組みづくりをできるか
自分にできることをやるしかないんだろうな
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Posted by ブクログ
児童用。
小6娘や夫からも高評価だったので読んでみた。
「杉森くんを殺す」ってどういうことだ…?
そもそも杉森くんって実在?
自分の中の好ましくない幻影が杉森くん?
などと最初は考えを巡らせていたけど、物語が展開するにつれて明らかになる過去や杉森くんの正体。
読者は一番突き放された状態でスタート。んー?…もしかして…ああ…なるほどね…そういうことがあったのね…と少しずつ追体験しやすくなってくる。
ちょっとした言い回しの楽しさや高校生の若々しさも感じられながら、大切なテーマを児童文学でしっかり描いている。大人が読んでも文学としても面白い。
これは小中学生にも、その親たちにもお勧めできる作品。 -
Posted by ブクログ
何かを呼びよせてしまうという特異体質があるせいで2週間ごとに居場所を変えなければならない「呼人(よびと)」をめぐる連作短編集。
自分の立ち位置と折り合いをつけて達観した人と、そのクラスメート、特異体質が判明したせいで母からうとまれ、そのことがトラウマになってしまった人、今まさに自分が呼人であることが判明してうろたえる人、呼人を支援する役所の人、男を引き寄せてしまう人と、なぜかそこに寄ってきた女の子、鳥を寄せてしまう人。
あらゆるシチュエーションの呼人が描かれ、語り手の視点もさまざま。そうすることで、人とちがうことの不便や屈折した思い、まわりの人のとまどいや、浅薄な理解、簡単に口にされる励ましの言葉、率直な友情に対する心からの感謝などが活写され、あちこちでたちどまって深く考えさせられる。
2編めのたんぽぽの子のかかえる母へのトラウマと、それを埋めてくれる別の形の愛情に泣いた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ帯が翻訳家の金原瑞人さんで「読み終えた瞬間、自分はこんな本を読みたかったのだと確信する本がたまにある。これは間違いなく、そういう作品だ」って書かれてて、そして表紙のポップさとタイトルの物騒さのギャップが気になってた作品。
あっという間に読み終わっちゃったけど、めちゃくちゃよかった…。
高1の子が主人公の児童文学だけど、児童書って本当に子供のための本じゃなくて子供でも楽しめる・あらゆる人のための本だなあ〜と改めて実感しました。
色んな人間関係の中で日々を進んでいく主人公の姿がよかったし、周りの友達とか大人とかに色んな形の誠実さが見えるのもとてもよかった。
そしてシンプルに構成が上手くて先を読みたくさせる面白い小説で、この本は本当にネタバレありで感想書きたかった!
杉森くんに関して書かれる殺さなきゃいけない理由が、前半と、事実が判明して折り返した後半で、同じことなのにまったく違う視点で書かれる反転の鮮やかさ。
人間って多面的で、それは自分の中にも多面性があるし、誰かを見るときも多面的に捉えた方がいいっていうか、実は多面的に捉えてることもあるし、そしてそれって、時間の流れがあるから、同時には発生しない多面的な部分が時間の経過の流れの中で見えたり、時間が経って見え方が変わったりするもので…。
でも時間の流れは一方通行だから、取り返しがつかないことも絶対に起きて、そういう取り返しのつかなさとどう向き合うかという話でもあったなと思うし、時間が前に進むからこそ新しい人間関係が構築されたりして、、、
やっぱり児童書によく描かれる、そういう誤魔化しがきかない前向きさ・誠実さが好きかも。
本当に読んでよかった本でした。 -
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15歳のシャールは、「食死病」にかかって死んだ父親の跡を継ぎ、レストランの料理長となる。そんなシャールがレストランに呼んだのが、貧困街に住む「天才」アズレだった。
アズレが作る魔法のような料理に胸が高鳴ったり、「天才」の隣で過ごすシャールの苦悩と優しさが痛いくらいに伝わってきたり…。関係の崩壊と修復を描くストーリーにもぐいぐい引き込まれて、少しずつ読んでいくつもりだったのに、一晩で一気読みした。
物語のラストはびっくりする展開だったけど、心が温まる、希望に満ちた終わり方で好き。すばらしかった。幸せ。
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まず、ピースープを口に入れて感じたのは、途方もない安らぎだった。
舌の上からなにかが電気のようにかけめぐって、血管をとおって、一気に足の裏まで、体のすみずみまで知らせていった。この味を。このぬくもりを。このよろこびを。p93 -
Posted by ブクログ
本当に盛大にネタバレを書きますので、今後本書を読む可能性がある人は以下のコメントだけ見て速やかに引き返してください。
個人的には、本書は全中高生とその親が読むべきと思うくらいの好著だと思う。
主人公のヒロと、同じ経験をしたことがある者として、そう断言したい。
高校一年生のヒロは、ある日、友人の杉森くんを殺害する決意を固める。
それまでに、「やり残したことはすべてやる」「なぜ杉森くんを殺したいかの理由を書き留める」こととし、その日に向けて決意を新たに生活をスタートする。
妙な決意を固め、妙な行動を取り始めたヒロに対し、周りの人たちは当初困惑こそするものの、それで彼女を置き去りにすることはない。
ヒロは、なぜ自分が杉森くんを殺さねばならないのか、自分自身に何度も問いながら、いままでになく自分で自分のことをよく観察し、人のことも観察し、段々と自分自身の心の奥深くを再発見していくことになる。
本書は、軽い叙述トリックが用いられていて、杉森くんは男性ではないし、殺そうにももう自殺してしまっていることが分かってくる。
彼女が杉森くんを殺さねばならないのは、杉森くんが自死したことの責任を感じ、自らに罪があり、罰を受けねばならない。本当に彼女を見殺しにしたのは自分で、自分は殺人の罪で裁かれねばならない。
彼女自身は当初言語化できていないものの、心底そう思っているからである。
しかし考えれば考えるほどに、また、周りに人ととの新たな人間関係や会話を重ねることによって、少しずつ少しずつ、彼女の激情は形を変えていく。。。
さて、私自身も学生の頃、同じく(主人公にとっての杉森くんほどは濃い関係ではなかったにせよ)仲の良い友人を自死によって亡くした経験がある。
本書の主人公が辿る懊悩、決断、そして傷ついた心の恢復の過程は、そっくりそのまま20年前の私が経験したプロセスそのものと言っていいほどだ。
ある人の自死は、周囲の人たちに永遠に解けない「?」を残す。
「なぜあの人は自死しなければならなかったのか?」
「なぜ私は、気づいてあげられなかったのか?」
「あの時、ああ言っていれば止められたのではないか?」
「ひょっとして、あの時の私のあの言動が、あの人を追い詰めてしまったのではないか?」
「あの人を死に追いやったのは、私なのではないか?」
しかし、答えは無い。何故なら答えを持った人はもういないのだ。
自殺が周囲に与える影響は、かように思いのほか深く、長く続く。
自死に至るだけの理由がある以上、亡くなった人を責めることは出来ないと思うと同時に、それでもしかし、自死は「悪」であると、私は思う。
身近な人の自死に直面した人は、自分を責め、亡くなった人を責め、散々悩み考えぬいたのちに、段々とその出来事を自分なりに意味付け、心の中に適切な置き場所を見つけ、割り切って生きていく事ができる。
このような思いは、経験してみないと分からない。とずっと思ってきた。
しかし、ここに、その真実を、全く説教臭くなく、何ならしっかり上質で面白い小説として書ききった本書は、心の底から全中高生とその保護者に配布され読まれるべき一冊だと請け合いたい。 -
Posted by ブクログ
少し謎のある始まり方。読むにつれ胸のザワザワが大きくなって、やがて「ひいい……」と(ダブルミーニング)。
自分と向き合い影の部分を深掘りする物語。しばらくのあいだ離れていたことはきっとよかったんだ。
日常部分が鮮明に生き生きと描かれていればいるほど、庭でのもろもろが色鮮やかな悪夢のようでこわさが増す。はじめは美しい花に埋もれたパステルカラーの風景のようなのに、だんだん鮮明さを増して元の世界をも飲み込んでしまう。それって、何かにはまって抜けられなくなる人のようでもある。でも梓未が賢明なのは、そんななかでも自分の正気を保つためにルーティンを営もうとしたこと。それを通じて、ようやく、目をそむけようとしていた自分のいちばんつらい記憶とも向き合っていく。 -
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悩める同性愛の中学生の物語
主人公・ハルは、自分の性的指向がレズビアンであることに気が付き、大いに悩んでいます。悪いことをしているわけではないのに、親への後ろめたさを感じ、友達にも打ち明けることができません。
ところが、ハルは第三者によるカミングアウト、つまりアウティングを受けてしまいます。これによって、ハルは家族や友人との関係が大きく変化してしまいます。友人からは理解が得られなかったり、逆に思いがけない人物が味方になったり。
本作では重いテーマを扱っているものの、ハルに味方してくれる人物がいることで、児童書として読みやすい作風になっていると思います。
また、同性愛に対して理解のない人たちの反応がリアルかもしれないと感じました。「何か特別な理由やきっかけがあるんじゃないか」と聞かれたり、「一時的な勘違いだよ」と言われたり。
特に、ハルが親へカミングアウトするシーンは、生々しくて胸が痛みます。家族からカミングアウトを受けることのイメージにつながるので、子を持つ親は一度読んでおくといいと思います。 -
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シャールは思いやりのない子だった。先生に言われて、父は貧民街のスープ作りに出されることになった。シャールの父は国一番の料理人で、シャールの味付けは完璧だった。
貧民街で子供に出会う。アズレという男の子は、シャールの作ったスープに牛乳を加えて更にコクのある美味しい味付けに変えてしまった。シャールはびっくり仰天する。父に料理の腕がまだまだと言われていたけれど、初めて実感したのだ。
父が食死病という食べられなくなって死ぬ病気で他界する。シャールは子供ながらレストランを継ぐことになった。シャールはアズレを探し出して、レストランのシェフとして手伝ってもらうことにする。