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Posted by ブクログ
15歳のシャールは、「食死病」にかかって死んだ父親の跡を継ぎ、レストランの料理長となる。そんなシャールがレストランに呼んだのが、貧困街に住む「天才」アズレだった。
アズレが作る魔法のような料理に胸が高鳴ったり、「天才」の隣で過ごすシャールの苦悩と優しさが痛いくらいに伝わってきたり…。関係の崩壊と修復を描くストーリーにもぐいぐい引き込まれて、少しずつ読んでいくつもりだったのに、一晩で一気読みした。
物語のラストはびっくりする展開だったけど、心が温まる、希望に満ちた終わり方で好き。すばらしかった。幸せ。
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まず、ピースープを口に入れて感じたのは、途方もない安らぎだった。
舌の上からなにかが電気のようにかけめぐって、血管をとおって、一気に足の裏まで、体のすみずみまで知らせていった。この味を。このぬくもりを。このよろこびを。p93
Posted by ブクログ
シャールは思いやりのない子だった。先生に言われて、父は貧民街のスープ作りに出されることになった。シャールの父は国一番の料理人で、シャールの味付けは完璧だった。
貧民街で子供に出会う。アズレという男の子は、シャールの作ったスープに牛乳を加えて更にコクのある美味しい味付けに変えてしまった。シャールはびっくり仰天する。父に料理の腕がまだまだと言われていたけれど、初めて実感したのだ。
父が食死病という食べられなくなって死ぬ病気で他界する。シャールは子供ながらレストランを継ぐことになった。シャールはアズレを探し出して、レストランのシェフとして手伝ってもらうことにする。
Posted by ブクログ
すごくおもしろかったんだけど、読後に残るざらりとした感触をなかなか言葉にできない。「食死病」という奇病がなんとも残酷であるんだけど、コロナの後遺症で、美味しいものを味わいたくても味覚(というか嗅覚)を失ってしまったり、摂食障害で食べることが恐怖になってしまったりというケースも想起させるし、そもそも食というのはほかの生きものの命をうばわなくては食べられないものであるという、なんか根源的な問いを突きつけられるようでもある。そういう一筋縄ではいかないテーマが設定されているのが長谷川まりるさん流なのかなと。
もうひとつわたしが勝手に考えている長谷川まりるさんの作品の特徴は、魂のつながる伴奏者がいること。今回の伴奏者はなかなか手ごわくて、元は立場に上下があり、でもほどこしを受ける側に天賦の才があるわけで。その関係が、断絶を経て以前よりいい形でよみがえって進んでいくのは希望を感じさせてすごい。
よい物語だった。
あ、あと、キム・チョヨプ『惑星語書店』の「外から来た移住者たち」を思い出して再読した。こちらは、謎めいた食堂に入ったら、今まで食べたことのない風味の、スープとプリンを供される人の話。味音痴で何を食べても美味しいと思ったことがないけどこれは美味しいというと、店主が、実は自分もそうで、味覚が鋭敏すぎるがゆえに、チョコレートがひどい味に感じられたり、塩味が苦味になったりすると告白する。でも美味しいものをあきらめるのではなく、一度でいいから美味しいものを見つけようと思ってこの仕事を始めたのだと。
じつはこの店長にはさらなる秘密があって、それがサラリと明かされるのがゆかいなんだけど、そちらは読んでのお楽しみということで。
食死病とは似ても似つかないんだけど、ちょっとだけ似ていなくもないお話でした。
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