福島香織のレビュー一覧
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昔、友人の一人が佐藤優『国家の罠』を貸してくれたことがある。彼は本を手渡す際にこう言った。
「これはあくまでも"フィクション"だからね。」
その言葉通り、あくまで虚構=小説として読んだが、とても面白く夢中になって読んでしまった。
書籍が面白くなるかどうかは、著者がどう構成するかによって決まるのであって、真実か否かなど些細な問題にすぎない。
自然主義文学の大家エミール・ゾラは、「ありのままに描こうとしても必ずそこには自己のフィルターが介在する。」と語っている。つまり完璧な真実など存在しない。本を心から楽しむのであれば、真実を求めるメガネを外して読まなければならないと思う。 -
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先程感想を書いた「ウイグル人に何が起きているのか:民族迫害の起源と現在」の著者・福島香織さんと清水ともみさんの共著。
本書の印象としては、上記に挙げた福島さんの本の内容を清水さんが漫画にしてより読みやすくしたうえで、さらに情報の肉付けをされている、といった感じ。
絵だけでなく現地の写真なども載っているのでイメージがとてもしやすいです。
清水さんのウイグル関連の前著「命がけの証言」(同様に基本漫画形式)よりも文章量は多いものの、純粋にウイグル問題のみを取り上げており、本書の方がウイグル問題を周りの人に知ってもらうために紹介しやすいとも感じました。
要するにウイグルの漫画で読む入門書としてベストだ -
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漫画で世の中に有意義なことを表現し訴えていくことができるのはいまのところ日本人だけです。
漫画により中国人により受け続けてきているウイグル人達の惨状を世の中に広めて、ウイグル人達のことを救うためにこの本は作られました。
Abduxaliq Uyghur 詩人ウイグルの危機を訴えたことにより、盛世才により処刑
本書の冒頭のこの詩のことばの内容は、わたし自身を始めとして日本人にも向けらていて、とても当てはまって、身につまされる詩の内容だと思いました。
目覚めよ!(1921)より
さあ、哀れなウイグルよ、目覚めよ。
もう十分に眠っただろう。
おまえには財産はない、
次は命を失うだろう。
もし、お -
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現時点での米中関係を俯瞰するというマクロな視点で参考になったことはもちろん、香港、台湾、中国の中で具体的に何が起こっているのかというミクロな視点も併せて非常に参考になった。非常に読みやすく、筆者も取材で参加された香港デモの記述など感情移入して没入して読んでしまうくらい。具体的な内容次のとおり。
現時点で国際情勢は、米国に代表される民主主義的、普遍主義的価値観と、中国式全体主義的価値観の衝突を軸に回っており、今回のコロナ事案により、その流れが加速しているという全体的な情勢認識。その上で、我が国としてどういう戦略的立場はあくまで前者に与し、全体主義的価値観に対抗していく一翼となるべきという論理 -
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大陸ウォッチャーとして、真摯に、時にコミカルに共産中国とその周辺、
台湾、香港などの国々の状況をも伝えてくださっている、福島香織さんによる一冊。
ジャーナリストとはかくあるべきか、と感じさせられ、一気読みしてしまいました。
“(今回のコロナ禍のような危機に直面すると)民主主義の自由と人権を尊ぶ価値観と、
安定や発展を理由に、時に自由と人権を踏みにじるような手法をとる
中国式の全体主義的な価値観のどちらがいったい世界にとってより良いのか、
という判断を問われたとき、一瞬迷う人も出てくると思う”
との警鐘を鳴らされたうえで、根底では、、
“日本人の価値観には、はっきりと人権 -
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ネタバレ人権弁護士狩り、香港書店関係者失踪事件、赤いAKB、天津大爆発、ゴーストタウン、シャドーバンク、大量のゾンビ企業、様々なキーワードがただ消費されていく中国関連報道だが、やはりきちんと体系化していかないと全体像が見えてこなかったり、意外なモノが繋がっていたり。
一党独裁ではあるが、集団指導体制を敷いている中華人民共和国。
果たして、習近平は毛沢東の再来となるのか、その苛烈な権力闘争の報復として、失脚あるいは実力で排除されるのか。『チャイナリスク』とは、ミリタリーな物だけでは無く、無理に無理を重ねている中国経済の破綻(あるいは破綻の表面化)、独裁体制強化に対する民心の離反及び事実上の反乱、暗殺によ -
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中国の食品問題は 話題満載である。
なぜ それほどまでに 食品が 軽視され
信頼関係をなくしているのか?
中国には わからないことが 実に多いのだ。
それを 気鋭のジャーナリスト福島香織がどう編集するのかが
楽しみである。
『福喜食品』事件は 実に興味深い。
『食っても、死なないよ』という言葉が
あまりにも印象的で、なぜそんな言葉を吐いたのか?
ということに 疑問だった。
潜入記者が その言葉たちを丁寧に拾ったと言うのが、
まさに中国らしいのかもしれない。
内部告発 → 会社への潜入記者 → センセーショナルなスクープ。
それが CCTV の手法だとすると、
確かに、党の思惑が かなり -
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福島香織さんは、新聞記者で、北京での 食事会の時に参加されていた。
柔らかい感じの人で、書かれている文章とイメージが少し違った感じを受けた。
中国の複合汚染をどのように 突撃取材して まとめあげるかと言うことに興味が持てた。
新聞記者と言う肩書きと フリーのライターでは、取材がしやすいかもしれないとおもった。
はたして 中国の複合汚染の正体まで 暴きだしているのか?
ということで言えば、フリージャーナリストとして
中国をネタにして 書いていかなければ ならないということから、
ペン先に すこし 躊躇がみられるのは 残念でもある。
もっと、暴いてもいいことが あるはずなのだが。
水質汚染、土 -
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中国で、役人の妻がイギリス人を殺したという事件を覚えているだろうか。どのような環境で育ち、これから目のありそうな男性をどのように落とし、巨万の富を得て、上に登り、こういう事件を起こすことになったのか。中国新幹線の大事故を覚えているだろうか。その裏にいる女性の存在。現代中国における悪女について、実例を挙げながら、その生い立ちから、環境、なぜそのような悪女になっていったかについて語る。「女神的リーダーがいる会社が伸びる」という本があるが、彼女達は女神なのか、魔女なのか。男っぽい部分もあるが、長年にわたり、信頼を築き蓄財していく姿は女性的でもある。どんな美人なのか、ネットで検索しながら読んでしまった