福島香織のレビュー一覧
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現代の谷開来、彭麗媛に始まり、中共創設期の江青・葉群まで大陸の権力闘争を生き抜いた現代版「列女伝」
それは、女性にとって大陸における過酷な環境であり、女性は黒光りする鋼ようなタフな心を持った「悪女」にならないと行きていけないという面がある。
一方、そういった悪女が生まれにくい環境である我が国は、文句を言われながらも公正で豊かである、という面が再発見できる。
それは、中国にはない「お天道さまが見ている」という一種「性善説」のような感覚が共有されており、その感覚に背く罪悪感が人を律していることである。
また、そういう漠然とした何かかに守られているという安心感がある。というわけで日中比較女性論でも -
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中国の女性に焦点を当てて語られる対談本。
これまで中国に関する歴史、政治、経済、小説などなどいろいろ読んできましたが、「女性」について様々な視点から語られる本はこれが初めて。
新たな視点から中国が眺められるような気がします。
どこの国の女性だって簡単に一括りにして考えることはできませんが、中国は広く、人口も多く、出身地の違い、言葉の違い、階級の違いでまったく別の人種のような違いがあるようです。
ただ共通するのは、タフで上昇志向が強く、目的達成のためには回り道をしてだって耐える辛抱強さ。
一般的な日本人女性とはあまりにもかけ離れた彼女たちだけど、「価値観が違う」「中国人は怖い」などと煙たが -
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Twitterでフォローしていた福島香織女史の著作ということで手にとったが、タイトルとピンク一色の新書はなかなか目に見えないハードルを上げているように思うが(笑)、中身は現代の中国を女性という視点から解き明かした本である。
私の母校でもある外大の宮脇女史と産経新聞記者の中国ジャーナリスト 福島女史との対話調で書かれており、非常に読みやすく、一日で読み通してしまえるが、中身が軽いというわけではない。
特に中国に旅行したり、現地の方と触れる機会がある人にとってはそういうことだったのか、と思う部分がたくさんあると思う。
例えば、日本以上に男児の子どもが大事にされるのは先祖からの家系は男系の血筋 -
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中国を国家レベルや経済的な観点で書かれた本は多いが、「(中国の)女性が強いのは国が守ってくれないから」「中国というのは歴史上、国に守ってもらったことはない」など、個人レベル(特に女性)から中国という国を語ってるこのような本はあまりない気がする。
中国の女性は性格がきつい、とよく聞くし、実際一緒に仕事していても物事をはっきりと言う彼女たちがそうなのは、中国で生き抜くためにはごく当たり前なのだ、と改めて感じさせてくれた。
より中国がおもしろく思えてきた。
一度「ハニートラップ」にかかってみたいところだが、かけてこないということはメリットがない、ということだろう(^^;) -
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距離的に近い台湾の事情を理解していなかったし、歴史についてほとんど知らなかったのが恥ずかしいと思う。
本当に勉強不足を感じてしまう。
50代の今になり、読書によって初めて知るという体たらく。
これは台湾に限らず、日本を取り囲む、中国・韓国・ロシア・北朝鮮についても、正しく理解しているとは、とても言い難い。
私自身、諸外国を正しく理解しようと努めてこなかった点を、大きく反省すべきところだ。
今はあらゆる面においてグローバル化が進んでおり、「知らない」では済まされない。
この複雑な社会情勢であるがゆえに、地政学と歴史を正しく学習し、自分自身の考えを持っておかなければいけないと本当に思う。
というこ -
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Twitter上で清水ともみさんの漫画を見かけたことがありましたが、他の方がウイグル関係の本をSNSで紹介されているのを見て手に取ってみました。最後まで読むのが本当に辛かった。強烈に感じたのは"民族浄化"という言葉の恐ろしさ。ウイグル人であるというだけで自らの母国語、文化、アイデンティティのすべてを奪われる理不尽さ。そしてこの中国の体制を世界が見逃し続けていたら、どんどん触手を伸ばす中国の魔の手は日本にも及ばないとは言えないと思い恐怖を感じます。自分が生きている間は大丈夫だったとしても、未来の子供たちは安心して日本に暮らし続けていけるだろうか?
こういった弾圧が100年も前 -
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どこまでがリアルで、どこまでが虚構なのか。実在する人物、事件を散りばめながら、その境界線を曖昧にし、臨場感を煽る。しかし、読み手はスッキリとノンフィクションとして受け止められないため、何を信じれば良いか、後味の悪い読後感を引きずる。人は、信じたいものを信じる。作者の思想を混ぜながら、あくまで小説という形で描き切る。
一方では、そうとしか扱えない話だという事。あとがきで訳者も書いている。コロナ禍の武漢におけるロックダウンや病床のリアル。警察とのやり取り。失踪する人たち。蝙蝠を食用にする事で感染症が広がったのか、研究用途が漏洩したのか、そもそも武漢発祥では無いとシラを切り続けるのか。
思い出す -
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タイトル通り、「ウイグル人に何が起きているのか」について、中国政府に人種・文化ごと迫害されている現在について、実地取材や、今は中国の一部・新疆ウイグル自治区となってしまっているその土地の歴史について分かりやすくまとめてくれている。
文章も読みやすく、多くの事項を小項目で少しずつまとめてくれているので分かりやすい。
実地取材の様子では、執筆当時の2019年から20年前に著者が両親を連れてウイグルの地域を旅行した時の現地の様子と比較して、現在のウイグル自治区の様子が写真資料付きで描かれており、その差がとても分かりやすい。
なぜウイグル人に対してこのような施策を習近平や中国政府が取っているのか、そ -
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ネタバレ産経新聞の記者の福島さんによる2019年発行のウィグル問題の解説書。自身での中国で見聞したことや、他の欧米のジャーナリズムの取材を基に要領良くウィグルの問題を扱っている。特に20世紀以降のウィグル独立運動が、覇権国家や中国共産党内の政争とどのように関わってきたかについてはよくまとまっている。
一方、現在のウイグル人の置かれている「この世の地獄のような惨状」に関しては、ウイグル人の手記などもっと生々しいレポートや書籍があるので、そちらを参照しないとこの本からは伝わってこない。
日本はG7の中で唯一ウイグル人などの人権問題などについて非難声明をだしていない国だったが今年4月に衆議院において国会 -
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漫画でわかりやすい。ただ、途中の歴史は理解することが出来ず、勉強不足を実感した。
ジェノサイド:ある人種・民族を計画的に絶滅させようとすること
無印良品などの大手企業で新疆ウイグル自治区の強制労働問題があることを知り、ウイグルについて興味を持っていた。
助けを求めることができない、助けを求めるような行動をすることで処刑されるかもしれない、そんな恐怖の中、日々を過ごしているウイグル人を思うととても心が痛む。
最近は新疆ウイグル自治区が注目されているけれど、知られていないだけで世界にはまだこのようなことがたくさんあるのではないかと思った。中国を擁護するつもりは無いけれど、中国だけがこのよう -
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報道などでたびたび見かけていた中国国家による、ウイグルに対する強権的なふるまい。正直これまでどこか遠いところのイメージが強かったのですが、今はウイグル問題がある意味、世界の試金石になりうるかもしれないとも感じています。
本の中では著者のウイグルでの取材の体験や、これまでの報道のまとめ、日本にいるウイグル人への取材、そしてウイグルの歴史などが書かれています。
ハイテク技術も使った住民たちの管理、強制収容、洗脳、拷問……、思い浮かべたのはジョージ・オーウェルの『1984年』だけど、あれはフィクションだからまだ救いがあった分だけマシだったのかもしれないとも思います。
ビック・ブラザーが現実化した -
Posted by ブクログ
小説としては正直読みづらいと感じる。今のある程度コロナウイルスが制御されてきたような時期から見るとここで書かれる武漢の状況そのものがデマのように感じてしまいそうになるけど、ここに書かれていることはそれなりの真実を写しているのだろう。そしてコロナウイルスの有無に関わらず中国共産党の抑圧的な社会で生きるということのむずかしさ、そしてそのような世界は現実に今も数多くの人が生きているという現実に目が眩む。それを難しいと感じないように見猿聞か猿言わ猿的に生きていく人はおそらく多し、それはそれほど難しくなくできてしまうのだろうけど、そんな社会を垣間見ることができる。