船橋洋一のレビュー一覧

  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    先の大戦での敗戦と福島第一原子力発電所事故への対応の病根は、
    同じ性質なのではないかを論じたのが本書である。

    日本の政治・官僚の責任回避、危機に際しての組織としての機能
    不全、権限・指揮系統の不透明性。それは戦時中から連綿と受け
    継がれた。

    そして、福島第一原子力発電所事故のような国家の存亡がかかっ
    た危機に直面するとそれが如実に表面化する。

    国民にパニックを引き起こす可能性が大きいからと、原発事故の
    際の放射能拡散のデータは隠され、官邸も専門家と呼ばれる人も
    「ただちに健康に影響はない」と繰り返した。

    国民のパニックを心配する、その政府中枢が一番のパニックに陥り、

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    2019年03月10日
  • 米中戦争前夜―――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ

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    トゥキディデスの罠という単語を最近何度か目にしたので、その元になってる本書を読んでみました。アメリカ人から見たアジア(特に中国)の描写が面白かったです。ただ、戦争回避の提言のところはあまり響かなかった…

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    2018年03月06日
  • 米中戦争前夜―――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ

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    グレアム-アリソン教授; トゥキディデスの罠
    紀元前5世紀
    ペロポネソス戦争; アテネの台頭とスパルタ
    ジョージ-ケナン; 対ソの封じ込め政策
    ジョゼフ-ナイ-ハーバード大学教授; ソフト-パワー
    サミュエル-ハンチントン; 文明の衝突

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    2018年01月24日
  • 米中戦争前夜―――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ

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    新興国と覇権国との関係の中でトゥキュディデスの罠がもたらした戦争という過去の16のケースを基に米中関係を読む一冊。思考実験にはとても良い。

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    2018年01月20日
  • カウントダウン・メルトダウン(上)

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    東日本大震災による福島第一原発危機への対応を詳しくたどった本。国家の危機管理運営がどうなっているのか、想像を超える問題と責任を前にして人と組織がどう動くのか、そのためにどういった準備が必要であったのか、手に余る問題の前で想像力が停止してしまうとはどういうことなのか、など様々なことを考えさせる。保安院上層部の面々や清水社長をはじめとする東電上層部の事態に対する反応は事の重大さを思うと目を覆うばかりだ。しかし、そのことを無遠慮に批判することができる人が果たしてどれだけいるだろうか。保安院の中村幸一郎を更迭したこと、菅首相が原発訪問したこと、SPEEDIのデータを出せなかったこと、など初期時点での後

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    2016年12月19日
  • 21世紀 地政学入門

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    世界の外交の流れを読み解くといった流れ。地政学ってこういうものなのかな。日本の置かれている立場はかなり厳しいということは分かった。

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    2016年05月08日
  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    福島1Fと同様に冷却機能喪失にもかかわらず、冷温停止に持ち込むことができた福島2F増田所長と対談が印象的。
    1Fが増田所長だったら、というコメントが出るのもうなづける。

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    2015年08月16日
  • 2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する

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    ネタバレ

    日本が過小評価されているし、翻訳ものなので読みづらいという点もあるし、星を3つにしようか4つにしようか迷ったが、日本のマスコミが取り上げない視点で書かれていることが多いという点で、やはり参考になる本だと思う。
    日本のマスコミが取り上げないのは、この本の考え方が的外れだからだ・・・という反論は十分に成り立つと思う。が、日本の中にいれば、この本は日本のことを過小評価しすぎていると思えることであっても、やはり欧米からは、さらには新興国勢力からでさえも、日本の存在感がそのように見えてしまう、というのはあるのだと思う。そしてそのことを肝に銘じて、これからの日本のあるべき姿を考えていくことが大事だし、それ

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    2015年05月27日
  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    ネタバレ

    福島原発事故時、政府・東京電力が失敗した原因を追究したノンフィクション。リスク意識・組織ガバナンス・リーダーシップの欠如という日本人の国民性は、先の大戦の時から進歩が無いのだということを主張しており、自分たちの仕事においても反面教師にすべき点は多いと感じた。

    一番興味深かったのは、当時の福島第2原発の所長へのインタビューでの、メルトダウンした第1原発と、正常に停止できた第2原発との違いについて。
    一番の原因は、中央制御室が第1は停電し第2はしなかったこと。更に、第1はプラント1-6号機で型が3種類あって状況把握が難しかったのに対し、第2は1-4号機まで同型だったとのこと。
    第1原発は、古く多

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    2015年01月06日
  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    福島第一原発での事故対応に関して、危機に際してのリーダーシップのあり方、組織のあり方にスポットをあてたノンフィクション。「事故対応で有効に機能したのは自衛隊だけで、それは自衛隊がそもそも何が起こるかわからない状況を常に想定して普段から訓練しているからである」との記述には納得。企業が事故を起こした後で「マニュアルが無い事が事故の原因」という論評をマスコミがする事があります。確かに、いろんな場面を想定してマニュアルを準備するのは大事だと思います。しかし事故って「そんなレアな状況はめったに無いで」みたいに人間の想像力のちょっと及ばない所で発生する事が多々ありますし、そういう状況に陥った時にいかに冷静

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    2014年09月05日
  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    日本型組織、構成員の責任回避の連鎖、現場と遊離した参謀/本部といった問題は、いままでと変わらずフクシマでも析出した。その例を具体的に挙げている。2Fの所長のインタビューは特によかった。
    いちいち納得できる指摘ばかりである。が、アジテーション型の文体は、誰に訴えかけるためのものか?こういうのを本当に読まなくてはならないのは、著者が主要読者として想定する評論家的に文句を言う人の層ではない。現場で実際に苦闘するもっとクールマインドのマネジャーであるはずだ。あおり型の文体は不要だ。

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    2018年10月14日
  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    同氏の大著『カウントダウン・メルトダウン』(私は手を出せていないが)について、作家の関川夏央氏は「戦記」と評したそうだが、本書はまさにその「戦記」をベースとした、現代版『失敗の本質』。
    さすがの船橋氏の筆力に一気に読んでしまった。今回認識を新たにしたのは福島第二原発の増田所長の(吉田所長とはまた違う形のリーダーシップによる)奮闘ぶり。福島原発の問題は先の戦争と違ってまだ生々しすぎて研究対象として語ることが憚られるところがあるが、危機管理や危機のリーダーシップの研究として学ぶべきところは非常に多い。

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    2014年04月07日
  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    内的なリスク回避を追求した積み重ねが、開戦という最もリスクが大きい選択となった

    危機の際に求められる人間は空気を読む人間ではない。危機の時には優先順位を峻厳につけるしなない

    安井正也 言い切ってします

    危機の時、一方でなになに、他方でなになにという両刀遣い的プレゼンはあまり役にたたない

    分化と統合という相反する関係にある状態を同時に極大化している組織が環境適応に優れる

    松下忠洋 12/9/12 自殺 彼ほど自治体にせっせと通い、親身になって相談にのった政治家を私は知らない

    現場にいる人間が究極の権限を持つべき

    楽観的バイアス 危機下ではその状況が一刻でも早く終わって欲しいと願うあ

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    2014年03月16日
  • 原発敗戦 危機のリーダーシップとは

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    原発事故という極限の危機の中で、リーダーたちはどう動いたのか。リーダーの真贋を見事に描き出した好著。

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    2014年02月26日
  • 地政学時代のリテラシー

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    地政学の視点で、世界情勢から考える日本の課題についての連載記事(文藝春秋、2020年〜2023年)をまとめたもの。

    日本に脅威を与えうる周辺国の中国、北朝鮮、ロシアは専制主義であり、個人独裁体制を特徴としている。政策決定過程は不透明であり、意図は予測し難い。そのため意図よりも能力を中心に把握し、同時にこちらの能力を的確に把握させることが重要と説く。

    勢力を均衡させ、力によって現状を一方的に変更できると相手に思わせないようにしなければならない。経済を守り、育て、必要な時にはそれを提示する経済安全保障政策(具体的にはエネルギーや金融にかかる経済制裁か)が求められている。
    地政学と地経学の視点を

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    2025年03月23日
  • 地政学時代のリテラシー

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    コロナ以降の世界を読み解く本を立て続けに読んでいる。今度は日本人のもの。トッドさんのものより少しだけ古いので、本書にある予測や分析は少し外れているが、「思慮深い政治指導者を欠いた国家の悲劇」というのは間違いない。逆にいうと、そういう人をリーダーにしてはいけないということだろう。また、今後目指す方向性の一つとして、自国のモデル(民主主義や自由主義も、その他も)を他国に拡散しようとするのではなく、国内での定着や実施を通じて国力を蓄えることも必要というのは納得。さらに本書では、プーチンの政治・外交手腕を(悪であるが)賢く手強いと評価する。これが最もよく出ているのが、習近平に対して、ロシアのウクリナ侵

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    2025年03月02日
  • 宿命の子 下 安倍晋三政権クロニクル

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    読みやすかったのだが、やーっと読み終わった、と言うのがまずの感想。上下巻、これは長い。

    安倍政権とはなんであったかの、割に、公平な検証。元朝日新聞記者でところどころおい、と思うところはあっても、必要以上に角度をつけたところに持って行こうとしている感じはしなかった。

    安倍政権とはなんであったか。

    戦後、みんなが目を瞑って来た歪みに、一気に手を突っ込もうとした。全てをやろうとした。
    その一歩で、どこまでもリアリズムに徹した政権。
    すごい時にすごい人が、チームが残ってくれたもんだ。

    改めてこうやってみると、モリカケサクラ、くだらないことで必死に恥も外聞もなく日本に抱きついて沈めようとしたあの

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    2025年01月03日
  • 宿命の子 上 安倍晋三政権クロニクル

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    読み応えあり。安倍政権の時代で、何をやろうとして何が起きたのかを、膨大な取材に基づいて描き出す。

    元朝日新聞記者と知って、やべえかと思ったのだがそうでもなく、かなり客観的に、何があったか、何をしてのかを書いておられた。

    政治は、理想だけではない。実現のためには、妥協や仕掛けも必要になる。切ったはったが面白い。
    555ページで上巻。これから下へ。

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    2024年12月26日
  • 地経学とは何か

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    コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナとの問題もあり、この本が出版された時よりももっと深刻な事態になっている世界情勢。
    そして再びのトランプ大統領の誕生。
    世界はどうなってしまうんだろうかと、本当に読めない。

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    2024年11月26日
  • 地政学時代のリテラシー

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    地政学というよりも、時事問題についてのエッセイという感じだ。米中対立、ウクライナ侵攻、イスラエル・ハマス衝突など、現代の国際情勢を取り扱っている。調べると、船橋洋一は、朝日新聞の元主筆であり、日本のリベラル派の代表的な論客として知られている、らしい。著者の豊富な経験と洞察が活かされ、現代の複雑な国際情勢を理解するための枠組みを提供しているという触れ込みではあったが。

    ― 二十世紀最大の理論物理学者の一人だったアルベルト・アインシュタインはユダヤ人だったが、人生の半分は平和を現実主義的に希求した知識人として行動した。彼はイスラエルの国家建設を支持したが、一九二九年に次のような警告を同胞に発して

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    2024年10月24日