【感想・ネタバレ】宿命の子 下 安倍晋三政権クロニクルのレビュー

あらすじ

世界がアベの動きに注目した!

長期政権に迫る課題と試練。
冷戦終結後、世界は新たなモードに突入する。中国の台頭にどう対処するか? 北方領土をめぐるプーチンとの駆け引き、北朝鮮の核の脅威、そしてトランプとのディール。日本の存在感は増していった。
そんななか、国内でも長期政権を脅かす翳りが現れていた――。
安倍晋三が対峙した「宿命」とは?

【下巻目次】
11 プーチン
12 習近平
13 トランプ・タワー
14 金正恩
15 アメリカ・ファースト
16 インド太平洋
17 G7対ユーラシア
18 天皇退位/改元
19 パンデミックと官邸危機
20 退陣
21 戦後終章
エピローグ

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Posted by ブクログ

下巻は外交、天皇退位と改元、コロナ、そして退陣について。
北方領土問題の難しさがよく伝わった。日ソ共同宣言で二島返還を合意してしまった以上、二島返還で動くというのも政治決断としてはあり得るとは感じた。ロシアのウクライナ侵攻により、当分は北方領土問題の進展は難しいだろう。
そして、本書のタイトルの『宿命の子』の意味が最終章で説明されていた。安倍晋三は東条内閣の閣僚、国論を二分する安保改定を行った総理大臣岸信介の孫として生まれ、普通の家庭とは異なる環境で育っている。生まれながらにして歴史の当事者として、歴史に向き合うことを余儀なくされた人生だったのだろう。
また、安倍晋三は卓越した外交実績を残したが、それを受け継ぐ後継者がいない。吉田茂は軽武装・経済重視という吉田ドクトリンと同時に、それらを受け継ぐ吉田学校の人材たちも残した。「安倍ドクトリン」を受け継ぐ者がいないと、安倍の外交実績は吉田ドクトリンほど長く続かないだろう。岸田内閣までは明確に受け継がれているようだが、現石破内閣は受け継いでいるのかどうか不明確のように見える。安倍晋三が後世にどう評価されるのかはまだ分からない。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

2025.07.21
人の真の評価は棺に蓋をしてからしかする事ができないのだということを痛感させられた一冊。
アベ政権には毀誉褒貶がつきまとうが、本人は国論を二分する議論ができるのが民主国家だという趣旨のことを述べていたと知り、懐の深さに想いをいたし、マスコミのアベ批判の浅薄さを振り返る。
また、昨日.2025.07.20の参議院選にも大敗し、明日をも知れぬ石破政権をみていて確実にいえる安倍政権の功績というか強みを2つだけ指摘する。
ひとつは長期政権は外交力を生み出すということ。
もうひとつは、国家的な課題に対処するには長期政権、力のある政権にしかなしえないということ。
いわゆるリベラルの人には安倍晋三は今も受け入れ難いのかもしれないが、強さこそが優しさを生むという信念を貫いた安倍晋三という存在には頭を垂れるしかないと思う。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

重厚な取材に裏打ちされた記述。
紹介される話のネタがイチイチ面白い。安倍本人がエピソードトークが上手いというのが頷ける。それを丹念な取材で掘り起こして紡いでいるものだから、本の分厚さとは裏腹に読みやすいというかグイグイ引き込まれる。
(是非はさておき) 構想・理念を掲げて国内外の重要な政策課題にあたった政権だったのだなと再認識させられた。だがそれ以上に、リアリズム、実務主義、戦略的な歴史観、「開かれた保守」のように表現される、柔らかな立ち居振る舞いの数々が新鮮で印象に残った。

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自己啓発的トリビア・備忘として
「反省ノート」(p574)
・政策が正しくても優先順位が正しくないと、結果として国民の支持を失ってしまう
・人事においては情に流されない
・人の話を最後まで丁寧に聞く
・チームをつくるには、仕事以外の"無駄かもしれない時間"を仲間と一緒に過ごすこと
・リーダーは、自分でやるべきこと、人に任せることをわきまえなければならない。人に任せた仕事であっても、最終的な責任は自分が引き受ける。一度、信頼し仕事を任せたら、結果が出なくても批評・批判はしない
(注19 田崎史郎『安倍官邸の正体』p130、『文藝春秋』2022年4月号 独占インタビューなど)

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

稀代の政治家も最初から出来上がっていたわけでなく、失敗から成長、進化を遂げたことがわかる。成功には地道な努力が必要だということを知らされる。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

森友学園問題での文書改竄は、佐川理財局長の強引な答弁に対して官僚の無謬性を確保するために財務省が組織ぐるみで行った行為。それがなぜか世間では安倍晋三が自分の不正を隠すために行わせた、みたいな報道のされかたをしている。首相への利益供与が目的なら、こんなめんどくさい案件を使わないだろう。普通に考えると。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

上巻に続き650ページもの長編。
トランプ、プーチン、習近平など
お互いに自国の国益を守るために
戦った様子が生々しくえがかれていた。
なかでもトランプとのやりとりは興味深かった。
私は安倍さんが好きだったので、約10年前に
地元に来た時に見に行ったのだが、今はもう見ることができないのが、とても残念だ!

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2024年11月22日

Posted by ブクログ


(上)
プロローグ
1 再登場
2 アベノミクス
3 靖国神社
4 尖閣諸島
5 TPP
6 慰安婦問題
7 戦後70年首相談話
8 平和安全法制
9 ヒロシマ/パールハーバー
10 消費税増税

(下)
11 プーチン
12 習近平
13 トランプ・タワー
14 金正恩
15 アメリカ・ファース
16 インド太平洋
17 G7対ユーラシア
18 天皇退位/改元
19 パンデミックと官邸危機
20 退陣
21 戦後終章
エピローグ


上はどちらかというと内政のイメージだったが、
下はのっけから外交。
プーチン、習近平、トランプ!

結局この3人とも8年前から変わっていないことがわかる。
安倍さんがこの3人を抑えていた、というべきか。
特に最近株式市場を乱高下させる原因を作っているトランプ大統領は、
1.0の時も結局今と同じことを言っているだけ。
なんだか進歩がないなあ、、とがっかりしてしまう。
誰が日本の首相をしても変わらないのか、、とも思ったりもする。

プーチンだってはなっから領土を還す気なんかないのだ。

各国の首脳に意見をすることはできた安倍さん。なんだったのかなあ。。

天皇退位、コロナ、退陣、、、
このあたりはもはや迷走。
サクラについてもなんだか切れが悪い。
一応この本は「暴言」にも触れている。
私が首相としての安倍さんに最も軽蔑する部分。

選挙に勝ち続けることで長期政権を保った安倍さん。
しかしその裏には統一教会問題やら、お友達優遇やらがあった。
でもなんにしても安倍さんを選んだのは国民。
それも半分以上が投票に行かない、という消極的支持。

8年間を振り返ることはできた。

それと、
はずかしながら テタテ という言葉を初めて
知った。
外交用語で通訳のみを介した一対一の会議、とか。
知らなかったー

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

上巻に続き面白いがコロナ禍以降と退陣らへんが薄くて残念だったが、安倍周辺としては未来の再々登板も踏まえてあまり明かさなかったのかなと思った。トランプとのやり取りが面白く、一期目は本人のヤバさを大統領周辺がカバーしていた事がわかり、政治家安倍晋三の外交力の凄さがわかる。

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

p278 茂木 タフな交渉者

p285 安倍はトランプとの距離感の保ち方が絶妙だった。安倍はトランプの世界の外でなく中に入っている。しかし、入りすぎない。対等だと思わせた。そこがよかった。

p434 元号は、中国を起源とする。紀元前2世紀、中国前漢の武帝が定めた建元が世界最初の年号といわれる。皇帝による支配の象徴としての意味合いを持った。元号は漢字や儒教などとともに中国周辺の日本や朝鮮半島、ベトナムへと広がった。日本で元号が定着したのは、4番目の大宝 701-704からである。大宝律令は皆年号を用いよと記したが、これは中国からの自立を思考してのことだったという。爾来、日本の元号は、約1300年にわたって連綿と続いてきた。中国では1921年の辛亥革命で清朝が倒れ、宣統を最後に、2000年以上続いた元号は廃止された
 日本の元号は飛鳥時代の大化に始まり、平成まで247を数える。そのうち出典が確認できるのは77で、すべて中国の漢籍に典拠をもつ2文字熟語が使われてきた。その大半が唐代以前の漢籍である。

候補 英弘(古事記)、久化(易経),広至(日本書紀)、万和(史記)、万保(詩経)、令和(万葉集)

p459 5分ごとに物事を決められるというのが権力なんですよ

p461 菅 梶山から学んだもの 役人の言葉を鵜呑みにせず、自分の頭で考えよ

おれは官房長官の時に、バブル崩壊の処理について、l6850億円を投入した住専以外に不良債権はないかと官僚にきいたら、この問題を解決したもらえれば、他にありませんと答えた。それが、後から後から不良債権が100兆円も出てきた。信用したのが失敗だった。あの時に解決していればなあ。
梶山がそう言って悔やんでいた姿を菅は忘れなかった

p465 安倍政権の成功は、今井、菅という二人のブルータル(酷薄で容赦しない人)人間を中枢に据えたこと

p467 安倍官邸では、ほぼ毎日、6人の官邸中枢の会合をひる頃行った。安倍、菅、政務官房副長官、そして杉田と今井である

p470 安倍は和泉の調整力に一目置き、談合の神様などと読んだ 

p467 国家官僚 古谷一之、兼原信克、和泉洋人、新原浩朗

p472 第2次安倍政権は、自民党内の有意なベテラン政治家の経験と才能を最大限、活用した
谷垣禎一、高村正彦、大島理森、森山裕、二階俊博

p560 一流の組織は100人が知っていても誰からももれない。二流の組織は10人に絞り込んでも誰かから漏れる

p570 ヴァイツゼッカー
過去に目を閉ざすものは結局のところ現在にも盲目になります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危機に陥りやすいのです。

p582 政権運営の注意点 沈黙は金。威信には神秘が必要である。なぜならば人は知りすぎたものをあまり尊敬しなからである

p606 戦国時代の山陰の武将、山中鹿介は、主君の再興のため「願わくば、我に七難八苦を与え給え」と三日月に祈ったとされる

p608 第2次安倍政権
この政権は、国のあるべき構想を明確にし、そのための政治課題を設定し、それを能動的に遂行しようとするきわめて理念的かつ行動的な政治において際立っていた。
しかし、政策を立案し、遂行する過程では、リアリズムを出発点とし、実務主義を着地点とする、そうした戦略と統治のありようを意識的に追求した

p610  安倍自身退任後、第一次政権の反省が大きいですね。やはり政治家は結果を残さないといけないですから。たとえ60点であったとしても、国益につながるのであれば、決断し、事態を進めなければならないと語っている。

p622 吉田松陰 留魂録
人間にもそれに相応しい春夏秋冬があるといえるだろう。10歳にして死ぬものには、その10歳の中に自ずから四季がある。20歳には自らの20歳の四季が、30歳には自らの30歳の四季が、50,100歳にも自ら四季がある

p626 岡武義の名著 山縣有朋の歌 伊藤博文が暗殺された後、伊藤を偲んだ歌
かたりあひて 尽くしし人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ

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2025年02月05日

Posted by ブクログ

読みやすかったのだが、やーっと読み終わった、と言うのがまずの感想。上下巻、これは長い。

安倍政権とはなんであったかの、割に、公平な検証。元朝日新聞記者でところどころおい、と思うところはあっても、必要以上に角度をつけたところに持って行こうとしている感じはしなかった。

安倍政権とはなんであったか。

戦後、みんなが目を瞑って来た歪みに、一気に手を突っ込もうとした。全てをやろうとした。
その一歩で、どこまでもリアリズムに徹した政権。
すごい時にすごい人が、チームが残ってくれたもんだ。

改めてこうやってみると、モリカケサクラ、くだらないことで必死に恥も外聞もなく日本に抱きついて沈めようとしたあの辺、しかも何の責任も痛痒も感じないあの辺、あの辺の醜悪さが浮き上がる。

後半特にコロナのあたりに、安倍元首相が本当に疲れ切ってこられてれる感じも、見えてとれた。

この後、日本は、本当に、得体の知れないくらいの、カスカスばかりが残った。
この検証から、何が生まれてくるのか。
それが一番の関心事である。

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2025年01月03日

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