【感想・ネタバレ】宿命の子 上 安倍晋三政権クロニクルのレビュー

あらすじ

ここまで政治の奥に迫った本はなかった

安倍はいかに首相に返り咲き、戦後の難問に対峙したか?
病に倒れた第1次政権から5年、安倍晋三は再び自民党総裁選に立つことを決意した。それは7年8カ月に及ぶ政治ドラマの幕開きだった――。
アベノミクス、靖国参拝、尖閣問題、TPP、戦後70年談話、平和安全法制。次々に浮上する政治課題に、安倍と彼のスタッフはいかに立ち向かったか?
安倍本人をはじめ、菅義偉、麻生太郎、岸田文雄などの閣僚、官邸スタッフなどに徹底取材、政治の奥に迫る第一級のノンフィクション。

【上巻目次】
プロローグ
1 再登場
2 アベノミクス
3 靖国神社
4 尖閣諸島
5 TPP
6 慰安婦問題
7 戦後70年首相談話
8 平和安全法制
9 ヒロシマ/パールハーバー
10 消費税増税

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Posted by ブクログ

550ページもの大作、やっと読み終えた。
安倍さんは私の最も尊敬する政治家です。
いろいろあったことが、なまぐさく書かれていて、当時のことを思い出しながら読み進んだ。
下巻はトランプやメルケルなどとのやりとりが
でてくるようで、楽しみ。

1
2024年11月20日

Posted by ブクログ

2022年の参院選の遊説中に奈良の駅前で暗殺された安倍元首相の年代記。

上巻はトピック毎に経緯がまとめられている。

章立てに沿って、再登場、アベノミクス、靖国神社、尖閣諸島、TPP、慰安婦、戦後70年首相談話、平和安全法制、ヒロシマ/パールハーバー、消費税増税。
所謂リベラルからすれば国粋主義の巨頭なのだろうが、筋の通った国家観や国家運営の原則に則って司られた7年半の実績の重さを実感する。

著者は「通貨烈々」などを著した船橋洋一。
経済、安全保障などの外交交渉の裏側を掘り下げた著作に定評があり、本書も公開情報やインタビューなどを通じ、項目毎に米大統領から本邦各省庁職員に至る交渉関係者の言動や思いまで汲み上げ、冷静、客観的な筆致ながら読者に深い感銘を残す。
もう八十歳を越えたとは思えない徹底した取材ぶりと臨場感溢れる描写に驚かされる。

「安倍晋三 回顧録」とともに21世紀のわが国の歩みを俯瞰的に顧みるのに絶好の書。
大学であれば各章が1-2ヶ月分の講義資料となるだろう。

0
2025年08月18日

Posted by ブクログ

第二次安倍政権発足から、アベノミクス、靖国参拝、尖閣問題、TPP、戦後70年首相談話、平和安全法制、消費税増税などについて。参院選までに上下読もうと思っていたが、結局この時期になってしまった。
印象深かったのは戦後70年首相談話と平和安全法制の章である。
終戦の節目のたびに首相談話が中国の歴史戦の道具にされては敵わない。安倍は70年談話を最後の談話と位置付け、村山談話を踏襲しつつも「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」との文言を盛り込み、国内でも中韓でも一応それなりに理解を得られた。
自身で言うように保守派の安倍晋三だからこそ、リベラル派からの期待値は低いし、保守派からの理解も得やすかった。今日は2025.7.27だが、石破首相は80年談話を出すとも出さないとも、まだ明言していない。本日時点ではリベラル派が参院選に負けた石破に「石破辞めるな」という声をあげている意味不明な状況であり、リベラル派からの期待値が高まっている一方、保守派は石破に反発している。このような状況で80年談話を出すことはリスクが高いと読みながら感じた。例え閣議決定を経ない「総理の談話」だとしても、中国は日米韓の離間策として、再び東アジアの歴史問題を再燃させてくる恐れがある。
また、国家安全保障会議(NSC)の設置は外交と軍事を統括し調整する司令塔の設置という意味で画期的であった。しかし、平和安全法制の審議の際、集団的自衛権の行使要件である「存立危機事態」は台湾有事を想定して議論をするべきであったが、それでは外交的にも内政的にも大きな反発が予想された。そのためにペルシャ湾、ホルムズ湾の議論に逃げてしまったのは残念なことであった。
下巻の目次を見ると、各国首脳の名前が章題として並んでいる。安倍による首脳たちの人物評が読めるのだろうか。下巻も楽しみである。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

政治のリアルを体感できる著作。船橋洋一氏の著作となれば失敗はない。普段テレビで見る政治ニュースがいかに表層的で、断面的なものかがよくわかる。戦後70年の首相談話や消費増税をめぐる攻防は凄まじい。政治家を見る目が変わる著作だ。

0
2025年04月27日

Posted by ブクログ

デフレ経済下で金利を下げて金融緩和するのはマクロ経済の観点からは当然の政策で、これによって派遣切り、ブラックバイトみたいな困窮が解消されたのは事実。日本のリベラル界隈は安倍晋三の右寄りの政治姿勢嫌いを拗らせて緩和的、反緊縮的な財政政策すら敵視し、マスコミを巻き込んで反安倍晋三キャンペーンを展開、一般にも悪者という印象を与えてしまったのは日本にとって不幸だと思う。某政党に至っては堂々と減税に反対する有様だ。
本書ラスト近くで消費増税に関する記述があるが、今や財務省ベッタリの自民党政調会長が安倍晋三によって財務省の影響力を抑えるために抜擢されていたというのは非常に驚いた。また消費増税のような国民生活への影響が大きな政策の決定に対して、政権内部の担当者の顔を立てる立てないのレベルの話が大きな要因になっていることに、組織というものの構造的な問題を再認識した。インパール作戦も某将軍の顔を立てるために実行されたというではないか。こんなのは周りにとっても、そして本人にとっても不幸だと思う。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

安倍総理については、橋本五郎の本もあるが、中身が非常に偏った、かつ、間違った内容が書かれていた印象。それと比べると、舟橋洋一氏の取材力に圧巻される。特に外交については、この本を読んで初めてアメリカや中国との関係などが分かったような気がした。消費税率引上げについても、知らなかった側面をしることができて、非常に面白かった。

0
2024年12月08日

Posted by ブクログ

安倍晋三、かっけー。
非常に知的で策士。
こんな首相なら日本を任せていい!

・・・という内容に仕上がっている。この本。
同時代を生きてきて感じてきたものと全然違う。

私が知らない安倍晋三さんの実像、なのかもしれない。
財務省と闘い消費税増税を避けるために衆議院を解散したのはその通りだろうし、
交面でも韓国、中国と渡り合ったのも事実だろう。

この本を読んでいると、それらの政策に至る思考がきわめて論理的。
そもそもその目的も、ひたすら国のためと明確。

官僚の考えでなく、選挙で選ばれた我々(議員)の考えが第一
安倍さんはこれが徹底していたようで。
だからなりふり構わず選挙に勝つために統一教会を利用し、裏金を作り、
公金でモリカケサクラのように仲間を増やした。。
「悪夢の民主党政権時代」と何度も何度も繰り返した。

目指すところは正しかったのに、そこに至る振る舞いができてなかった、
品性がなかった、のか。
この本だけ読んでると、教養も滅茶苦茶あるんだけど。
スピーチのために必死に練習するなど努力家だし。
昭恵さんに「学生時代にその努力をしてたらもっといい学校に行けたのに」と
言われたのはご愛敬だが。

首相の孫は何か欠落していたのか?
とにかく上巻を読んでいるだけではそんなことはこれっぽっちも感じない、
完璧な人物に描かれている。

(上)
プロローグ
1 再登場
2 アベノミクス
3 靖国神社
4 尖閣諸島
5 TPP
6 慰安婦問題
7 戦後70年首相談話
8 平和安全法制
9 ヒロシマ/パールハーバー
10 消費税増税

(下)
11 プーチン
12 習近平
13 トランプ・タワー
14 金正恩
15 アメリカ・ファースト
16 インド太平洋
17 G7対ユーラシア
18 天皇退位/改元
19 パンデミックと官邸危機
20 退陣
21 戦後終章
エピローグ

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

面白い。タイトルと表紙を観ると「ン?」と思っていたが内容は第2次安倍政権の際の種々のトピックごとに内幕を示したノンフィクション本。取材に基づく各関係者の心情も描かれ、やや難しいきらいもあるけれど、ぽんぽん読んでいける面白さ。あんなこともあったなという思い出に浸れる。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

p86 官僚は無名であって、歴史に残ることを目標にすべきではない

p92 ピーター・パン 飛べるかどうか疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまうという言葉があります。大切なことは前向きの姿勢と確信です

p198 ツキジデスの罠 覇権国に挑戦する新興国が登場すると戦争が起きやすい

p245 鶴岡公二外務審議官 下に対しても上に対しても上から目線の男

p330 百点は採れないんだよ、60点、良くて70点なんだ

p332 日本はいままで韓国に対して、歴史問題で、「向こうがなにか言うたびに、こちらがなにか言い訳めいたことを言う」関係だった。しかし、慰安婦合意に関しては、「こちらが相手に約束を守るようにいって、向こうが言い訳めいたことを言う」関係へと変わった。それに伴ってワシントンのこの問題を見る目も変わり始めた、と安倍派感じた

p345 歴史はよき教師にはなるが、支配者になるべきではない

p365 歴史があって歴史認識が存在するのではなく、歴史認識があって初めて歴史が存在する

p409 内政の失敗は一内閣が倒れれば足りるが、外交の失敗は一国を滅ぼす

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2025年02月05日

Posted by ブクログ

読み応えあり。安倍政権の時代で、何をやろうとして何が起きたのかを、膨大な取材に基づいて描き出す。

元朝日新聞記者と知って、やべえかと思ったのだがそうでもなく、かなり客観的に、何があったか、何をしてのかを書いておられた。

政治は、理想だけではない。実現のためには、妥協や仕掛けも必要になる。切ったはったが面白い。
555ページで上巻。これから下へ。

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2024年12月26日

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