船橋洋一のレビュー一覧
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自身、シンクタンクを率いる筆者が、米国(対外政策、安全保障に的を絞っている)と日本のシンクタンクの現状を伝え、日本での課題を提言する。
よく耳にはする言葉だったが、そういえば「シンクタンクって何だ?」と改めて思った。国によっても成り立ちや位置付けが異なる。国の政策に対して各種分析をして提言を行う機関、といったところか。非営利かビジネスかによって立ち位置がかなり変わってくる。
ちょうどこれを読んでいる最中に日経新聞で「日本の政策コンサルは特定企業に偏り、コスト検証が甘い」という記事が載っていた。まず結論ありきの政策で、それを国民にうまく説明するための肉付け、あるいはアリバイ作りなのだろうか。 -
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著者は、ハーバード大学ケネディスクール初代院長で、レーガン〜オバマ政権の歴代国防長官の顧問を務めた国際政治のエキスパート。
古代ギリシャで、スパルタに挑んだアテネの脅威が、スパルタをペロポネソス戦争に踏み切らせた。
そのことから、著者は、新興国の台頭が覇権国を脅かして生じた構造的ストレスが、新旧大国の衝突に至る事象を、歴史家トゥキディデスの名に因んで「トゥキュディデスの罠」と呼ぶ。
ドイツ対イギリス(第一次大戦)や日本対アメリカ(第二次大戦)など、過去500年の新旧大国の衝突16ケースをひもときながら、現代における米中戦争の可能性と回避の方策を論じる。
トゥキディデスは、対立構図を戦争に発 -
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新興国の台頭に覇権国が脅かされて生じる国際的緊張状態は、著者によれば過去16回あり、その内12回は戦争に至ったという。
トゥキュディデスの罠というらしいが、野心満々の新興国の勢力拡大に軋轢が高まるのは当然だろう。
著者は戦争に至らなかった4つのケースから教訓を抽出しようとしているが、残念ながらどれも現状の米中関係には当てはまらない。
あり得るとすれば、AMD(assured mass destruction)だが、それでも数億人は生き残るといっている中国共産党にどれ程の効果があるのか。
「我々の子孫が中国に支配された世界に住むところは見たくない」と言ったヒラリー・クリントンに大いに同意 -
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ネタバレ【222冊目】ペロポネソス戦争が起こったときのように、新興国と覇権国は戦争に至る場合がある。これを「トゥキディデスの罠」と呼び、アメリカと中国もこの罠に陥って戦争になるおそれがあると指摘した本。
新興国は、自らの成長の勢いに比べると自らの主張が覇権国や国際社会に受け入れられることが少ないことから、そうした上京を作出しているのは覇権国が既存の秩序に固執しすぎていると考える。覇権国は、新興国が自らの権威と現在の秩序に挑戦しようと考える。
相互不信に陥った両国は、スパルタとアテネのように、小さなボタンの掛け違えから戦争にまで突き進んでいく、というもの。これを、罠にはまった第一次世界大戦や、逆に -
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ネタバレ東日本大震災で発生した原発事故で最前線にたっていた方々の話を軸に、あの時に何があったのかということを「敗戦」というキーワードをもとに再構成したノンフィクション。
現場で何があったのか・・ということをあらためて知ると言う意味においてはよかったのだけれど、あの出来事を太平洋戦争と並べて「敗戦」というキーワードで語ろうとするのはちょっとな・・・というのが正直な感想。
ある出来事を取り上げて国民性や何かしらの(勝ち負け)の原因を探ると言うのは、歴史家の営みの中でスタンダードなものでは有ると思うけど、今回は「日本は変わっていなかった」ということをまず言いたくてトピックを選んでいるような気がしてならなか -