福島第一原発事故で、日本は「あの戦争」と同じ失敗を繰り返した――。『カウントダウン・メルトダウン』(大宅賞受賞)で福島第一原発事故を克明に描いた船橋氏が、福島の失敗の原因を徹底検証。
船橋氏の方針は、「文化論」を極力避けること。「文化決定論」は無責任と敗北主義をもたらし、「日本人だからダメなのだ」という居直りとあきらめをもたらすだけだからです。そこで氏は組織論、リーダーシップ論、ガバナンス論の視点から、どのような状況におかれた意思決定者が、どのような人間関係や指揮系統のなかで、どのように決断や命令を下したのかを具体的に検証。その結果あぶり出されたのは、戦力の逐次投入、「最悪のシナリオ」を考えることの放棄、インテリジェンスの軽視、タコツボ的な指揮系統、大局を見ない組織間抗争……。まさに、太平洋戦争論において散々指摘されてきたものと酷似した、数々の問題点でした。今度こそ同じ失敗を繰り返さないために、船橋氏はいかなる処方箋を見出すのか? 半藤一利氏らとの特別対談を収録。
Posted by ブクログ 2019年03月10日
先の大戦での敗戦と福島第一原子力発電所事故への対応の病根は、
同じ性質なのではないかを論じたのが本書である。
日本の政治・官僚の責任回避、危機に際しての組織としての機能
不全、権限・指揮系統の不透明性。それは戦時中から連綿と受け
継がれた。
そして、福島第一原子力発電所事故のような国家...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年09月05日
福島第一原発での事故対応に関して、危機に際してのリーダーシップのあり方、組織のあり方にスポットをあてたノンフィクション。「事故対応で有効に機能したのは自衛隊だけで、それは自衛隊がそもそも何が起こるかわからない状況を常に想定して普段から訓練しているからである」との記述には納得。企業が事故を起こした後で...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月14日
日本型組織、構成員の責任回避の連鎖、現場と遊離した参謀/本部といった問題は、いままでと変わらずフクシマでも析出した。その例を具体的に挙げている。2Fの所長のインタビューは特によかった。
いちいち納得できる指摘ばかりである。が、アジテーション型の文体は、誰に訴えかけるためのものか?こういうのを本当に読...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年04月07日
同氏の大著『カウントダウン・メルトダウン』(私は手を出せていないが)について、作家の関川夏央氏は「戦記」と評したそうだが、本書はまさにその「戦記」をベースとした、現代版『失敗の本質』。
さすがの船橋氏の筆力に一気に読んでしまった。今回認識を新たにしたのは福島第二原発の増田所長の(吉田所長とはまた違う...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年03月16日
内的なリスク回避を追求した積み重ねが、開戦という最もリスクが大きい選択となった
危機の際に求められる人間は空気を読む人間ではない。危機の時には優先順位を峻厳につけるしなない
安井正也 言い切ってします
危機の時、一方でなになに、他方でなになにという両刀遣い的プレゼンはあまり役にたたない
分化...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年01月06日
福島原発事故時、政府・東京電力が失敗した原因を追究したノンフィクション。リスク意識・組織ガバナンス・リーダーシップの欠如という日本人の国民性は、先の大戦の時から進歩が無いのだということを主張しており、自分たちの仕事においても反面教師にすべき点は多いと感じた。
一番興味深かったのは、当時の福島第2原...続きを読む