レイモンドチャンドラーのレビュー一覧

  • 高い窓

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    ネタバレ

     金持ちの依頼人を訪れるところから始まる前半部の展開は、まさしくハードボイルドの典型だな。だけど、マールではなくてマードック夫人が夫を窓から突き落としていたという、なかなか悲惨なラストが用意されているにも関わらず、一度は解決したかに見えた事件の真相をマーロウが暴くことになる「大いなる眠り」や、煩雑に見えた展開が最後に見事に収束する「さらば愛しき女よ」ほどの完成度には達していない。よく書けた詩をなくしたうんぬんのところはちょっとよかったし、駄作というわけじゃないけどね。そういえばいい女も今回は出てこなかったな。
     コインを盗んだ理由が偽造のためというのは思いつかなかったけど、それにしてもパレルモ

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    2025年08月17日
  • リトル・シスター

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    ハリウッドを舞台にした探偵小説。訳者あとがきでも触れられているが、プロットはかなり入り組んでいて判然としない。初めに登場する不思議な依頼人が怪しいというのは、あまりに古典的だが、むしろこの作品から始まりなのだろうか。

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    2025年06月08日
  • 長いお別れ

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    やっと、やっと読み終わった。ハードボイルドの中でもバリカタなのでは?と思うくらい、、文の癖が強く、人物の読み分けが難しく時間がかかった。こういう類のミステリ小説を読むのはある種筋トレに近い気がする。
    バーでギムレットを飲み、カクテル言葉が長いお別れだと知り、その由来は小説に紐付き、、という軽い気持ちで読み始めて、なかなか軽く終われるものではなかった
    もはや私がギムレットには早すぎた

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    2025年01月26日
  • ロング・グッドバイ

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    ハードボイルド小説の巨匠の代表作を村上春樹訳で読む。もうむちゃくちゃに有名で言い回しやセリフも有名なのが多い。プロットはシンプル(友人の死の真相を調べていく)だがマーロウのくたびれた皮肉が身にしみるように感じる。作品としてオッと思わせるシーンもなくはないが比較的淡々と進んでいくように思えるのは主人公目線だからだろうか。事件が解決してからの方が読み味としては面白く、そこからが本番な気がする。正直、長編もいいのだが短編が読んでみたい。

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    2025年01月18日
  • ロング・グッドバイ

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    いちいち言い回しがかっこいい!アメリカの風を少し浴びれた気がする。
    ラストにめちゃくちゃ感動したし、人間の心理描写が上手くてめっちゃ良かった
    いつかまた読みたい
    「ギムレットを飲むには少し早すぎるね」

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    2025年01月03日
  • ロング・グッドバイ

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    事件起きてから解決編に移るまでが長い!
    そこまで我慢できれば後半は展開が変わりまくりで飽きなく読めた。
    春樹さんぽさが万歳で洋書を読んでる感じは無かった。

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    2024年11月13日
  • リトル・シスター

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    映画ビジネスという日本であまりきかない題材のせいかわかりにくいところもあった。春樹は気に入っているようだが。

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    2024年11月09日
  • ロング・グッドバイ

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    ロマンチストで飲んだくれの少し話しただけの友人の濡れ衣を正してくれる正義感の塊の主人公すてきだったなー

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    2024年10月30日
  • プレイバック

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    「優しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」あの有名なセリフの村上春樹訳である。「プレイバック」の小説そのものよりもこのセリフの方が有名である。


    「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」という有名な訳は生島治郎によるもののようだ。


    田口俊樹訳だと「タフじゃなければここまで
    生きてはこられなかった。」になる。


    こんな話だ。朝の6時半、マーロウは知らない弁護士からの電話で起こされる。列車で到着する若い女性を尾行してくれという依頼だった。マーロウは駅へ行き、女性を見つけ尾行するが、彼女の周りにはおかしな男たちがまとわりつ

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    2024年12月19日
  • フィリップ・マーロウの教える生き方

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    123冊目『フィリップ・マーロウの教える生き方』(レイモンド・チャンドラー 著、マーティン・アッシャー 編、村上春樹 訳、2022年2月、早川書房)
    チャンドラーの生み出した傑作探偵小説『フィリップ・マーロウ』シリーズから名言を蒐集し、カテゴリごとに配置した語録。ついつい口に出して言いたくなるカッチョいい名文の数々が並ぶ。
    オタク趣味全開な一冊なのだが、これは村上自らが出版社に持ちかけ翻訳を行ったもの。大作家にも可愛らしいところがあるのね。

    〈時が足音を忍ばせ、唇に指を当てて、しずしずと過ぎていった〉

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    2024年09月21日
  • 長いお別れ

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    当方、レイモンドチャンドラー、マーロウのシリーズを読むのは初めてです。

    かの有名なプリンのマーロウ。ずっと気になっていましたがこの物語があることは知りませんでした。
    丁度そのころ、上司とバーに行った時、マティーニを飲んで、キザなセリフを言われ(何かは忘れた)レイモンドチャンドラーの本を紹介された。

    事前情報なしで読みました。ハードボイルドと言われるように、服装、情景、一つ一つの行動の表現方法が独特。
    読みにくいと言われればそうだし、想像力を掻き立てられると言えばそうかも。
    評価は⭐︎3ですが、マーロウの性格がよくわかる作品でした。

    また美味しいプリンをよろしくお願いします

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    2024年09月05日
  • 高い窓

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    本作のマーロウはシニカルで辛辣な言葉を容赦なく相手に放っては、何度となく反感を買う。周囲に対して変に気遣う日常を送る私にとってはマーロウのこのストレート勝負な部分こそが痛快であり、定期的にチャンドラー作品へ触れたくなる理由のひとつでもある。マーロウもの第一作「大いなる眠り」や第二作「さよなら、愛しい人」と比較して、物語自体もサスペンス性に富んでいたように思う

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    2024年08月18日
  • 長いお別れ

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    そういえば読んでいない、……と思う名作シリーズ。

    言わずと知れたハードボイルド!
    かたゆで卵!

    想像していたよりも読みやすく、想像していたよりも推理小説していた。

    独特の文体で、しかも一癖ある描写が妙。
    それにしても描写がちとウザイかな。一人一人の服装なんかは特に興味ないので、最初はおもしろく読めていてもだんだん冗長に感じて来る。

    セリフ回しなどもストレートなものはなく、それが気に入る人は心酔するだろうし、気に入らなければくどいだけに感じるだろう。

    入り込めれば、まあ、おもしろく読めた。


    な~がいあ~い~だ~♪
    ま~たせて(読まずに)ご~めんね~♪

    なぜか読み始めるときはKir

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    2024年05月07日
  • ロング・グッドバイ

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    ネタバレ

    準古典ミステリ文学の巨匠、レイモンドチャンドラーの最高傑作と言われている。
    古い本なので、展開的にはそこまであっと驚かせるようなものはないが、古きアメリカの退廃した社会や、登場人物たちの清濁併せ持つありのままの姿を、主人公フィリップマーロウの視点から切り取る。
    村上春樹のあとがきもすごい難しいこと言ってるけど、「自我というものを、
    ブラックボックスとして、各人の行動に反映されたものとして捉えている」というコメントには同意できる。
    村上春樹が似た作品として挙げている、フィッツジェラルドのグレートギャツビーも読みたくなる。
    個人的にはマーロウやレノックス、その他の人々達も「どこかやりきれない」まま

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    2024年02月28日
  • フィリップ・マーロウの教える生き方

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    おおっ!これは! というのは意外に少なかった。残念。
    でも、こうして気の利いたラインばかりをまとめて読むと、チャンドラーは村上春樹氏の原点なんだなぁ、というのがよくわかりますね。かなりそのまんまというか、春樹氏はコピーと言ってもいいんじゃないかと思うくらいに似ているというか。

    そうか、村上春樹氏も自分だけの力でハルキ・ムラカミになったのではないのだな、と思った。

    しかし、
    「こっちはくたくたなんだ。君が差し出してくれたものについては感謝している。私なんかがいただくには立派過ぎるものだ」
    なーんて好意を持っている男から言われた日には・・・
    普通に「すいません、疲れ過ぎていて、お役には立てませ

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    2024年02月24日
  • 湖中の女

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    裏で糸を引く意味だと考えても、「湖中の女」が確かに中心人物だと言えると思った。

    また、マーロウの「私」視点で書かれてはいるが、地の文からマーロウが考えていることがわかるわけではなく、マーロウが見たものやしたことしかわからないし、そのほかに書かれていることもマーロウとその相手の会話文であるため、読者にわかることはマーロウの隣でマーロウの言動を眺めている場合と同じである。マーロウが気づかないことには読者も気づけないし、マーロウにしかわからないことは読者が知ることはできない。

    主観というのは、自分にだけ都合が良いものだということがよくわかる物語である。客観とは、それこそマーロウの顧客がマーロウか

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    2024年02月24日
  • プレイバック

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    19冊目『プレイバック』(レイモンド・チャンドラー 著、村上春樹 訳、2018年9月、早川書房)
    私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編小説としては7作目であり、チャンドラーの遺作でもある。村上春樹が翻訳するマーロウシリーズとしてはこれが6作目。
    「優しくなければ…」のセリフで有名な作品ではあるが、内容そのものの評価は芳しくないらしい。
    なぜそこで?と首を傾げたくなるベッドシーンがあるのだが、その理由は翻訳者のあとがきを読む事で理解する事が出来た。

    〈優しくなれないようなら、生きるに値しない〉

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    2024年02月19日
  • 水底【みなそこ】の女

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    読むのにかなり時間がかかってしまった。面白くないわけではないのだが、どうも先に花しっを進めていくエネルギーが弱い感じがした。次々の新しい展開が開けてくる感じは悪くないのだが、何事にも感情移入がしづらく、そういう意味では淡々と事件を追いかけている感じは悪くないのだが、ちょっと淡々としすぎている気がする。
    前半は特に登場人物や風景が魅力的で、そのあたりはとても気持ちよく読めた。ただ、小説のメインプロットがありふれたもので、落ちが何となく読めてしまうし、そんなプロットをさも意外なように扱っている謎解き部分が、なんだか一番しらけて感じた。ただそんな中にも魅力的な登場人物は顕在で、犯人が正体を現してから

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    2024年02月17日
  • 大いなる眠り

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    フィルム・ノワールの傑作として名高い「深夜の告白」を始め数々の映画脚本を手掛けたチャンドラーは、小説を執筆する際も絵コンテ並の完璧なイメージが頭のなかに出来上がっていたのではないだろうか。そう思わせるほどに人物や情景、生活様式などが事細かに記されており、それらを想像しながら読むのがとても楽しい

    複雑に絡まった人間関係が終盤で収束されていく展開はあまりに見事で、初めての長編となる本作で既にハードボイルド小説の王道的なものを極めてしまったと言っていいかもしれない

    結びの印象深いフレーズも、これ以降あらゆる作品においての常套句になった気がする

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    2024年01月31日
  • フィリップ・マーロウの教える生き方

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    巨匠チャンドラーが生んだ私立探偵フィリップ・マーロウの至言をテーマ別にチョイス。村上春樹の翻訳で贈る珠玉の名言集が文庫化。

    そもそも単行本で出ていたことを知らなかった。
    村上訳はまだ読んでいないが、いずれ。

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    2022年11月20日