レイモンドチャンドラーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ金持ちの依頼人を訪れるところから始まる前半部の展開は、まさしくハードボイルドの典型だな。だけど、マールではなくてマードック夫人が夫を窓から突き落としていたという、なかなか悲惨なラストが用意されているにも関わらず、一度は解決したかに見えた事件の真相をマーロウが暴くことになる「大いなる眠り」や、煩雑に見えた展開が最後に見事に収束する「さらば愛しき女よ」ほどの完成度には達していない。よく書けた詩をなくしたうんぬんのところはちょっとよかったし、駄作というわけじゃないけどね。そういえばいい女も今回は出てこなかったな。
コインを盗んだ理由が偽造のためというのは思いつかなかったけど、それにしてもパレルモ -
Posted by ブクログ
「優しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」あの有名なセリフの村上春樹訳である。「プレイバック」の小説そのものよりもこのセリフの方が有名である。
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」という有名な訳は生島治郎によるもののようだ。
田口俊樹訳だと「タフじゃなければここまで
生きてはこられなかった。」になる。
こんな話だ。朝の6時半、マーロウは知らない弁護士からの電話で起こされる。列車で到着する若い女性を尾行してくれという依頼だった。マーロウは駅へ行き、女性を見つけ尾行するが、彼女の周りにはおかしな男たちがまとわりつ -
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Posted by ブクログ
当方、レイモンドチャンドラー、マーロウのシリーズを読むのは初めてです。
かの有名なプリンのマーロウ。ずっと気になっていましたがこの物語があることは知りませんでした。
丁度そのころ、上司とバーに行った時、マティーニを飲んで、キザなセリフを言われ(何かは忘れた)レイモンドチャンドラーの本を紹介された。
事前情報なしで読みました。ハードボイルドと言われるように、服装、情景、一つ一つの行動の表現方法が独特。
読みにくいと言われればそうだし、想像力を掻き立てられると言えばそうかも。
評価は⭐︎3ですが、マーロウの性格がよくわかる作品でした。
また美味しいプリンをよろしくお願いします -
Posted by ブクログ
そういえば読んでいない、……と思う名作シリーズ。
言わずと知れたハードボイルド!
かたゆで卵!
想像していたよりも読みやすく、想像していたよりも推理小説していた。
独特の文体で、しかも一癖ある描写が妙。
それにしても描写がちとウザイかな。一人一人の服装なんかは特に興味ないので、最初はおもしろく読めていてもだんだん冗長に感じて来る。
セリフ回しなどもストレートなものはなく、それが気に入る人は心酔するだろうし、気に入らなければくどいだけに感じるだろう。
入り込めれば、まあ、おもしろく読めた。
な~がいあ~い~だ~♪
ま~たせて(読まずに)ご~めんね~♪
なぜか読み始めるときはKir -
Posted by ブクログ
ネタバレ準古典ミステリ文学の巨匠、レイモンドチャンドラーの最高傑作と言われている。
古い本なので、展開的にはそこまであっと驚かせるようなものはないが、古きアメリカの退廃した社会や、登場人物たちの清濁併せ持つありのままの姿を、主人公フィリップマーロウの視点から切り取る。
村上春樹のあとがきもすごい難しいこと言ってるけど、「自我というものを、
ブラックボックスとして、各人の行動に反映されたものとして捉えている」というコメントには同意できる。
村上春樹が似た作品として挙げている、フィッツジェラルドのグレートギャツビーも読みたくなる。
個人的にはマーロウやレノックス、その他の人々達も「どこかやりきれない」まま -
Posted by ブクログ
おおっ!これは! というのは意外に少なかった。残念。
でも、こうして気の利いたラインばかりをまとめて読むと、チャンドラーは村上春樹氏の原点なんだなぁ、というのがよくわかりますね。かなりそのまんまというか、春樹氏はコピーと言ってもいいんじゃないかと思うくらいに似ているというか。
そうか、村上春樹氏も自分だけの力でハルキ・ムラカミになったのではないのだな、と思った。
しかし、
「こっちはくたくたなんだ。君が差し出してくれたものについては感謝している。私なんかがいただくには立派過ぎるものだ」
なーんて好意を持っている男から言われた日には・・・
普通に「すいません、疲れ過ぎていて、お役には立てませ -
Posted by ブクログ
裏で糸を引く意味だと考えても、「湖中の女」が確かに中心人物だと言えると思った。
また、マーロウの「私」視点で書かれてはいるが、地の文からマーロウが考えていることがわかるわけではなく、マーロウが見たものやしたことしかわからないし、そのほかに書かれていることもマーロウとその相手の会話文であるため、読者にわかることはマーロウの隣でマーロウの言動を眺めている場合と同じである。マーロウが気づかないことには読者も気づけないし、マーロウにしかわからないことは読者が知ることはできない。
主観というのは、自分にだけ都合が良いものだということがよくわかる物語である。客観とは、それこそマーロウの顧客がマーロウか -
Posted by ブクログ
読むのにかなり時間がかかってしまった。面白くないわけではないのだが、どうも先に花しっを進めていくエネルギーが弱い感じがした。次々の新しい展開が開けてくる感じは悪くないのだが、何事にも感情移入がしづらく、そういう意味では淡々と事件を追いかけている感じは悪くないのだが、ちょっと淡々としすぎている気がする。
前半は特に登場人物や風景が魅力的で、そのあたりはとても気持ちよく読めた。ただ、小説のメインプロットがありふれたもので、落ちが何となく読めてしまうし、そんなプロットをさも意外なように扱っている謎解き部分が、なんだか一番しらけて感じた。ただそんな中にも魅力的な登場人物は顕在で、犯人が正体を現してから -
Posted by ブクログ
フィルム・ノワールの傑作として名高い「深夜の告白」を始め数々の映画脚本を手掛けたチャンドラーは、小説を執筆する際も絵コンテ並の完璧なイメージが頭のなかに出来上がっていたのではないだろうか。そう思わせるほどに人物や情景、生活様式などが事細かに記されており、それらを想像しながら読むのがとても楽しい
複雑に絡まった人間関係が終盤で収束されていく展開はあまりに見事で、初めての長編となる本作で既にハードボイルド小説の王道的なものを極めてしまったと言っていいかもしれない
結びの印象深いフレーズも、これ以降あらゆる作品においての常套句になった気がする -