レイモンドチャンドラーのレビュー一覧
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レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウもののひとつ。村上春樹の翻訳は、やっぱりすごいなと思う。なかなか思いつかない表現が随所にあって、それがマーロウのイメージにハマりまくっているというか、それ以外を想像できない。
この作品、プロットがめちゃくちゃややこしい。結局途中で正直よくわからなくなってきた。誰だったっけこれ、状態で最後まで読み切った。それでも読み進めてしまったのは、マーロウの毒舌が冴え渡っていたせいだ。こんなへらず口ばかり叩く奴がいたら、むかついてしょうがないと思うが、小説で読むと会話のテンポが気持ちいい。ダイレクトパスを自在に操るように、場の流れを読み切っている。
村上春樹さんがあとがきで書いていたが、チャンドラーはこれを書いていた時期、ハリウッドのシナリオを手がけたりしていて、調子を狂わせていたそうだ。どんな状況でも作品は残り、評価を受ける。誰も人生は平坦ではなく、困難の時期を迎える。そんな時でも形を残して次に進むこと自体に意味がある。マーロウ作品の最傑作「ロンググッドバイ」は、この作品の後に生まれている。 -
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ネタバレ村上春樹氏が翻訳していなかったら、きっと読まなかっただろうな、という作品。でも、結果としてはなかなかよかった。
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もともと1958年発表の作品ということで、70年も前の作品。
一言で言えば刑事もの、否探偵もので、探偵が何とも不思議な事件に巻き込まれつつ、最後は痛快な終わり方をするものです。
殺人事件あり、暴力あり、さらにはその事件には大金持ち、美女らが絡んでくるので舞台装置としても絵になる設定だと思います。
ただ、この主人公の探偵、フィリップ・マーロウなる人物、彼がひとからならぬ頑固さを持つ人で、なんというか、読んでいる読者でも『なぜ素直にならない!?』とイライラするのではないでしょうか。
口汚く、節を曲げない、というより、普通素直に行くところを曲げてきて物事を紛糾させる。とはいえ、一本筋の通ったことをする人物。もう、食えない奴なんです。
そして、そんなマーロウの世界を村上氏が『らしい』翻訳で演出してみます。
村上氏の作品といえば、多くの作品にでてくる『僕』が感嘆するあのことば、『やれやれ』です。これも本作で結構出てきます。いったい原語は何なんでしょうね。
その他、メモしなかったのですが、これは一体何を訳したらこういう訳になるのかなあという表現が幾つかありました。それだけ自然に読めたということでもあります。
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ということで、初めてのレイモンド・チャンドラーでした。
ハチャメチャな探偵で、以前読んだ舞上王太郎のようなシュールさすら感じました。
加えて時代の雰囲気を醸した村上節翻訳も面白かったです。こういう体験をすると、原書と翻訳を首っ引きで読んでみたくなりますね。 -
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『大いなる眠り』に続き、村上訳チャンドラー五作目。内容はわりかし入り組んでて、ひとことで説明するのは難しい…。
原書もこんな感じなんだろうか——というのも、村上氏の作品(ま、これも翻訳しているとはいえ村上作品と言えなくもないが…)を読んでる如し…なので。訳し方を通常の村上作品に寄せているのか、はたまた原書もこんな風なのか…気になるところ。
何作かチャンドラー作品を読んできて感じるのは、物語を楽しむというか"マーロウ"の仕草、言動を楽しむ作品だということだ。そのために事件他、すべての物事が存在するのだ。これは彼自身の作品にも通づることだと思う。ひとつひとつの比喩表現を愉しむことに——。星三つ半。
まあ、ひとことで言うのなら…ワインの香りを愉しむような作品だった——。 -
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レイモンド・チャンドラー『プレイバック』 (創元推理文庫)清水俊二訳から2024年、表紙も新たにアメリカの画家エドワード・ホッパー作品、田口俊樹訳で出版されている。残念ながら読んだのは1977年発行本になる。因みに『ロング・グッドバイ』は 2010年の村上春樹訳で読んでいるのだが...印象が薄く覚えが悪い。1976年には『長いお別れ』で清水俊二訳、更に2022年にホッパー表紙の 田口俊樹訳で発行、機会があれば読み比べをしてみたい。
『プレイバック』の私立探偵フィリップ・マーロウは相変わらず格好いい。薄汚れたコロンボ刑事やフケまみれの金田一耕助とは違い、いちいち立ち振る舞いが格好いいのだ。決め台詞は「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」人生で言ってみたい言葉NO.1~だがしかし、チャンドラー最後の作品『プレイバック』はなんやかんやで評価が分かれる作品らしい。 -
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ネタバレ金持ちの依頼人を訪れるところから始まる前半部の展開は、まさしくハードボイルドの典型だな。だけど、マールではなくてマードック夫人が夫を窓から突き落としていたという、なかなか悲惨なラストが用意されているにも関わらず、一度は解決したかに見えた事件の真相をマーロウが暴くことになる「大いなる眠り」や、煩雑に見えた展開が最後に見事に収束する「さらば愛しき女よ」ほどの完成度には達していない。よく書けた詩をなくしたうんぬんのところはちょっとよかったし、駄作というわけじゃないけどね。そういえばいい女も今回は出てこなかったな。
コインを盗んだ理由が偽造のためというのは思いつかなかったけど、それにしてもパレルモとかルイス・モーニーとかエディー・プルーとか強面の奴らが妙にものわかりがよくて、事件をややこしくしているだけというのはちょっとつまらん。それにマーロウの名探偵ぶりにも拍車がかかって、運の良さだけで証拠を集め、最後にいきなり事件の真相を推理してしまうのもなんかなあ。まあここで推理をしてマールをマードック夫人の屋敷から連れ出すだけで、警察にそれを知らせないというところがハードボイルドなのかもしれないけど。しかしマーロウって警察をないがしろにするよな。
今回の犠牲者は、マードック夫人の夫を別にして、フィリップ・アンスン、イライサ・モーニングスター、バニヤーの3人。いつもより少なめかな。
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Posted by ブクログ
「優しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」あの有名なセリフの村上春樹訳である。「プレイバック」の小説そのものよりもこのセリフの方が有名である。
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」という有名な訳は生島治郎によるもののようだ。
田口俊樹訳だと「タフじゃなければここまで
生きてはこられなかった。」になる。
こんな話だ。朝の6時半、マーロウは知らない弁護士からの電話で起こされる。列車で到着する若い女性を尾行してくれという依頼だった。マーロウは駅へ行き、女性を見つけ尾行するが、彼女の周りにはおかしな男たちがまとわりつき…。前半は事件らしい事件は起こらない。依頼してきた弁護士は何者か?この女性は?彼女にまとわりつく男たちは?何が起きているのか、わからないことだらけである。
途中で死体が出てくるがすぐ消えてしまい、今ひとつ盛り上がらない。最後にはすべてが明らかになるのだが、依頼主になるベティーにマーロウは言う。「私が求めているのは金なんかじゃない。自分がいったい何をしているのか、なぜそんなことをしなくちゃならないのか、それが知りたいだけだ」なんだこの理屈。何がしたいんだ?
この作品では事件は派手には起きない。その点では地味だ。そして何よりいつものマーロウと違う点は、簡単に女性に言い寄られ、簡単に一緒に寝てしまう点だ。これまでのマーロウは悪漢から女性を守るなどの流れがあって女性から何か言われてもさらりと断るのだ。しかしこの話では女性は脈絡なくマーロウに惚れて、マーロウも今までの我慢の反動のように女性を受け入れる。あまりオススメしたくないマーロウである。
翻訳では創元推理文庫の田口俊樹版も良いと言われるが、ハヤカワ文庫の村上春樹版が読みやすいのは確か。どうぞフィリップ・マーロウが崩れ始めるチャンドラー晩年の長編小説を愉しみましょう。