レイモンドチャンドラーのレビュー一覧
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「レイモンド・チャンドラー」の長篇ミステリー作品『プレイバック(原題:Playback)』を読みました。
『チャンドラー短編全集3 待っている』、『さらば愛しき女よ』に続き「レイモンド・チャンドラー」作品です。
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女の尾行を依頼された「マーロウ」は、ロサンジェルス駅に着いた列車の中にその女の姿を見つけた。
だが、駅構内で派手な服装の男と言葉を交すや女の態度は一変した。
明らかに女は脅迫されているらしい。
男は影のように女について回った… そして二人を追う「マーロウ」を待つ一つの死とは?
正統派ハードボイルドの伝統を築いた「レイモンド・チャンド -
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「レイモンド・チャンドラー」の長篇ミステリー作品『さらば愛しき女よ(原題:Farewell, My Lovely)』を読みました。
『チャンドラー短編全集3 待っている』に続き「レイモンド・チャンドラー」作品です。
-----story-------------
前科者「大鹿マロイ」は、出所したその足で以前別れた女を捜し始めたが、またもや殺人を犯してしまった。
たまたま居合せた私立探偵「マーロウ」は、警察に調べられる。
その後、「マーロウ」は、高価な首飾りをギャングから買い戻すための護衛を依頼されるが、自らの不手際で依頼人を死なせてしまう。
苦境に立った彼を待っていたものは……。
全篇に流 -
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マーロウが時折見せる「弱さ」が意外で、読みどころの一つ。
事件が大詰めとなり、大ボスとの対決を前にあれこれと考えを巡らせ、くじけそうになるマーロウ。
「私には酒が必要だった。郊外の家が必要だった。しかし今のところ私が手にしているのは、上着と帽子と拳銃だけだ
だからそれらを身にまとい、部屋を出た」(p380)
マッチョ一辺倒ではないからこそ、かっこよさがより際立つし、そんなマーロウを応援したくなる。村上春樹作品はチャンドラーを中心にアメリカ文学をうまく掛け合わせたブレンドウイスキー。そして、こちらは原酒。やっぱり原酒にトライしたいところだ。チャンドラー万歳。 -
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レイモンド・チャンドラーの著名な小説シリーズ。主人公のフィリップ・マーロウを通じて描かれる様々な名言から、編者が厳選され、テーマを与えて整理されたものです。それぞれの名言を眺めると、シリーズの場面が思い出され、マーロウのカッコよさが蘇ってきます。それは何故なのか。編者のまえがきから、その理由が分かり、本書が作られた意味も理解することができます。単純に面白いセリフを集めただけではなく、全体を通して見事にマーロウの世界が描かれています。このシリーズがいかに言葉に支えられていたものだったのだと気付かされます。本書から、心に響いた言葉を探して、それを心の奥に持ちながら人生を生きていくのも、カッコ良いと
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ネタバレロング・グッドバイを読んだ直後に手に取った。
それがあまりに良すぎて、何だかちょっと物足りない感じがした。
が!マーロウは相変わらずマーロウで、やっぱりタフで、だけど殴られて。そして優しい。そう、タフでなければ生きていけないし、優しくなければ生きている資格がないのだ。それを体現しているかのようだった。
ただ、今までとちょっと違うのが…誰かとくっ付くことはなかったマーロウだったが、今回はラストで…あれれ?どうなるのかな。
これで、私のマーロウを眺める旅は終わったけれど、もう少し、もう少し、あのタフでどこか優しい探偵さんのお話を読みたかったなと思う。 -
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ネタバレ高い窓
著者:レイモンド・チャンドラー
訳者:村上春樹
発行:2016年9月15日(単行本は2014.12)
ハヤカワ・ミステリ文庫
村上春樹訳で読み直すフィリップ・マーロウ。本作はシリーズ3作目。これは読んだことがなかった(たぶん)。一般的にも、日本では全7作中で一番知られていないかもしれないし、発表当時もアメリカでの評判はよくなかったと訳者後書きには書いてある。しかし、僕にとってはとても楽しめた作品だった。珍しくマーロウが殴られて気絶するようなシーンが全くない。殺人は3回あるが、リアルな暴力シーンがなかった。そして、謎解きがちゃんとされている作品でもあった。
(設定)
裕福な未亡人ミ -
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ネタバレプレイバック
著者:レイモンド・チャンドラー
訳者:村上春樹
発行:2018年9月15日(単行本は2016.12)
早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)
「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」
小説そのものより、この下りの方がずっと有名かもしれない。チャンドラーの小説に出てくることを知っていても、「長いお別れ」や「さらば愛しき女よ」あたりに出てくると思っている人もいるかもしれない。僕の印象では、この言葉は有名だけど、プレイバックの小説そのものはそんなに面白くない、と評する人が多いように思う。
ともあれ、この有名な言葉を村上春樹が果たしてどう訳しているのか。な -
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チャンドラーが残した七冊の長編小説のうち、これで三作を読んだわけだけれど、村上春樹氏の翻訳がいよいよこなれて来て、とても読みやすくなっているように感じた。
「ロング・グッドバイ」も「大いなる眠り」も、やや村上氏にもチャンドラーを翻訳するということへの愛があふれるゆえ気負うところがあったような、僅かなぎこちなさみたいなものを感じたのだけれど、そういうサイドブレーキを引いたまま運転しているような印象が綺麗サッパリなくなっていてとても愉快にこのタフでいかした私立探偵との旅を感じて読み進めることが出来たように思える。
もちろんそれは、この作品そのもののもつクオリティやパワーが他の作品に比べてもやはり