レイモンドチャンドラーのレビュー一覧

  • 高い窓

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高い窓

    著者:レイモンド・チャンドラー
    訳者:村上春樹
    発行:2016年9月15日(単行本は2014.12)
    ハヤカワ・ミステリ文庫

    村上春樹訳で読み直すフィリップ・マーロウ。本作はシリーズ3作目。これは読んだことがなかった(たぶん)。一般的にも、日本では全7作中で一番知られていないかもしれないし、発表当時もアメリカでの評判はよくなかったと訳者後書きには書いてある。しかし、僕にとってはとても楽しめた作品だった。珍しくマーロウが殴られて気絶するようなシーンが全くない。殺人は3回あるが、リアルな暴力シーンがなかった。そして、謎解きがちゃんとされている作品でもあった。

    (設定)
    裕福な未亡人ミセス・マードックから、亡夫が残した遺産の一つである希少で高価な金貨を取り戻して欲しいと依頼。息子の嫁が持ち出して行方不明になっている。見つけ出し、取り戻し、離婚させたい、と。
    ミセス・マードックには、情けない息子が。彼は行方知れずの妻にぞっこん。
    一方、ミセス・マードックはお金にケチで高圧的、独善的。長く使える若い女性秘書マールにもパワハラを。しかし、マールはその自覚がなく逆に恩義を感じていいなりになっている。一種の洗脳状態にも。
    マーロウが調べを進めると、ミセスはもう金貨は返ってきたからいいという話になった。どういう事情か分からぬマーロウ。
    依頼を受けた直後からマーロウのことをつけてくるドジな私立探偵の自宅を訪ねると、彼が殺されていた。また、ミセスのところに持ち出された金貨について電話で照会してきた古銭商も殺された。
    ミセス・マードック、息子、秘書、出て行った嫁、その友人とその夫で高級ナイトクラブ経営者、「その友人」の愛人で大変な悪が中心となって話は進んでいく。

    ***(個人メモ、ストーリー全バレ注意)******

    ミセス・マードック(裕福な未亡人)
    ジャスパー・マードック(亡夫)
    ホレース・ブライト(前夫)
    レスリー・マードック(息子)
    リンダ・コンクエスト(レスリーの妻)

    マール・デイヴィス(秘書)
    アレックス・モーニー(高級ナイトクラブ経営者)
    エディー・プルー(モーニーの用心棒)
    ロイス・マジック(モーニー)(モーニーの妻)
    ルイス・ヴァニアー(ロイスの愛人)
    モーニングスター(古銭商)
    ヘンチ(酔っ払い)
    ジョージ・アンソン・フィリップス(私立探偵、ヘンチと同フロア)
    ブリーズ(刑事)

    ミセス・マードックから、亡夫が残した遺産である、とある貴重な金貨を持ち出して姿を消した嫁のリンダを探し、取り戻して、離婚させたいと依頼を受けた(マーロウは離婚は扱っていない)。その金貨は転売禁止と亡夫が公に宣言していた。

    息子のレスリーがマーロウを訪ね、母親が依頼したのでは?と内容を気にしている。マーロウは守秘義務で言わない。レスリーは高級クラブ経営者のモーニーに1200ドルの借金があることを自白した。

    モーニーの邸宅に行き、ロイス(ミセス・モーニー)を訪ねると、金髪美女である彼女とその愛人のヴァニアーがいた。彼女はリンダと友人なので訪ねると、6か月ほどあっていないと追い払われた。

    マーロウを尾行しているちょっとドジなやつがいたので、彼を捕まえて問い詰めると、フィリップスという私立探偵だという。自分はマーロウのことを以前の事件で見かけて知っていて、自身は腕が悪いので今依頼をうけている件について情報交換しないかと言う。彼の自宅に行くことを約束し、アパートの鍵を預かる。時間前なら入って待っていてくれという。

    今回の盗難発覚は、その金貨を売る気があるのか照会してきた古銭商モーニングスターからの連絡による。マーロウは彼を訪ねる。とぼけていたが、結局、彼は800ドルで手に買ったと言い、マーロウが1000ドルで買い取ることを了承した。マーロウは帰り際、彼が私立探偵フィリップスに電話をしたものの、管理人がアパートの部屋に言っても返事がないことを盗み聞きして知った。

    フィリップの部屋を訪ねると殺されていた。向かいの部屋から大音量のラジオ、酔っ払いのヘンチ、同居の女は殴られた跡。そのヘンチの枕の下からフィリップを撃った銃が出てきた。ヘンチはそれは自分の銃ではない、自分は別に持っているがそれがない。さっき鍵をかけないで2人で酔っ払って出かけたから、その隙に誰かがフィリップを殺して銃をすり替えたのでは?と言う。マーロウも彼が殺したのではないと思うが、結局、彼は逮捕される。

    刑事のブリーズが、マーロウにこの事件との関わりを執拗に訪ねる。マーロウは守秘義務を盾に依頼主のことを言わない。言わなければお前を逮捕すると脅されることになる。
    マーロウのもとに金貨が郵送されてきた。手書きの活字体が特徴。のちにそれはフィリップスが送ったことが判明する。
    マーロウはミセスを訪ねて1000ドルで買い戻す話をするが、ミセスは相手にしない。
    マーロウは送られてきた金貨が25ドルの価値と質屋に言われ、15ドルで預ける。

    モーニングスターを訪ねると、彼は死んでいた。殴られたショックで死んだ感じで、とどめ前に死んだと判断。それでも殺人は殺人。彼は救急通報だけして去る。

    ブリーズは引き続きマーロウに詰問する。しかし、ヘンチのアパートのオーナーは向かいにある葬儀社の経営者(イタリア人)であり、彼から金髪で背が高い女が出入りしていたとの証言を得る。

    エディー・プルーという男から電話があり、呼ばれた。モーニーの経営するクラブへ向かう。モーニーと用心棒のエディーに会う。モーニーは、最近、ロイスと結婚したが男がたくさんいる、しかし、ヴァニアーというろくでなしは許せないと言う。彼を近づけないでくれと"依頼”してきた。彼との話が終わった後、レスリーが現れた。どうやら最初からここに来て歌っているらしい。彼女に金貨のことを聞くと、盗むわけがないと否定、離婚は25000ドルくれたらしてやる、と言い放った。ミセスは強欲で、秘書を虐待しているし、とんでもないと罵る。

    ミセスからは、金貨は出てきたのでもう探さなくていいと連絡を受けていた。
    マーロウは、彼女を訪ね、自分自身が身柄拘束されるので、依頼のことを刑事に言いたいと言うが、彼女はダメだと言う。しかし、やりとりをする中で実は金貨を持ち出したのは息子だと言い出した。モーニーに博打で負けたお金を借金していて、その抵当として持ち出した。しかし、事情を話したら返してくれた、と。
    マーロウはその話を疑った。

    ヘンチが殺しを吐いたという。イタリア人葬儀社経営者に会いにいくと、ヘンチを説得し、一度認めて裁判で否定しろ、弁護士はつけてやるという条件で納得させた。彼がヘンチにそう言ったのは、自分のダメ弟が同じアパートに住んでいて、警察にウロウロされるとまずいからとのことだった。

    マールがマーロウのアパートに運ばれてきた。童謡している。ヴァニアーを殺してきたという。しかし、彼女のバッグに入っていた銃は発射された形跡がなく、弾丸もサイズ違いで撃てるわけがなかった。彼女は、ミセスとヴァニアーの関係を説明した。マールはミセスの前夫の時代から使えていたが、前夫が彼女にセクハラをした。そのことについてヴァニアーが弱みを握っていて、ミセスから長年にわたり金をせびっていた。今日もその金を届けに行ったが、もう最後にしたいとのミセスの言葉を聞いて自分が殺したと言う。マールはミセスに虐待され支配されているのに、自分はとてもお世話になっていて恩返しをしなければと思い込んでいる。マインドコントロールされていた。医師を呼び、マールを診察させてアパートで休ませてヴァニアーの部屋に向かった。

    マーロウがヴァニアーの部屋に入ると、彼は銃で頭をぶち抜かれていたが、ソファにいて、ソファ外にたれた手の先に発射された銃があった。自殺に見えなくもない。そこにモーニーとロイスが来たので隠れて聞いていた。2人はもめていた、お互いそれぞれ相手が殺したのではと疑っている感じでもあった。モーニーはロイスの指紋を銃につけるように仕向け、そのまま連れ出して去った。マーロウは銃の指紋を拭き取り、死後硬直しているヴァニアーの指の指紋をダメ元で銃につけた。死後硬直ぶりからして死んだのは昨日であり、マールでないことは確かだった。
    偶然、ある写真を見つけた。高い窓から男が落ちそうになり、後ろに女がいる写真だった。

    いよいよ決着をつけに、ミセスとその息子のところに。
    1.マーロウの推測
    ・ヴァニアーと歯科技工士のティーガーは、例の金貨を歯科技工の技術で偽造して売ろうと計画、カモとして間抜けな広告を出していたフィリップスを雇った。ロイスはヴァニアーとフィリップスの仲介役であり、当初はロイスは犯罪とは無関係だった。
    ・ミセスの息子に金貨を持ち出させた
    ・フィリップスはマーロウがミセスの屋敷に出入りしているのを見つけて尾行した
    ・偽造金貨をモーングスターは本物と思い、マーロウが持ちかけた1000ドルで買う話に乗った
    ・モーニングスターは犯罪の臭いがするため、フィリップスを脅した。フィリップスはヴァニアーに対して犯罪じゃないかと言う
    ・ヴァニアーはフィリップスを消し偽造金貨を探したがなく、モーニングスターのところでも探したがなかった。モーニングスターは殴ったらそのまま死んでしまった
    ・ミセスの息子には偽造金貨の一つを本物だと言って返却した
    ・ヴァニアーを殺したのは、ミセスの息子だ
    ・なお、フィリップスが弱気になりマーロウに相談を持ちかけたのは、エディー・プルーにつけ回されてびびったから。エディーはロイスとヴァニアーのことを調べている時に彼女がフィリップスに会ったため、どういう人間かを調べるべくつけ回していた
    2.ミセスの息子の説明
    ・ヴァニアーのところにいくと、まずいことになっているが、俺が捕まったらお前も巻き添えにしてやると脅された
    ・自分の銃をヴァニアーの頭に当てたが、彼が自らの銃を出しかけたのでそれを取り上げ、彼の銃に持ち替えて彼の頭につけた。撃つつもりはなかったが、弾が出てしまった。その銃は、ヴァニアーがフィリップスを撃った後にすり替えたヘンチの銃だった
    3.ミセスの説明
    ・前夫とマールはおかしなことになり、マールは前夫を窓から突き落とした。しかし自分はマールをそのまま雇い、大切にしてやった。
    ・それについてヴァニアーが秘密を握っている、写真がある、と脅してきた。決して見せようとしないため、写真などあるわけがないと言いながらもお金を渡し続けた
    4.マーロウの反撃
    ・写真を見せた。後ろに写っているのはマールではなくミセスだ

    0
    2021年03月30日
  • プレイバック

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    プレイバック

    著者:レイモンド・チャンドラー
    訳者:村上春樹
    発行:2018年9月15日(単行本は2016.12)
    早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)

    「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」

    小説そのものより、この下りの方がずっと有名かもしれない。チャンドラーの小説に出てくることを知っていても、「長いお別れ」や「さらば愛しき女よ」あたりに出てくると思っている人もいるかもしれない。僕の印象では、この言葉は有名だけど、プレイバックの小説そのものはそんなに面白くない、と評する人が多いように思う。

    ともあれ、この有名な言葉を村上春樹が果たしてどう訳しているのか。なんといっても興味はそこにつきる。現に、今回の訳者あとがきでも最初からその話題になっている。大抵の人は同じ質問をしてきたそうだ。「あの部分はどう訳すんですか?」

    この言葉、冒頭に「男は」をつけて角川映画が70年代後半にコピーに使って一躍有名になった。訳者あとがきによると、これは1960年代に小説家の生島治郎が訳した「タフじゃなくは生きてはいけない。やさしくなくては、生きている資格はない」がもとになっているという。
    もちろん、この他にもいろいろ訳があり、

    「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」(清水俊二訳)

    「ハードでなければ生きていけない。ジェントルでなければ生き行く気にもなれない」(矢作俊彦)

    僕自身は、清水訳で若い頃に読んだ記憶がかすかにある。

    さて、問題の村上訳。とても楽しみに読み進んだが、見当たらなかった。あれ?どこだろう??と訳者あとがきを読んでいたら、「あまり自信はないけど、『まあ、これくらいが妥当ではないか』というあたりで僕なりになんとかまとめた」と書かれていて、25章にあるとあった。

    読み返してみると、確かにあった。僕は原文英語に対してその訳が適切かどうかは分からない。でも、見事に過去のどの翻訳のイメージをも彷彿とさせずに訳している。あれだけ固まったイメージを、まったく連想させない訳はおそらくとても見事だし、僕のように「あれ?出てこなかった」と思わせるのは、訳者村上春樹本人の最も本意ではなかったかとも思う。
    見事にやられた。
    (原文)
    If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.

    チャンドラーが、唯一昼間から酒を飲みながら書いた小説。元々、映画のシナリオとして書かれたものを小説化。完成した最後の小説。

    (設定)
    ある朝、知らない弁護士から電話で依頼。ロサンゼルスのユニオンステーションから、ある女を尾行し、彼女がどこで腰を落ち着けるかを調べて欲しい、と。
    尾行すると、彼女はサンディエゴで降り、海辺の高級地のホテルに入った。しかし、マーロウはちょっとした隙に彼女を逃し、チェックアウトされてしまった。調べると、再び鉄道に乗るはずだった彼女の計画は邪魔され、再びその地で滞在していることが分かった。
    彼女は、一人の男にゆすられている様子だった。
    マーロウは、一旦、ロサンゼルスに戻って弁護士に彼女を尾行する理由などを詰問するが、弁護士は答えない。マーロウはサンディエゴへと戻る。

    ***(個人的メモ、読書予定の人は読まないでね)***

    エリザベス(ベティ)・メイフィールド(尾行対象の女)
    ラリー・ミッチェル(ゆすり屋、ベティにつきまとう男)
    クラーク・ブランドン(ホテルのオーナー)
    ロス・ゴーブル(私立探偵)
    クライド・アムニー(依頼してきた弁護士)

    アムニーからベティの尾行を依頼されたマーロウ。LAのユニオン・ステーションからサンディエゴの「エスメラルダ」という街へ。LAでベティはラリーに脅されていた。後に分かるが、列車の中で知り合ったという。ラリーはエスメラルダに住むたかりで生きているろくでなし。高級ホテルに滞在。

    マーロウは、いったんは彼女を見失うが、再び見つけて依頼主弁護士のアムニーに報告。なぜ彼女を尾行するのか聞くが、なにも言わない。しかし、段々とワシントンDCの別の弁護士からの依頼であることを告白。どうやらベティは嫁ぎ先から大金を持ちだし、名前を変えて転々としているらしい。

    あるとき、ベティがマーロウの滞在する部屋に訪ねてきた。自分の部屋のバルコニーでラリーが死んでいるから死体を始末してほしいとの依頼だった。彼女は大金を持っていた。
    そこに行くが、死体はなかった。しかも、ラリーは翌日に荷物を持って旅立ったと駐車場係が証言した。1週間分の滞在費を前払いして。おかしいと感じるマーロウ。やっぱり死んでいるのでは?

    ラリーはホテルオーナーのブランドンと知り合い。ラリーのベティに対するからみ方を見かねて助ける。一体、ラリーは彼女のどんな弱みを握っているのか?

    ロス・ゴーブルという私立探偵が接近してきて、マーロウを尾行などする。ラリーを探しているともいう。その彼が、マーロウが滞在する部屋で半殺しの目にあった。マーロウもあやうく殺されかけたが、察知して殺し屋と格闘し勝つ。どういうことか?

    ノース・カロライナから、ベティの死んだ夫の父親が警察署長のところに来た。ベティについて、自分の息子を殺したと主張している。息子は戦争でのけがで首にギプスをして生きていたが、それをベティが外して殺したと主張。彼は大金持ちの有力者だった。しかし、裁判で彼女は陪審員からは有罪とされたものの、判事の判断で無罪となった。父親はそれが許せず、俺の力を持ってすれば、ベティがどこに逃げようと徹底的に懲らしめられるんだと大口を叩いた。

    ラリーは、そんなベティの過去を知っていたので、彼女を脅して大金をせしめようとしていたのだった。しかし、ベティと愛し合っていたホテルオーナーのブランドンは、ラリーを殺し、死体を持ち出し、ラリーの車を30キロ離れた渓谷に置き去りにしておいた。死体はヘリで海に捨てた。
    これが真相だった。

    私立探偵も、大金を狙ってきていたようで、だからラリーを探していた。彼らは元々知り合いで、金をゆすりに来ていたが、ラリーが先に死んだため一人でブランドンからお金をかすめ取ろうとした。だからブランドンに雇われた殺し屋に半殺しにされた。

    (名言)
    常識というのは、今週車をどこかにぶっつけた人に向かって「君は先週のうちにブレーキの調整をしておくべきだったね」と忠告するようなやつだ。常識というのは、自分がチームに加わっていたら、週末のゲームなんて楽勝だったのにと言う、月曜日のクォーターバックのようなやつだ。(152)

    「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」(293)

    0
    2023年05月20日
  • プレイバック

    Posted by ブクログ

    「プレイバック」(レイモンド・チャンドラー :村上春樹 訳)を読んだ。
    やはり清水俊二版で育った世代なので、村上春樹版の例のセリフはちと堅苦しい感じがしてまだ馴染めずにいる。
    この作品はさ、矜持こそ失ってはいないもののかなりお疲れ気味のマーロウがいてちょっと違和感があるよ。
    やれやれ。

    0
    2021年01月08日
  • さよなら、愛しい人

    Posted by ブクログ

    チャンドラーが残した七冊の長編小説のうち、これで三作を読んだわけだけれど、村上春樹氏の翻訳がいよいよこなれて来て、とても読みやすくなっているように感じた。

    「ロング・グッドバイ」も「大いなる眠り」も、やや村上氏にもチャンドラーを翻訳するということへの愛があふれるゆえ気負うところがあったような、僅かなぎこちなさみたいなものを感じたのだけれど、そういうサイドブレーキを引いたまま運転しているような印象が綺麗サッパリなくなっていてとても愉快にこのタフでいかした私立探偵との旅を感じて読み進めることが出来たように思える。
    もちろんそれは、この作品そのもののもつクオリティやパワーが他の作品に比べてもやはり高いこともあるのだろうけど。

    0
    2020年12月09日
  • 湖中の女

    Posted by ブクログ

    チャンドラーは評論を含め全て読んでるはずなのにこの作品は印象が薄い。
    初期に傑作を沢山読んだせいかもしれない。

    0
    2020年11月10日
  • さよなら、愛しい人

    Posted by ブクログ

    マーロウはかっこいいですね、シェイクスピアの言い回しがかっこいいです(シェイクスピア読んだことないんですが)。

    今回は伏線がたくさんあり、ミステリアスな内容です。気合入れて読まないと、伏線回収で付いていけなくなります(私です)。

    0
    2020年10月26日
  • 長いお別れ

    Posted by ブクログ

    何度も咀嚼して読むことで味が出そうな小説。ただストーリーを追うだけで読み進めた自分には途中間延びしたところがあったりでテンポが悪く感じる。
    物語のキーマンであるテリーとの友情が唐突な気がしたり、何故にリンダローリングと寝ることになるのか、その夫である医師は曲者だけど話の筋にはほぼ関わらないひとだったりと納得出来ないところがあるが再読で納得できるのかも。
    タイトルはテリーとのお別れがしばらく経ってもう一度訪れるから、と解釈していいのかな。であれば最後まで読まないと合点できないタイトルで好きです。

    0
    2020年09月20日
  • プレイバック

    Posted by ブクログ

    私立探偵フィリップ・マーロウの物語も遺作となった今作を以て一旦その幕をを閉じる。死体消失トリックのおざなり感に加え、女性たちと脈絡なく一夜を共にするマーロウは過去作で築き上げたストイックな人物造形が揺らぐ程に通俗的。それを『今回も(良くも悪くも)“らしい"作品だな』と受け入れられる私も随分とチャンドラー節にこなれてきたようだ。ロマンスを成就させたマーロウが次作(遺稿を別作家が加筆)にて如何なる変化を遂げるのか興味はあるが、私はここで読み納め。波乱万丈な作家の生涯に作品を通して触れる事が出来たのも感慨深い。

    0
    2022年10月11日
  • リトル・シスター

    Posted by ブクログ

    序盤から依頼人オーファメイの高慢ちきな態度に苛立ちを抑えられず、一体どの辺が「かわいい女」なのさ?と怪訝に思いながら読み進めると、過去作とは毛色の違うピリついた空気が飛び込んで来る。今作のマーロウはどこか投げやりで酷く自嘲的。持ち前のウィットなお喋りにも刺々しさが目立つ。プロットも入り組み過ぎていて流石に読み疲れたが、解説にある通り、著者の精神状態が如実に反映されているならば、そこに強い作家性を感じざるを得ない。村上氏の言う通り、次作への通過儀礼として今作はその出来栄え以上に特別な役割を担っているのかも。

    0
    2021年01月13日
  • 水底【みなそこ】の女

    Posted by ブクログ

    四作目にしてミステリー要素を全面に押し出してきたものの、前作「高い窓」以上の偶発性と力業に頼ったプロットは流石に粗目立ちする。今作の登場人物ではパットンのキャラクターがとりわけ魅力的だが、私は依頼人キングズリーの人間味が妙に愛おしく思えた。物語の舞台となる湖畔の情景描写も秀逸だが、如何にもミステリーの謎解きですよと言わんばかりの終盤の展開はやり過ぎで、物語が一気に通俗的な方向性に転じてしまった。独自の哀愁をバッサリ切り捨てた締め括り方もやや唐突。ミステリーという枠組みにまんまと絡め取られた印象が残る作品。

    0
    2020年04月03日
  • 高い窓

    Posted by ブクログ

    前二作に比べて地味だが、ミステリー要素が強く、暴力描写もないので、落ち着いた雰囲気が新鮮。脇役に至るまで登場人物のキャラクターが濃いので、彼らと対峙するマーロウの駆け引きも殊更ウィットに富んでいる。相変わらず緻密な描写が積まれているが、人物も情景も自ずと立体的になり、一度味わうとこの文体から逃れられない。終盤は所謂ご都合主義的展開だが、収まるべく所にきちんと収束する。とある文芸評論家の方が『ハードボイルドは男性用のハーレクインロマンス』と評したようで、マーロウの振る舞いに痺れる私的には言い得て妙な気も…。

    0
    2022年09月06日
  • さよなら、愛しい人

    Posted by ブクログ

    一作目で挫折しないで大正解。何故なら、正にこんなハードボイルドが読みたかったから。タフガイだけれど、決して完全無欠ではないマーロウ。自身の恐怖心を鼓舞する人間らしさも魅力的。皮肉たっぷりの台詞回しには思わず笑みが溢れてしまう。表現が比喩的過ぎたり、説明が省略され過ぎていて、状況が把握出来ない場面も幾らかあるが、深く考えるのはそれこそ野暮なのか。組織の腐敗は現代の警察小説にも通じており、古典でルーツを探るのもまた一興。邦題を「愛しき女」から「愛しい人」に改題したのは【二人それぞれの愛情】を表すためですかね。

    0
    2021年01月13日
  • 大いなる眠り

    Posted by ブクログ

    初チャンドラー、初フィリップ・マーロウ。各セクション毎の展開に関連性があるようでなかったり、ミステリー作品の構成として腑に落ちない場面は多々あれど、キャラクターの魅力ひとつあれば作品は成立するという説得力に満ちている。マーロウとオールズの関係、ガイ将軍への敬意など、魅惑的な描写に感嘆しつつも、話の筋を追うのに精一杯で、達成感より疲労感が勝ってしまった。整合性を求めるのではなく、独特の言い回しや世界観を味わってみるのが正解だったのかもしれない。次回は"Don't think, FEEL!"の気持ちで挑戦だ。

    0
    2019年12月17日
  • リトル・シスター

    Posted by ブクログ

    春樹版チャンドラー三作目。三作も読むと村上春樹の魅力の原点はやはりチャンドラーから来ているのだなと感じた。訳者も言っているが、内容云々ではなくマーロウ節を愉しむべきだと。内容が複雑で些か読むのに時間が掛かってしまった…まあ面白かった^^ 星三つ半。

    0
    2019年09月16日
  • リトル・シスター

    Posted by ブクログ

    お気に入りの私立探偵フィリップ・マーロウシリーズ。
    今回のはとても登場人物が多く、話も込み入っていてシリーズの中でも分かりにくい作品でした。
    毎回マーロウは損な役回りをさせられていますが、今回も同様、それ以上かもしれないです。何とか探偵免許は剥奪されなかったのと別ルートで報酬もらえたのが救いかな。
    それにしても依頼者のオーファメイが気にくわないな。
    チャンドラーの作品は男性と女性の書き方に差がありますが、女性の闇を見せられた気がしました。
    読後のスッキリ感が薄いですね。
    ウイスキーで流し込んで胃袋の底に落としこみたい作品でした。

    0
    2019年08月03日
  • プレイバック

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    チャンドラーの小説は、省略が多くて、途中でストーリーについていけなくなる事が多いんだけれど、これは話がそんなに長くないせいか、最後まで迷子にならずに済みました。しかしあの有名な台詞、角川春樹のせいで私たちの世代(アラフィフ)にはすっかりお馴染みなんですが、日本以外ではそんなに知られていなかったとは・・・。広告代理店の力、恐るべしですね。

    0
    2018年12月08日
  • プレイバック

    Posted by ブクログ

    いつも楽しみにしてるフィリップ・マーロウシリーズの村上春樹翻訳、6作目。ロング・グッドバイや高い窓には劣るけども、楽しめます。次の7作目で最後か。

    52
    「銃ではなにごとも解決しない」と私は言った。「銃というのは、出来の悪い第二幕を早く切り上げるためのカーテンのようなものだ」

    293
    「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」

    0
    2018年11月06日
  • さらば愛しき女よ

    Posted by ブクログ

    (108)比喩の訳わからなさにイヤにならなければ面白く読める。メガネさんに鍛えられていれば大丈夫。中国茶のように云々。

    0
    2018年12月14日
  • 湖中の女

    Posted by ブクログ

    読んでいる最中、何度も中断が入ったため、いまひとつ話に熱中できなかった。決してつまらない話ではなかったのだが...。やはり一気に読まなければいけないと思った。

    0
    2018年10月15日
  • プレイバック

    Posted by ブクログ

    同じ小説なのですが、清水さん訳とは全然違った印象で読ませていただきました。どちらかといえば、しっかりとした筋で、読みやすい印象でした。読後の感想としても、どこで何が起こったのかがよく分かりました。ただそれ故に、この作品の独特の分からなさ、不気味さが減ってしまっている印象があり残念でした。もちろん残っていますし、その中で十分面白かったのですが。
    主人公が、面識の無い弁護士からの電話で急に事件に巻き込まれていきます。そこからその背景を知りたいという主人公の悪い性格が出てきて、事件が進んでいく。それだけでは陳腐な物語ですが、そうさせない、それぞれの場面があり、それを楽しむのがチャンドラーを楽しむということなのだと、改めて感じました。

    0
    2018年10月12日