三砂ちづるのレビュー一覧
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最近数人にこの本の内容について聞かれたり紹介する機会があったので再読。奥付を見ると2004年の本であるが、未だに女性たちは身体性を取り戻していない。布ナプキンが流行るなど、身体に向き合い始めた女性たちも微増しているといったところか。
内容としては、
・現代の女性が自分の身体や性に向き合っていない
・親世代も女としての生き方を強要しなくなっている
・自身の女性性ときちんと向き合い、うまく女性としての力を使わないと「オニババ」になってしまう
・力の使い方としてはやはりセックスや出産がオススメ
・「負け犬」と自称するのは仕事に恵まれ恋人を見つけられるような、結局は勝ちの人で、そうでない大半の女性が -
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そんなふうにして、さかのぼってみるとすると、十代前には千二十四人の人がいる、ということになる。十代前って、だいたい千七00年ころでしょうかねえ。ちょっとややこしいけど、その人たちを全部足してみます。そうすると、自分の親から、十代前の千二十四人まで、二千四十六人の人たちが関わっているんですよ。二千四十六人。そして当然のことですけど、その半分が母親です。千二十三人が母親。みんな、女、です。その女たちのひとりでも、気を変えてこの子を産むのをやめよう、とおもったら、あなたにはつながっていなかった。そしてね、ひとりひとりが、若いころがあり、親との葛藤があり、恋があり、悩みがあったんだ。あなたのお母さんは
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読んでて、これは違うな、とか、これは腹立つな、とかもありましたが、総じて興味深い内容でした。
身体知を大事にするところなどは、よくよく共感。
あと、社会内での役割についても、これまでずっと考えていたことが、おかげで少し言葉になりそうな気がした。今の日本の社会は、ドロップアウトすることを極端に嫌うから、余計に一度どこかでラインを降りてしまうと行き場がなくなるのかも知れない。
親子関係のところは特に面白い。
自分の家庭が機能不全だった時期があるからか、色々と考えされられた。
父母の役割は、いわゆるジェンダーに依るものではなく、機能によるなど。
私なりの解釈では、この本は、要するに「定量化して測 -
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ネタバレこんなタイトルだけど、全然夫婦の話ではありません。サブタイトルの「なぜ女たちは「本能」を忘れたのか」にあらわされるように、女性の「本能」にもう一度着目し、大切にしようではないか…的な内容です。「母性主義」とかいうらしい。
もちろん、女性の社会進出を否定するものでも、男女同権を否定するものでもない。が、母乳育児を推奨したりするとそれを「母性を強制するのか!」などと批判する声が上がり、これまで女性が担ってきた仕事の価値を、逆に貶めたりする風潮に疑問を呈している。おむつなし育児が推奨されれば、「おむつなし育児を推奨することで女性の負担を増やしている!」とか。いやいや、夫婦でおむつなし育児をすればいい -
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三砂先生の着物姿に憧れて少し着物を着てみたりしていたけれど、最近はなかなか着ることができていなかった。改めてまた着物を着る生活にチャレンジしてみたいなと思わされる。
細かい着物の着方などは書かれていないが、一方で着物の着付けの本には書かれていなさそうなことが書かれている。
それにしても贅沢な気持ちになる。三砂先生自身が、着物を愛して探求する姿を見せていたから、おそらく周りの人たちも嬉しくなって三砂先生に着物にまつわるあれこれを物としても考え方としても還してきたのだろうとも思う。それが豊かで贅沢なありようとしてもうかがえる。
対象を愛して突き詰めることが起こすミラクルのようなものを考えさせられる -
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頭にモノを載せて運ぶ、頭上運搬。
かつてな日本各地でも行われていたこの身体技法について、
フィールドワークで得た情報を綴り、生活や文化を探る。
・はじめに
I 失われゆく身体技法 II 頭上運搬の記憶をたずねて
III 生活と労働を支えた身体性
・あとがきにかえて
石垣島や沖縄県糸満、沖永良部島、神津島、江島、
中川の北山杉集落でのフィールドワークと様々な先人たちの
研究などから、かつて日本各地で行われた頭上運搬が
解き明かされてゆく。
頭に載せるのは、芋、薪、魚、水、タライに洗濯物、
燃料用のソテツの葉、花、丸太さえも。しかも重い!
載せる工夫のクッションは様々。額に紐を掛けての運搬も。
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親はたいへんなんだぞ、なんて話はよく聞くものだ。子育ての困難というのは、少子化をいわれる世の中にあっては、考えざるを得ない問題だろう。でも、子どもの立場に立って見たらどうか。自分の存在が親にとっての困難だといわれたら?そのあたり、不倫関係になぞらえて考えさせる冒頭のやりとりは、なかなか楽しく、同時にとても考えさせられる。
ナナメの関係、失われるものへの哀惜、親を許すということ、没入する体験、必ずしも子育ての話に限らないけど、どこかでつながりも感じられる。なにか答えを与えられるというよりも、問題提起されて自分なりに考えを進めたくなる本だった。
親が成熟していると、子どもはイノセントになれ