万城目学のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』『悟浄出立』『プリンセス・トヨトミ』と万城目学作品を読んできて、作風が摑めてきた。
著者は大阪の出身らしい。関西の歴史や文化を絡めた作品が多く、本作も其の一つである。
『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』は京都、『プリンセス・トヨトミ』は大阪であったが、此度手に取った本書の舞台は奈良。京都と双ぶ古都である。
他作品同様、ユーモア全開でありつつも随所に鏤められたウィットが秀逸。『坊っちゃん』のパロディは勿論、"運び番"達が一堂に会した旅館の部屋が"ミサキの間"だったりと、細かいところに奥深い味わいがある。
基本的には楽しく読めて教養も得られるので、中高生の課題図書なんかに丁度良いかも。 -
Posted by ブクログ
サイキックな一族が見舞われる大騒動。「神様」を題材としたようなシリアスなストーリーにも関わらず、ちょっとハズレ加減な主人公をしてコメディタッチで描かれています。「鴨川ホルモー」に続く意味不明のタイトルにも、何だかテキトーな意味付けがあって笑えます。
人は血のつながりをもって様々な境遇のもとで生きており、自身の努力では捨て去るのことのできない何かと共存している。諦めではない方法でうまく折り合いがつけられるのであれば最良だけれど、それがなかなか難しい。安寧を求めて皆もがいているのだよ。などと笑いを誘われながらも時折り真面目なことを考えたり、忙しい読書でした。 -
Posted by ブクログ
題名作は、西遊記の悟浄を主役に仕立て上げた作品だ。中国史における助演者を主役にしたり、スピンオフであったりの5つのストーリーで構成されており、万城目学さんらしく面白い。
趙雲西航は三国志の蜀の軍人である趙雲子竜が主役。
虞姫寂静は秦を滅ぼした項羽の寵姫の虞美人が主役、夏目漱石が思い浮かぶ。
法家孤憤は秦の始皇帝暗殺未遂事件と法家思想政治の顛末が描かれている。
父司馬遷は史記の司馬遷について、娘からの視点で描かれている。
こうした確固たる方向性がある中で、登場人物の人間らしさをクスリと笑顔にさせる表現が、万城目学さんらしさを感じた。
ただ、私は中国史にはさほど興味がないため、読むのが少し辛かった。