万城目学のレビュー一覧
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彼我くん差は明白だった それほどの俊英ならば 客観的視点が常に欠落し、あくまでズレまくった主観のみが存在するのがオウムの真髄である。 その怒りに似た貴君の不満はわからないでもないが バブル経済の残滓である不良債権問題が一気に顕在化し こんなモラトリアム(猶予期間)のじゅういつ充溢した、居心地が良い土地は他にない。しかし、ゆっくりと確実に、心と体は毒に蝕まれていく。 容易く面接官を籠絡できるはず 「エウレカ(発見)!」と叫び、謎が氷解する日は唐突に訪れた。 競争の最終勝者は「十万画素」の携帯電話だった がいため外為 「鴨川デルタ」と呼ばれる賀茂川と高野川が合流して鴨川に一本化される地点 就職に有利といった近視眼的視点からいったん離れ、いつか二本の柱を築くべく、地方の大学&一人暮らしを選択肢に入れてみるのも一興では? せんじょう僭上な物言いであることは重々承知しているが じゃ、何で会社を辞めて小説家を目指すんだと問われたならば、「明らめる為」とこの捻くれ者は答える。 しふく雌伏の期間 「独りよがり」とは心の襞にこびりついた頑固な燃料だ 品種改良前の状態に戻ってほぼ鮒だったとか 小さな気づきの萌芽 嘘偽りのない感興
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時折やってしまう、S潮文庫の呪縛による、内容未確認予約物件。悟浄は、沙悟浄のことでした。
中国古典文学の多少脇役にスポットを当てた短編集5編。
この作品を書くに至った万城目学さんの序文に、すごく、いいね!っと思いました。彼は、高校時代の現文テストに出題された小説に心奪われた。その後、それが中島敦の「わが西遊記 悟浄歎異」と知る。中島敦は33歳で亡くなり、これは未完といったところ。そして、万城目学さんがその歳になり、そのオマージュに挑戦となる。
私は高校の現文の教科書で読んだつもりの森鷗外の寒山拾得のラストが心残りで時々思い出していたのですが、それが寒山拾得縁起のラストであったことがわかった時、ようやく納得したような気持ちだったですね。若い時代の出会いって、忘れ難い。(最近は、一昨日登録した本もあやしい)
悟浄出立 西遊記より
沙悟浄視線の猪八戒考察。
趙雲西行 三国志より
張飛・趙雲・諸葛亮の蜀への船上物語。
虞姫寂静 史記より
四面楚歌の元 虞美人草の虞姫の悲恋。
法家孤憤 史記より
燕の刺客、荊軻 同音の名を持つ男との分岐点
父司馬遷 史記 「李陵」中島敦
娘の榮から見た、大御所司馬遷。
どれも読み物として面白いのだけど、私が中国古典を読んでなくて、中島敦も西遊記を読んでないんですよ。なので、どの部分が万城目学さんの創作なのか、どのぐらいフィクションなのか、わからないのが残念でした。
猪八戒って、天界にいた時は、シュっとしたイケメンで、地上に落とされた時豚とぶつかってあの姿というのは、西遊記からなのかしら? -
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★それがこのバベルの源だった(p.322)
【感想】SFでもなくファンタジーとも言えず、不条理系というほどでもない奇妙な小説。でもけっこう読みやすくはありました。主人公がもう少しお気楽な性格でもよかったかなあとは思いました。
【内容】
・祖父の建てたバベル九朔というカラス群がる雑居ビルの管理人をしつつ小説家を目指す青年はある日黒衣の女に追われもうひとつのバベルに迷い込んでしまった。
【一行目】「qua」/「quaa」/「quaaa」/バベルの朝はカラスが連れてくる。
▼簡単なメモ
【飲食二年】昔は「飲食十年」と言われ飲食店の寿命はだいたい十年くらいが標準だったがそれが五年になり、今は二年なんだとか。おおむね五割の店が二年で閉店する。
【おむつ】探偵業の必需品なんだとか。
【俺】主人公の「俺」。二十七歳。バベル九朔の管理人。五階に住む。ビルを建てた人物「大九朔」の孫。祖父や初恵おばと同様の鷲鼻。作家志望。そのわりには状況理解が悪すぎる。いかに非現実的なできごとでも作家なら無意識にでも即座にその世界の状況分析をし始め順応してから対策を考えるでしょ? ここまで頑迷やと作家にはなれそうにない。
【カラス】しじゅう群れている。攻略しやすそうなゴミ袋があったらカラスネットで情報交換し集中攻撃してくるので迷惑。
【九朔/きゅうさく】→俺
【九朔三津子/きゅうさく・みつこ】「俺」の母。「俺」が小説家になりたがっているのが不満。
【黒衣の女】怪盗団の幹部と思われた黒ずくめで肉感的な女。階段を上がっていくところを目撃されている。「扉」を探しているらしい。
【少女】もうひとつのバベルにいる少女。「俺」をおっさん呼ばわりする。誰かに似ているようだが?
【小説家】「俺」は二年ほど新人賞に挑み続け一次選考も通ったことがないのでくじけているようだ。諦めのいいヤツ。初めて書いてかつ「受け」ようとしなくてもモノになる人はいてるやろうけど、たぶん二年くらいでは修行にもなってないよねえ、この世界。それも閉じ籠ってては「受ける」作品を書けるプロにはなかなかなりにくいかも。
【大九朔】「俺」は祖父をそう読んでいる。バベル九朔を建てた人物。人情味があったそうだ。絵を見る眼もあったのか絵画売買でかなり稼いだ(家族からすると見る眼はなかったらしい)。故人。なんだかよくわからない絵を遺した。
【千加子】地下一階の「SNACK ハンター」のママ。七十近い厚化粧。
【外池/とのいけ】刑事。
【扉】黒衣の女たちが探している。
【ネズミ】最近ネズミが出るようになった。ボスは猫ほど巨大な「ミッキー」。
【初恵/はつえ】「俺」のおば。九朔三姉妹の長女。六十五歳くらい。黒のイメージ。チェロ声。工場経営者。命令に慣れている。誰にたいしても文句を放つ。バベルの防火責任者。
【バベル九朔】五階建ての商業ビル。三十八年前に建造された。その当時は周辺で最も背が高かった。地下一階が「SNACK ハンター」千加子ママ。一階が中古CDショップ「レコ一」雇われ店長。二階が和風居酒屋「清酒会議」双見さん。三階が貸しギャラリー「ギャラリー 蜜」蜜村さん。四階が探偵事務所「ホーク・アイ・エージェンシー」四条さん。五階が管理人部屋で「俺」。
【富二子/ふじこ】「俺」のおば。九朔三姉妹の次女。前のバベル九朔管理人。五階は元々彼女の保険業の事務所で管理人もついでにやっていたが、年齢的なこともあって店を畳んだ。
【双見】居酒屋「清酒会議」のマスター。二十五歳。
【ホーク・アイ・エージェンシー】四階の探偵事務所。主は四条さん。徹頭徹尾流行っていない。
【蜜村/みつむら】三階の貸しギャラリー「蜜」の主。地味で声も小さいが二十歳そこそこで新築だったバベル九朔にきて以来数しれぬ種類の店を経営してきたアグレッシブさも持つ。実家は神社。
【無駄】このバベルの源。
【四条/よじょう】探偵。「ホーク・アイ・エージェンシー」所長。四十代後半。ふっくらした顔つき。スキンヘッドに立派な口ひげ。
【レコ一/れこいち】中古CDやレコードの店。いちおうチェーン店。店長は雇われで「俺」が管理人をするようになってすでに三代目。 -
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”時間“をテーマにした4人の作家たちの競演
辻村深月「タイムカプセルの八年」
不器用な父親と息子の物語、ジワリと涙腺がやられるやつです。
万城目学「トシ&シュン」
この人の感性は本当に面白い。
“時間”をテーマにしたとき、よくこの発想へたどりつくなと、感心してしまう。
米澤穂信「下津山縁起」
今度の時間は気の遠くなるほどの長さ。
“時間”という概念について少し前いろいろ本が出ていたけど、”知性“という概念と合わせて編年体にして描く、お上手です。
湊かなえ「長井優介へ」
“イヤミスの女王“と言われた作者らしい短篇。でも最後に少し光が見え読後感がいい。
辻村深月と湊かなえが少しかぶり気味だったけど、全員「タイムカプセル」で作ったらあとの二人はどんな物語だったのだろう……と勝手に想像してしまう。 -
ネタバレ
気合の入った力作ながら…。
2022年5月読了。
「鴨川ホルモー」で心を奪われて以来、ずっとずっと大好きだったのですが、「偉大なる…」で心底ガッカリしてしまい、万城目先生の著作からは一歩引いておりました。
ある日、「久々の大作!」と書店で見かけて購入したものの、長らく積ん読しておりましたが、縁有って今回読破いたしました。
「本当は熱い歴史小説が書きたいんだけど、時代的にありきたりに思われたら嫌だから、作者独特のとてもヒン曲がった角度から歴史を描く」と云う稀有な作家さんだとズ~ッと思ってきたのですが、
やっぱり此処(大坂の陣の時の京大坂!!!)の部分だけは、同時代の視点で描かなくてはいけないと、思い入れ充分で望まれたんだろうなぁと推察しました。
いつもの万城目テイストに、「トヨトミ…」へと繋がる物話をこのボリュームで描ききった労力には、先ず拍手を送りたいです。
京都の市井の生活から、大坂の陣前後の世相をふんわりイメージさせながら始まるのは、いつも通りで良かったですし(京~大坂間の物理的・心理的な距離感の表現は最高です)、
いろんな意味で拗らせている主人公も「正に万城目テイスト」なのですが、物語後半、世相や戦況が差し迫って来るに従って「そこいら辺に拘る気持ちも分かるけど、事態が切迫してきてるんだから、もう少し話をテキパキ進めてくれない?!」と、かえってストレスを感じてしまう部分が、残念ながら少なく有りませんでした。
登場人物も、(歴史上の)有名人をほぼ一切出さないので、前半部のニートな主人公と伊賀仲間との関係性を読ませる部分では良くても、戦争が本格化する後半に入ると、状況の推移がほぼ又聞きに成り、その時点で誰(武将達)が何処に居るのかすら曖昧になり、こんな戦時下でそんなに個人的な人間関係の話やケンカをする余裕が有るの?!と疑問に思いました。
特に終盤部等は、アクション重視の描写にすればかなりの大迫力に成ったと思いますし、会話を控えればもっと(亡くなっていく)人物への想いなんかもググッと盛り上がったと思うのですが、
「戦う者同士が、戦場の真っ只中でこんなお喋りしてたら、戦が終わっちゃうよ?」「大坂城って、燃え落ちそうに成ってからが強い、スゴい耐火構造にでも成ってたの?」と云う嫌味が言いたくなるくらいのもどかしさが残りました。 -
購入済み
京都に浸りたい人は是非
京都に馴染みのある身としてはとても親近感を持って読むことができた。設定も作り込みも面白い。ただ、同じ京都を舞台とする作家の森見登美彦氏の文章と比べると、やや華やかさに欠ける感はあった。