あらすじ
忍者×マキメワールドの大大長篇!
伊賀の国をクビになった忍びの者、風太郎。
謎の「ひょうたん」に誘われ運命は流転し始める!
奇才マキメの超絶戦国絵巻、開幕!
天下は豊臣から徳川へ。
度重なる不運の末、あえなく伊賀を追い出され、京でぼんくらな日々を送る「ニート忍者」の風太郎。
その運命は一個の「ひょうたん」との出会いを経て、大きくうねり始める。
時代の波に呑み込まれる風太郎の行く先に漂う、ふたたびの戦乱の気配。
めくるめく奇想の忍び絵巻は、大坂の陣へと突入する!
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本書、文句なく面白い。タイトルが気になって「とっぴんぱらり」を検索した。意外に多くの方が同じ行動をとられている。「とっぴんぱらりのぷぅ」で昔話の「めでたし、めでたし」にあたるそうだ。主人公の風太郎をぷうたろうと読ませていることに合点がいった。
落ちこぼれ忍者の風太郎が意とせず巻き込まれる数々の難題に立ち向かう。主人公はいわゆるいい人なのだ。本人は不遇を周りの厄介者のせいと思っているが、恐らく本当に不遇なのは捨ておけず関わってしまう周りの人々なのだろう。楽しく読めるが、悲しい物語。このギャップに心が揺れる。タイトルのようなハッピーエンドかどうかは読まれた方々にお任せしたい。蝉左右衛門の生き様に痺れた。
Posted by ブクログ
再読です。
前回読んだ時はただただ斬って斬られての凄惨なところばかりに目がいってしまい、「面白かったけど、もう読むことはないかもな」くらいに思っていましたが、文庫本(上・下)をちゃんと本棚に取っておいてよかったです。”万城目学を読み返そう運動”の最後に「(内容的に)重いからな~、どうしようかな~」と思いながら読み出しましたが、さすが万城目作品です。再読もなんのその、内容としてはやはり重くて辛い場面もたくさんあったのですが、読書としては楽しく、さくさくと読み進みました。
時は戦国時代。伊賀の国で忍びとして育った風太郎は、あることがきっかけで伊賀の国を去らざるをえなくなり、忍びとしても用無しになります。京都は吉田山に落ち着いた風太郎は、忍びとしてまた必要とされることを密かに思い続けながら、運命の流れのままに、萬屋で働いたり、ひょうたんに宿る(?)因心居士に現れられたりしながら、己の人生を生きていきます。この上巻は、伊賀で忍びをしていた時からの相棒「黒弓」とひょうたんを育てたりとのらりくらりと話が進むのですが、高台院ねね様からの依頼でひさご様のお供をした時の月次組からの襲撃、昔の忍び仲間「百」からの忍びに戻らないかとの話、そして気づいたら戦に参加していたという出来事が物語るように、下巻に向けて不穏な空気はどんどん濃くなっていきます。
戦が始まると聞いてもどこか他人事だった風太郎ですが、「黒弓」からの文を受け、京都から大阪の堺に行ってみると、実はあの文は「黒弓」からではなく、かつて同じ柘植屋敷で忍びとして育った「蝉」からのもので、嵌められたのだとわかりますが、その時にはすでに遅く、風太郎は戦に巻き込まれていきます。
萬屋の芥下の境遇を聞いていた風太郎は、自分の意志ではなかったにしろ、戦に参加し、幼いころの芥下が体験したことを、自らの手で無実の人々にしてしまう。そのことに大きく風太郎の心は傷つき、言葉にならない思いをその後一生抱えることになってしまう。戦の残酷さをまざまざと見せつけられた気がします。
しかし、風太郎ひとりがいくら精神的に傷つこうが戦は続き、風太郎は自分が生きのびるためにたくさんの敵を殺していくしかない。
この戦での体験が風太郎を大きく変えてしまいます。前半のなんだか少しゆるい感じは一掃され、「戦国時代」、「忍び」という抗えない時代と運命が暗黒となって後半を暗く重く覆っていきます。
ここまでが上巻でした。
素晴らしい大作であることが、もうひしひしと伝わってくるようでした。下巻、読みます!
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とってもおもしろかった。
テンポよく、駆け抜けるようで、ぐいぐい読んでしまった。
忍者の主人公が、どちらかと言うと落ちこぼれで、よく騙されてしまうのが(忍者なのに!)笑ってしまう。
でも万城目学の作品だからと油断していた。
めっちゃ死んだ。みんな死んだ。
そして誰もいなくなった。アガサ・クリスティーかよ。
正確に言うと、全員が死んでしまった訳じゃないけど、おまえー!なんで死ぬんだ!!って何度心の中で叫んだことか。
なのにハッピーエンドなのは間違いない。
なるほど、これにプリンセス・トヨトミが続くわけね、ってわかる。
私はというと、ついつい芥下とか、黒弓のお母さんとか、残された人はどう思ってこれから過ごすんだろうって考えてしまうんだよね。
でも、百はきっと日本を出ることなく、女の子を育てるだろうし、芥下は京都で瓢箪屋を続けるだろうし、希望があるよね、女の人はなんとか踏ん張って生きてくよねって、他の人の感想を聞いて、目から鱗が落ちる思いだった。
で、結局とっぴんぱらりの謎は解明されないままだった。
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伊賀の忍びが育つ過酷さ。『忍びの国』でも描かれた伊賀忍だが、万城目氏は実際の歴史を追いながら、ひょうたんの化身である因心居士が登場するファンタジーに仕上げ、と思いきや大坂冬の陣での生々しい殺戮へと舞台は推移していく。冬の陣が終息し、夢中になって読んだ上巻が終わった。
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2019.3.30再読。久々の万城目ワールド。この世界観がすごくいい。
忍びの世界しか知らなかった風太郎が国を出て、京都での暮らしの中で人の情に触れ、変わっていく。再び忍びの世界に戻り、仲間との違いや自分の心の変化に気がつく。
いくさの世に翻弄され。瓢箪の神様に翻弄され、黒弓のペースに流されながらも結構いい感じで変わっていく姿に惹きつけられた。
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忍者風太郎(ぷうたろう)は、殿様の逆鱗に触れ、伊賀の里を追放される。元はと言えば相方•黒弓のヘマと、同じ柘植の忍び屋敷で育った同期の蝉左右衛門•百市らが原因なのだが。京のあばら屋に逼塞した風太郎は、ひょんな事から因心居士という幻術使いの術に囚われてしまう。伊賀忍者への復帰を期して、やはり同期の常世(とこよ)に合力する中で、太閤未亡人•寧々の依頼を受け「ひさご様」という貴人の京見物の案内をするが、月次組(つきなみぐみ)という連中に襲われて…。
上巻は第六章まで。黒弓を訪ねた堺で蝉左右衛門と合流した風太郎は「大坂冬の陣」に参戦する事になる。司馬遼太郎の著作で言うと「果心居士の幻術」+「城砦」の面持ち。歴史エンターテイメントとして面白いです。
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風太郎のイメージが、勝手にむくむく膨らんで止まらない。のんびり瓢箪育ててるかと思えば、殺伐とした戦いのシーンもあって。登場する人物がみんな魅力的...。着地点が気になる気になる。
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久しぶりの万城目作品。
話の筋がしっかりしていて、癖のない文章が読みやすかった。
印象的だったのは、風太郎の視点で描かれる戦の臨場感。
忍びなのに、目の前で繰り広げられる惨状に当惑する心情がリアルに伝わってきた。
分厚いけど、読み応えがあって満足の作品。
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忍びの腕は一流というわけでもないが、ダメ忍者というわけでもない。
無愛想で、人柄も特にすばらしいというわけでもなく、もちろん美貌に恵まれているわけではない。
それを、本人、風太郎(ぷうたろう)が一番よくわかっている。
冒頭、伊賀の城に傷をつけ、御殿の機嫌を損ね、いきなり失職。
まだしく、プータローになってしまう。
そういう彼だからか、次々に起こる不思議なことに巻き込まれる。
ひょうたんの精?因心居士やら、ひさご様やら。
相棒?の、南蛮呂宋出身の黒弓も、いろいろ引っ掻き回す。
あれよあれよという間に、大坂冬の陣。
戦の中で殺人を重ねて、彼のナイーブさが失われていくのが痛々しい。
御殿や采女殿の真意は何だろう。
忍びの道を一度は逐われ、また呼び戻された真意は?
さて、下巻ではどうなっていくのだろうか。
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これまでの著者の作品から比べると、想像を絶するような話ではなく、あまり万城目ワールドを感じさせない内容でした。でも早く続きが読みたくなった。やっぱり面白い。
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ひょうたんを育てていたところに戦が起こって、事態は急変。急に血生臭い話となる。
忍びに戻ることができたが、風太郎は戦が終わって何を思う。
後編はどう展開するのだろう。
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下巻の感想も含みます。不可思議なひょうたんに導かれ、というよりは流されてと言った方がしっくりくる主人公。もうちょっと疑おうよ!とつっこみたくなるけど、どこか憎めないやつなのです。しかし流れた先、ラストの展開はまさに怒涛。この勢いに没頭して読みふけった後の切なさと気持ちよさがたまりませんでした。そしてあの過去作に繋がるのね!
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忍者もの、しかも主人公の名前が風太郎ときたら奇才・山田風太郎氏へのオマージュなのだろうが、今のところ現代の奇才・万城目氏らしい奇想天外さは鳴りをひそめており、王道のストーリー展開となっている。だけどそれはそれでとても面白く、上巻は一気読みでした。
後半にも期待。
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大凡浮世離れした設定である万城目学氏の作品は乾坤一擲伸るか反るか、つまりツボにハマればどこまでも突き抜けて面白くなり、対して読み手と感覚が合わなければ最後まで歯車がズレたまま…、ということがままあるように思うが、今作は見事に前者の例に当てはまり、エンターテインメントとして良質なことは言わずもがな、あるいは町田康氏の著作にも通じるような文学性をも迸らせている。
クライマックス以降のアクションシーンが昔の熱血マンガよろしく、少しくどいのでは、と感じたことなどあり、私にとって非の打ちどころのない完璧な小説であるとは言えないが、著者のクリエイティヴィティが存分に発揮された作品だと思う。
ヘヴィでシリアスなラストには、ちょっと驚いた。
これまでほとんどの万城目作品を単行本で買っているのに、今作はたまたま文庫化を待っての購入となってしまったが、もっと早くに読んでおくべきだった!
Posted by ブクログ
逃れられない過去を持ちながらも途中生来の明るさを感じさせていた風太郎がいくさの中で次々と体験させられる業に直面し人間らしさを失って行く場面が辛かったが仲間や関わる人々に助けられ裏切られながら成長して行く様は読んでいて心地良かった。スピンオフや続編を期待します。
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ニート忍者の風太郎(ぷうたろう)という主人公に興味をそそられて手に取った。
読み進めると、他にも個性的なキャラクターがたくさん出てきて、話の展開も面白く、一気に読めた。
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歴史の表に出ない忍者の題材は陳腐になりやすい気がして、万城目学がどういう風に描くのか興味があって購入しました。ファンタジーと歴史とが織り混ざってロマンある仕上がり。ユーモアだけでなく忍者の世界に生きる厳しさ、虚しさが読み進める度にひしひしと感じられました。
Posted by ブクログ
タイトルの『とっぴんぱらりの』や紹介文の『京でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”』でのほほんとした内容かと思いきや、のっけから命を賭ける殺伐とした闘いがあり読むのを諦めようかと思った。
面白くなったのは伊賀を出てからだが、やはり争いのシーンはかなり残虐。
忍びってこうだったのか。
忍びしか知らない人生なら自由の身になってもそれを自由と気付けないのかもしれない。
権力にとことん利用される風太郎を解放してやりたいと思った。
あと、ひょうたんの作り方がよくわかった。
ひさご様、因心居士、果心居士、残菊の正体が気になります。
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伊賀の忍びの風太郎は山を下ろされて具多らな生活を続ける。そこで、相棒の黒弓との腐れ縁や不思議な出会いがある。やがてひょんなことから忍びに戻り、大坂冬の陣に加わることになる。その戦の凄惨さはこれまでの表現から一変しシリアスになる。
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例によってなぜ読もうと思ったんだったか・・・。
本が届いた時に、想像もしていなかった大部さ加減に目を剥き、「まきめ」って読むのか!と仰天したくらい、なんの予備知識もなく読み始める。
これと言って取り柄のない忍者「風太郎(ぷうたろう)」が、数奇な運命(というか周囲の思惑)に弄ばれていく物語。
時代は、大坂冬の陣から夏の陣。秀吉が死に、家康が攻め上ってくる。戦が終われば用なし、「忍び」には生きにくい世がやって来ようかという頃合いである。
冒頭部分、
・・・三日月がいよいよくっきりと光を放っていた。腰を屈め、夜に背中をこすりつけるように屋根を走る。
なんとイメージ豊かな筆を揮うのだろう、と惹き込まれた。
と言いつつ、主人公に際立ったものがないためになかなか感情移入できず、中盤までは読み進めるのに苦労した。
8章くらいから、遠い伏線をたんねんに拾いながら俄然盛り上がってくるが、最後の方までどうも展開が重苦しい。これァ星2ツだな、と思っていたら、ラストシーンで痺れさせられた。
全体としては、忍びに生きることの難しさ。ひいては人事の図り知れなさが描かれていたかと思う。
一方、「とっぴんぱらりのぷう」ってどういう意味なんだっけ?と思って(作中に説明があるわけではない)調べてみたら、そうそう、つまり「めでたし、めでたし」に相当する言葉なのだった。
はて、そしたらこの結末は、ひょっとしたら忍びの運命としてめでたかった(救いだった)・・・のかも、と思うと、また痺れた。
もう一つ、印象に残った言葉を引いておく。
・・・それに人というものは、退屈になるといくさを呼びこむ悪い癖があるからのう。
今、そろそろ人は退屈してはいないだろうか?
Posted by ブクログ
ザッツ万城目ワールド♪
天下は豊臣から徳川へなろうとする頃、度重なる不運の末、あえなく伊賀を追い出され、京の町でしがない日々を送る“ニート忍者”の風太郎(笑)
あるとき出会った“もののけひょうたん“に大きく人生を変えられる(^^)
上巻では真田丸が出てきたりと、昨年の大河とシンクロするシーンも結構あり、違ったオモシロさも(^^)
下巻はやがて訪れる冬の陣へ♪
Posted by ブクログ
エリート忍者が仕事で失敗して仕事もせずにフラフラする前半と、バイトを始めて謎の瓢箪仙人やら、高貴な人との出会いやら、ホノボノ瓢箪を育てたりなど、展開が面白い!
鈍感な風太郎に思わずツッコミを入れたくなってしまう!
それと自分も瓢箪を育てたいと少しだけ思ってしまった。
いずれにしても下巻が楽しみ!
Posted by ブクログ
“ニート忍者”って何wまず笑いがこみ上げる。
世間なんてどこ吹く風の可笑しみのある前半から打って変わって、いつの間にか戦に呑み込まれて心が乾いていく風太郎に胸がチクチク。そこは否応なしに他者の血を流し使い捨てされる忍者の世界、気軽に読ませてはもらえない。
ラストで久々に再会した風太郎と戦前と変わらない黒弓の対比が何だか残酷に思えたな。
薄々正体を匂わせるひさご様やひょうたんの因果も絡んで、この先の下巻どうなっていくのか全く想像つかない。
Posted by ブクログ
豊臣時代末期の忍者小説。万城目学は2作目だが、作風が全く違うのに驚いた。
忍者としてはやや出来損ないの風(ぷう)太郎が主人公で、他の忍者仲間や、仕える豊臣家や、ライバルの忍者が出てきて騒動を巻き起こす。ひょうたんがキーアイテムのなんとも不思議な話である。青春ものでもあり、人情ものでもある。
上巻はのんびりと穏やかな田舎物語だが、下巻に急にハードボイルドに展開する。読み進むと自分がその歴史舞台にいるような気持になり、風太郎を応援したくなってくる。意外な結末だった。
登場人物がたくさんいて、ややとっつきにくい。また、内容的に1冊に収まるはずが、前半のぶらぶら暮らすところや、後半の戦闘シーンが長くて飽きてしまう人もいるだろう。忍者小説はたくさんあるので新しさはないが、歴史の変わり目に忍者はどんな役を果たしたのだろうかと思いながら読んだ。
Posted by ブクログ
あらすじ(背表紙より)
天下は豊臣から徳川へ。度重なる不運の末、あえなく伊賀を追い出され、京でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その運命は一個の「ひょうたん」との出会いを経て、大きくうねり始める。時代の波に呑みこまれる風太郎の行く先に漂う、ふたたびの戦乱の気配。めくるめく奇想の忍び絵巻は、大坂の陣へと突入する!