青木理のレビュー一覧
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民主主義の体をなさぬ日本における公権力の愚劣な言動は、弱者の命の尊厳を完膚無きまで蹂躙する。だから私も声をあげ続ける。それが私たちの生活を守る選択肢であり、健全な社会への貢献へと向かう。国民の権利や自由を国家権力から守る “憲法” 改正に躍起になる為政者の本心は、権力の横暴の正当化であり、人権の保障など念頭に置いていない。国防という名の軍事力の強化、防衛費増額の風潮を煽る現状は、私たちを戦場に向かわせる証左であろう。国を守るのは決して戦争の肯定ではない。各人によって “国” の定義が異なるからややこしくなる。私たちの生活が国を支えている、”生活を守る”=”国を守る” ことではないだろうか。青木
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都合の悪い過去や歴史に歪曲や捏造を流布する、そんな愚挙に無頓着な自己愛傾倒者は、安易な分断を扇動しマイノリティを排他しようと罵倒する。だがその対立は限られた範疇での喧騒であり、疎ましく距離を置く無関心層が多数を占めている。心地良さを優先するマジョリティにとっては、どうでもいいとノンポリを気取る、もしくは日々の生活に追われて無知な生活で安穏とする。しかし、無関心は決して有益ではない、深刻な事態へと緩やかに変貌する。その速度は真綿で首を締めるように進行する。そのまま放置して瓦解の一途をたどる社会でいいのか。青木理と安田浩一は様々な言葉で救いの場を内包する社会を模索する。そこに加害・被害という区分け
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安倍晋三氏が2022年7月8日、参議院選挙応援演説の最中に銃撃され67歳で亡くなったのが衝撃的でかねてより気になっていた本書を読んでみる。父方の祖父、安倍寛氏の人物像や選挙区での慕われかたなど、チームの取材は緻密で初めて知ることばかり。それにしても晋三氏は子どもの頃から今に至るまで「何か」を期待する大人に囲まれ、難儀な人生だったろうな…と同情もしてしまう。(立派な葬儀も終えたのに国葬にするとかしないとかで誰かに何かを期待されているようだし)
政治家として好きではなかったし、数々の疑惑はきちんと解明すべきであると思うが野蛮な犯行によって命を奪われる結末は許されない。今はただ静かに冥福を祈りたい。 -
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筆者青木理の言葉は現代社会の違和感を分かりやすく述べている。根底にリベラル思想はしっかとあり、果たしてその対立項は保守ではなく、反民主主義・専制政治にあることが鮮明になる。多くの主権者はなぜ彼らを支持するのか、他に任せられないと思い込むのか、"失敗をしてはいけない" "迷惑をかけてはいけない" という日本の教育に問題の一端はある。失敗を隠すように改ざんする、迷惑をかける人を糾弾する自己責任論、そこに健全な社会は成り立たない。失敗や迷惑を恐れない・許すことに本当の民主主義はある。小さな声だが私は信じる、日常生活と政治のつながりに願いを込める。
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ジャーナリストの青木理氏が、鳥取で起きた連続不審死事件を取材した本。
お世辞にも美人とは言えない肥満体型の女に、何人もの男たちが夢中になり、人生を狂わせていった。同時期に埼玉で起きた木嶋佳苗事件と比べて注目度は低かったものの、熱狂する木嶋事件報道の「添え物」として取材を開始したらしい。
本書を読み進めていく中で見えてきたのは、鳥取という地域が置かれた厳しい状況。そしてそんな底辺の街にある寂れたスナックで働くホステスに絡め取られていった男たちが抱える心の隙間、闇…。なぜ立場のある男たちが彼女の虜になって堕ちていったのか。最終的には本書の著者までもが、彼女に振り回される結果になっていたのが可笑 -
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★主張あふれるノンフィクション★安倍晋三首相が退陣を表明する直前に偶然読み始めた。政治に疎いので、父型の祖父・寛のことはまったく知らなかったが、なぜ父・晋太郎ではなく、母型の祖父・岸信介の話ばかり取り上げるのだろうと不思議に思っていた。
寛はもちろん地元の名家ながら、戦争に反対しながら政治的な支えがないまま国政に進出。早くに亡くなったため、晋太郎もバックボーンの乏しく、下関で在日朝鮮人と交流を深めながら泥臭く地盤を築いたという。もちろん岸の娘との結婚はあるが、「寛の息子」というプライドがあったという。
この2人に対して様々なエピソードを挙げつつ、晋三については何もないと繰り返し書く。薄っぺ -
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日本会議とは何か?その発生とその思想は?日本会議的なものが悪性ウィルスのように広がるこの時代とは?知らないことが多く勉強になった。
日本会議は最近になって突如発生したわけではなく、源流を辿ると谷口雅春が創始した生長の家や、1960年代の全共闘運動に対抗する学生組織として結成された生学連(生長の家学生会全国総連合)に突き当たる。さらには神社本庁やその他の新興宗教団体の支援を受ける、いわば”宗教右派団体”。政教分離といった近代民主主義社会の大原則を根本から侵し、この国をかつて破滅に導いた思想を孕んだ政治運動である。
過剰なまでに国家重視のため人権を軽視。天皇中心主義のため国民主権を否定する。エ