あらすじ
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロ防止の名の下に、アメリカ政府は技術発展の著しいインターネットを通じた大規模な監視体制を構築していた。ところが対象となっていたのはテロリストだけではなく全世界の一般市民すべてだった……。2013年6月、これらの事実を暴露したのが元情報局員のスノーデンである。権力が際限のない監視を行い、それが秘密にされるとき、権力の乱用と腐敗が始まる。本書では、日本人に向け、今起きている深刻な事態や権力を監視するための方途をスノーデンが明快に解説。後半はスノーデンの顧問弁護士やムスリム違法捜査を追及する弁護士、公安事件に詳しいジャーナリストら、日米の精鋭が、議論を多角的に深める。警世の一冊。【目次】刊行にあたって エドワード・スノーデンのメッセージ/第一章 スノーデン 日本への警告/第二章 信教の自由・プライバシーと監視社会――テロ対策を改めて考える/あとがきにかえて ベン・ワイズナーとの対話/付録 スノーデンのメッセージ原文
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Posted by ブクログ
ネットは便利で世界が広がるけど、これを読むとそれは誰でも情報を集めやすいので権力者がそれを使うとどうなるか。
これを読むと、ただただ恐怖です。
政府を信じてください何も悪いことはしませんからってそれでは戦時中に相通じるものがある。
政治的にはどうでもよい不倫とかではなく、もっと大事なことを報道してほしいし、市民もそれを知りたいと声をあげなければならない。
Posted by ブクログ
9・11以降、テロ防止の名目で広がった全世界の市民を対象にして広がった監視体制。アメリカの実態を告発したスノーデン氏が、今起きている深刻な事態(日本も的確に指摘)や権力を監視するための方向を明快に解説し、さらに監視社会の問題に詳しい日米の精鋭がシンポジウムで議論を多角的に深めるという2部構成となっている新書です。
スノーデン氏が告発した内容をよく知らなかったので、この本を通じてその一部を知ることができたと思います。プライバシーは個人の権利であるはずなのに、ネット検索履歴(グーグルで検索した言葉がそのまま残っている)やメール、位置情報にいたるまでの膨大な監視を当たり前としているという事実に大きな恐怖を感じました。便利なシステムの背景には、別の力が働いているようです。テロへの恐怖や緊急事態への対応を煽りながら人権侵害の仕組みをつくる手法は、悲しいかな今の日本の政治状況と照らし合わせると容易にイメージできました。「テロより風呂場で滑って亡くなる確率の方が高い」との指摘が本文に出てきますが、厚労省発表の数字から導き出された(人口動態統計)事実であり、具体的な立証で非常にわかりやすく説得力がありました。
スノーデン氏が指摘するように、まさに民主主義・人間の尊厳に関わる問題であり、自分のこととしてみないといけないですね。うがった見方になるかもしれませんが、戦前の隣組制度復活に近づくかのような国のいう地域包括ケアシステム・共生社会実現という方向も無関係でないように感じました。
最後に、「きちんと関心をもって多くの人と話して事実を発信していく。〈参加〉が大事。過ちを怖がらず行動すること」と日本人へのメッセージを投げかました。共謀罪が議論され、さらに憲法改正を政治日程に乗せようとする動きにある中、スノーデン氏の言葉をきちんと受けとめていきたいと思います。
第二部のシンポジウムもとても読み応えがあります。超おすすめの一冊です。
Posted by ブクログ
とても内容の充実したシンポジウムだった様で、書籍で読む機会があり、有難い。
本書を読んで、スノーデンのリークについて、それがもたらした事への理解を得てく中で、米国におけるジャーナリズム、市民社会、民主主義の成熟度が、日本とかなり違うなぁと改めて感じる。政府による監視について、日本での関心の低さはマズイ、もっと議論が必要、とも。(公安の話も興味深い内容。)
あと、GDPRって、スノーデンの件がきっかけだったんか...と今更知る。
あとがきにあるワイズナー氏の「民主主義には行動する責任が伴う」は、肝に銘じたい言葉。
Posted by ブクログ
アメリカだけでなく、日本も一般市民がスマホなどのビッグデータから監視されていることがよくわかる本。
個人的には、『(政府によって)監視されることを監視するのが本当の民主主義』という言葉と、青木理さんの『日本のマスメディアのレベルが低いのは市民のレベルが低いから(写す鏡?)』(どちらも引用ママではなく、ニュアンスしか汲み取ってません)が印象的だった。
Posted by ブクログ
2016年6月4日に東大で開初めて催された監視をテーマにしたシンポジウムの記録。
2013年6月に、エドワード・スノーデンがアメリカ政府の監視活動の実態に関する隠されてきた情報を、メディアを通してこの世にさらしてから3年後の話。
今私がこの話を読んでいる今に至るまでは、そこからさらに3年が経っている。
「自由を享受できる社会は市民が主役になって初めて実現される」
政府に勤めながら一市民として行動をとることを恐れなかったスノーデンの力強いメッセージ。
自分の生きる社会の在り方に関心を抱くこと、受け身にならないこと、いくためには一人一人が社会の構成員として能動的に考え行動することが民主主義社会に生きる市民の義務であり、責任であり、役割だという事実を突き付ける。
監視の問題は民主主義の問題で、つまり市民一人一人が知るべきこと。
ぼーっと生きてしまている自分にまた気づく。
勝手に法律できてるし、政策改まってるし、権力がさらに集中化してるし、市民の自由に制限がかかってるけど、いいの、って言われてきちんと応答できる人、社会でありたい…
Posted by ブクログ
2013年にスノーデンがアメリカの監視体制を暴露したことを映画で初めて知り、そのときから興味を持ち始めた。今の技術を使えば、スマホやパソコンのカメラやマイクなどあらゆるデバイスを通して情報を政府が管理することが容易に可能である。アメリカの実態から考えると、公開はされていないが日本でもすでにされていると考える方が普通であるとスノーデン氏は言っている。実際にスノーデン・リークからアメリカではそういった情報の取り扱いについてメディアなどが声をあげて監視体制を敷く政府と戦い、国民(アメリカ人)においては監視の対象外になる法律を成立させるまでに至っている。
この国民のみ監視の対象から外れることは重要で日本人やその他の国の人は未だに監視の対象であり、それはヨーロッパで成立した法律でも同じでどこの国・地域も自分の地域の住民のみを監視から外しているにすぎないと言われている。
そんななか、日本では政治などこういうことに対する無関心のためかメディアがまったくとりあげない(圧力により取り上げられない)ためか、共謀罪など様々な法案が成立し国民も含めて監視の対象になっている可能性が高いと考えられている。
この本を読んでいて、ニュースなどであまり流れていない情報がかなり多くでてきていたが、情報収集も偏らないように意識しないといけない。どういう基準で判断されているのか知らないが、実際日本の報道自由度は全世界72位で、G7中最下位であるということにも留意しておきたい。
監視社会はテロ対策という名目で成り立っているが、実際にどこまでテロを防げているのかは不明であり、むしろ無害な人への必要以上の監視をしたり、権力を持つ人が容易に悪用できる状況にあることが問題であると指摘されていた。
安全とプライバシーのどちらをとるかバランスの問題にもなってくるだろうが、その監視をどこまでなら許容してどこからは違法とするのか、政府まかせにせず、国民による政府の監視が重要なのだ。
政治に興味を持たない風習の日本ではあるが、テレビや新聞だけに偏らず情報を収集し、いろんなことに関心を持ち、みんなで話し合って行くことが大切だと感じた。
Posted by ブクログ
アメリカの情報機関による無差別監視の実態を暴露した元情報局員
エドワード・スノーデン氏が参加し、2016年に東京大学で行われた
シンポジウムの書籍化である。
2013年に問題が公になった時、アメリカの情報機関が同盟国である
ドイツ・メルケル首相の携帯電話を盗聴していたことが問題になり、
日本国内では安倍晋三首相の携帯電話はどうなのかと話題になっ
たが、本質はそこではない。
テクノロジーの進歩と共に進む、監視社会の問題であり。政府がどこ
まで個人の情報を掴んでいるかである。
公安警察が日本国内のムスリムの人たちを監視していた資料が何者
かによって流出した事件があった。警察が裁判所の令状もなく対象
車両にGPSを取り付けた違法捜査があった。野党の事務所に出入り
する人物を監視する為か、警察が秘密裏に監視カメラを取り付けた
事件もあった。
特定の人たちだけが対象だから、自分には関係ない。やましいことが
なければプライバシーをちょっとばかり覗かれても構わないではない
か。自分には関係ない。そんな無関心が監視社会を徐々に進化なら
しめていやしないかと思う。
インターネット関連会社がアメリカ政府に個人情報を提供していたの
はスノーデン・リークで既に公になっているが、ネット上だけではない。
国会前では政府の政策に反対する人たちが何かしらのデモを行って
いる。私も何度か国会前に足を運んだことがあるから分かるのだが、
そこにはカメラを手にした公安警察の警察官と思われる人物が必ず
いるのだ。
デモに集まっている人の中には左派過激派も混ざってはいるのだろう。
だが、多くは「この法案は危険だ」と危機感を覚えた一般の人々である。
その人たちの写真なり、動画なりを公安警察が保存しているのだ。
今後、成立・施行が予想される「テロ等準備罪」という名の共謀罪と、
マイナンバーの普及を促進しようとしていることを併せて考えると、
スノーデン・リーク以前のアメリカの無差別監視が日本国内でも
実現する可能性は高いと思う。
特に自民党は既にネット上の監視を強化しているのだから。
「人々が政府のことについてすべてのことを知っていること、これが
民主主義だ。政府が多くのことを知っているが人々が政府のことを
知らない、これは専制政治である」
本書でも引用されているアリストテレスの言葉だ。「テロの脅威」との
お題目の下に、政府が制限なくなんでもできて、国民には何も知らせ
ないなんて国にしたくないね。
実際、アメリカではボストンマラソンでのテロを防げなかったしね。それ
にテロで死ぬより交通事故で死ぬ確率の方が高いんだから。
監視社会に疑問を持った人の為の入門書というところかな。スノーデン氏
関連の他の作品を読んでいれば、目新しさはないかも。
Posted by ブクログ
スノーデンの行動が、単なる暴露ではなく、あるエリートによるコンピュータネットワーク、IT技術に潜む大きな問題への警笛であることがよくわかる一冊。ウィキ・リークスやアノニマスの行動にも通じるけど、一連を単なる暴露屋に見えている方は必読かと
Posted by ブクログ
シチズンズ・フォーのおさらいとして。本だと自分のペースで理解が進まるのでよい。ところで、GoogleやFacebookがPRISMで情報を提供していた、という件は本当だったのか?ラリー・ペイジやザッカーバーグの声明は?
Posted by ブクログ
アメリカの諜報機関に勤めた著者が、アメリカによる監視の実態を暴露した本。アメリカでは、たとえば民間会社と協力して、無差別、網羅的な監視を行ったり、弁護士に対するスパイ活動は法律上禁止されているのにもかかわらず外国政府との情報共有を行うなど、民主主義、法治国家のアメリカが、秘密裡に監視していることを明かしており、日本も含めて多くの国が監視対象となっている。このように、著者が暴露しなければ判明しなかった情報が、本書で紹介される。
Posted by ブクログ
2013年に国家による個人情報の監視の実態をメディアにリークしたエドワード・スノーデンが、亡命先のロシアから日本に向けたメッセージ(警告)です。
技術の進歩によって、以前とは比較にならないほど簡単に・低コストで国家が個人を監視することが可能になりました。
そして2001年9月11日にアメリカで起こった同時多発テロをきっかけに、ムスリムの監視強化という形で現実のものになります。
問題は国家による監視が適切に行われていることを監視する仕組みがないまま、なし崩し的に個人の監視が常態化してしまったことです。そして、同様のことが日本でも行われる可能性があるということです。
執筆されたのがトランプ大統領就任前・GDPR制定前ということで現在とは状況が若干異なるものの、個人監視の実態を知らなかった身としては、決して聞き流すことができない内容でした。
Posted by ブクログ
2016.6.4東京大学本郷で行われた公益社団法人自由人権協会70周年プレシンポジウム「監視の”今”を考える」がベース。スノーデンのメッセージ、信教の自由・プライバシーと監視社会。
日本のプレスへの圧力は、銃や暴力ではなく、企業・インセンティブ・取材源や政府の地位や権力によるものという指摘。その通りだと思います。
Posted by ブクログ
一般市民にとっても想像以上に監視されている話。気をつけようにも気を付けようがないが、ネット社会、スマホ社会によりますます個人情報が流れやすくなっていることは確か。
Posted by ブクログ
政府による大量監視社会についての問題提起。現在のテクノロジーではあらゆる情報が収集され得ることを改めて感じた。
テロ、犯罪対策などのため一定程度は必要と思うが、バランスが大切だろう。
Posted by ブクログ
政府による監視の在り方は9.11を境に変わった。事後的な捜査から事前の監視へ、特定の容疑者への狙い撃ちから不特定多数の一般市民を含めた無差別な監視へ、対象を人物からデータへ。
プライバシーと安全のバランスをとる(特にセキュリティについて適切な評価がなされる)ことが必要であり、政府による監視に対する現状の有効策は市民による監視(監督)と言える(それが有効に機能するように仕組みを構築することも必要)。また、捜査機関に協力/情報提供する主体(企業等)の透明性確保の問題も重要。
また、そもそもマス・サーベイランスにおけるAIの活用はフォルス・ポジティブ(偽陽性)比率が高いため、テロリスト判定の役に立っていないとの見方もある。
ただし、インターネットの仕組み上、情報(通信)の大部分はアメリカを通りアメリカ企業を経由するので、アメリカ政府は他の国の政府よりもはるかに多くの情報を傍受することができる(かつ、アメリカ自由法によってメタデータの収集が停止されたのは米国人を対象とした場合のみ)という点には留意しなければならない。
Posted by ブクログ
ちょっと大げさかなぁと思う部分は多々ありました。テロで死ぬ人間よりバスタブで溺れる人間のが多いというのも、事故と故意的な殺人を同列に語るのもおかしい気もします。
トランプ嫌いみたいだけどトランプ当選した背景には目を向けてないし、
バイアスがかった人の意見ということをわかった上で読む事をオススメします。
こういう極論でもたまに当たるから。
Posted by ブクログ
スノーデン氏の日本へのメッセージと、パネルディスカッションから成る。USのトラディショナルなディスカバリカルチャからしたら、なんとも諦観の念を抱かざるを得ないような気がしないでもなくない。