青木理のレビュー一覧
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現内閣総理大臣・安倍晋三を含めさかのぼること三代の評伝ルポ。
晋三の祖父に当たる安倍寛という人物を私は知らなかったのだけど、大政翼賛会などが跋扈する昭和十年代にあって翼賛会の推薦なしで様々な妨害を受けながらも当選した人。平和や人々の生活を重視するような考えをもちながらも、志半ばで病に倒れた傑人。正直なところその理由がいまいちよくわからないのだけど地元の人々の信望厚い人物だったとか。
母を知らず幼いうちに父・寛を亡くしながら昭和後期の政界の立役者の一人だった安倍晋太郎のことは大きな眼鏡の人というイメージで私も記憶している。人物像や政治的活動をよく知っているわけではなかったけど、本書で書かれていた -
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安倍晋三のルーツは山口県大津郡日置村蔵小田、現在の山口県
長門市油谷蔵小田にある。しかし、安倍晋三自身が口にするのは
母方の祖父・岸信介に関することが多い。
「私は安倍晋太郎の息子だが、岸信介のDNAを受け継いだ」
「昭和の妖怪」と呼ばれる政治家については没して以降も研究が
続けられている。それだけ政治家としてのスケールも、存在感も
大きい。
では、「安倍家のDNA」はどこへ行ったのか。本書は安倍晋三の
父方の祖父である安倍寛(「ひろし」ではなく「かん」)からの安倍家
のルーツを辿る。雑誌「AERA」連載の記事に加筆した作品だ。
この寛氏が途轍もなく凄い。寒村の素封 -
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勉強になりました。成長の家と日本会議がこのように結びついていたとは。驚きの連続でした。とともに、狂気を感じました。著者がインタビュー相手に敬意をもって接し、丁寧に記事を掲載すればするほど、その特異さが浮き彫りになりました。是々非々で共感できる箇所はありますが、なぜこんな極端な考えに至ってしまうのか。もう洗脳としか言いようがないです。
著者も仰っている通り、主張していることが、明治維新~敗戦までの75年間での事象を日本の有史以来の姿と考えている浅はかな歴史認識に立脚していることが、一番の問題のように感じました。昔は良かったと言う居酒屋談義にしかなっていません。
本当に考えさせられました。都議選で -
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面白い。朝日新聞出版というのを差し引いても文句なく面白い。三代各々のコントラストと最後に桐野夏生まで出して、現首相の空疎さを炙りだす。本当に現首相には映画監督になって貰いたかった。
しかし、政治の貧困と一言で政治家を断罪しても全く無意味で、要はこの国の民度の低さ・劣化度の表出そのものだと思う。改善するには将来の子供たちへの教育しか無いと思うが、こんな現世代がまともに教育を考えられるのか。悲観的になる一方です。どこから改善すればいいんですかね?
安倍寛については全く知識が無かったのでとても興味深かったです。
著書には今後も上質なルポルタージュを期待しています。テレビのくだらないワイドショーでコメ -
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安倍晋三の祖父といえば、誰もが母方の岸信介を思い浮かべるだろうが、本書はあえて父方の祖父、安倍寛(かん)に焦点を当てる。岸の孫としての安倍晋三の評価は、「岸の孫だから」となるだろうが、安倍寛の孫として見ると、間違いなく、「あの寛の孫なのに、なぜ?」となる。詳しくは是非本書を読んでほしいが、安倍寛は、現在の政治家には見いだせない「政治魂」を持つ、傑出した政治家であった。
1940年、戦争遂行のため一国一党制を築こうとした軍部に応えて政府は大政翼賛会を組織し、各政党は解散して全てこれに合流した。選挙においては、翼賛推薦候補は選挙資金が充当されるなど手厚く支援される一方、非推薦候補には苛烈な弾圧 -
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9・11以降、テロ防止の名目で広がった全世界の市民を対象にして広がった監視体制。アメリカの実態を告発したスノーデン氏が、今起きている深刻な事態(日本も的確に指摘)や権力を監視するための方向を明快に解説し、さらに監視社会の問題に詳しい日米の精鋭がシンポジウムで議論を多角的に深めるという2部構成となっている新書です。
スノーデン氏が告発した内容をよく知らなかったので、この本を通じてその一部を知ることができたと思います。プライバシーは個人の権利であるはずなのに、ネット検索履歴(グーグルで検索した言葉がそのまま残っている)やメール、位置情報にいたるまでの膨大な監視を当たり前としているという事実に大き -
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日本会議の源流と現在の状況を描き出す力作。
日本会議とは、生長の家という宗教団体出身のメンバーを核として神社界の金銭的また人的パワーを身につけて積極的な右派の政治活動をしている宗教団体。メンバーは多数いるものの、人による温度差がかなりある様に感じた。
安倍総理は元々はそんな思想は無かった様だけど、影響を受け過ぎたらしくかなり右よりに感じる。過去に中曽根元総理は右派を利用したらしいが、最後は冷淡にしたらしい。
ここまで首相が右に傾くのは珍しく、危険であると警鐘を鳴らしている。
右派の活動をしている人に言わせると、左派が活動を弱めており、結果として右派勢力が優勢になっているのだろうと。
著者による -
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たぶん、著者サイドの意向によるフィルターは
だいぶ入っているのだろうと思いますが、久しぶりに
怖い本を読みました。言及するには少し勇気がいるかも
と思ったりします。
右翼系新興宗教の”生長の家”と明治神宮を中心とした
皇国を目指す神社本庁の勢力的なものが結びついたと
されている日本会議。主張は国民主権ではなく、
天皇主権。
政教分離は日本の文化に合わないということでの反対。
現行憲法の改正ではなく、破棄と明治憲法の復活。
家族制度の復古調的な主張。戦前日本・明治日本を
目指すという主張だそうです。
その日本会議が現政権を支えているとのこと。。。
そういやあこの前の選挙特番で日本会議の支持者 -
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”死刑”の当事者たちにこれだけ迫ったルポはない。
”死刑”を取り上げた書籍は、その制度の特質性ゆえに、制度へのゼヒを問うものが多い。
しかしこの本は現実だけを描いている。
特に、被告人への迫り方と被害者家族へのインタビューはこれまでの書籍にないほどのものだ。
特に、
元少年たちの罪と罰
は考えさせられた。
僕は死刑廃止派。
人を殺すことではなにも解決しないと思っている。
しかし、著者も書いているが
崖から転落した人を崖の上から「かわいそうに」とつぶやき、崖から人を落とそうとしている
今の社会のあり方の最終地点的なところが一番嫌い。
”死刑”は今、恣意的な力でブラックボックスの中にある。
それ -
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冒頭の処刑シーンが強い印象を残すが、実は死刑囚の人間性をあぶり出し、読者に「死刑」について考えることを求めることがおそらくは著者が期待するこの本の目的だ(たぶん)。
本書には多くの死刑囚が登場する。同じ死刑囚でいずれ首をくくられる(もしくは、すでにくくられた)といっても彼らは当然ながらそれぞれだ。
覚醒剤の影響が強く殺人を犯し、獄中で悔恨の中クリスチャンとなり、そしてなぜかクリスマスに処刑された今市四人殺傷事件の藤波死刑囚。
面会を通して被害者遺族との関係を築いた半田保険金殺人事件の長谷川死刑囚。
日本の司法に絶望し、だから謝罪も反省もしないといって死刑となる熊谷四人拉致殺傷事件の尾形死刑 -
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近年、死刑制度を存続させる国は少なくなっている。日本はその少なくなっている国の一つだ。死刑の是非は別にして、死刑制度のある国の国民として、死刑は誰のため、何のため、どうやって行われているのかは知っておくべきだろう。
1994年、連続リンチ殺人事件。未成年の少年3人が旅をするように移動しながら、次々と殺人を続けた凄惨な事件だ。判決は3人全員に死刑。著者は死刑を待つ彼らの取材を通して、死刑の意義、根幹を探る。
本書を読んで、この国の死刑について、最大の問題点はブラックボックスが多すぎることだと思う。死刑確定者への面会基準は不明確だし、死刑判決から執行までの手順が法務大臣の個人的な主義に左右され -
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1974年に文化人と宗教家を中心に「日本を守る会」が、1981年には政界・財界・学術界による「日本を守る国民会議」が発足する。この2つが合流して1997年に設立されたのが、本書テーマの「日本会議」である。
日本会議には2つの宗教団体が関わっている。1つは「生長の家」であり、もう1つは「神社本庁」である。
生長の家は1930年に谷口雅春によって創始された宗教団体で、その教義は「万教帰一」。大宅壮一によって「カクテル宗教」と揶揄された宗教団体だが、それは「天皇への帰一」を目指す、天皇崇拝の信仰であった。政治への関りは第二代総裁の谷口清超(娘婿)、第三代の谷口雅宣によって断たれたが、それに反発した椛