青木理のレビュー一覧
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死刑判決が執行された事件の端末や被告の人となりを鋭くえぐるノンフィクション。
拘置所の中で、キリスト教に帰依し別人のように改心する者あり、控訴せず死刑を受け入れる者あり。検事の作成した調書には自分が言ってないことが書いてあると主張する者あり。著者が雑誌FRIDAYに被告の写真とともに記事を掲載した際に拘置所所長から送られてきた手紙が印象的。法務省による、全てが「ブラックボックス」化され「開かれていない」刑務所、拘置所について大いに考えさせられる。
被害者の兄「犯罪の被害者遺族は、大切な人を突然奪われることによって不幸な谷底に叩き落とされる。刑事司法やマスコミ、大多数の人々は、平和な崖の上から見下ろしながら『可哀想に』と同情の声をかけてはくれるけれど、本当の意味での救いの手を差し伸べてくれようとはしない。その代わり、崖の上から加害者を突き落とすのに夢中になっているだけではないか・・・」
死刑判決が出たのに控訴しなかった被告は「自分のやった事の責任として死刑になるのは、制度がある以上は仕方のない事だと思っています。しかし、今の日本の裁判は真実をあきらかにして裁くのではなく、検察の言い分を聞くだけで、決して真実や証拠すらも公正に見てくれません」
「名古屋拘置所長からの「抗議文」を再び眺め、あらためて憤りがこみ上げてくる。このような組織が内々に発する"通達"を根拠とし、日本の刑事収容施設は極度の閉鎖性を頑迷に護持している。そして、同じ組織が「死刑」という究極かつ絶対不可避の刑罰を司り、徹底した密行主義の下ですべてを隠している。刑事司法面で見る限り、この国は相当な後進国というしかない」 -
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現内閣総理大臣・安倍晋三を含めさかのぼること三代の評伝ルポ。
晋三の祖父に当たる安倍寛という人物を私は知らなかったのだけど、大政翼賛会などが跋扈する昭和十年代にあって翼賛会の推薦なしで様々な妨害を受けながらも当選した人。平和や人々の生活を重視するような考えをもちながらも、志半ばで病に倒れた傑人。正直なところその理由がいまいちよくわからないのだけど地元の人々の信望厚い人物だったとか。
母を知らず幼いうちに父・寛を亡くしながら昭和後期の政界の立役者の一人だった安倍晋太郎のことは大きな眼鏡の人というイメージで私も記憶している。人物像や政治的活動をよく知っているわけではなかったけど、本書で書かれていた人望の厚さとか性格の穏やかさ、選挙地盤との関係もあってのことだろうけど下関の在日朝鮮韓国人との腹を割ったつき合いのこととかも「ああ、あの風貌の人ならさもありなん」と思えた。
晋太郎の息子に当たる晋三(以下、安倍くん)は、期待されながらも国会議員としての活躍がそれほどできなかった寛や、総理の座を射程におさめながらもがんで亡くなった晋太郎がなし得なかった総理大臣をやることができている人物。
でも著者はとっても辛らつにいい子だけど凡庸で空虚なお坊ちゃま気質の人物として安倍くんを描く。だから、安倍くんいけすかんと思っている私には気持ちよく読める本。寛、晋太郎に対するものとは正反対の安倍くん評で、著者は取材した人物の言葉も借りながらかなりの強さで安倍くんを批判している。確かに安倍くんはその批判に値する人物だと私も思っているのだけど、ちょっと露骨すぎてバランスの悪さが気になるところ。
そこで、ちょっとだけ安倍くんを好意的にとらえるとすると、そこはやはり彼が1回目の総理大臣をおなかが痛いからってやめてから返り咲くまでのところ。それまでになく地元の会合などにも顔を見せていたというのは別の記事かなんかでも読んだことがあるし、安倍くんが復活したことで日本は本格的におかしな方向に向かおうとしているわけだけど、その傲慢なまでの強さを身につけたのはすごいなあと思う。あの頃に何があったのだろう。
とはいえ、私が見た目で感じていたように空虚な安倍くん。著者が恣意的に取り上げているにしても、縁のある人々からこれほど批判的や疑問を呈されるってどういうことなのだろう。彼の母校である成蹊大の、またそれ以上に日本の政治学の最高碩学ともいえる宇野重昭氏などは、目に涙を浮かべながら安倍くんが進む道のおかしなことを憂い、2つのムチ(無知と無恥)を指摘した師(といっても安倍くんは彼らから学べていないのだが)もいた。
妻・昭恵さんがいみじくも、夫は映画が好きで運命の役割として総理を演じているような気がするといったことを述べているのだけど、まさにそんな感じで国会を、政界を、日本を舞台に安芝居が演じられているのが現状。しかもなぜかそこに拍手を送る少なからぬ国民たちがいる。私にとってはわけわからん歌手が人気を集めたり「アーティスト」を名乗っていられるのと同じようなことが、政界でも普通に起こっていてそれが現代ということなのだろう。明日を生きていく子や孫がいる人たちが喜んで安倍くんに拍手しているのがわけわからん。 -
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安倍晋三のルーツは山口県大津郡日置村蔵小田、現在の山口県
長門市油谷蔵小田にある。しかし、安倍晋三自身が口にするのは
母方の祖父・岸信介に関することが多い。
「私は安倍晋太郎の息子だが、岸信介のDNAを受け継いだ」
「昭和の妖怪」と呼ばれる政治家については没して以降も研究が
続けられている。それだけ政治家としてのスケールも、存在感も
大きい。
では、「安倍家のDNA」はどこへ行ったのか。本書は安倍晋三の
父方の祖父である安倍寛(「ひろし」ではなく「かん」)からの安倍家
のルーツを辿る。雑誌「AERA」連載の記事に加筆した作品だ。
この寛氏が途轍もなく凄い。寒村の素封家に生まれ東京帝国大学
を卒業し、政治家を志し、その資金を稼ごうと起業するものの関東
大震災によって打撃を受け、故郷の村に戻る。
肺結核から脊椎カリエスを発症しながらも、村民の強い要望により
病床に就きながらも村長に就任。そして、村長を兼務しながら国政
に打って出る。
特に戦中の1942年に行われた選挙が圧巻。既に日本の政治は軍
部に独占され、大政翼賛会が幅を利かせていた時代だ。選挙自体も
翼賛選挙と言われ、翼賛協議会の推薦候補以外には憲兵や特高が
目を光らせていた。
その選挙に非推薦で立候補し、当選した数少ない議員のひとりが
寛氏である。この時、やはり非推薦で当選しているのが三木武夫
がいる。
金権腐敗を糾弾し、軍閥のやりたい放題を批判し、戦争に反対し、
早期の戦争終結を主張した人である。満州国を「私が設計した」
と豪語し、敗戦が色濃くなると戦争責任回避の為に東条英機に
反旗を翻した岸信介とは正反対に位置する政治家だった。
なのに、安倍晋三には岸信介のDNAを受け継いでいるらしいのだ。
それは、寛氏が晋三誕生の遥か前に亡くなっており、地元での活動
に忙しい両親に替わり、母方の祖父である岸信介が遊び相手になっ
てくれたのもあるのかもしれない。
だが、安倍晋三の父である晋太郎氏は「俺の親父はエライ人で」や
「俺は岸信介の女婿ではない。安倍寛の息子だ」と言っていたの
だけれど、そこは安倍晋三のなかでは「なかったこと」になっている
のだろうか。
晋太郎氏には戦争体験があり、終戦が遅れていれば特攻で命を
落としていた可能性もあったという。だからこそ、平和主義者であっ
たのだろう。この父方のDNAを受け継いでいたのなら、今の政権
はどうなっていたかを考えてしまう。
本書は祖父・寛、父・晋太郎、息子・晋三の生い立ちを章を分けて
書かれており、晋三の章を描く筆はかなり辛辣でもある。著者では
ないが、大学卒業後、社会人になってからも政治的な思想は抱えて
いなかった晋三が、何故、岸信介に依存するようになったのかは
大いなる疑問である。
やはり政治家になってから岸信介を知る先輩政治家から「岸先生
はすごかった」と刷り込まれたのかな。
尚、父・晋太郎氏の章で彼の異父弟であり日本興業銀行の頭取を
務めた西村正雄氏が亡くなる前に雑誌に発表した論文が掲載され
ているのだが、この内容が甥である晋三への貴重な警告になって
いるのに驚く。読んだかな?晋三は。
「寛さんも晋太郎さんも立派な人だった。だが、晋三は…」
地元の人々の多くがそう口にしたという。地元にも三代目に関しては
危惧を抱く人がいるんだね。おまけに大学で晋三を教えた教授陣も
かなり辛辣な評価を下している。
安倍晋三を評して「安倍首相は岸信介教の熱狂的信徒」と言ったの
は、なかにし礼だった。しかし、いかに心酔してもうわべをなぞった
だけで、非常に薄っぺらい劣化コピーでしかないと思う。
思い出してくれないだろうか。安倍寛のDNAを。 -
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勉強になりました。成長の家と日本会議がこのように結びついていたとは。驚きの連続でした。とともに、狂気を感じました。著者がインタビュー相手に敬意をもって接し、丁寧に記事を掲載すればするほど、その特異さが浮き彫りになりました。是々非々で共感できる箇所はありますが、なぜこんな極端な考えに至ってしまうのか。もう洗脳としか言いようがないです。
著者も仰っている通り、主張していることが、明治維新~敗戦までの75年間での事象を日本の有史以来の姿と考えている浅はかな歴史認識に立脚していることが、一番の問題のように感じました。昔は良かったと言う居酒屋談義にしかなっていません。
本当に考えさせられました。都議選で惨敗したとはいえ、日本会議をバックにした安倍政権のやりたい放題にならないことを祈るばかりです。 -
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面白い。朝日新聞出版というのを差し引いても文句なく面白い。三代各々のコントラストと最後に桐野夏生まで出して、現首相の空疎さを炙りだす。本当に現首相には映画監督になって貰いたかった。
しかし、政治の貧困と一言で政治家を断罪しても全く無意味で、要はこの国の民度の低さ・劣化度の表出そのものだと思う。改善するには将来の子供たちへの教育しか無いと思うが、こんな現世代がまともに教育を考えられるのか。悲観的になる一方です。どこから改善すればいいんですかね?
安倍寛については全く知識が無かったのでとても興味深かったです。
著書には今後も上質なルポルタージュを期待しています。テレビのくだらないワイドショーでコメンテータなんかしないで。 -
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安倍晋三の祖父といえば、誰もが母方の岸信介を思い浮かべるだろうが、本書はあえて父方の祖父、安倍寛(かん)に焦点を当てる。岸の孫としての安倍晋三の評価は、「岸の孫だから」となるだろうが、安倍寛の孫として見ると、間違いなく、「あの寛の孫なのに、なぜ?」となる。詳しくは是非本書を読んでほしいが、安倍寛は、現在の政治家には見いだせない「政治魂」を持つ、傑出した政治家であった。
1940年、戦争遂行のため一国一党制を築こうとした軍部に応えて政府は大政翼賛会を組織し、各政党は解散して全てこれに合流した。選挙においては、翼賛推薦候補は選挙資金が充当されるなど手厚く支援される一方、非推薦候補には苛烈な弾圧や嫌がらせが繰り返された。特高警察や憲兵は候補者を尾行し、演説の一言一句をとらえて「弁士注意!」と叫んだ。
投票率が83.16%にのぼる1942年の選挙では、、翼賛推薦候補の当選率が8割を超える一方で、非推薦候補は立候補者613名中、当選者は85人にとどまった。こうした逆風の中で、大政翼賛会にも東条英機にも反対した安倍寛は、地元の熱烈な支持を受け、当選を果たしている。地元の翼賛壮年団までが応援していた。病床に伏していたときですら、布団に寝たままでいいからと請われて、村長を務めたほどであった。
その父の背中を見て育った息子晋太郎も、父に恥じない政治家になろうと努力した。
そして3代目、安倍晋三は……….
本書を読みながら、どうしてこんなことになってしまったのだろうと何度も思わずにはいられなかった。成蹊大学で晋三を教え、後に成蹊大学長を務めた宇野重昭へのインタビューが印象的だった。著名になったもう一人の教え子、作家の桐野夏生については、少し自慢げに微笑んで語る宇野だが、安倍晋三については、
「正直言いますと、忠告したい気持ちもあったんです。成蹊大に長く勤めた人間として、忠告した方がいいという声もいただきました。よっぽど、手紙を書こうかと思ったんですが…..」
そう述べる宇野は、泣いていた。
成蹊大学名誉教授加藤節は、安倍政権は2つの意味で「ムチ」だと言う。「無知(ignorant)と「無恥(shameless)である。祖父にも父にも遠く及ばない凡庸な3代目を、それでも何かが突き動かしている。世襲について、人間について、考える機会を与えてくれる本である。是非多くの人に読んでもらいたい。 -
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9・11以降、テロ防止の名目で広がった全世界の市民を対象にして広がった監視体制。アメリカの実態を告発したスノーデン氏が、今起きている深刻な事態(日本も的確に指摘)や権力を監視するための方向を明快に解説し、さらに監視社会の問題に詳しい日米の精鋭がシンポジウムで議論を多角的に深めるという2部構成となっている新書です。
スノーデン氏が告発した内容をよく知らなかったので、この本を通じてその一部を知ることができたと思います。プライバシーは個人の権利であるはずなのに、ネット検索履歴(グーグルで検索した言葉がそのまま残っている)やメール、位置情報にいたるまでの膨大な監視を当たり前としているという事実に大きな恐怖を感じました。便利なシステムの背景には、別の力が働いているようです。テロへの恐怖や緊急事態への対応を煽りながら人権侵害の仕組みをつくる手法は、悲しいかな今の日本の政治状況と照らし合わせると容易にイメージできました。「テロより風呂場で滑って亡くなる確率の方が高い」との指摘が本文に出てきますが、厚労省発表の数字から導き出された(人口動態統計)事実であり、具体的な立証で非常にわかりやすく説得力がありました。
スノーデン氏が指摘するように、まさに民主主義・人間の尊厳に関わる問題であり、自分のこととしてみないといけないですね。うがった見方になるかもしれませんが、戦前の隣組制度復活に近づくかのような国のいう地域包括ケアシステム・共生社会実現という方向も無関係でないように感じました。
最後に、「きちんと関心をもって多くの人と話して事実を発信していく。〈参加〉が大事。過ちを怖がらず行動すること」と日本人へのメッセージを投げかました。共謀罪が議論され、さらに憲法改正を政治日程に乗せようとする動きにある中、スノーデン氏の言葉をきちんと受けとめていきたいと思います。
第二部のシンポジウムもとても読み応えがあります。超おすすめの一冊です。 -
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日本会議の源流と現在の状況を描き出す力作。
日本会議とは、生長の家という宗教団体出身のメンバーを核として神社界の金銭的また人的パワーを身につけて積極的な右派の政治活動をしている宗教団体。メンバーは多数いるものの、人による温度差がかなりある様に感じた。
安倍総理は元々はそんな思想は無かった様だけど、影響を受け過ぎたらしくかなり右よりに感じる。過去に中曽根元総理は右派を利用したらしいが、最後は冷淡にしたらしい。
ここまで首相が右に傾くのは珍しく、危険であると警鐘を鳴らしている。
右派の活動をしている人に言わせると、左派が活動を弱めており、結果として右派勢力が優勢になっているのだろうと。
著者によるインタビューが所々で引用されており、説得力がある。
重要そうなので以下は抜粋。
日本会議とその中枢、周辺にいる「宗教心」に駆動された宗教右派の政治思想は、自民族優越主義、天皇中心主義、国民主権の否定、過剰なまでの国家重視と人権の軽視、政教分離の否定。(原文ママ)
右と左はバランスが取れてる方が良いと感じた。
現在の政治に不安がある方にオススメです。 -
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たぶん、著者サイドの意向によるフィルターは
だいぶ入っているのだろうと思いますが、久しぶりに
怖い本を読みました。言及するには少し勇気がいるかも
と思ったりします。
右翼系新興宗教の”生長の家”と明治神宮を中心とした
皇国を目指す神社本庁の勢力的なものが結びついたと
されている日本会議。主張は国民主権ではなく、
天皇主権。
政教分離は日本の文化に合わないということでの反対。
現行憲法の改正ではなく、破棄と明治憲法の復活。
家族制度の復古調的な主張。戦前日本・明治日本を
目指すという主張だそうです。
その日本会議が現政権を支えているとのこと。。。
そういやあこの前の選挙特番で日本会議の支持者か
関係者であろう品のよさそうなおばあさんが
”日本を批判し、中国や韓国のいうことを支持するので
あれば、日本から出て行って、中国か韓国にお住みに
なればいいのに!!”という発言。
どこかの候補の神武天皇発言。
自民党役員の女性の暗い、洗脳されているような顔。
安部首相も最近なんか、非常に気持ちの悪い仮面をかぶっているように見えます。最近本屋で見た本の表紙に
安部さんの写真が出ている本があって、マッカーサーや
欧州の独裁者を思い浮かべるような写真に見えくる
感じがして。。。
本当にちょっと怖いのですが。。。大丈夫なのでしょうか?