誉田哲也のレビュー一覧
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北九州監禁殺人事件をモチーフにした物語。読みながら実際の事件を調べずにはいられなかった。小説なのに現実の重みが突きつけられ、心を大きく削られる読書体験だった。
舞台はありふれたマンションの一室。そこで行われる連続殺傷と死体損壊。拷問から処理まで密室で完結し、物証は残らない。異常で、あまりにも複雑怪奇な事件だ。
「なぜ逃げないのか」と思ってしまう。けれど、終わりのない暴力、植えつけられた恐怖、監視と疑心暗鬼の中で、人は“従うしかない”と思い込まされていく。その過程が生々しく苦しい。
「ヨシオは感染する」
この一文が忘れられない。ヨシオは巨大なゴキブリのような存在。ただ支配するのではなく、相手の思考まで侵食し、バケモノを増幅させていく恐ろしさがあった。
前半は凄惨で読むのが辛い。だが後半、物語は意外な展開を見せ、ただの残酷な物語では終わらない。重厚なミステリとして最後まで引き込まれた。
読み終えた今も、どこかで同じようなことが起きているのではないかという現実の怖さが残っている。その感覚が消えないまま、忘れられない一冊となった。 -
Posted by ブクログ
「紹介すれば携帯もネットも無料になるプロバイダ」なんて、どう考えても怪しいのに高校生なら飛びついちゃうよな…という導入から、一気に不穏さが加速していく展開に引き込まれました。
誉田さんらしいグロテスクさにSF要素が混ざると、ここまで面白くなるのかと驚きつつ、休日の良い時間を過ごさせてもらいました。設定を素直に考えると「もっと被害者出て大騒ぎでは…?」「警察もう少し頑張って…」とツッコミどころもあるけれど、細かい理屈は脇に置いて楽しむのが正解だと思う。
雰囲気としては宮部みゆきさんの『英雄の書』や『悲嘆の門』に近い印象。現実ではないどこかに潜む“悪意”と向き合う感じが好きな人には刺さりそう。
ずっと自信がなくて後ろ向きだった可奈子が、親友や従姉妹、そして母親への思いを通して必死に戦う姿が良かった。ラストも完全なハッピーエンドではないけれど、未来に向かう光があって読後感は悪くない。
サスペンス×SF×青春のバランスが絶妙で、面白かった。 -
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・二転三転し、メインも変わる。ドラマ化されたら必見。日本と中国、刑事と公安、学生達の様々な層が折り合いながら、そして真相は昔に戻る。
レイン
佐島賢太 公安警察
大嵩邦夫 上司
ジョンヘイワード CIA
森垣准一 捜一→S
亜門 管理官
星野 係長
三上喜彦 民自党代議士
稲澤敏生 同級生
矢代愛美 =徐若晴
岸本綾 同級生
持田園美 同級生、佐島妻
幸奈 娘
浅野千尋 ピグノーズ
張本 店長
ダーク
杉井聡和 公安
高岩 警部補、ロク
福本 巡査部長
緑川 巡査部長
シュウ 行確対象
大倉 長谷田大学
柳澤 外事二課アジア係長
ドッグ
竹本剛志 大崎署刑事
今道春香 鑑識
兼村 生活安全課
樋口 〃
森永 検視官
藤原 刑組課長
須藤 〃 担当係長
田中
神崎 捜一
都築 ヤマ電人事→S
ライズ
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姫川シリーズをドラマで見たことはあったけど、作者の本を読むのは初めて。2時間ドラマを見ているように映像として想像でき面白かった。警察、ヤクザ、カルト教団、これだけ並べると目まぐるしく殺伐としているが、元キックボクサーが出るターンにほっこりでき救われる気がした。最初に出てくる刑事が主役なのかと思いきや、ターンごとに主役が切り替わる感じで、明確に主役という概念はないのも面白い。(全部もっていった人物はいたけど、それは結果的にそうなった感じ)
何が真実で何が虚構なのか、ちゃんと最後は明らかにされるところもスッキリ。唐津さんは悪いこともしているのに、何故か格好良い。自分なりの筋があるからだろうか。あの場面で唐津さんが親父さんはそんなことをしないと信じられれば、違う未来もあったのかもしれない。大事な人を失くした人たちが多く切なさや復讐が根底にあるが、自分だけ幸せになろうとしない潤平の存在がなかったら、この結末はなかった。悪は蔓延っても、この作品のように報われる世であってほしい。 -
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ネタバレ【2026年22冊目】
職場のストレスから覚醒剤に手を染めてしまい、逮捕されてしまった貴生の人生の再出発はアパートの火事から始まった。住むところをなくした貴生が行き着いたのは、食事付きだが、なぜか部屋には扉がないという家賃5万のシェアハウス。どこか一癖ありそうな住人たちの共同生活を始めた貴生だったが――。
前科者を中心とした訳あり者が住むシェアハウス。一人ひとりが抱えている決して明るいとは言えない過去が明らかになるにつれ、確かに「前科者とそうでない人の境界線ってなんだろう」って思うようになってくる。もちろん犯罪は悪いことであるという前提で成り立っているけれど、その罪の濃淡や背景事情は全部違う、ひとりひとりの人生が全く違ったものであるのと同様に。
誉田哲也さんの作品はいろいろ読んできましたが、ここまで感情に訴えてくる作品は初めて読んだかもしれません。ドラマ化もされているので、相関図等も出てきますが、できれば前情報なしで読んで欲しいなと思いました。冒頭の記者は誰なのか、とか、この人にはどんな過去があるんだろう、みたいなのを考えながら読むのが良いです。
最後の方はびっくりしましたが、その後の住人たちの言動で釣られ泣きしてしまい、これを書きながらもちょっとまだぐっと来ているところです。
あ、ドラマ化されてるので俳優さんを浮かべながら読めたのは良かったです、個人的には石田ゆり子さんがとってもハマり役じゃないかなと思いました。 -
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レビューを拝読してから、ずっと読みたかった作品。
なぜなら、実は私は剣道経験者だからです。
我が家には防犯のために、就寝時、枕元に武器を置いておくという習慣があるのですが(笑)、私が枕元に置いて寝ているのは竹刀です!ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
剣道エリートの香織は、とある大会で敗れた相手の事が忘れられず、その選手を追って強豪校に入学。いざ、因縁の相手・早苗と再会するも、彼女は剣道は楽しむのがモットーのお気楽少女だった。
剣道をメインに扱った小説は初めて読んだのですが、経験しているからこそ、試合の場面は構え・間合い・一瞬の空気まで自然に再生されて、めちゃくちゃ面白かった…!
もう離れて何十年と経つのですが、意外と覚えているものですね!
それが一番の驚きだったかも(°д° )!!
剣道において、正反対の考えを持っている香織と早苗。ぶつかり合わないのに、なんかずっと張り合ってる感じが絶妙。
強いけど不器用で、自分の正しさを疑えない。
だからこそ剣道にも人にも一直線すぎる。
その真っ直ぐさが、長所でもあり短所でもあった香織。
そんな彼女が挫折を経験し、早苗との関係を通して少しずつ成長していく姿が印象的だった。
剣道という競技自体が他者と向き合うこと、そのものなんですよね。
家族のエピソードには思わず涙が…( ・ ・̥ )
周囲を認めること、頼ること、助け合うことって、生きていくために必要な技術なんだな、と改めて思わせられる作品だった。 -
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感想
大きな山がなくてもこういうほっこりした終わり方もいい。
あらすじ
都会から田舎に引っ越した春樹は何もしない日々を送っていた。
立石梨紅は山梨から出てきたシンガーソングライター。売れている訳ではなく、モデルやお芝居もこなしている。梨紅は、モデル仲間のレイが昔イノセンスというバンドをやっていたことを知り、動画を見てギタリストの伊丹孔善に惚れ込み、探すが居場所が見つからない。ネットの情報からなんとか山形に居そうなことがわかり、山形に向かう。
梨紅はトントン拍子で孔善に合う。春樹は孔善だったのだ。なんとか曲も聴いてもらい、しっくりこなかったヒントを得る。一方の孔善は、音楽やギターのイップスっぽいものになっていたのだった。
梨紅は、孔善とのやりとりで自分が進むべき方向を見定めることができ、アルバム作りも順調に進んでいた。また、孔善のギターイップスを克服すべく、二人で試行錯誤していた。孔善は双子の妹が失踪したと思っていたが、無事で暮らしていることが分かる。
孔善はギターを克服し、梨紅と一緒に曲を作成する。 -
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強豪東松学園から高2でこれまた強豪福岡南へ引っ越し、高3を迎えた甲本早苗。長身で美形のレナとともに、着実に福岡南女子剣道部を強化していった。しかし、ある日の練習で膝に違和感を感じ、そのまま倒れ込んでしまう。一方で東松学園高校で大将の座を盤石にした磯山香織は、有望だと思っていた後輩の田原に突然つれなくされてしまう。そんな中迎えた高校最後のインターハイでは…。
最初に『シックスティーン』を読んでもう何年か忘れ、次作『セブンティーン』からも2年も開けての3巻目であるが、名前もキャラクターも完全に覚えており、本シリーズのバランスの良さには相変わらず驚かされる。
前作までは早苗と香織の2人の視点がほとんどであったが、本作では早苗の姉、桐谷道場の玄明による桐谷道場の成り立ち、早苗のコーチの吉野の過去、そして田原美緒と様々な人の視点も加えつつ、早苗視点中心に高校の最後の一年から卒業後までを描く。
相変わらず、構えだとかはちゃんと理解せずに読んでいるが、全く問題を感じないし、一人語りも突っ走らずに丁寧に説明されるため、語り口調も鬱陶しくない。
二人の最後のインターハイは決して素晴らしいものではなかったが、そこでまだ本作の半分。つまり、次へ続く導入でもあり、最終的にもうまくまとまっている。
そう、おそらくは三部作の最後として描かれたものなのだろうとは思う。しかし、続きがあるんだよなあ。『武士道ジェネレーション』買ってる。また2年後くらいに。
余談。
『武士道』シリーズのもう一つの良さが表紙のちょっと脱力した長崎訓子のイラストと、池田進吾(63)の脱力文字。しかし、現行の文庫では『シックスティーン』だけなのかどうか知らんが、アニメっぽい絵に変えられてしまっており、非常に残念な気分だ。『武士道シックスティーン』は、あの赤いふにゃふにゃの表紙だからこそ手にとったのだから。