冨樫義博のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作はキメラアント編までに限って言えば、少年漫画の最高到達点のひとつだと思う。
物語の軸にあるのは主人公の成長。ハンター試験、天空闘技場、ヨークシン、グリードアイランドと舞台が移るたびに、二人は新しい壁にぶつかり、能力を磨き、乗り越えていく。少年漫画にありがちな設定ながらも素直にストーリーに没入できる。
そしてキメラアント編で、本作は名作として確定したと感じる。人類の脅威として現れた最強のキメラアントの王メルエム。その王と対峙するのが、主人公のゴンではなく、ハンター協会会長のネテロだという構成は素晴らしい。さらに、ネテロが武の極致をもってしても届かず、最後に選んだのが自らの命と引き換えに人間が作り出した兵器「貧者の薔薇」を起動することだった。王を倒したのはネテロの強さではなく、人間という種が積み上げてきた悪意と技術そのものだった。爽快な勝利ではなく苦く重い余韻を残すこの決着に、作品の格の違いを見た。
一方で、その後の王位継承編には正直ついていけない。主人公不在のなか、よく分からない新キャラクターが一気に投入され軸がよく分からなくなる。王子たち、その護衛、マフィア、それぞれの念能力と思惑が同時並行で描かれ、情報量が完全にオーバーフローしている。緻密さは健在なのかもしれないが、感情を預けられる人物がいないまま大量の情報を追う読書は苦痛でしかない。
それでも、キメラアント編までの物語が色あせることはない。主人公の成長を描く冒険譚として始まり、人間そのものの在り方を問う物語へと昇華したあの流れは、何度読み返しても心を揺さぶられる。だからこそ、王位継承編の後に再びあの世界を読める日を楽しみにしているが無茶な願いだろうか。 -
Posted by ブクログ
冨樫さん、そもそも「ザ・少年漫画」の人じゃないんだな。
地球には、人類に気づかれないまま数百種類もの異星人が暮らしていた。高校進学のため山形で一人暮らしを始めた筒井雪隆が部屋に帰ると、そこには自称・宇宙人の美青年が。彼の正体は、天才的な頭脳と最悪な性格を持つドグラ星の第一王子、通称「バカ王子」。王子の悪ふざけを中心に、異星人による事件や小学生たちの戦隊騒動など、SF、ホラー、ミステリー、ギャグが入り乱れる奇妙な物語が展開する。
『幽☆遊☆白書』のイメージが強かったので、読んでまず思ったのが、冨樫さんってそもそも「ザ・少年漫画」だけを書く人じゃないんだなということ。
宇宙人が出てくるからSFかと思えば、ホラーになったり、ミステリーになったり、急に戦隊モノになったり。笑。しかも実はこうでしたと種明かしされたところから、さらにもう一段ひっくり返してくる。先が読めない展開だらけ。短いのに完成度が高い!
特にバカ王子が最高。頭はめちゃくちゃいいのに、その頭脳を全力で人をおちょくるために使うという。笑。クラフト隊長がブチ切れるのも分かる。
『幽白』のようなバトル中心の少年漫画を期待するとかなり違うけど、人間の嫌な部分や心理戦、ルールを細かく作り込んだゲーム的な展開は、むしろ後の『HUNTER×HUNTER』につながる冨樫さんらしさを感じました。
ちなみに、今では普通に使う「予想の斜め上をいく」という表現は、『レベルE』のセリフが由来の一つとされています。 さらにタイトルの「E」はAlien(エイリアン)の頭文字のつもりだったものの、AとEを勘違いして付けたという話まであるらしい。
全3巻しかないのに、ものすごく濃い。冨樫義博の頭の中を覗いているような漫画。