逸木裕のレビュー一覧
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各人のキャラがブレブレで、展開も混迷を極めるけれど、原点に戻ってくるかのような帰着にはほっとさせられた。主人公を始めとした登場人物があまりにもひねくれているのがマイナス印象でもったいない。アコースティックから交響楽やテクノまで、歌や音楽を奏でることへの想いは伝わってくる。名声を残すために死を選ぶという発想がまったく理解できなかったので、それについてはきょとんな感じでした。それにしても、ここではまるで人間性を否定しているかのように描かれている 「jing」だけれど、これはかなり面白そう。これを開発実現した霜野さんって、わざわざ悪巧みしなくてもすでに偉人ですよね。
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Posted by ブクログ
ネタバレSF色の強いミステリ。道具立てが多彩で死者を再現する人工知能開発の話を軸に、AI囲碁の対戦、主人公の人格の欠損など面白い部分が多い。
人工知能開発に必要な「晴」という自殺した女性の人格調査がメインとなってくる。この部分で調査を妨害する者の正体は意外に早くわかってしまう。早くわかりすぎて、ミスリードか?と訝しんでしまうくらい。この点はストレートだった。
晴の謎の行動については、ちょっと説明不足だと思う。
自殺の理由がいまいち分かり難い。
自分が同性愛であることを検証するなら、三か月男と付き合い、三か月女と付き合う対照実験実験が筋が通っているけど、それは物語の構成なので仕方ない。
ラストまでの流れ -
Posted by ブクログ
ネタバレ中学3年生の理子には人には言えないことがある。
ひとつは〝誰かを傷つけてしまうのではないか〟という恐怖を抱え、その自己治療として身近な人を殺す様子を日記に書いていること。
二つ目は、小学6年生のときに不思議な関係で結ばれていた友人、加奈子を殺したこと。
これは事故として扱われたが、事実は理子の中で埋もれることなく生き続け、これが加害恐怖という病を発生させている。
理子の家族は父親を亡くしたことで壊れた。
母は一家の大黒柱の重圧と仕事に疲れ果て心を病み、兄は教師としての仕事をしながら理子と母親を養っている。自然と家事の担当をもつことになった理子は、大切にしていた部活動を休止していた。
誰かを傷つ -
Posted by ブクログ
柱となる話は、友達の父親の殺人計画ですが、その他にも次々と話が色んな方向へと展開していき、予想がつかない展開に凄さを感じました。着地点はどこへ?と終始考えながら、読んでいました。
雰囲気としては、最初貴志祐介さんの「青の炎」を感じさせたのですが、読み進めるほど違った雰囲気を放っていました。「青の炎」では、自分の家族を守るためでしたが、こちらは自分の秘密を守るためや欲望のために殺人計画を練ることに。
とにかくこの作品のメインは、少女の心の葛藤だと思います。「加害恐怖」という特殊な精神状態や「私が殺したのでは・・・」「もしかして兄が・・・」など極限の状態で繰り広げられる少女の心境が、ディープで -
匿名
ネタバレ 購入済み注意!こちらは二作目です
「五つの季節に探偵は」の続編らしい(他にも関連作があるようです)ので、この作品だけでも読めないことはないのですが、順番が気になる方はそちらから読むといいかもしれません。また試し読みなどもできるようなので、そちらを読むのもよいかと。
感想を読むと主人公みどりの性格がけっこう評価が割れていて、みどりを受け入れられるかどうかがこの作品を読み通せるか、好きになれるかのカギになっているのかなと思います。
私はダメでした。「謎を見ると何をほったらかしても暴きたくなる性質」について一応本人も悩んではいるものの、作中では好意的に受け入れられている描写が多く、え?となってしまいました。
なんでもかんでも知ろうと