逸木裕のレビュー一覧

  • 星空の16進数

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    ネタバレ

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     俎の上の謎。



     面白かったです。工藤賢が嫌いだっただけかもしれない。

     引き続き喋り過ぎ感はあし、物語が綺麗過ぎるのもちょっと物足りなかった。
     扱っているテーマはとてもドロドロしているんだけれど、なんだろうなぁ全ての謎が、こう解かれるためにそこにあるのがわかると云うか…絡まってないと云うか。
     これも喋り過ぎが故、なんだろうなぁ。
    全部のピースが綺麗に整っているから、どこに嵌るかが解りやすくて、ちょっと詰まらない。読み易い、って云うのかもしれないけれど。
     ミステリとしてはあまり。どちらかというと、森田みどりを応援するサスペンス・スリラー的かもしれないので、彼女に感情移入出来ないと辛いところがある。


     ラストシーンはとても良かったです。もっとシンプルに、藍葉の物語としても良かったんじゃないかなぁ。
     ☆2.7

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    2024年11月16日
  • 虹を待つ彼女

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     ……あまり強い言葉を遣うなよ、弱く見えるぞ。


     死者の人工知能化、自ら作ったゲームの中で自殺したゲームクリエイター、囲碁AIと人間による対局…と並べてみると、なんとなく2010年代のSFとしてはよくある、部類になってしまうのかしら。
     率直な感想としては、凡庸な天才だなぁ、という感じ。
     要素が盛り沢山な割にストーリィも良くまとまっていて、伏線回収あり、どんでん返しありのサスペンス・ミステリとして面白く読める一冊ではあるのだけれど、ちょっと物足りないのはどの分野に関してもエキスパートではないんだろうなぁ、というところ。


     あと、主人公が応援できない。これは重大。
     いかにも現代的な天才、というか、現代で天才と評されやすいタイプ、というか。
     これは全体的に、地の文が「言い過ぎ」なことも関係しているのだろうけれど、懇切丁寧に説明するところなどが主人公の性格も相俟って読者の知的レベルを軽んじているように感じられたり、あとは単純に口調が露悪的であったり。
     これも現代的な部分なのかもしれません。強い言葉、直截的な言い廻しを遣えばキャラが立つか、場面が引き締まるかというとそうではなくて、単純にダサくなってしまう。
     まぁそのあたりは好みの問題でしょう。

     ☆2.5

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    2024年11月13日
  • 五つの季節に探偵は

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    父親が所長の探偵事務所に勤めるみどりは真相を突き止めずにはいられない性質を持つ。
    その為に仕事の依頼を踏みこえた事をしてしまうのもしばしば。
    そんなみどりの高校生から結婚して母親になるまでの間に起きた様々な事件を描いている。
    時にはクールに、時には執拗に事件の調査をするみどり。
    日常の謎を解くタイプのミステリー。
    結果はハッピーエンドにならないことも多いからモヤっとするラストもある。

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    2024年11月15日
  • 空想クラブ

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    不思議な「力」を持つ中学生シュンと、亡くなってしまった少女真夜
    小学生の時に2人は他の仲間たちと空想クラブという会をつくり共に過ごしていた。
    そんな彼等の青春ファンタジー

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    2024年10月19日
  • 星空の16進数

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     高校を中退し、Web制作会社で働いている藍葉の家に探偵のみどりが訪ねてくる。ある人から藍葉に100万円を渡して欲しいと依頼されたというのだ。みどりも知らないという依頼人… 藍葉には思い当たる人物がいた。子供の頃、自分を誘拐した梨本朱里だ。

     こんな出だしに引き込まれました。依頼人は本当に朱里なのか?誘拐事件の真相は?そしてストーリーを盛り上げ、謎を解くカギになるのが「色」なのです。

     藍葉は会話の中でも色をカラーコードで示します。16進数を用いて、赤、緑、青それぞれの強さを2桁で表して並べた6桁のカラーコード。仕組みをちょっと勉強すると、何となくコードから色が想像できるようになって(もちろん、大外れもありますが)、楽しい脱線になりました。話の中に出てくるカラーコードは全部実際の色を確認しながら読みました。

     みどりの勝手な推測にええ?と振り回されたのがあまり気持ちよくなかったので星は3つにしましたが、それも著者の意図だったのでしょうね。

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    2024年09月29日
  • 空想クラブ

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    ネタバレ

    ちょっとマニアック?な感じでついていけない所も多々あり。作者様は星や宇宙、科学が好きなのかな?
    こんな能力あれは使ってはみたいが疲れそう。でもこの本を想像して読むのはちょっと楽しかった。ミステリー?も加わっていたが、少し出来すぎている感じもなぁと思いました。

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    2024年09月25日
  • 四重奏

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    テーマ的には前作の「風を彩る怪物」と近いが、オリジナリティに悩む段階からさらに進み、音楽の楽しみとは何か、私たちが音楽を聴いて「感動」している時、いったい「何に」感動しているのかといったところに重心が移行している。

    この作品が少し弱いなと感じるのは、鵜崎の「音楽の喜びは、技術に基づく錯覚である」というような、ある種の「陰謀論」が前面にですぎていて、それが対立している「音楽作品や、名器、巨匠の偉大さ」だったり「作曲者からのメッセージ」や「それを読み解く、演奏者の解釈」だったりといったものとの二項対立ばかりに目が行ってしまうところだと思う。

    だけれど、このお話のテーマは、「正しい解釈、正確な演奏」に対する「自由な解釈」や「音楽そのものの喜び(おそらくはチクセントミハイの言うフローであり、ホイジンガが言う遊びの楽しさ)」といった主人公と由佳の関係性に代表される、もう一つの二項対立が、鵜崎の提示する二項対立にすりかえられていくところであって、この作品はこうしたすり替えを弁証法的に乗り越えたところにその解決を本来持っていければ、大きな感動につながったんだろうと思う。

    でもこちらでの感想を読むと、ほとんどの人が、由佳の死の真相が「しょぼい」と感じてしまっているように、由佳の人生は上記の方向で進んでいたはずなのに、それが死の謎と直接には無関係で終わってしまっているところに、問題があったのではないかと思う。

    これでは由佳は死に損だし、主人公も由佳の死から、大きなものを学んで、前進していくというようにはなりえない。そういう意味で少し残念な作品ではあった。

    ただ挑んだテーマの大きさから考えると、この先への期待を残している。

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    2024年08月26日
  • 五つの季節に探偵は

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    探偵の父にもつ高校生のみどりが、探偵にのめり込む10年。

    連作面白かった!
    シリーズになってるのを知らなかったので、他のも読もう。

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    2024年08月15日
  • 電気じかけのクジラは歌う

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    初読。おもしろかった。あと思っていたより読み終わるのが早かったので、たぶん読みやすかった。
    ちょっとネットを見るだけでいいものがいくらでも目に入ってくる世の中で、何もしていない自分にも刺さるものがあった。

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    2024年07月07日
  • 四重奏

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    面白かったけれど、どちらかというと音楽に限らず私たちは芸術作品をなんの先入観もなく純粋に味わえているかという問いが深く残る作品でした。
    あることをきっかけに離れていった思い人が火事で不慮の死を遂げることから、イップスになりチェロを自由に弾けなくなった奏者の話です。
    主人公が師弟関係や友人に恵まれていて、忸怩たる葛藤の末、希望が持てるラストだったのでよかったです。

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    2024年05月01日
  • 四重奏

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    ある音楽家の死、その真祖とは。
    音楽を絡めたミステリだが、殺人や犯人探しといったミステリ度数はそれほど高くない。
    音楽に向かう人々がどのように構え、考えているのか。そういった事を知る事は特別な機会でもない限りできないが解釈の話はなるほど、そう考えているのかと楽しめた。

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    2024年04月29日
  • Jミステリー2023~FALL~

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    CL 2024.4.19-2024.4.20
    全編書下ろしのアンソロジー。
    太田愛さん狙いで。やっぱり太田愛さんはいいなー他の社会派長編とは雰囲気が違うけど、読み応えのある一編だった。
    他は、スプリット、最後のひと仕事がよかった。

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    2024年04月20日
  • 銀色の国

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    ネタバレ

    「洗脳」とか「集団自殺」なんてどうしても他人事な感覚がありますが、そこに圧倒的臨場感と没入感を与えるVRという技術が乗っかってくると、俄然真実味が増す気がします。
    まあ、VRに触れたことはないですが。
    ないのかよ。

    洗脳というものは、受ける側のメンタル面や環境が大きく作用するんだろうな〜というイメージがあるので、意図的な世界で対象者をくるんでしまうというのは、大変効果的なんじゃないだろうか。

    この物語を、まだVR技術が未熟な時代に読んでいれば、チープさすら感じて鼻で笑っちゃってた可能性もあります。
    でも今、そしてさらに技術が進化するだろうこの先、このストーリーの持つ脅威の側面と救済の可能性には考えさせられるるものがあるんじゃないかと。

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    2024年04月01日
  • 四重奏

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    音楽を受け取る側です。感動や解釈は 演者のテクニックや模倣や演技力によるもので錯覚だ というチェリストの言葉 「音楽ミステリー」として読み始めた身には辛いものがありました。主人公が 葛藤の末 光を見出だすことが出来て良かったです。

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    2024年03月17日
  • 四重奏

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    音楽が好きでよく聴くけど、「音楽とは何か」と問われると、うまく答える自信がない。
    大御所の演奏だから、人気のある曲だから…確かにそんな先入観に影響を受けながら、聴いてしまっているところもあるかも。
    「錯覚」を利用して演奏する鵜崎は、あまりに極端過ぎて怖いけれど、やろうとしていることはわかるなぁという部分もあった。
    鵜崎の主張をずっと聞いていると、人間不信になりそう。

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    2024年03月08日
  • 少女は夜を綴らない

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    学園ミステリー。
    やや御都合主義的展開が多くて(キャラの性格がゲームっぽいし、イベントが重なりすぎ)途中で若干辟易しつつも、ストーリー展開は面白くて、後半は疾走感を感じる作品。きちんと全ての伏線を拾っているので、読後感はよい。

    けどやはり、ここまでひどい状態に中学生がなるかなぁ?とは思ってしまって、現実離れ感にちょいちょい心が離れさせられる面があった。

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    2024年03月05日
  • 四重奏

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    美しいチェロの音色が、物語の最終盤で“解釈合戦”で聞こえなくなった。残念。鵜崎「観客が求めているのは音楽ではなく音楽を聴いたという体験」「クラッシックは抽象性が高く曲も長い。そんな難解なものを人間は理解できない。理解できたつもりになっているだけだ」錯覚「他人の本心は判らない。人間は何も理解できない。膨大な先入観やバイアスによって解釈する」「錯覚を作り上げ、それを見ている」「音楽とはそうやって出来上がった謎の構造物にすぎない」逸木さんの深い洞察に共感するも、理屈抜きでリラックスして音楽楽しむもあり。

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    2024年02月12日
  • 風を彩る怪物

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    ネタバレ

    フルートを続けようか迷う陽菜とオルガンビルダーの父を持ち、引き継いでいこうとする朋子のお話。全然ミステリーの話ではなかった。やっぱり青春ものが辛手なのかも。陽菜も朋子も甘いなーと思うところもあるし、すごいなーと思うし。でも若い二人だもんな。おじさん達の口の滑らせ方の方がひどいけど、これぐらいストレートに言った方がいちいち裏読みせずにすんでいいのかも。パイプオルガンって言わなくても、オルガンと言えばパイプオルガンのことなのか。初めて聞いた時は感動したし、やっぱりマモーミモーの曲を学校で聞いた時に盛り上がったのはよく覚えている。またオルガンの演奏を聴きたいわ。

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    2024年01月14日
  • 空想クラブ

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    ネタバレ

    何というレビュー数の少なさ。読んでる途中から怪しい予感はしたものの、最後まで読み切ったけど、やっぱ苦手な分野だったなー。ファンタジー感がしてダメだった。お金持ちと思われていても父がモラハラ男だったり、郷原兄弟の家庭環境とかほんと人生しんどいよなーと思ってしまう。レナは頭も良さそうなのに、何でこんな生活なのか。郷原兄が心を入替えようとしているけど、レナの言う通り、『世の中には人と普通に話すとか、毎日同じところに行って働くとか、そういうレベルのことができない人もいるんだよ』という人だろうに、大丈夫だろうか。しかし、郷原兄はなぜ河原にいたのか、何であんなに怒ったのかは結局明かされなかったよな。弟が河原で何か怪しい動きをしていたというのは分かっていた、ということなのか?

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    2023年12月31日
  • 風を彩る怪物

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    メインの楽器はパイプオルガン
    なので、私の大好きなバッハのことが多く出てくるし、パイプオルガンについて知らないことも多かったので学ぶこともできます

    改めて、音楽の小説って凄いです
    音楽は聴くものだし
    小説は読むものです
    それが合わさると、読んでいるのに聴こえてくるのです

    音楽の小説を読むのが止められない理由は、これです

    パイプオルガンの世界を覗くにはよい本です

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    2023年12月17日