伊丹敬之のレビュー一覧
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新型コロナウイルス感染症の先行きが見えず、不確実性が増す中、企業はいかに“決断”すべきか。危機への対応策を決断する際にも有用な「思考の筋道の基本」を説いた書籍。
すべての決断は、「発想し、論理的に検証し、最後に跳躍をする」という3ステップで構成される。この決断に至る3つのステップでは「直感、論理、哲学」という3つの思考法が、それぞれ重要になる。
「いい発想」の条件は、次の3つ。
①発想の大きさ:広い範囲で有効である可能性が高い。
②発想の奥行き:さらなる発想の展開可能性が大きい。
③発想の意外さ:類似の発想や常識からの距離が長い。
いくら論理的に考えても、不確実なことは残る。その迷う部分 -
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伊丹先生の本は今まで読んだことがなかったのですが、
期待に反してとても面白かったです。
大学の先生の書く本って何だかつまらないイメージがあって、
さらにこの人、結構なおじいちゃんなので、なおさらつまらなさそう…という偏見を持っていたのですが、
完全なる偏見でした。。すみません、伊丹先生。。
むしろ、おじいちゃんの割に表現がオシャレ。
哲学で「跳躍」って…。跳躍ってどういうことや??と思いながら、読んでいましたが、
読みながら納得。自分なら味気なく「実行」とかにしそうなところ、
「跳躍」ってオシャレ過ぎます。
本の内容に全然言及していませんでしたが、
人が「決断」するときのプロセスについて、 -
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平成の経営を振り返り、企業経営がどう変わったのかを明らかにする。
平成の30年間における日本経済と日本企業の動きを、10年ごとに分けて概観すると、次の通り。
・1989-1998年:
大蔵省と日銀による金融引き締めと不動産融資規制をきっかけに、バブルが弾け、金融崩壊に至る。
・1999-2008年:
2003年から輸出が伸び、企業の業績は好転するが、08年のリーマンショックで再びどん底に陥る。
・2009-2018年:
12年以降の円安進行、アベノミクス、原油価格の下落などにより、輸出を中心に経済は回復する。
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平成の時代は、冷戦構造の終結、中国の開放政策、新興国の成長 -
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経営の専門家による経済の話。マクロ経済について簡単に説明しており、理解しやすく、よくまとまっていると思う。学術的な難しい理論の説明はなく、その点がやや物足りない。日本の経済構造や、高齢化の話など参考になる点があった。
「日本語の壁という国際展開可能性の障害は、モノを売る産業にはあまり存在しない(サービス業では大きい)」p51
「ケチ精神が強いのは、家計と企業、つまり民間であろう。消費や投資という形でカネを使おうとしない。逆に、経済規律が最も低いのは政府で、負債が積み上がっている」p92
「日本の不平等拡大の主要要因は人口高齢化であり、同一年齢世帯内の所得格差はほとんど拡大していない。所得の多 -
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【目的】
技術が経営のカギを握る企業で、組織としてどのように技術革新と向き合う必要があるか、自分なりの考察を得たい。
【感想】
イノベーションを興すための基本プロセスを整理し、企業としてどのように関わる必要があるかを示した本。
【気づいた点】
知識・技術は「組織は蓄積し、市場は利用する」とあり、自社が蓄積したものを市場(他社)が利用するということがよく起こるとある。
自社で技術を蓄積することはもちろん、他社が展開した製品や技術の市場での反応を見極め、自社に取り組むことが求められている。そのような幾つかの役割を組織やチームとして、対応していく必要があると感じた。
ただ、上記内容を踏まえ、 -
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紀元前6~5世紀の中国で書かれた兵書とされる「孫子」の言葉を、経営の観点から読み解き、現代のビジネス事例にも当てはめながら、今日の経営者が学ぶべきポイントを簡潔にまとめた、"ありそうでなかった"一冊。
軍事と経営には、戦略を策定・実行することで勝利を目指す点においては共通項が多いが、春秋時代に書かれた書物に、現代の経営にも活かせる示唆が溢れていることに驚きを禁じ得ない。個々の事例が示す教訓はもちろん、戦において、時に「戦わない」ことも含め、"何を考えるべきか"をとことん突き詰めた理論の「幅と深さ」が、「考える」という基本姿勢のあるべき姿を示しているようにも感じる。
もちろん本書が経営学者の -
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ネタバレ従来のポーターに代表される、静的な経済学的分析に基づく「カネ」の論理を中心とした戦略論と対照的に本書ではよりダイナミックなアプローチかつ「情報」「ヒト」の論理に重きをおいた戦略論である。わかりやすさからしたらポーターはピカイチといえるが、奥深さ(当然わかりずらさもある)からすると本書はよく書けている。
本書では成功する戦略の共通パターンが、戦略の各要因がまわりの環境といかに「適合」すべきかという視点で記述されている。それらの要因は外部要因(顧客、競争)と内部要因(資源、技術、心理)に分けられる。適合のパターンも「能動的適合」と「テコ的適合(いってみれば逆張りのように普通と反対のことをするこ -
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「第4章育ち方」が一番印象に残ったかな。会社にとって、優秀な経営者を輩出するのはとても大切なこと。そのためには優秀な層を予め絞った上で徹底的に鍛えていくあるいは早期に昇進させていく必要がある。でも均質性や平等性を志向する日本の組織では、その予め「絞る」と言う行為が極めて難しい。選ばれなかった人のモチベーション低下にもつながりかねないし、そういう人達に対して周りがついていかない恐れもある。
著者はそうした構図を民主主義社会そのものに対しても敷衍している。「悪平等的民主主義の社会では、リーダーは育ちにくい」(P196)のはその通りだろう。しかしそれでも良き方向へ導くリーダーは排出していかなければな -
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第4版の読後感… よく、学者の書くものは「後付け講釈で実務に役に立たない」という意見と、逆に「普遍的な形に整理してエッセンスを抽出してくれるので、大いに考えさせられる」という真逆の意見を聞きますが、この本はまさにその両極の評価を得るであろう本。
実務書と思って読むと、明日から早速役立ちそうな、すぐに実務に応用できそうなことはあまり無い。逆に、ある意味「哲学書」として読むと(笑、示唆に富む箇所多数。
個人的には、戦略の実行には、あえて不均衡を起こしダイナミズムを誘発するアプローチが、縮小均衡状態に陥っている場合には有効(但し当然リスクを生じる)という指摘箇所に深く感じるところあり。この章だけを掘