伊丹敬之のレビュー一覧
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・一に道、二に天、三に地、四に将、五に法(一が理念、二と三が戦略(環境)、四が現場の指揮官、五が経営システム)
・将とは、智・信・仁・勇・厳なり
・君命に受けざる所あり―将には、兵士の命と民に安寧を預かる責任がある。その責任の大きさに鑑みれば、将は臨機応変の処置で君命に反することを辞さないくらいの気概をもて
・犯(もち)うるに事を以てして、告ぐるに言を以てすること勿れ―兵には任務を与えるだけで、理由を説明するな。有利なことを告げるだけで、害になることを告げるな―理由を説明しなければならないのは、日常的な状況でのマネジメント。重大な状況、危機的な状況に追い込まれた際には、経営の現場でも詳細な説明 -
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トップダウンによる指揮命令系統だけでは、組織は動かない。これを動きださせるような組織文化の醸造が必要で、私の理解では、これを「場」と呼ぶ。この場は、定義から明らかなようにトップダウンではなく、ボトムアップ的アプローチである。しかも、創発的にしかつくれないことも明らかだろう。これをトップからマネージメントする方法を示すのが本書の趣旨である。 本書の指摘を待つまでもなく、矛盾を含んだアプローチであるため、実行は難しく、卓越したトップのリーダーシップが必要となるが、これを作り出せた組織が強くなることは、疑う余地がない。 すべてのマネージメントにお勧めしたい良書である。
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『そんな技術の神話を超えるためには、技術の持つ意味、技術がもたらす価値を素朴に考えることである。神話でなく現実を見る素朴な観察眼を持ち、技術者のプライドではなく顧客が望むものをきちんと考えることである。その素朴な第一歩が、思考停止から抜け出す道の始まりである。
技術は、顧客の望むものを提供するための手段である。その平明な事実に立ち返り、技術を武器としてイノベーションを興すための経営のあり方を考える。それが、本書で解説しようとする技術経営(MOT)の最も簡単な定義である。』
魔の川を渡り、死の谷を越え、ダーウィンの海を航海する長い旅を詳しく分かりやすく説明する良書。
ミニケースも内容とリンク -
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日本で有名な経営学者の著書。もう第4版で初版から32年も経過しているとのこと。
他の経営学のテキストに必ず著者の論が登場するので、ぜひ原書をということで一読しましたが、かなり読みやすい内容でした。
また「見えざる資産」「あえて不均衡をつくる」「人間心理へのフォーカス」などといった、企業内部志向で日本人のメンタリティを重視した著者の経営戦略に対する論理には、かなり共感してしまいます。
なるほど、日本の経営学に関する有名著書の一つだなと納得してしまいました。
もちろん、市場・顧客、ビジネスシステム、経営資源(見えざる資産含む)など、しっかりと基本部分も解説していますので、教科書的な位置づけで利用で -
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ネタバレ経営戦略について、著者独自の視点から整理・体系化した本。非常に分かりやすく、網羅されている。バイブル的な一冊。独自視点として、見えざる資産の蓄積、人の心理という視点を大きな軸に加えているところがおもしろい。経済的な価値のみでなく、見えざる資産の蓄積が重要であるという視点は非常に学ぶことが多かった。
<メモ>
・目標だけでは企業は動き出せない。企業の内側の事業活動の具体像をきちんと構想しない限り、実際には現場が動き出せない。企業のありたい姿と最初の一歩(変革シナリオ)を明確にしなければ戦略を作ったことにはならない。
・変革のシナリオを描くにあたって注意しなければならないのは、現状の分析から出発 -
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ネタバレ日本の経営学の第一人者、伊丹敬之氏
が経営の視点から読み解いた一冊。
孫子から経営について含蓄のある言葉
を30選び、トピック毎に再構成した
内容。
それにしても、著者が選ぶ言葉が秀逸。
「兵は国の大事なり」「兵は詭道なり」
等の有名な言葉が選ばれている一方、
「おっ!それを選びますか!」と感心
する言葉も選ばれている。
例えば「勝ちを知るに五あり」。これ
は有名な謀攻篇の一説「彼れを知りて
己を知れば、百戦して殆うからず」の
直前の言葉。通常は名文句に隠れて
しまう所だが、著者は敢えてこの言葉
に注目し、経営学者らしい視点で、
この一説の意義を考察する。
又本書は、孫子の言葉を岩波文 -
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世界最古の戦略書(?)である孫子が、企業の経営戦略にも役立つと言われるが、実際に孫子を読んで、その内容を企業経営向けに理解しようとすると、意外に難しいものである。そもそも「戦争」を前提にして書かれた戦略書なので、競合企業との戦いをイメージするが、単純には対応させられないことが多いと思う。本書で取り上げられている原書である「金谷版の孫子」も何回か読んだが、上記のような感想を持っていた。
本書は、経営学者である筆者が、単に孫子と経営学を結びつけるのではなく、経営学の視点から逆に孫子を読み解いている。したがって、多少強引な論理展開でも、役に立つ孫子の解釈で面白い。筆者の言うとおり、孫子は「深い」読み -
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MOTはManagement of Technologyのこと。東京理科大学でイノベーションに携わる御二方による一冊。
研究と開発の違い、馬車をいくら改良して も自動車にはならない等、ハッとさせられる分かりやすい事例に加えて、実際にMOT を屋台骨としている企業のミニコラムも面白い。ソニーにおけるCDの開発秘話や、 食品の装置メーカーなのに、どんどん新商品(さける笹かまなど)を作って製作機を売り込んでくるw山口県宇部市のヤナギヤの 事例などが印象的だった。
近視眼的に技術に向かうことが悪い事なのではなく(むしろそのようにしなければ得られないものもある)、課題側からの摺合せを行わずに近視眼的 -
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すばらしい。我々の最高の教科書だと思います。
会社・部署の全員に読んで、ひとつひとつ整理して
認識してほしいと思います。私も含めてですが。
1.イノベーションを経営する。
2.三つのレベルのMOTと現場の学習活動
3.研究開発で技術を育てる。
4.日々の仕事の仕方で技術が育つ
5.技術の筋のよさを見極める
6.技術の大きな流れを俯瞰する。
7.テーマ選択はポートフォリオ思考で
8.コンセプト創造からすべてが始まる
9.製品開発は顧客との行ったり来たり
10.技術を利益に変えるビジネスモデル
11.新事業への初動を工夫する
12.最初のイノベーションのあとが勝負
13.技術外交に知的財産を使う
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大学や大学院などで学ぶ経営学の教科書として良書だと思います。
現実の事象を抽象化・一般化した形で記述されており、具体例もいくつか織り込まれて出てきますが、読み進めるには、自身の経験などと照らし合わせて理解する必要があります。
その点において、企業での経験が浅い方は読み進めるのに苦労するかもしれません。
一方で、企業での経験が多少なりともある方にとっては、会社の仕組みが網羅的、論理的に理解でき、企業人としての立ち振る舞いなどを見直すきっかけになる可能性もあると思います。
会社の仕組みや経営に興味のある方、ずっしりと読み応えのある内容です。ぜひ、ご一読を。 -
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15の経営ケーススタディ形式で展開される本。
やはり一流企業には、イイ時も悪い時も歴史、社史があって、進化(経営戦略や経営方針などの転換)があってこその現在があるのだと改めて考えました。
1.AKB48
2.みずほの村市場
3.ルミネ
4.ヤマト運輸
5.コマツ
6.サムスン電子
7.鴻海精密工業
8.東レ
9.DIC
10.村田製作所
11.ダイキン工業
12.アサヒビール
13.アップル
14.公文教育研究会
15.トヨタ自動車
個人的には、1.AKB48と2.みずほの村市場、3.ルミネ、4.ヤマト運輸と12.アサヒビールの事例が好きです。
頭使う本。 -
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経営において注意すべき物事の性質について、どのような力が働くか、それに対してどんな反作用があるか、当たり前の事実を正面から見るという本である。
実証的な本ではないが、人間をよく見た本だと思う。納得出来る。
その意味でドラッカーの書に似たものを感じる。
”私は人が育つプロセスの本質は、「自育」のプロセスだと思っている。じぶんで育とうとしなければ、人は育たない。”
こういった人間への洞察を内包する論理展開だから、すんなり入ってくる。
本書は著者が大切だと思うことをかなり要約して書いたものだというが、確かに要諦が詰まっている。
著者の他の本ももっと読みたい。