伊丹敬之のレビュー一覧
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■戦略とは何か
「誰に何を売るか」「売るためのインプットとしてのコストをどれだけ減らせるか」についての設計図
設計図については、競合他社や市場も含めた上でどのように競争に勝っていくのか盛り込む
短期的な視点だけではなく、長期的な視点で考える
→競争相手がすぐに追いつける戦略ではずっと勝てない
→将来なりたい姿のために短期的には捨てる部分があることを明確にしないと、実行する従業員も仕事に身が入らない
設計図には、何を武器にして競争に勝っていくのか(あるべき姿)
とそのためのシナリオを記載する
過去の延長線上の話は戦略ではない
ボトムアップで作る戦略は戦略ではない
■戦術とは何か
戦略を実行するための活動計画のこと
社長にとっては各事業部門の活動計画は戦術となるが、事業部長にとっては戦略となる
■戦略のレベル
1 企業戦略
社長から見た戦略のこと。各事業部門に対する資源配分や各事業の組み合わせがポイント
2 事業戦略
事業部門長から見た戦略のこと。競争相手との違いを作ることがポイント。
製品、価格、サービス(納期、アフターサービスなど)、ブランドで差を出すことが大切
→うまい、早い、安い、ブランド力が吉野家の牛丼部門の事業戦略
→全部100点でもどれか1つが0点では顧客にとってダメな場合もある
→どれに重点を置くかについては、時代の流れも読む必要がある
→本当に利益が出るかの仕組み作り(scm、生産管理など)は企業側が自分で用意する必要がある
インプットしては、会社の資源をどう配分するかが大切
1 競争相手が持っていないような資源を利用する
2 競争相手と似た資源を異なるパターンで配分する
そもそも、「棲み分け」という差別化もあるが、どちらにせよ資源配分を行うことが必要
1分野につぎ込んだ設備投資や得た技術、顧客が次の戦略に役立つことが成功パターン
競争相手や自社の武器を磨くことばかり見て、顧客の要望に目を向けないことが失敗パターン -
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ネタバレ【書評】
本書は日本型のあるべきコーポレートガバナンスを検討した書で、日本企業の従業員主権的なあり方が、決して閉鎖的で自己完結的なものではないと主張する。株式会社制度の歴史、日本社会の歴史、資本主義の多様性の観点を検討することで、日本型従業員主権企業の普遍性と合理性を理論的に考察した本である。
曰く、会社が社会構築物である以上、会社の仕組みや法制度は社会に根付かねばならない。日本がせねばならぬは、ただ欧米の型を導入するで無く、日本の歴史と株式会社制度の本質に根ざした改革であり、本書はそのためのたたき台となることを意図して書かれた意欲作である。
【まとめ】
従業員主権という慣行に基づく日本の会社のあり方は「経済合理性」、「制度的有効性」及び「社会的親和性」の観点から正当化出来る。この従業員主権的な考えは、戦中の遺産と戦後財閥改革という「二つの軍政」から制度基盤から発生し、当時の経済状況や時代思潮、更には「所有よりは帰属、財産よりは貢献と関与」という権力の正当化のための社会通念を受けて定着したもので、日本社会の本質に根ざす仕組みである。しかしながら、表面上は会社法の株主主権の建前を受けいれた制度づくりが加速する。日本の従業員主権の特徴は、資本市場の(会社法的な)無色透明なカネの論理の上に、人格的な人の関係を捉えた仕組みでを作り上げたことにある。問題は、この現実と法の建前の使い分けに無理が生じており、乖離の問題や拡大から問題が生じている。株主を論じた会社法だけを云々するではなく、システム全体から仕組みを論じなければ意味は無い。
バブル期には経営の暴走を招き、80年代以降パフォーマンスの低下という問題があり、更に金融資産のより高い利回りの要求から国際的な摩擦も発生(、今後強まる)する、改革が必要であることは間違いない。日本型コーポレートガバナンスの最大の問題点は、(コア)従業員が経営に関してチェックを可能にするための制度が存在しないことである。よって目指すべき方向は、実体としてのコア従業員主権に適合的なように、①従業員の経営に対する監視を制度付け、②利益配分を要求する株主に従業員主権を侵害しない程度の正当な権利(例えば、議決権なしの優先株などのバリエーション)を提示し、③企業支配的行動を抑え込むことである。…これを受け本書では、『伊丹試案』が展開されていく。
【感想】
何であれ制度づくりは日本文化やその行動様式にならい、改革は歴史にその起源を教わらねば必ず失敗するという信じる自分だから、本書の主張には多いに賛同出来た。本書は、実体としての行動様式や慣行に(企業経営で長期的に)合理性がることを示し、その方向に(法)制度をもって行こうとする点で正しいアプローチだと感じる。会社の仕組みを社会システムや企業文化などを検討し、日本会社の特徴、問題点が包括的に論じられた良書だと感じる。
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経営学について読みやすくスゥッと入りやすい一冊。
たとえば、概念的な問いで、「なぜ会社で働くのか?」というと、
人は一人ではあまり大したことはできないことが多いから。
逆に言えば、人は人と協力して何かを成し得ることができる。
会社がその場を提供してくれているというわけです。
当たり前にあるものというミカタではなく、
その場所があることを、素直に、大切にしたいと思います。
人が一人で生きる場所はなく、もしも一人で生きていたら…と想像することもとても難しいことです。
そして、経営とは何か?
それは、人間の神経に該当する情報の流れ、人間の心に該当する感情の流れがうまく機能して、つまりそれがうまい経営であり、人間が健やかに活動できるというわけである。
もちろん、呼吸をして血液が流れて人間は生きている。
つまり、企業にとって血液はカネの流れに該当する。
こんな風に、経営をとらえると受け取りやすくなります。
そして、このように私たち人間の機能や活動を通して、
利益や理念、管理システム、組織作り、リーダーの在り方についてもつづられていて、
経営の大きな概念をとらえることができます。
健やかに楽しんで生きる企業とは?
そんな企業の在り方をとらえるヒントがあります。 -
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東京理科大学総合科学技術研究科教授、一橋大学名誉教授である伊丹敬之氏による「イノベーションを興す」。
本書で定義されているイノベーションのプロセスは「①筋の良い技術を育てる②市場への出口を作る③社会を動かす」であり、このプロセスでイノベーションを進めていくにはどうすれば良いかということが、順序立てて説明されている。
調査結果等に基づいて論理が展開されているというよりは、著者の考えが論理的に書かれている。
メーカーでのエンジニアの経験がある私としては、大学教授という立場にも関わらず、技術開発の現場を熟知していることに何度も驚かされながら読み進めていったが、社会人大学院の教授ということで、現場のエンジニアとの交流が深いからだと納得。それだけに、膨大な調査を行って書かれたものではないが、決して著者の考えは机上の空論ではないと感じた。
イノベーションは製造業だけでなくサービス業にも必要であることであるが、どちらかと言うと本書は製造業に向けたものであろう。メーカーの経営層~中間管理職は一読の価値があると思われる。 -
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・イノベーションの三段階プロセス
①筋のいい技術を見つける
・筋のよさとは
(ア)科学の原理に照らして原理的深さを持つ
(イ)社会のニーズの流れに照らして、人間の本質的ニーズに迫っている
(ウ)自分たちの得意技に照らして、付かず離れずの距離にある
・データもディテールもほどほどにして、原理の高みに上がって技術の俯 瞰図を描ける人が技術の目利き
・偶然は準備のある心の持ち主に微笑む。そして「準備ある心」と は、次の三つのステップへの努力と能力を備えた心
(ア)偶然が生まれる:偶然の現象が起きる確率を高める努力
A.意味のある偶然が起きやすいような活動領域・状況を設定する 努力
・本質的なことに迫るような活動領域の設定
・活動領域の多様性の設定
B.上記の設定領域・状況の中で、努力投入量を多くする努力
・頻度を上げ、失敗を罰しない
・多様な分野の人間を取り揃えて、メンバー間の相互刺激・競争 を誘発
(イ)偶然に目をつける:その現象を評価する能力
A.偶然への感受性を高める
B.現象評価力を身に付ける
(ウ)偶然を固定化する:その現象の論理を解明する能力
②市場への出口を作る
・「市場から技術へ」ではなく、「技術から市場へ」の流れ
・技術の出口を「作る」とは
(ア)穴を開ける作業
(イ)上記の穴が恒常的な出口として整備されるプロセス
・新製品がイノベーティブであればあるほど、使用法も含めた
ビジネスモデルの開発がイノベーションの市場での定着にはどうしても必要
・「顧客イン/技術アウト」の基本スタンス
顧客イン:顧客の立場に身をおき、ニーズを深く探る
技術アウト:ニーズに応える製品(=製品が機能するように仕立
上げた技術)を作り出す
・顧客ニーズの確認のためには「モノ」の提示が不可欠。更にその
フィードバックから学ぶ
・企業と市場との間の障壁を乗り越えるための条件
(ア)顧客が感じる不安不確実性を乗り越えさせるだけの魅力の具備
(イ)上記魅力を顧客が理解するよう「市場を説得」する
・市場説得にあたっての肝は、顧客の経済的負担を大幅に減らす
こと。初期の費用負担を軽減し、試し使いをさせることで市場が
使ってみて効用を認識し説得される
・肯定技術と否定技術の共存が成功すれば経済的成果は大
(ア)否定技術をの技術アウトで既存市場を活性化
(イ)肯定技術の進歩(コストダウン、製品改良)
・市場での出口での二つの試練
(ア)死の谷:組織内部での事業化の是非の判断
A.選別
B .警告
C.教育
(イ)ダーウィンの海:市場での選別
③社会を動かす
(ア)コンセントドリブンイノベーション:機能性に訴える
・いいコンセプトは「聞いて驚き、使って驚き」
・コンセプトが社会の共鳴につながるかは社会の状況に依存
・コンセプトの駆動力は以下の3点セットが揃っていることに依存
A.顧客にとってのベネフィットの大きさ
B.製品の供給価格が低いこと
C.社会状況との合致
(イ)ビジネスモデルドリブンイノベーション:経済性に訴える
・ビジネスモデル=ビジネスシステム+収益モデル
A.ビジネスシステム:製品やサービスを顧客の手元に届けるための仕事の
仕組み
企業内外(顧客も含む)の分業や仕事の分担のシス
テム全体
この設計が重要で、経済性もデモンストレーション効果も
規定
B.収益モデル :利益をあげるためのビジネスの仕掛け
売上げ増大+費用低減のための工夫
・コンセプトドリブンイノベーションとは双方向の関係で、同時発生もありうる
・ビジネスシステム=業務システム+学習システム
分業関係は業務のみならず、そこで必然的に起きる現場学習の分
担関係でもある。自分で仕事をすれば、その仕事について自分が
学ぶ。他人に仕事を任せれば他人がその仕事について学習する。
つまり自分のところには学習蓄積が残らない
(ウ)デザインドリブンイノベーション:感性に訴える
・脱成熟化のためのデザインドリブン
・必要となるのはハイテクではなく、どこかの産業では使われていたか
も知れない技術を応用すればよい。「枯れた技術の水平展開」で
よい
・Stay hungry, Stay foolish
・破壊的創造こそイノベーション。創造的破壊ではない
・既存の秩序の周辺部分で鳴り物入りではなく新しい秩序を作り始
め、次第に古い秩序のフェイドアウトを誘発していく人「静かな建設
者」が実際にイノベーションプロセスを担う
・「凡庸なイノベーターは「指示(Tell)」をする。
いいイノベーターは「説明(Explain)」をする。
優れたイノベーターは「範を示す(Demonstrate)」。
偉大なイノベーターは「心に火をつける(Inspire)」。
(TEDI) -
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伊丹さんのMOT関連の書籍の印象がよかったので購入してみました。サブタイトルに「入門」とある通り、経営に関する幅広いテーマについて平易な言葉で説明されています。その分、物足りなさもあるかもしれません。
それでも内容には、単なる既存のマネジメント論や戦略論の引き写しだけでなく、少し背伸びをさせてみて成長を促す「オーバーエクステンション」や階層型のマネジメントと対比させた「場のマネジメント」など、独自な視点も展開されています。ドライなものだけでなく、ウェットな部分も大事にしているという印象を受けます。
「人は性善なれど弱し」
なるほど、そうかもしれないですね。 -
Posted by ブクログ
大学の教科書を流し読みしてみた。
時々、面白いエピソードもあるにはあるが、第4部までは地味な経営の基礎知識の解説。第5部から本質に迫る内容になっている。第5部に関しては非常に読み応えのある内容になっていた。
「つまり、ほどよいバランスを常にとってスムーズな成長経路を企業がたどっていくことはほとんどない。企業は振り子のようにゆれ動くのがふつうである、揺れながら、成長していく。そして、ゆれ動きながら、企業は長期的なバランス、ダイナミックなバランスを取っている。
もちろん、二つの極の間のバランスの取り方には、『つねに中庸を狙う』という方法もある。しかし、そのやり方には無理が多そうだ。バランスをつねに取り続けようとして、かえってエネルギーを失いかねない。(略)しかし、世の中には静態的にものを考えてしまう人が案外いる。それでは、目に見えないものは見えてこない。ゆれ動きの一こまだけを取り上げ、その揺れている方向へ際限なく振り子が行ってしまう危険を言い募る人である。ゆれ動きがもたらす、刺激とか揺らぎ効果がわかっていない。」
自分は中庸の徳とか、バランスをとることをかなり意識しているが、極端を味わうことで、理屈が分かって来た側面は否定できない。バランスをとることが、良いことであるという認識自体は著者の主張を聞いても変わらない。バランスをとるというか、実際に堅実な経営をしている企業はあると思う。しかし、安定にこだわりすぎると、何かが盲点になってしまう可能性はあるのかもしれない。ただ、「ダイナミックにバランスをとる経営」によっても、やはり失うものはあるはずだが…。